2019年10月21日月曜日

初めてのケニアで見つけた日本発の取り組み


流通マーケティング学科の丸谷です。32回目の執筆です。私はグローバル・マーケティング論(簡単にいうと海外でどのようにマーケティングを行なっていくのか)を専門分野にしているので、海外に出張に行くことが多く、このブログでも米国、インド、中国、チリ、ペルー、ブラジルの出張の模様を取り上げてきました。

新興国のネット小売というテーマで文部科学省から2017年度から頂いている科学研究費による研究の関連取材で、ケニアへ現地調査に行ったので、そこで見つけた小さな日本発の取り組みについてとりあげます。

ケニアの詳細については、私がケニアを訪れていた95日よりネットフリックスで配信が始まった「あいのり アフリカン・ジャーニー」(詳細はあいのりホームページ(https://www.ai-nori.net/)を見ると分かりやすく説明されています。

ケニアは貧富の格差が大きい発展途上国ですが、M-PESA(エムペサ)と呼ばれる携帯電話やスマホを使った画期的な電子送金システムなどの新たな事業によって注目される国です。
ケニアの街中にあるM-PESAの窓口
ナイロビは首都ですので、道路事情などは地方よりは整備されているようですが、舗装されていない場所も多い中で、ネットに関してはかなりしっかり整備されており快適に動画も見られました。

ケニアの実業界では地理的歴史的に関係が深く石油危機以降財力を高めたアラブ系資本、植民地支配時代から定着したインド系資本(印僑)、スマホなどにおいて強大な国力を背景に市場を席巻する中国系のビジネスが街中を席巻しています。

私の主要研究分野でもフランスのカルフールが店舗流通を近代化したり、ネット小売との連携を進めたり、店舗からのデリバリー・サービスを実施するなど、トヨタ、ホンダ、コマツ、マキタなど機械系製品を除くと日本の存在感は強いとはいえない。そんな中で2つの小さな日本発の取り組みに触れる機会を得たので紹介します。
カルフールが現地提供デリバリー・サービスの説明
1つ目の日本発は「やきうどん」です。やきうどんはある丸亀製麺などを展開する外食のトリドールが20153月にケニアナイロビの中心街に、照り焼きチキンをメインメニューとした飲食店「Teriyaki Japan」(テリヤキ・ジャパン)を開店した際に導入しました。 

手際良く焼きうどんを作る様子
丸亀製麺自体は2016年にはケニアに設立したトリドール・ケニアの店舗営業権を現地企業に委譲し、事実上撤退しましたが、店舗自体は2店舗体制での営業を続けています。現地の物価に対して安いとは言えない金額のため、すぐに多店舗展開することは難しいと考えられますが、取材に伺った際にも一定数の現地のお客さんが来ていました。焼うどんを作る店員さんの手つきはよく、味も普通においしかったです。

経営を引き継いだ企業のマネージング・ディレクターと現地調査コーディネーターTOMOさんと3人で
もう1つはJICA協力隊員だった五味哲也氏、NPO法人視覚障害者国際協力協会の金治憲氏、視覚障碍者援護協会の皆様の尽力により技術が伝達され、その後定着しつつある視覚障碍者の方による指圧です。ケニアでは彼らにより指圧の普及が図られ、マチャコスの視覚障害者学校での鍼灸マッサージのコースを立ち上げ以降、着実に人材が育成され、日本からの指圧が定着しつつあるようです。

今回ケニアの現地調査のコーディネーターを依頼したTOMOさんが盲目であん摩・指圧の技術を習得したケニアの人たちのグループ(ASAAVIC)を支援しているというお話を伺い、早速指圧を依頼しました。

TOMOさんらによる現地での指圧普及の取り組み
最初は社会貢献という気持ちもありましたが、実際施術して頂くと非常に技術レベルは高く、現地道路事情が厳しく疲れたがたまることもあり、一日おきに頼むことになりました。ぜひケニアで疲れた方にはおすすめです(関心がある方は指圧普及に取り組むTOMOさんまで(tomo.tsukahara7@gmail.com)。
                  (文責:流通マーケティング学科 丸谷雄一郎)




