2019年12月16日月曜日

ゼミ研究報告会での報告



お久しぶりです。
経営学部の石黒です。
本日は、14日に開催されたゼミ研究報告会について話したいと思います。

当大学では毎年12月にゼミ研究報告会が開催され、各ゼミの代表者が1年間の研究の成果を報告しています。
普段は聞けない他ゼミの報告を聞いたり、他ゼミからの意見をもらったりと非常に学びの多い機会です。

私のゼミからも2人が報告をしました。
「野球用品メーカーの新戦略」、「瓦職人の復活戦略」についての報告です。
どちらの報告も自身の経験や家業に関わる身近な話題をテーマに、業界が帰る課題の原因を究明し、その解決策を提案する意欲的な研究です。
ここ数ヶ月の間は、何度も何度も修正を繰り返し、私やゼミ生からの厳しい質問に凹みながら努力してくれていました。
そのおかげで良い報告ができたのではないでしょうか。





頭の中の情報を何度も整理して、知識として再構築していく作業は本当に疲れます。
時間をかければ良いわけでもないですし、先の見えない努力をしなければなりません。
しかし、それを乗り越え、パズルがうまく組み上がった時の喜びは言葉にできません。

こんな研究の喜びが味わえるのはゼミの特権ですね。

今年も残すところあと数日。
ゼミではいよいよ卒業論文が大詰めです。
今も4年生は頭を悩ませながら卒論を書いていることでしょう。
僕も精一杯のアドバイスができるように頭をひねります。

文責:石黒督朗

2019年12月9日月曜日

福岡でスマートレジカートを実用化した店舗を取材

流通マーケティング学科の丸谷です。33回目の執筆です。日本は米国や中国に比べ無人店舗の展開が積極的とはいえない状況ですが、実験的な取り組みは最近増えてきているようです。

身近なところでも東京経済大学の最寄の国分寺駅から3駅目の武蔵境駅構内のコンビニであるNewDaysが同チェーン初のセルフレジ専用キャッシュレス・無人店舗となっています。私のゼミは研究テーマを個人で決められるのですが、最近ロボットを利用した接客のあり方について研究するゼミ生も出てきています。
セルフレジのみで決済する武蔵境駅構内のコンビニNewDays
今回は日本の中では積極的に無人清算やスマートストアといった取り組みを行っている企業の取材のために福岡に行ってきたので、取材した内容を取り上げます。今回取材したのは九州福岡発のディスカウントストア大手のトライアルカンパニーの最新店舗です。

トライアルカンパニーは日経MJ掲載の18年度の小売業調査(第52回)では全国31位であり、35位の良品計画よりも上位であり、同じく日経MJ掲載の第47回日本の専門店調査の総合ディスカウントストア部門では、あのドン・キホーテに次いで第2位となっています。

しかし、出店が出身の九州中心であり(243店舗のうち91店舗)、店舗数に比べると知名度は高いとはいえません。関東地方も56店舗あるのですが、出店が北関東や千葉が多く、東京出店がゼロなためマスコミにも取り上げられにくいことも知名度の低さの原因かもしません。

20194月にAIITを活用したスマートストアとして改装した福岡県糟屋郡の「メガセンタートライアル新宮店」です。なお、同社の代表取締役会長永田氏が執筆された著作『リテールAI最強マネタイズ』(日経BP社、2018年)は、「リアル」と「AI」技術を融合した「リテールAI戦略」に関する同社の考え方が示されています。もし興味を持った方はkindle版もあるので合わせて確認すると理解しやすいです。

メガセンタートライアル新宮店がある福岡県糟屋郡新宮町は九州最大の都市福岡市に隣接することもあり、ベットタウンとしての開発が進む地域であり、マンション開発も活発なエリアです。 
店舗の駐車場に隣接するマンション
店舗が接する国道3号線(福岡の最北の門司から鹿児島まで西部九州を貫く幹線道路)は福岡へとつながっています。店舗近くでは道路に沿って、自動車販売店、紳士服量販店、百円均一店、ホームセンターなどが出店しており、典型的なロードサイドとなっています。この道路には福岡市の繁華街天神からのバスが定期的に走っており、私は天神からバスで30分程度で最寄りのバス停まで行き、そこから数分歩きました。

