2019年12月16日月曜日

ゼミ研究報告会での報告



お久しぶりです。
経営学部の石黒です。
本日は、14日に開催されたゼミ研究報告会について話したいと思います。

当大学では毎年12月にゼミ研究報告会が開催され、各ゼミの代表者が1年間の研究の成果を報告しています。
普段は聞けない他ゼミの報告を聞いたり、他ゼミからの意見をもらったりと非常に学びの多い機会です。

私のゼミからも2人が報告をしました。
「野球用品メーカーの新戦略」、「瓦職人の復活戦略」についての報告です。
どちらの報告も自身の経験や家業に関わる身近な話題をテーマに、業界が帰る課題の原因を究明し、その解決策を提案する意欲的な研究です。
ここ数ヶ月の間は、何度も何度も修正を繰り返し、私やゼミ生からの厳しい質問に凹みながら努力してくれていました。
そのおかげで良い報告ができたのではないでしょうか。





頭の中の情報を何度も整理して、知識として再構築していく作業は本当に疲れます。
時間をかければ良いわけでもないですし、先の見えない努力をしなければなりません。
しかし、それを乗り越え、パズルがうまく組み上がった時の喜びは言葉にできません。

こんな研究の喜びが味わえるのはゼミの特権ですね。

今年も残すところあと数日。
ゼミではいよいよ卒業論文が大詰めです。
今も4年生は頭を悩ませながら卒論を書いていることでしょう。
僕も精一杯のアドバイスができるように頭をひねります。

文責:石黒督朗

2019年12月9日月曜日

福岡でスマートレジカートを実用化した店舗を取材

流通マーケティング学科の丸谷です。33回目の執筆です。日本は米国や中国に比べ無人店舗の展開が積極的とはいえない状況ですが、実験的な取り組みは最近増えてきているようです。

身近なところでも東京経済大学の最寄の国分寺駅から3駅目の武蔵境駅構内のコンビニであるNewDaysが同チェーン初のセルフレジ専用キャッシュレス・無人店舗となっています。私のゼミは研究テーマを個人で決められるのですが、最近ロボットを利用した接客のあり方について研究するゼミ生も出てきています。
セルフレジのみで決済する武蔵境駅構内のコンビニNewDays
今回は日本の中では積極的に無人清算やスマートストアといった取り組みを行っている企業の取材のために福岡に行ってきたので、取材した内容を取り上げます。今回取材したのは九州福岡発のディスカウントストア大手のトライアルカンパニーの最新店舗です。

トライアルカンパニーは日経MJ掲載の18年度の小売業調査(第52回)では全国31位であり、35位の良品計画よりも上位であり、同じく日経MJ掲載の第47回日本の専門店調査の総合ディスカウントストア部門では、あのドン・キホーテに次いで第2位となっています。

しかし、出店が出身の九州中心であり(243店舗のうち91店舗)、店舗数に比べると知名度は高いとはいえません。関東地方も56店舗あるのですが、出店が北関東や千葉が多く、東京出店がゼロなためマスコミにも取り上げられにくいことも知名度の低さの原因かもしません。

20194月にAIITを活用したスマートストアとして改装した福岡県糟屋郡の「メガセンタートライアル新宮店」です。なお、同社の代表取締役会長永田氏が執筆された著作『リテールAI最強マネタイズ』(日経BP社、2018年)は、「リアル」と「AI」技術を融合した「リテールAI戦略」に関する同社の考え方が示されています。もし興味を持った方はkindle版もあるので合わせて確認すると理解しやすいです。

メガセンタートライアル新宮店がある福岡県糟屋郡新宮町は九州最大の都市福岡市に隣接することもあり、ベットタウンとしての開発が進む地域であり、マンション開発も活発なエリアです。 
店舗の駐車場に隣接するマンション
店舗が接する国道3号線(福岡の最北の門司から鹿児島まで西部九州を貫く幹線道路)は福岡へとつながっています。店舗近くでは道路に沿って、自動車販売店、紳士服量販店、百円均一店、ホームセンターなどが出店しており、典型的なロードサイドとなっています。この道路には福岡市の繁華街天神からのバスが定期的に走っており、私は天神からバスで30分程度で最寄りのバス停まで行き、そこから数分歩きました。