2019年10月7日月曜日

「先生、問いの立て方がわかりません!」:考えを深めるための問いの立て方

 経営組織論・ケース分析などの講義を担当している山口です。
 9月19日から後期の授業も始まり、現在2~3年生のゼミ生たちは、12月14日(土)に開催される経営学部ゼミ合同報告会に向けて、論文執筆(あるいは研究報告プレゼンの準備)を進めているところです。

ゼミでのグループワークの様子

 さて、大学生が書く「論文」とは、どのようなものでしょう?そして、論文を書くにあたり、大学生が苦労するのはどのような点なのでしょうか?今回は、この問題について考えていきたいと思います。

 まず、論文とは、
「(1)与えられた問い、あるいは自分で立てた問いに対して、
(2)一つの明確な答えを主張し、
(3)その主張を論理的に裏付けるための事実的・理論的な根拠を提示して主張を論証する」
文章です(戸田山, 2012)。


 この定義からわかるように、論文執筆の出発点は「問いをたてること」です。経営学部では先生から問いが与えられることはほとんどありませんので、経営学部の学生が論文を書く際には、まず「どんな問いを立てたらよいのか?」を考えなければなりません。
 
 しかし、論文を書くプロセスで、この「問いをたてる」ことほど、得意な人と苦手な人に二極化するプロセスはありません。問いを立てるときに苦労する人とは、どのようなタイプの人でしょうか。また、それを克服するためには、どうしたらいいのでしょうか。

 一言で言えば、問いを立てるときに苦労する人とは、「自分の知らないことについて問いを立てようとする人」です。
 え?と思うかもしれません。知らないから問いを立てて研究するのであって、知っていることについて問いを立てても仕方ないと思うでしょう?
 それが間違いのもとなのです。

◆問いの立て方に対する「誤解」


 例えば、次のようなクイズを考えてみましょう。
 あなたは、AとB、どちらが良い論文になりそうな問いだと思いますか?

A タピオカドリンクはなぜこんなに流行しているのか?
B タピオカドリンクが流行したのは、日本で台湾旅行や台湾の食に対する人気が向上したためだといわれているが、本当か?

 あなたはどちらを選んだでしょうか?
 なんとなく、Aのほうが、どんな結論が出てくるかわからなくて、面白そうに見えるかもしれません。実際、過去の山口ゼミの傾向を見てみると、圧倒的に多くのゼミ生が最初はAのような問いを立ててきます。しかし、これまでの山口ゼミの研究を見る限り、Aのような問いの立て方をしたグループは、Bのような問の立て方をしたグループよりも論文を書くのに苦労することが多く、質の良い論文が書ける可能性も低いというのが実情です。

 なぜでしょうか?
 実は、Aのような問いの立て方をすると、自分で答えを考えるのではなく、「答え探し」をしてしまう傾向が強くなるのです。ネットや本などを探して、どこかに書いてある答えを見つけたら、そこで研究終了。その答えにとらわれてしまい、「本当にそうだろうか?」と自分なりの答えを考えることが難しくなってしまいます。その結果、こうした研究では、ありきたりの、どこかで聞いたような意見しか出せなくなってしまうことが非常に多いのです。
 さらに、Aのような問いを立てた場合、ネットや本などを見て答えが見つからないと、もうお手上げです。答えが見つかりそうな問いを求めて、何度も問いを立て直し、いつまでたっても問いが決まらない・・・というループにはまる場合すらあります。こうなると、もう論文は書けません。

◆考えを深めるための問いの立て方


 では、このような悲惨な状態に陥らないようにするためには、どうしたらいいのでしょうか?
 私がおすすめする解決策は、Bのように、「自分が答えを知っている問題について問いを立てる」ということです。これまで授業やバイトなどで見聞きしてきた経営学の理論や企業の事例について、何か違和感がある、納得できなかった、ということがあれば、それがベストです。