しかし、大部分の顧客は大規模駐車場がある自動車で訪れており、店舗の上や周りだけでなく、店舗の周りにも大型駐車場が配置されていました。

ロードサイド立地のメガセンタートライアル新宮店
同社はこれまで同じく福岡市に立地する大野城市に夜間完全無人店舗トライアルQUICK 大野城店を開店するなど、スマートストア(電子タグや人工知能などの技術によって流通課題を解決する店舗)を稼働させるための取り組みを行ってきました。


大野城の店舗がQUICKという名称通り、無人という以外には一般的食品スーパーという雰囲気なのに対して、今回取材したメガセンターは巨大駐車場がある2階には衣料、家電、住関連商品なども幅広く品揃えされている総合スーパータイプの店舗です。なお、1階のドラッグスストアは取り扱い商品が薬であることもあり、有人の別レジが設置されていました。 
店内レイアウト
店内に入ると、スマートレジカートと呼ばれる清算機能が付いたカート200台と、普通のカートの両方が常備されていました(クイックではスマートレジカートのみ)。スマートレジカートを利用すると最後にスマートカート専用レーンで決済し、店員に決済完了したことを示せば並ばずに退店できました。スマートカートには決済機能に加えて、お得情報を進める機能もありました。

子供が乗せれるスマートレジカートも
また、1500台設置されているというAIカメラが欠品や顧客の動向をチェックし、顧客に合った広告を顧客の近くのモニターに写したりしていました。売価変更が多い生鮮食品を中心に7000枚の電子プライスカードの導入も行っているそうです。

変化する店内モニター
食料品コーナーには多くの電子プライスカード

最後買い物が終わると出口でレジ袋の要不要を確認する

店員による退店前の確認

買い物が終わると出口でレジ袋の要不要(用なら枚数も選択)を確認した後、店員の簡単な確認を受けて退店します。お盆期間ということもあり、実際に店舗内の顧客の観察をしていると、スマートレジカートの利用に関しては、中年以下の買い物慣れたした主婦に多い程度でした。その浸透度合いはレジが少し混んでいても、有人の普通レジを利用するお客さんが多かったです。

非食品を品揃えする2階に関してはスマートレジカートを管理する店員さんが手持ち無沙汰なほどの状態で、ほとんど利用している人がいない状況でした。やはり新技術の普及には一定の時間と普及のための工夫が必要なようです。とはいえ、本格的に開始された取り組みは興味深く、トライアルカンパニーが提案する店舗の自動化や無人化は確実に進んでいくと考えられます。

私が海外で取材したウォルマートやイケアも、日本の流通を変えてきたユニクロ、ニトリ、ダイソーなど、流通の革新者は地方出身です。今後とも地方からの新たな流通革命の動向を追跡取材していきます。
              (文責:流通マーケティング学科 丸谷雄一郎)

2019年12月2日月曜日

大学のゼミって何?

2019.12.02

経営学部の本藤です。
今まで僕は、このブログでは、流通とかマーケティングに関する最新トピックやその捉え方について紹介してきましたが、今日は大学で最も重要な選択「ゼミ」について紹介してみたいと思います。


他大学のゼミと東経大のゼミ
多くの文系の大学では、一般的に3年生から自分の専門としたい研究分野を選択して、演習(通称:ゼミナール、略称:ゼミ)という少人数教育を受けられます。初年次から履修できる似たような授業があったとしても、それは専門ゼミではありません。本学経営学部ではこの専門ゼミを2年から履修することができるのです!
早くから始められるということは、長く究められるということです。そのため、どんな研究に取り組むべきかを1年生から考えるきっかけにもなります。