しかし、大部分の顧客は大規模駐車場がある自動車で訪れており、店舗の上や周りだけでなく、店舗の周りにも大型駐車場が配置されていました。

ロードサイド立地のメガセンタートライアル新宮店
同社はこれまで同じく福岡市に立地する大野城市に夜間完全無人店舗トライアルQUICK 大野城店を開店するなど、スマートストア(電子タグや人工知能などの技術によって流通課題を解決する店舗)を稼働させるための取り組みを行ってきました。


大野城の店舗がQUICKという名称通り、無人という以外には一般的食品スーパーという雰囲気なのに対して、今回取材したメガセンターは巨大駐車場がある2階には衣料、家電、住関連商品なども幅広く品揃えされている総合スーパータイプの店舗です。なお、1階のドラッグスストアは取り扱い商品が薬であることもあり、有人の別レジが設置されていました。 
店内レイアウト
店内に入ると、スマートレジカートと呼ばれる清算機能が付いたカート200台と、普通のカートの両方が常備されていました(クイックではスマートレジカートのみ)。スマートレジカートを利用すると最後にスマートカート専用レーンで決済し、店員に決済完了したことを示せば並ばずに退店できました。スマートカートには決済機能に加えて、お得情報を進める機能もありました。

子供が乗せれるスマートレジカートも
また、1500台設置されているというAIカメラが欠品や顧客の動向をチェックし、顧客に合った広告を顧客の近くのモニターに写したりしていました。売価変更が多い生鮮食品を中心に7000枚の電子プライスカードの導入も行っているそうです。

変化する店内モニター
食料品コーナーには多くの電子プライスカード

最後買い物が終わると出口でレジ袋の要不要を確認する

店員による退店前の確認

買い物が終わると出口でレジ袋の要不要(用なら枚数も選択)を確認した後、店員の簡単な確認を受けて退店します。お盆期間ということもあり、実際に店舗内の顧客の観察をしていると、スマートレジカートの利用に関しては、中年以下の買い物慣れたした主婦に多い程度でした。その浸透度合いはレジが少し混んでいても、有人の普通レジを利用するお客さんが多かったです。

非食品を品揃えする2階に関してはスマートレジカートを管理する店員さんが手持ち無沙汰なほどの状態で、ほとんど利用している人がいない状況でした。やはり新技術の普及には一定の時間と普及のための工夫が必要なようです。とはいえ、本格的に開始された取り組みは興味深く、トライアルカンパニーが提案する店舗の自動化や無人化は確実に進んでいくと考えられます。

私が海外で取材したウォルマートやイケアも、日本の流通を変えてきたユニクロ、ニトリ、ダイソーなど、流通の革新者は地方出身です。今後とも地方からの新たな流通革命の動向を追跡取材していきます。
              (文責:流通マーケティング学科 丸谷雄一郎)

2019年12月2日月曜日

大学のゼミって何?

2019.12.02

経営学部の本藤です。
今まで僕は、このブログでは、流通とかマーケティングに関する最新トピックやその捉え方について紹介してきましたが、今日は大学で最も重要な選択「ゼミ」について紹介してみたいと思います。


他大学のゼミと東経大のゼミ
多くの文系の大学では、一般的に3年生から自分の専門としたい研究分野を選択して、演習(通称:ゼミナール、略称:ゼミ)という少人数教育を受けられます。初年次から履修できる似たような授業があったとしても、それは専門ゼミではありません。本学経営学部ではこの専門ゼミを2年から履修することができるのです!
早くから始められるということは、長く究められるということです。そのため、どんな研究に取り組むべきかを1年生から考えるきっかけにもなります。


ゼミの選び方は十人十色
何を研究するのかという研究テーマが最も大切ですが、ほかにも考えなくてはならないことが色々あるんです。理論研究を中心にやるゼミ、事例研究を進めるゼミ、企業コラボを行うゼミ、自治体コラボをやるゼミ、コンテストに参加するゼミ、他大学と発表会や討論会をするゼミと研究アプローチはさまざま。そのほかにも、個人研究主体のゼミ、グループ研究主体のゼミ、卒論必須のゼミといったことも基礎情報ですね。意外と最も重要な情報は、ゼミ活動にどれだけ時間を必要とするかかもしれません。いずれにしても、自分の性格、志望するキャリア、興味のある分野、指導教員との相性、競争率など、それぞれの価値観で、それぞれの優先順位で選んでいいと思います。