 私のゼミでは、過去に、流通マーケティング入門などの授業を通じて「企業が広告をするのは当然のように考えられているが、本当に広告は必要なのか?」という違和感を持ち、それをベースに「広告をしないという方針を掲げつつ、売上が業界トップレベルになったZARAの売上増加戦略」を研究し、「売上増加に広告は必ずしも必要ではない」という結論を出した学生がいました。
 彼女の論文が面白くなったのは、彼女が最初から「広告は必要ない」という答え(世間の『常識』を鵜吞みにしない、彼女なりの意見)を持っていたためでしょう。

 このように、良い(面白い)論文を書くためには、最初から自分が答えを持っていることが重要です
 もちろん、最初は問いの答えがわからない場合もあるでしょう。その場合には、例えば「タピオカドリンクの流行について調べたいなあ」などという漠然としたテーマが決まった時点で、それについて、これまでに何が言われてきたか(これを「先行研究」と呼びます)を調べてみましょう。できれば、ネット上にある雑誌記事などではなく、経営学の論文を見つけるのが望ましいです。(ネット上にある雑誌記事の分析は、論理が甘すぎることが多く、批判的思考の練習にあまりならないので・・・※)
 論文や雑誌記事が見つかったら、Bのように、そこで書かれている理由をまとめ、「それは本当か?」という形で問いを立てればOKです。こうすれば、少なくとも先行研究を鵜呑みにすることはなくなり、先行研究は「本当ではない」もしくは「本当だ」という自分の意見を考えることができます。(「そんなのでいいのか?!」と思うかもしれませんが、上記の論文の定義の(3)にあるように、きちんとした根拠に基づいてある主張が正しいかどうかを示すのは、皆さんが思うより大変です)
 また、いきなり自分なりの意見(=タピオカドリンクが流行している理由)を考えるのが難しくても、「先行研究の問題点を考える」というステップをふむことで、その問題を克服するという方向で、意見を考えられるようになるかもしれません。

 以上をまとめると、以下のようになります。
Aのような「謎解き」型の問いを立てると、どこかにある「答え探し」をしてしまい、独自性のある面白い論文にならない
Bのような形で問いを立てると、「研究=答え探し」と誤解してしまうことが少なくなり、「その問題に対する自分なりの主張を提示する」という、論文の目的に近づきやすくなる

◆まとめ:なぜ大学のゼミで研究をするのか?


 最近は、大学でも「実践的なことを学びたい」というニーズが高まっています。その「実践的」な学習の中に、必ずしも「研究」は入っていないように思います。しかし、研究は、社会で仕事をしていく上で必要な「実践的」能力と無関係なのでしょうか?
 私たち大学教員が、ゼミで研究(ゼミ論文の執筆や研究報告プレゼンの作成など)を行うのは、別にゼミ生全員に、研究者になってほしいと思っているからではありません。研究を通じて、
他人の意見を鵜呑みにせず、自分が専門とする経営学の観点から物事をとらえなおし、自分なりの意見を考える力」、
自分の意見を、根拠に基づいて説得的に伝える力
を身につけることができると考えているからです。
 現在、日本企業の競争力はかつてに比べて低下しているといわれています。そうであるとすれば、今後日本企業が競争力を向上させ、より高い成果をあげるためには、従業員一人一人が従来のやり方を鵜呑みににせず、自分が専門とする観点から物事を捉え直し、自分なりに企業活動をどうしていけばよいかを考える力を身につける必要があるのではないでしょうか。
 ゼミで研究をすることを通じて、ゼミ生がどんな産業の、どんな企業に就職した場合にも活用できる、そうした力を身につけてもらえればと思っています。

(文責:東京経済大学経営学部准教授 山口みどり)