ゼミの選び方は十人十色
何を研究するのかという研究テーマが最も大切ですが、ほかにも考えなくてはならないことが色々あるんです。理論研究を中心にやるゼミ、事例研究を進めるゼミ、企業コラボを行うゼミ、自治体コラボをやるゼミ、コンテストに参加するゼミ、他大学と発表会や討論会をするゼミと研究アプローチはさまざま。そのほかにも、個人研究主体のゼミ、グループ研究主体のゼミ、卒論必須のゼミといったことも基礎情報ですね。意外と最も重要な情報は、ゼミ活動にどれだけ時間を必要とするかかもしれません。いずれにしても、自分の性格、志望するキャリア、興味のある分野、指導教員との相性、競争率など、それぞれの価値観で、それぞれの優先順位で選んでいいと思います。


ゼミのことはゼミ生にしか分からない
実は、教員も他の教員がどんなゼミをやっているのか認識していません。だから、ほかのゼミのことを別の教員に聞いても責任をもって答えられないんですよね。実際のところ何を目指していて、具体的に何をしているかは、そのゼミの指導教員かゼミ生に直接質問しに行った方がいいですね。ここで問題なのは、何を目的にしているかとなると指導教員ですが、どんな気持ちでゼミ活動できるかどうかなどはゼミ生にしか分かりませんね。むしろ教員は、そこは正確に認識できているかどうかあやしいです(笑)


本藤ゼミについて
だから、僕は本藤ゼミのことしか分からないので、本藤ゼミのことを紹介します。
本藤ゼミは、メーカーマーケティングプロモーションブランディングをメーカーに対して企画提案しています。これを年に3本やっています。
今年のコラボ先企業は、春企画としてハウスウエルネスフーズ「C1000ビタミンレモン」、秋企画として森永製菓「inプロテインバー」でした。冬企画ではロート製薬「SUGAO」を予定しています。
森永製菓「inプロテインバー」のプレゼンは、田町にある森永製菓本社で、執行役員やマーケティング本部、営業本部の方々に対して先週開催されたばかりです。ちなみに、先週の森永製菓プレゼン本番後のゼミコンパでは、本藤ゼミ生の半分以上が涙しています。本藤ゼミは部活なんです(笑)


本藤ゼミでは、学年縦割りで4チームがコンペ形式で取り組みます。各チームで所有している専用パソコンから、全国各地に地域集中出店しているドラッグストア企業29社1100店舗の買い物データを抽出できます。直近3日前のデータまで常に更新されていくので、最新データにアクセスして検討します。このスキルはビジネス最前線でマーケティングや営業に携わるビジネスマンでも使いこなせているとは言い難いんですよね。

今年度の本藤ゼミの就活実績
僕は、外資系コンサルティング会社からマーケティング系シンクタンクというキャリアを経て大学教員になっていて、現在マーケティング会社の取締役も務めているので、そんな背景からビジネススキルだけではなくビジネスマインドも意識しています。
因みに、今年度4年在籍生全7名の就職先は、以下のような企業から内定を獲得しています。
メーカーでは、森永製菓株式会社、ロート製薬株式会社、ジョンソン株式会社。データ系コンサルティング会社から株式会社インテージ。セールスプロモーション企画企業からワヨー株式会社。ネットワーク・コンサルからネットワンシステムズ株式会社。不動産情報サイト運営のアットホーム株式会社。4年生7名全員の就職先です。
同じ経験を積んでいても、選ぶ第一歩は様々なんですよね。
でも、僕はゼミ活動のゴールは就活なんて微塵も考えていません。自分のキャリアの入口は大切ですが、そこからのステップアップの方が遥かに大切です。それを意識して言葉を伝え続けています。


