2021年1月18日月曜日

フランス発外資の巨人再び幕張に

 流通マーケティング学科の丸谷です。41回目の執筆です。私はグローバル・マーケティング論(簡単にいうと海外でどのようにマーケティングを行なっていくのか)を専門分野にしているので、海外に出張に行くことが多く、このブログでも米国、インド、中国、チリ、ペルー、ブラジル、ケニア、ガーナの出張の模様を取り上げてきました。  
 海外出張では小売業者の店舗調査を行うためにショッピングモールをよく訪れます。そんな時に日本ではあまり見かけないけれど海外では頻繁に見かける店舗として「デカトロン」について取り上げ、最後に関東初出店をしたという情報を紹介しました。情報を紹介しておきながらコロナ禍で遠方への取材は自粛していたこともあり、約半年間現地取材に行けていなかったのです。しかし、ようやく現地取材に行けるようになったので取材した内容の一部を紹介します(なお、今回の現地取材は2020年10月に行っています)。
デカトロン関東1号店周辺の地図
 デカトロン関東1号店は「イオン幕張店」が入るショッピングモール内にあります。イオンの幕張といえば、「イオンモール幕張新都心グランドモール」が日本有数の小売業者総本山としてあまりにも有名であり、私が1年生対象として担当する「流通マーケティング入門」でも日本を代表するショッピングモールとして取り上げているほどです。ちなみに、イオングループの本社は海浜幕張駅の目の前にあり、本社近くの大規模モールということでイオングループの新たな試みの多くがこのモールを使ってなされてきたようです。
デカトロン関東一号店が入居するイオン幕張店外観
 イオン幕張店は「イオン幕張新都市店」に併設する巨大モールの近くに立地し、今や地味な存在に見えますが、私はかつてここを取材したことがあります。イオン幕張店は2000年にフランス出身の巨大小売業者として鳴り物入りで出店したカルフール日本1号店の跡地にイオンが出店した店舗なのです。
 カルフールは私が研究してきた世界最大の小売業者ウォルマートの長年のライバルであり、ウォルマートが西友を買収し参入したのと近い時期に、コストコなどともに参入した世界の小売業界の巨人です。フランス発の世界的スポーツ専門店デカトロンはなんと同じフランス出身小売の巨人が日本1号店を出店したモールに関東1号店を出店していたのです。
 私も情報を確認していてデカトロンの出店場所が「イオン幕張新都市店」が入るモールではない近くのモールであることは理解していたのですが、カルフール日本1号店の跡地であることに気が付いていませんでした。思い込みとは怖いもので改めて現地取材の大切さを感じると同時に、自粛中に鈍ってしまっている部分がだいぶあると感じた瞬間でした。
 
カルフール時代からあるスロープ

デカトロン1号店はイオン幕張店が入るモールの1階部分の大部分を占有していました。

1階の大部分を占有しているがわかる店内図


デカトロン関東一号店レイアウト

平日の昼間ということもあり店内はすいており、多く配置されている店員の皆さんはウインターシーズンに向けての準備や多く配置された体験ゾーンのメンテナンスを行いつつも、ゆったりと店内で歓談する姿が多くみられました。何人かに話しかけてみると明るくフレンドリーであり、雰囲気はアップルストアと少し似ている感じました。

体験するスペースが充実

しばらく観察しているとファミリー層が多い立地ということもあり、小さな子供が店内に置かれたキャンプのテントに入る姿や、最近はやりの子供用のキックボードを店内で試す姿が散見されました。店員さんによるとイベントもようやく行えるようになってきたそうで、「こんなイベントがあるんで」とチラシとともに紹介されました。

頂いたイベントのチラシ

店から直接つながる屋外スペースでも週末などにはでられるとのことで、かなり巨大な店舗をゆったりと使っているようでした。

日本への対応がかなと考えられる野球のティーバッティング体験などもあり、試行錯誤しながら日本市場を学習している状況が垣間見えて興味深かったです。

(文責:流通マーケティング学科教授 丸谷雄一郎)