※先行研究として、雑誌記事よりも論文のほうが望ましいことは、上記のBの問いをみても明白です。Bの問いは、日経トレンディネットの記事(2018年8月7日)に書かれていた「タピオカドリンクが流行したのは、台湾旅行や台湾の食に対する人気向上や、消費者の健康に対する意識向上により、健康に良い中国茶を提供する専門店とその主力商品のタピオカミルクティーに注目が集まったことである」という記述に基づいて作りました。
 しかし、台湾旅行や台湾の食に対する人気向上が理由だったら、別にタピオカドリンクに限らず、他の台湾らしい食が人気になってもおかしくないはずです。また、健康に対する意識向上が流行の理由だというのも、なぜもっと健康に良さそうなものではなく中国茶だったのか、という疑問が残ります。
 このように、雑誌記事の分析の中には、じっくり考えるまでもなく「これはタピオカドリンクが流行した理由として不十分だ」とわかってしまうものも多く、そもそも先行研究として取り上げる意味がないばかりか、批判的思考法の題材としても物足りない、という問題があることが多いので、論文があればそれを先行研究として取り上げることをお勧めします。

参考文献
苅谷剛彦2002『知的複眼思考法』講談社.
戸田山和久(2012)『新版 論文の教室』NHK出版.
野矢茂樹(2006)『新版 論理トレーニング』産業図書.
3冊とも、論文の書き方についての本です。どれもお勧めで、言っていることが大きく変わるわけではないのですが、読む人によって、どれが「刺さる」かは変わってきます。私には、野矢先生の本の第11章「論文を書く」が「刺さる」のですが、皆さんも自分に「刺さる」本を見つけてみてください。

2019年9月29日日曜日

新見南吉と彼岸花(小木ゼミ通信vol.34 合宿便り、TFT、国分寺物語など)

マーケティング論、ソーシャルマーケティング論、消費者問題を担当しています、小木です。今回で34回目の投稿となります。


新見南吉記念館と彼岸花(ヒガンバナ)


「彼岸花が咲き乱れる様をみたい」と思い立ったが吉日、愛知県半田市の矢勝川の土手に行きました。彼岸花は、この時期にしか見られないのですが、それはそれはすごい光景でした。


彼岸花の群生

矢勝川の土手に咲き乱れる彼岸花

半田市と言えば、世界的に有名なミツカン本社もあるのですが、もう一つ有名なのが、彼岸花、矢勝川、キツネから連想される「新見南吉」です。

新見南吉は、1913年愛知県半田市生まれの児童文学者です。代表作には、「ごんぎつね」「手袋を買いに」「おじいさんのランプ」「でんでんむしのかなしみ」などがあります。

高校生や大学生の皆さんからすれば、小学校の国語の教科書で「ごんぎつね」や「手袋を買いに」などを読んだ記憶があるでしょう。「ごんぎつね」には、彼岸花や矢勝川が出てきます。

新見南吉記念館では、南吉の生涯を知ることができて、とても教養が深まりました。「手袋を買いに」の生原稿には見入ってしまいました。記念館の販売グッズはキツネづくし。きつねになり切ったコスプレお母さんや子どもがたくさんおりました。また近くの料理店では、「南吉うなぎ」(やはり「ごんぎつね」にうなぎが出てきます)なる、うなぎのご当地ブランド化を目指した動きも見られました。

ソーシャルマーケティング論の講義の中では、地域活性化における聖地巡礼の活用や重要性を話すわけですが、今回は、地域活性化の事例を知るのと同時に、聖地巡礼を地で行った形となりました。


「手袋を買いに」のワンシーン

「手袋を買いに」の生原稿

残念なことに、南吉は29歳7ヵ月で没しているとのこと。没後、「ごんぎつね」や「手袋を買いに」が小学校の国語の教科書に掲載されるようになって、特に有名になったようです。

さて、小木ゼミ通信のラインナップは次の通りです。
1.ゼミ合宿無事終了
2.国分寺物語は学祭(葵祭)でこくベジを販売します!国分寺2中では1年生にレクチャーをしてきました!
3.コラボでサロン(国分寺市)×国分寺物語シンポジウムは12月4日水曜日開催!
4.TFT健康ランチの販売は12月上旬に行います!