大学時代はあっという間!
大学時代の使い方も人それぞれです。部活、資格、サークル、ボランティア、バイト、起業、資産運用・・・。ゼミ以外にも無数に選択肢があります。十代終わりから二十代始めという自分で自分の人生を設計し始める大切な時間を何に費やすか。答え合わせができない人生の命題に対して、一人ひとりが自分なりの答えを見つけ出さなくてはなりません。そのために考え抜かなくてはなりません。
この大学時代は、夢ばかり語って地道な努力を疎かにしてしまう人もいます。逆に、夢を語るよりも現実の厳しさばかり考えてしまう人もいます。ほとんどの大学生は、3年生の夏から始まる就職活動をしながら多くのことを考えては悩んだりして、将来への期待も不安もいろいろ考えながら成長していきます。
ひとつ覚えておいて欲しいことは、大学時代はかなり多くのことを経験して成長できますが、無限の時間を手にしているわけではありません。だから、ひとつのことに集中して追究した方がいいと思っています。※あくまでも個人の意見です。

全力で励んで結果に涙できるような経験は、大学時代が最後かもしれません。
大学時代にそんな経験ができたら、社会人になってからも、結果を恐れずにチャレンジし続けられるはずです。そんなマインドでキャリアを積み上げていければ、想像以上の自分に出会える将来が待っているはずです。僕はそう信じています。
そんな大学時代に教員として関われることを、僕は幸せだと思っています。


文責:本藤貴康(流通論、流通マーケティング演習、アカデミックコンパス担当)
本藤ゼミブログ(http://hondo-seminar.blogspot.com/


2019年11月25日月曜日

「先生、質疑応答でどうしていいかわかりません!」:よい質問の考え方・対応の仕方

 経営組織論・ケース分析などの講義を担当している山口です。
 12月14日(土)13時から行われるゼミ合同報告会まで、残り3週間を切りました。
 報告の練習で、意外と難しいのが「質疑応答」です。質問する側は、「この報告に何か質問がありますか?」と言われても、なかなか手が挙げられなかったり、報告する側は、どんな質問が来てもその場で臨機応変に対応するのが難しかったりします。「質疑応答でどうしていいかわからない」という人は意外と多いのではないでしょうか?
 そこで今回は、質問する側・質問に答える側の両方にとって役に立つ「質問の考え方」について書いていこうと思います。
 
 今回皆さんに伝えたいことは二つです。

1.質問や議論の目的は、報告の曖昧な点を聞くことで、理解を深めたり、よりよい研究にするための方向性を見出していくことにある。報告者を「攻撃」するのではなく、より良い研究にするための方法を一緒に考えていくという姿勢が重要。

2.質問は「情報の問い」「意味の問い」「論証の問い」の3タイプに分けられる。質問する側/答える側は、その質問がこの三つのどれにあたるかを意識すると、質問をしやすくなるし、答えやすくなる。
 
 以下では、これらについてみていきます。(今回の内容は、野矢茂樹『大人のための国語ゼミ』(山川出版社)をもとにまとめました。興味のある人は、こちらの本も読んでみてください)

1.クイズ


 まず、皆さんの質問力を把握するために、以下のクイズを解いてみましょう。
 
クイズ 次の文章に対する質問を考えてみてください。

(1)菱の門をくぐり、姫路城の中核部分に入ると、そこから天守に向かうまでに「いの門」から始まり「いろは」順に15個もの門が作られていた。

(2)日本人は全員が日常的に英語を使えるようになるべきだ。だから、小学校の英語教育をもっと充実させなければならない。

 どうでしょうか?何か質問を考えられましたか?


2.質問の考え方


 今の段階では、質問が思いつかなかった人もいるかもしれません。また、質問は考えられたものの、自分の考えた質問が「よい質問」かどうかがわからない、という人もいるでしょう。
 では、よい質問とは何でしょうか?よい質問を考えるためには、どうすればよいのでしょうか?
 まず、「よい質問とは何か」ですが、そもそも研究報告で質疑応答を行う目的は、「報告の曖昧な点を明らかにし、発表者と聴衆の双方が理解を深める」ことにあります。したがって、こうした目的を達成できるのが「よい」質問です。
 よい質問を考えるためには、質問には「情報の問い」「意味の問い」「論証の問い」の三つのタイプがあることを知っておくとよいでしょう。