ゼミのことはゼミ生にしか分からない
実は、教員も他の教員がどんなゼミをやっているのか認識していません。だから、ほかのゼミのことを別の教員に聞いても責任をもって答えられないんですよね。実際のところ何を目指していて、具体的に何をしているかは、そのゼミの指導教員かゼミ生に直接質問しに行った方がいいですね。ここで問題なのは、何を目的にしているかとなると指導教員ですが、どんな気持ちでゼミ活動できるかどうかなどはゼミ生にしか分かりませんね。むしろ教員は、そこは正確に認識できているかどうかあやしいです(笑)


本藤ゼミについて
だから、僕は本藤ゼミのことしか分からないので、本藤ゼミのことを紹介します。
本藤ゼミは、メーカーマーケティングプロモーションブランディングをメーカーに対して企画提案しています。これを年に3本やっています。
今年のコラボ先企業は、春企画としてハウスウエルネスフーズ「C1000ビタミンレモン」、秋企画として森永製菓「inプロテインバー」でした。冬企画ではロート製薬「SUGAO」を予定しています。
森永製菓「inプロテインバー」のプレゼンは、田町にある森永製菓本社で、執行役員やマーケティング本部、営業本部の方々に対して先週開催されたばかりです。ちなみに、先週の森永製菓プレゼン本番後のゼミコンパでは、本藤ゼミ生の半分以上が涙しています。本藤ゼミは部活なんです(笑)


本藤ゼミでは、学年縦割りで4チームがコンペ形式で取り組みます。各チームで所有している専用パソコンから、全国各地に地域集中出店しているドラッグストア企業29社1100店舗の買い物データを抽出できます。直近3日前のデータまで常に更新されていくので、最新データにアクセスして検討します。このスキルはビジネス最前線でマーケティングや営業に携わるビジネスマンでも使いこなせているとは言い難いんですよね。

今年度の本藤ゼミの就活実績
僕は、外資系コンサルティング会社からマーケティング系シンクタンクというキャリアを経て大学教員になっていて、現在マーケティング会社の取締役も務めているので、そんな背景からビジネススキルだけではなくビジネスマインドも意識しています。
因みに、今年度4年在籍生全7名の就職先は、以下のような企業から内定を獲得しています。
メーカーでは、森永製菓株式会社、ロート製薬株式会社、ジョンソン株式会社。データ系コンサルティング会社から株式会社インテージ。セールスプロモーション企画企業からワヨー株式会社。ネットワーク・コンサルからネットワンシステムズ株式会社。不動産情報サイト運営のアットホーム株式会社。4年生7名全員の就職先です。
同じ経験を積んでいても、選ぶ第一歩は様々なんですよね。
でも、僕はゼミ活動のゴールは就活なんて微塵も考えていません。自分のキャリアの入口は大切ですが、そこからのステップアップの方が遥かに大切です。それを意識して言葉を伝え続けています。


大学時代はあっという間!
大学時代の使い方も人それぞれです。部活、資格、サークル、ボランティア、バイト、起業、資産運用・・・。ゼミ以外にも無数に選択肢があります。十代終わりから二十代始めという自分で自分の人生を設計し始める大切な時間を何に費やすか。答え合わせができない人生の命題に対して、一人ひとりが自分なりの答えを見つけ出さなくてはなりません。そのために考え抜かなくてはなりません。
この大学時代は、夢ばかり語って地道な努力を疎かにしてしまう人もいます。逆に、夢を語るよりも現実の厳しさばかり考えてしまう人もいます。ほとんどの大学生は、3年生の夏から始まる就職活動をしながら多くのことを考えては悩んだりして、将来への期待も不安もいろいろ考えながら成長していきます。
ひとつ覚えておいて欲しいことは、大学時代はかなり多くのことを経験して成長できますが、無限の時間を手にしているわけではありません。だから、ひとつのことに集中して追究した方がいいと思っています。※あくまでも個人の意見です。

全力で励んで結果に涙できるような経験は、大学時代が最後かもしれません。
大学時代にそんな経験ができたら、社会人になってからも、結果を恐れずにチャレンジし続けられるはずです。そんなマインドでキャリアを積み上げていければ、想像以上の自分に出会える将来が待っているはずです。僕はそう信じています。
そんな大学時代に教員として関われることを、僕は幸せだと思っています。


文責:本藤貴康(流通論、流通マーケティング演習、アカデミックコンパス担当)
本藤ゼミブログ(http://hondo-seminar.blogspot.com/