1.ゼミ合宿無事終了

9月中旬、今年も草津ナウリゾートにてゼミ合宿を行いました。1日目は夜遅くまでお勉強、2日目からは、4年生による2・3年生に向けた就職相談・グループディスカッション、スポーツ大会、BBQ大会、花火大会、愛の劇場(出し物大会)、工場見学(ガトーフェスタハラダ)、愛のエプロン(料理開発・料理対決)など、ゼミの伝統行事が目白押しで、もりたくさんの合宿でした。今年の愛の劇場(4時間)では、オープニングダンスで、私も幹部やダンスリーダーたちと、ももクロの「行くぜ!怪盗少女」を踊るなど、かなりきつかったです(昨年はUSA、一昨年はサイレントマジョリティ)。ゼミ生の諸君は、みんなぐっと成長して、団結力が増した感じがいたしました。本当に良いゼミになったと実感いたしました。


2019年 小木ゼミ合宿 草津ナウリゾート


2.国分寺物語は学祭(葵祭)でこくべじを販売します!国分寺2中でレクチャーもしてきました!

ゼミのコラボ企画「国分寺物語」では、今年11月1日~3日の葵祭(学園祭)で「こくべじ」(国分寺野菜)を使った料理を模擬店販売いたします。いまのところ、「じゃがバター」が主力!どうぞ、小木ゼミの模擬店にお立ち寄りください。

9月上旬に、毎年恒例、国分寺第2中学校でゼミ生が1年生にレクチャーをしてきました。この後、国分寺2中の1年生は、国分寺のことを調査するようです。頑張って下さい。


3.コラボでサロン(国分寺市)×国分寺物語シンポジウムは12月4日水曜日開催

12月4日水曜日17:00~、国分寺駅ツインタワーcocobunjiプラザにて、国分寺市役所主催「コラボでサロン」×小木ゼミ「国分寺物語シンポジウム」を開催いたします。こちらもぜひいらして下さい。

4.TFT健康ランチ販売は12月行います!

12月上旬に、TFT(テーブルフォートゥー)×小木ゼミ×東経大生協によるTFT健康ランチの販売を行います。売り上げの一部をアフリカの子どもたちの給食に寄付するプロジェクトです。19年度前期の売り上げは過去最高を記録しました!それを越えた売り上げを目指して、現在、生協と打ち合わせ中です。乞うご期待。

以上です。次回は、進展があったものについては次回でお知らせいたします!


2019年9月23日月曜日

会計プロフェッショナルプログラムと公認会計士試験

 本学では、会計プロフェッショナルプログラムという会計専門職(公認会計士、税理士等)の資格取得を目指す人をサポートする制度(選抜制)があります。選抜試験に合格すると、目標とする資格試験合格のために受講する専門学校の費用を大学が負担してくれます。

 選抜試験では、コースや募集時期によって若干異なりますが、主に日商簿記2級試験や論
述試験の点数を合わせた総合評価で合否を判定しています。論述試験は会計学の基礎的な
教科書の内容から、本学の教員が作成した問題が出題されます。

「総合評価で合否を判定する」ということは、簿記の点数が良くても、論述試験の点数が
低ければ選抜試験に合格できない、というわけですね。
 論述試験は公認会計士の本試験(論述試験)に対応する基礎力があるか、素養を見ています。これまで使ったことのない専門用語も、用法を間違えずに書く必要があり、苦戦している学生も多いです。

 そこで、本学では「会計PPへの入門講座」という講義を設けており、ここで徹底的に会計の理論問題の解答の仕方を練習します。

 学期の初めには、日本語の初歩的な文法の誤りが散見されていた学生でも、選抜試験の直前期には、適切な解答が書けるようになっています(あくまで、予習と復習に時間をかけてしっかりと取り組んだ場合です)。教科書の演習問題を全て解くだけではなく、教員からの指導を反映して修正して、再度解答する、それを3巡ほど繰り返しています。