(1)情報の問い
 これは、相手の言ったことに対して、「もっと知りたい」と思ったことを尋ね、さらなる情報を引き出す質問です。情報の問いには、「より詳しく知りたい」という質問と、「関連する話題をさらに知りたい」という質問があります。
 例えば、「ユニクロの服が安いのは低コストで生産できる体制を構築したからだ」という意見に対して、「低コストで生産できる体制とは具体的にどういうものか?」を聞くのは「より詳しく知りたい」質問。「生産体制以外にもコスト削減の工夫をしているのか?」を聞くのは「関連する話題をさらに知りたい」質問です。

(2)意味の問い
 これは、相手の言ったことの意味がよくわからないとき、それを尋ねるものです。意味の問いには、単にわからない言葉を尋ねるというものだけでなく、相手の言っていることがあいまいな時により詳しい説明を求めることも含まれます。
 例えば、「アップルがスマホ事業で成功したのは、それまでにない革新的な製品を出したからだ」という意見に対して、「成功」とはこの場合何を意味するのか?売上の拡大か、利益率の向上か、それとも違う意味かを聞いたり、ここでいう「革新的」とはどのような意味かを聞いたりすることなどが意味の問いに含まれます。

(3)論証の問い
 これは、相手の言ったことを理解はできるが納得できないときに、「なぜそう考えるのか」を尋ねる問いです。
 例えば、「公園にごみ入れは置くべきではない」という意見が出されたときに、あなたがその意見に納得できないのであれば、「どうして?」と根拠を尋ねたくなるでしょう。このように、相手の意見に独断的なところはないか、論理に飛躍はないかを確認するのが、論証の問いです。
 
 もちろん、これは大まかな分類であり、一つの質問が複数のタイプにまたがる性格を持つこともありえます。ここで重要なことは、厳密な分類をすることではなく、質問にはこうした三つのタイプがあることを念頭に置くことにより、文章やプレゼンのどこに注目し、どんな質問をすればよいかが考えやすくなる、ということです。

3.質問の三つのタイプを知っておくことの意義


 さて、ここで、上記のクイズをもう一度解いてみてください。三つのタイプの質問のどれにしようか考えることで、質問が思いつきやすくなったのではないでしょうか?
(解答例はこのブログの最後を見てください)
 
 質疑応答では、この三つのタイプのうちどの質問をしてもかまいません。ただ、研究報告に対する質問で、一番重要なのは「論証の問い」です。なぜなら、研究報告とは、論文(ある問題に対する自分の意見を、論拠に基づいて述べた文章)にまとめようとしている内容を、他者の前でプレゼンして意見を聞き、改善の方向性を考えるためのものだからです。意見に独断的なところがあったり、論理に飛躍があったりするのは致命的です。質問を考える際には、まず論証の問いがつくれるかどうかを検討してみるとよいでしょう。
 
 逆に、報告者(=質問される側)は、質問にはこの三つのタイプがあることを押さえておくことにより、自分の報告のどこが質問されそうかを予測することができます。例えば、報告の中で難しい専門用語などを使っていれば、その意味を聞く「意味の問い」が出される可能性が高くなるでしょうし、斬新な意見を出せば、なぜそのような意見が成り立つのかを聞く「論証の問い」が出される可能性が高くなるでしょう。このように、質問のタイプがわかっていれば、事前に質問を予測して、あらかじめ対策を講じることができるようになり、報告のレベルが向上します。
 質問ができるようになることは、実は研究のレベルアップにもつながるわけです。

4.研究の「ノウハウ」を学ぶ意義

 
 これまでみてきたように、よい質問をしたり、よい質問を予測して自分の研究レベルを向上させたりするためには、それなりの知識やスキルが必要になります。
 ところが、「質問がうまくできない」と思っている人の多くは、「質問の仕方」について本を読んだり人に教えてもらったりして学習しようとはあまり考えないようです。
 これがスポーツになると話は別で、普段本をあまり読まない大学生でも、高校生の時に部活でテニスをやっていた人が、テニスの本や雑誌を読んでスキルやゲームの展開の方法を調べたり、上手な人のやり方を見て学んだことがあるという話はよく聞きます。
 ゼミで研究をしていて、何か問題にぶつかったときにも、テニスなどのスポーツと同じように考えればよいのではないでしょうか。
 
 論文を書くことは、関連する分野の本を読み、自分の意見を考え、自分の意見の根拠となるデータを調べ、文章にまとめる・・・という複数の作業の集合体です。その一つ一つの作業は、これまでフレッシャーズ・セミナーやゼミで学んできた「本の読み方」「問いの立て方」「批判の考え方」「情報収集の仕方」「文章の書き方」などのスキルが使えることばかりです。それは、テニスの試合が、ラケットの持ち方や振り方などの基本的動作や、ゲームのルールに関する知識、試合の時の立ち位置や攻め方の知識など、複数のスキル・知識の集合体によって可能になるのと同じです。
 もしそれらのスキルや知識の使い方がわからないならば、「論文の書き方」に関する本もたくさん出ています。東経大の図書館で「論文 書き方」で検索すれば、124冊もの本が出てきます。パラパラとめくってみて、自分に合った説明が書いてある本をみたり、実際に優れた論文を読んでみたらいいと思います。

東経大図書館での「論文 書き方」の検索結果(一部)

 
 私からみると、東経大生は、勉強において何か問題に直面したときに、先人たちの考えた同じような問題の解決策を調べ、それを参考にしながら問題を解決していくのが苦手なように見えます。
 勉強であれスポーツであれ、より高い成果を出すためには、自分の頭で考えるべきことと他人の力を借りて効率よく解決すべき点を分け、自分の頭で考えるべきことに集中的に時間・労力を投入できるようにすることが重要です。
 私としては、ゼミでは、「要点をつかむための本の読み方」や「論理的な文章の書き方」などの基本的なスキルの習得においては先人たちの知恵を最大限借りつつ、経営学の専門知識の吸収力・適用力を高め、「自分の頭で考える」ことの中身をより専門的なものにしていきたいと思っています。

クイズ解答例
(1)菱の門とは何か?(情報の問い)・姫路城の中核部分とは何か?(情報の問い)・なぜ15個もの門が作られたのか?(情報の問い)

(2)なぜ日本人は全員が日常的に英語を使えるようになるべきだと考えるのか?(論証の問い)・日本人全員が日常的に英語を使えるようにするために、なぜ小学校の英語教育を充実させなければならないと考えるのか?(論証の問い)

参考文献
野矢茂樹(2017)『大人のための国語ゼミ』(山川出版社).

文責:東京経済大学経営学部准教授 山口みどり

2019年11月17日日曜日

小木ゼミ・企業コラボとゼミ説明会のご案内(vol.35 小木ゼミ通信 国分寺物語&TFT、ゼミ説明会など)

マーケティング論、ソーシャルマーケティング論、消費者問題担当の小木です。

今年度の後期は、ケースメソッドの講義を担当しているのですが、授業を進めるたびに、ケースは奥が深いなと思う一方で、この授業は履修者にとって、かなり有意義で、力が付く講義だろうなといまさらながら思うわけです。履修者の諸君、引き続き頑張って下さい。入学希望者の皆さん、ケースメソッド楽しみにしておいてください。

ケースメソッドについては、19年2月の「ケースメソッドいいね!」で紹介しておりますので、そちらをご覧ください。

さて、今回のラインナップは、小木ゼミの企業コラボの国分寺物語およびTFT(テーブルフォートゥー)、そしてゼミ紹介(小木ゼミは11月20日水曜日1時限アカデミックコンパス内、同日4時限・A405経済学部内、5~6時限・F号館 ゼミ懇談)のアナウンスです。