 やはり、自分の書いた文章は他人に読んでもらい、意味が伝わるかをきちんと確認することが重要なのです。

 この結果、自分の言葉で資格試験レベルの文章をきちんと書けるようになるので、そうした学生の中には、会計プロフェッショナルプログラムに合格した後の予備校での成績が、全国でもかなり上位に入っている人もいるそうです。

 簿記、会計というと商業高校出身の学生が有利というイメージがあるかもしれません。しかし、私がこれまでに担当した学生を見る限りでは、商業科高校出身であるとか、普通科高校出身であるというのは会計専門職の合否に大きな影響はしていないように思います。

   それよりは、大学入学後にどれだけ頑張るかが、重要だと思います。
 
 本学ではこのように「簿記」「会計」両面で、入学後の導入プログラムが比較的整備されているため、多くの合格者を毎年継続して輩出しています。
  2018年度は
●「公認会計士試験論述式試験」合格者(5名)
●「公認会計士短答式試験」合格者(9名)
●「税理士試験」合格者(1名)
  (科目合格はのべ11科目7名が科目合格。)
●「司法書士試験」合格者(1名)
でした。

 本学会計プロフェッショナルプログラムのサイトには合格者の声なども載っていますので、興味がある方は、ぜひご一読ください。
                
                            執筆担当教員名:板橋雄大
 

2019年9月17日火曜日

海外ゼミ研修@ハンガリー

経営学部の関口です。先週末、夏季恒例の海外ゼミ研修から戻ったところです。今年は、中欧・ハンガリーへ7泊9日で訪問しました。

なお、今年2019年は、日本・ハンガリー外交関係開設150周年の記念の年です。
今週、佳子内親王殿下が公式訪問されるご予定ですので、ニュース等でハンガリーの様子をご覧いただく機会が増えるかと思います。






現地では、ブダペスト商科大学での交流の他、三井物産ブダペスト事務所、マジャル・スズキ、イビデンの各社様に受け入れていただきました。

ブダペスト商科大学さんでは、学部長によるご挨拶の他、学科長を含む3名の先生によるレクチャーの後、日本語学習をしている学生の皆さんとランチを挟んでの交流をしました。日本留学経験のある学生から、まだ日本語学習を始めたばかりの学生まで、新入生オリエンテーションの期間にもかかわらず約10名が参加してくださいました。ランチ後の市内散策まで同行していただくなど、積極的に関与していただき感謝です。そのうちのお一人は、今週から日本留学の予定です。日本滞在中に、また是非交流をしたいと考えています。


三井物産さんでは、ナショナルスタッフ2名の方によるレクチャーの他、テクノロジー関連のスタートアップに投資する独立系ベンチャーキャピタルの方と、村上春樹さんをはじめとした日本作品をハンガリー語に翻訳されている翻訳家の方にもお話をしていただきました(スタートアップでハンガリーは注目の国でもあります)。4名とも日本留学経験があり、日本語はもちろん堪能ですが、ブダペスト商科大学の学生をはじめとして数か国語を話せる方が多いです。




ハンガリー市場でトップシェアのマジャル・スズキさんでも、会社説明及び工場見学の後、ナショナルスタッフの方と若手駐在員の方を囲んでの交流会をセットしていただきました。マジャルとはハンガリーのことを指しますが、社名に冠しているように、スズキさんの車は「我々ハンガリー」の車として認識されています。


イビデンさんでも同様に、会社説明及び工場見学の他に、各部門の責任者であるナショナルスタッフが同席してくださり、質問に答えていただきました。
各社様とも、当方のリクエストに快く応じていただき、濃密で素敵な時間を過ごすことができました。


ハンガリーの歴史、社会、経済、日本とのかかわり等に関する事前学習はしていますが、やはり「百聞は一見に如かず」。今回の訪問を通して、参加学生それぞれ大きな気づきがあったものと思います。そのままにせず、是非行動へと結びつけてほしいと切に願っています。


オスマントルコやハプスブルク家による支配、第一次及び第二次世界大戦の戦禍、共産圏国家であったことなど、歴史の中でさまざまな経験をしてきたハンガリー。破壊されたり、その時々の支配勢力のシンボルが掲げられたり、用途を変えさせられたりしてきたものも数多く残っています(国会議事堂のドーム突端にあった「赤い星」も展示されていました)。
今回同行していただいた現地ガイドの方は、日本史にも造詣が深く、「日本であれば江戸初期の建物」などと、私たちが理解しやすいように説明をしてくださいました。目前の建物や場所を世界史で学んだ出来事と関連して見ることができる貴重な機会となったと思います。


ハンガリーの街並みは、他のヨーロッパ諸国同様、統一感のあるものでした。ブダペストで最も高い建物は国会議事堂と聖イシュトヴァーン大聖堂で、高さ96メートルです。896年の建国を記念しての高さです(国会議事堂と大聖堂は建国1000年の1896年を目指して建てられています)。それ以外の建物は一定の高さに抑えられていることも、素敵な景観に大きく影響しているのではないかと思います。
世界一、東洋一などとやみくもに高さを競わないところに歴史と矜持を感じました。


今回はブダペストのみでしたが、他にも素敵な町がたくさんあるハンガリー。それらを確かめに、また是非訪問したいと思います。
最後になりましたが、本研修の実施にあたりご支援ご協力をいただいた駐ハンガリー日本大使館の皆様に心より感謝しております。

[追記]
・自由行動日を中心に、学生達もおおいにブダペストを楽しんだようです。各地にある温泉。パプリカベースのスープ・グヤーシュ、国宝のマンガリッツァ豚、鴨、フォアグラ、トカイワインをはじめとしたワインなどなど..。それらも含めた研修報告は10月24日に行いますので、是非、学生達の報告を聞きにいらしてください。
・建物の高さに関する記述を訂正いたしました。国立国語研究所の大島一先生、ありがとうございました。大島先生にはハンガリー事情等を事前レクチャーしていただきました。


(文責:関口和代)

2019年9月9日月曜日

スポーツやビジネスにおける競争の公平性


流通マーケティング学科の北村です。
来年2020年は、東京で、オリンピックとパラリンピックが開催されますね。スポーツ観戦好きの私としては、東京が開催地に選ばれた時、自分の居住地で開催されるなんて一生に一度のことだと、とても有り難く、また嬉しく感じたものです。

さて、このオリ・パラ大会を世界中の人たちが現地やテレビなどで観戦するのは、選手たちが互いに最高のパフォーマンスを発揮して競い合う姿に、心を揺さぶられるからではないでしょうか。試合の結果を伝えるニュースを見聞きするのと比べると、観戦の感動や興奮はやはり大きいですよね。

ただしこの感動や興奮は、競技が公平に実施されていると思うからこそ、生まれると思うのです。もし、抜け駆けや八百長などがあると感じたら、しらけたり、チケット代金や観戦した時間を返せと腹立たしく思ったりすることでしょう。

しかし、勝ち負けにこだわる選手や、時には審判や観客は、不正な行為を働くかもしれません。それゆえ、公平な競争にするために、以下のようなルールや約束事があります。
  • 選手が薬物の力でパフォーマンスを向上させるのを防ぐために、ドーピング検査があります。
  • タイムを競う競技では、抜け駆けを防ぎ、号砲が鳴った後のスタートで揃えるために、フライング規定があります(陸上や水泳など。例えば陸上短距離では、0100未満がフライングと判定されます)。
  • 審判が自国の選手をひいきして高い点を付け、ライバル選手に低い点を付けると不公平だとして、採点競技では複数の審判の採点のうち最高点と最低点は得点を決めるのに採用しないというルールがあります(空手の型や、フィギュアスケートなど)。
  • 視覚障害者が鈴の入ったボールなど音を頼りにゴールを競うゴールボールでは、試合中に観客は応援や助言を送ることができません