◆国分寺物語便り

ニッポニアニッポンとのコラボの「小木ゼミ・国分寺物語」は、初の試みとして、学園祭の模擬店に出店し、国分寺野菜のPRを目途に、こくベジ(国分寺野菜)の販売に挑みました!今回売り出したのは、こくベジを使った「じゃがバター」でしたが、私の心配を他所に、378個の売り上げをみせ、3日目の途中で売り切れ完売となりました!お買い上げの皆様には感謝申し上げます。こくベジ(国分寺野菜)のことを少しでも知っていただけたなら嬉しいです。

完売御礼です!国分寺物語班3年生/2019年学祭にて

12月4日水曜日17:00~ 国分寺駅ビル・cocobunji・リオンホールにて、市役所との共催で「こらぼdeサロン×国分寺物語(TFTも)」が開催されます。ニッポニアニッポン・高橋代表の講演、国分寺物語の活動報告、TFTの活動報告、皆様とのディスカッションなどがあります。ご興味のある方は、ご参加ください。また、こくぶんじ写真コンクールの応募も始まっております。こくぶんじ写真コンクールには、東京経済大学「国分寺物語」賞があり、小木ゼミが審査員も務めます。下記に、チラシを掲載いておきます。


左・市役所作成のチラシ/中・小木ゼミ・ニッポニア作成チラシ/右・こくぶんじ写真コンクールのチラシ


◆TFT(テーブルフォートゥー)便り

TFTもこの間、頑張っています。
いよいよ11月25日~2週間にわたり、TFT健康ランチが大学生協を通じて発売されます!
それに先立ち、最終チェックの試食会が11月7日に開催されました。その模様は、大学HPにも紹介されています。詳しくは下記をご覧ください。
TFT試食会の模様 https://www.tku.ac.jp/news/022524.html

2019年のTFTメニューは、次のような感じです。乞うご期待!

2019年後期 TFT健康ランチです!

なお、12月4日の「こらぼdeサロン×国分寺物語」では、TFTの活動の取り組みもお話しいたします。

◆小木ゼミ紹介のスケジュール

いよいよ、ゼミを考える時期になってきました!小木ゼミも様々なところに参加します!

11月20日㈬ 1時限・D101 経営学部ゼミ紹介(4番目なので9:30くらい発表です)
同日    4時限・A405 経済学部ゼミ紹介(15:30~15:50くらい発表です)
同日    5・6時限・F号館 ゼミ連主催のゼミ懇談会内小木ゼミブース

オープンゼミは、11月27日、12月4日、18日、1月15日の10:40~12:40に、F304教室で行っておりますのでいつでもいらして下さい。ゼミ生と私と話ができます。入退出自由です。

その他にもあると思いますので、twitter(@ogi_seminar)などチェックしておいてください。

小木




2019年11月4日月曜日

来年度入学者より、ファイナンスコース開設!


  あなたのデータ分析力は国内の上位何%まで上昇?



 写真はニューヨーク証券取引所近くにある観光名所「チャージング・ブル」。
ブルはファイナンス用語で上昇相場の意味。
なぜこの写真があるのかは最後まで読んでみましょう!

経営学部の吉田靖です。 

5月と7月のブログでもお伝えしましたが、20204月以降の経営学部入学者を対象に新たにファイナンスコースが開設されます。

今回は授業内容を少しお話ししましょう。

経営学部に入学すると、1年生全員に既に時間割上決まっている科目がいくつかあります。 これらが履修必修と言われる科目で、特に経営学に関する専門知識を学ぶ上で重要かつ基礎的な科目があります。

2020年度からの入学者からこれらの履修必修科目の中に、経営数理入門aと言う科目があります。

数理!?・・・そうです、ファイナンスに限らず、経営には数理が必要なのです!特にファイナンスコースでは重要なので、この単位を取得しないと卒業できません。

いえ、経営だけではありません、今、世界中の多くの大学の多くの分野で数理、データ分析、AI(人工知能)を学ぶことが必須となっています。

文系だからといって全く関係ありません。

高校の数学Ⅰに「データの分析」があり、標準偏差や相関係数まで勉強するのがその証拠です。小学校でもプログラミング教育が始まります。

多分、あなたはスマホを使っていますね、もし使っていなくても、お店や交通機関などでサービスを利用したり、PCでウェブサイトを見たりしたことが、データとしてどこかに保存されて、利用されているかもしれません。