ところが、こうしたルールや約束事も、完璧なものではありません。
陸上のセメンヤ選手は、オリンピックの800m走で2連覇した実力者です。彼女はもともとの身体的特徴として女性としては男性ホルモンの値が高いのですが、これは薬物摂取と同様にパフォーマンスの向上につながるとして抗議を受けました。結果、国際陸連は、彼女が薬などで男性ホルモン値を一定基準以下にしなければ競技に参加させないと決定しました。これに抗議する本人の訴えも退けられ、不正行為を働いたわけでもないのに彼女は競技に参加できていません。英BBCの記者は、もともとの身体的特徴として陸上のボルト選手の身長の高さはとがめられない(のに、なぜ彼女だけ?)とコメントしています(これに関し、おととい9/7に、彼女が女子サッカークラブに入団するというニュースがありました。競技種目を変更し、スポーツを続けるようです)。

またパラリンピックでは、公平性と競技性が問題となります。障害の程度に応じて選手を分類した上で競わせないと、公平ではありません。しかしそれを追求して、分類を細かくしすぎると、同じクラスのライバルが少人数となってしまいます。これではメダルの価値が下がり、観客もしらけるかもしれません。実際、東京大会の招致活動で活躍したトライアスロンの谷真海選手は、運動機能障害PTS4クラスという分類だそうですが、競技人口の少なさを理由に、東京大会ではこのクラスは実施種目から一旦外されました。その後、障害の程度で言えば1つ軽いクラスと合わせて実施されることが決まりました。彼女はセメンヤ選手と異なり競技には参加できますが、障害の軽い選手と競うわけです

ビジネスにおいても、関係者だからこそ知りえた情報で株取引を抜け駆け的に有利にするインサイダー取引や、自由な価格競争を阻害するカルテルなどが禁止されているのは、皆さんご存じだと思います。スポーツもビジネスも、公平性をどう確保するか、グレーゾーンにはどう対応するのかなどの取り決めが参加者に大きな影響を与えます。その分、ルールや制度の設計が重要となるわけです。


文責:北村 真琴

2019年9月2日月曜日

8月の終わり 追い込みのサブゼミ

みなさん、お久しぶりです。
経営学部の石黒です。

ようやく夏の暑さが和らいできましたね。
でも、石黒ゼミの夏はこれからです。
宮古島合宿が待っています。
楽しみで仕方ありません。
もはやゼミ生との会話の8割は合宿の話題で占められています。


そんな浮かれ気分の石黒ゼミですが、やらなければならないことがあります。
そうです、卒業論文を進めないと!
と、いうことで今回は先日行なったサブゼミについての話題です。



執筆途中の卒業論文を持ち寄り、検討会をしています。
ここで出てきた修正点を修正し、書き進めていきます。
これを何度も何度も繰り返していきます。
検討したのは以下の5つのテーマです。
「サッカークラブ・ホンダ自動車・エナジードリンク・バイク・スキー場経営」
だいたい1つのテーマで1〜2時間ほどかかります。
この日は13時に開始して20時過ぎに終了しました。
写真の姿はまだまだ元気な時ですが、終了時にはもはや抜け殻状態です。
夏期講習みたいになってますね(笑)

でも、仕方がありません・・・
今年の進捗状況は例年に比べるとかなり遅いのです。
例年は文字数を指定しながら進行をしていたのですが、今年は内容を重視するスタイルに切り替えたことが要因だと思います。
確かに文字数指定の方が進行は早いのですが、後から大幅な修正・削除をする場合が多く、最終提出前に修羅場になることもあります。
そのためのスタイルの変更なのですが、徐々に不安感が募ってきました・・・
これは合宿での追い上げが必要ですかね。
海、行ってる余裕があるだろうか・・・・


合宿の様子と、前回お話しした調査については次回に報告させていただきます。
筆者:石黒督朗