 このようなデジタル社会の中の企業経営には、数理の能力が必要不可欠です。
特にファイナンスの分野では、以前から公表されているデータが沢山ありますので、多種多様な分析方法があり、 基本的なものは大学在学中に学んでおく必要があります。

話は戻って経営数理入門aですが、この授業では主として、これまで皆さんが高校までに学んだ数学を使って、経済や企業経営あるいは資産運用の問題を解く方法を学びます。
データを使って将来を予測したり、リスクを管理したりする統計学、企業の利益を最大化するための最適化を数式だけでなく、実際のデータとソフトウェアを使って解いていきますので、きっと親しみを持って学んでいけると思います。
さて、冒頭の「あなたのデータ分析力は国内の何%まで上昇?」ですが、大学で勉強することにより、どこまで向上する自信がありますか?
全体が上昇する上昇相場であれば、平均以上に上昇しなければ個人の能力は評価されません!

今年の4月18日の政府の第43回総合科学技術・イノベーション会議では、今後の「数理、データ分析、AI」のリテラシー教育に関して、次のような基本計画が策定されています。
・小中高においては 全員(100万人/年)
・大学・高専ではAIの基礎を全員が学ぶ(進学率を考慮して50万人/年)
・ AI応用力はその半分の25万人/年が習得
・エキスパートは2000人/年
今後、このような社会に向かっていく中で、あなたはどこに位置することを目指しますか?
特に経営学部を目指している方は、どのような大学の経営学部を選べば良いでしょうか?
東京経済大学の経営学部では、先行して前述のようなカリキュラムを作っています。

では皆さんのご入学をお待ちしております!

2019年10月28日月曜日

エコツーリヅムってなんだろう?


お久しぶりです。
この3ヶ月ほどは論文の締め切りで首が忙しさで回らず
それが終われば、寝違えで物理的に首が回らなくなってしまった石黒です。

本来であれば、ゼミ合宿での調査結果をお話しする予定でしたが・・・
残念ながら台風の影響で今年は沖縄に行くことができませんでした。
そのため、今回は合宿での調査にも関わる「エコツーリズム」について話したいと思います。

エコツーリズムとは、これまでの消費型の観光とは違い、自然環境や歴史文化を対象に、それらを体験・学習するとともに、地域の自然環境や歴史文化の保全に責任を持つ観光です。
観光業で得られた収益を、環境保護、地域産業・文化の保全に還元していくことで、自然環境の保全・地域の活性化を両立させていくことが目的です。

沖縄でも、エコツーリズムは盛んに行われています。
代表的なのは、サンゴ礁の保全を目的としたダイビングツアーです。
サンゴ礁の生態を学びつつ、サンゴ礁に負担のかからないダイビングを体験、学習することができます。
こうした新しい観光業が広がっていくことで、サンゴ礁を自然環境として保護しつつ、観光資源として多くの観光客を呼び続けることができます。
自然環境保護と、観光業の持続的発展ができるわけですね。





しかし、前回指摘したように観光業からの収入が増え続けているにも関わらず、沖縄の平均収入はほとんど伸びていません。
エコツーリズムにおいて重要な目的であった「地域の活性化」が実現されていないのではないでしょうか?
実は、エコツーリズムが自然環境の保護ばかりに目を向けてきたのが一つの原因かもしれません。
エコツーリズムという言葉を知っていた人も、地域活性化、地域振興についてはあまり知らなかったのではないでしょうか?

ここに沖縄観光業のねじれが起きている気がします。
自然環境の保護と、地域住民に収益を還元していくためのエコツーリズムの実現が必要と言えます。
頑張ってゼミ生に研究してもらい、新たな?原点回帰の?エコツーリズムを提案できれば良いのですが。

文責:石黒督朗