2025年8月25日月曜日

「物流」を学ぶには映画やアニメから



経営学部で「物流論」や「流通情報システム論」を担当する宮武(みやたけ)です。

はじめまして。

専門は物流(特に宅配便など)や交通経済などです。


初めてブログを担当しますが、

私が担当する「物流」についてお話していこうと思います。




1.大学で学ぶ物流


ちなみに、大学で物流を勉強するの??

というのは、よく言われます。


物流に特化した学部や学科もいくつか存在しますが、

多くの場合、経営学・経済学・社会学・法学・工学などの領域で、

物流を研究の「対象」とした専門家が教えていたりします。



私の担当する授業は主に経営学部の学生が履修しているので、

主には企業の活動に注目してお話していますが、

交通との経済学的な関連、国の政策や法律、環境、情報やシステムに関連する内容も織り込んでいます。

(どうしても、理論より実際の動きなどに関係した話が多くなる分野かもしれません)




2.いろいろな作品で触れる「物流」


ただ、そもそも物流というのも実に多様な形があります。


荷物を運ぶ、保管する、積み下ろす、緩衝材や贈答用のラッピングで包む、さらに簡単な組み立てや詰合せなどの作業(機能)に注目したり、

取り扱う荷物の種類が何なのか(高価?、壊れやすい?、燃えやすい?、温度は?、においは?など)、

運ぶ手段はトラックなのか、鉄道なのか、船なのか、飛行機なのか、

さらに国内だけの話か、国外も含めた物流なのか、

これらの各要素や組み合わせで、物流と言ってもまったく違う仕事になります。



私が担当する「物流論」などでは、時間も限られるため、

これらを部分的に勉強するにとどまりますが、

ほぼすべての企業で何かしらの物流業務が存在しますし、

社会に出る前に勉強しておいて損はないと思います!(入学したら履修してね)


物流は身近な存在であることを広くPRするために、

政府も2分程度のこんなショート動画を作成しています。

(Youtubeの広告でさらに短いバージョンを見たことがある人もいるでしょうか)。

(物流魅力発信アニメ「あれも、これも、物流なんだ。」110秒ver
国土交通省 MLIT channel )


声優さんは、

「この素晴らしい世界に祝福を!」シリーズのめぐみん役などの高橋李依さん、

「SPY×FAMILY」のヨルさんや「鬼滅の刃」の胡蝶しのぶ役などの早見沙織さんですね。

(個人的には、高橋李依さんは「それが声優!」の一ノ瀬双葉、早見沙織さんは「甘々と稲妻」の飯田小鳥が好きでした)

(あと完全に余談ですが、堀江由衣さんが揃うと、何か魔法が使えそうですね)




また、昨年ヒットした映画の「ラストマイル」は、

ストーリーが見応えがあるだけでなく、

ネット通販の物流の現状を凄くよく表現していました。


周りの物流の専門家の方々の間でも評判になっていました。


「ラストマイル」予告映像  東宝MOVIEチャンネル)


ネタバレは書けませんが、ネット通販ビジネスの仕組みがトリック?

の要になっているところがいいですね。


満島ひかりさん、岡田将生さんの掛け合いも好きでしたが、

火野正平さんが演じられた請負の運送業者が好きでした。

(火野正平さんが昨年ご逝去されたので、本作品は結果的に映画としての遺作となってしまいました)


ドラマの「アンナチュラル」「MIU404」と制作陣が同じで、

世界観も共通のため、石原さとみさん、綾野剛さん、星野源さんらもゲスト的に出演しています。

こちらの作品が好きな方も是非ご覧になってください!



また、ドキュメンタリー番組などで扱われていれば、

より今の物流の問題などもわかるので、おすすめです。

(いわゆる経済バラエティでも良いと思います)


他にも、トラックドライバーの方々に焦点を当てたルポや映画などもありますが、

そちらはまた機会があれば紹介していきます。

橋本愛喜さん、トラックめいめいさんのルポやそれらを原案にしたドラマやマンガなど)



(文責:宮武宏輔)


2025年8月19日火曜日

訴求する相手は誰?

2025.08.19

経営学部の本藤です。

夏休み真っただ中ですが、最近の大学生はインターンシップが2年生の夏休み頃から始まる会社も増えてきて忙しそうです。


今回はマーケティングの考え方を少し紹介してみたいと思います。
みなさんは「この商品を売ろう」と考えた時に、最初に何を考えるでしょうか?

メーカーがマーケティングを考えるとき、最初に「この商品は誰に評価されるのだろうか?」ということを考えます。これがマーケティング戦略の大前提となる「ターゲティング」です。
違う言い方をすれば、「この商品の価値を最も分かってくれるのは誰だろう?」ということです。つまり、売りたい商品の価値が伝わる人を明確にすることから始まります。
なかには、ありとあらゆる人類全員をターゲットととしているケースもあるにはありますが、それではお客様の気持ちに刺さるブランド・メッセージが考えられず、消費者を動かすことは難しいケースがほとんどと言っていいでしょう。
(みなさんも「みんな好きです」のうちの一人として愛を語られてもピンときませんよね。「あなたが好きです」と愛を語られるからグッとくるのではないでしょうか)


メーカーが発売する商品のターゲットを検討する際に、従来は単純に「使う人」を想定して検討されているケースが多かったのですが、近年ではもう少し厳密に考えるようになってきています。

みなさんの自宅にシャンプーは何種類ありますか?お風呂には、自分専用のシャンプーがありますか?
それとも家族みんなで1つのシャンプーを共用していますか?
家族でひとつのシャンプーであれば、きっとそのシャンプーを購入する人はお母さんであるご家庭が多いかもしれませんね。
つまり、「使う人」のひとりである母親が、家族を代表してドラッグストアで価格を見ながら商品選択を行って購入することになります。


でも最近は、それぞれの髪質やヘアスタイルに応じて、お風呂には家族一人ひとりのシャンプーが置かれるようになりつつあります。そうなるとシャンプーを購入する人は誰でしょうか?
母親が代理購買するケースもあれば、自分で選ぶという人もいるでしょう。
高校生であれば、部活や塾で忙しくて、「お母さん、私のシャンプーが終わりそうだから買っておいて」とお願いすることもありそうです。
となると、その依頼を受けたお母さんは、ドラッグストアに行って、「自分の子供に適したシャンプーはどれだろうか?」と考えつつ、価格表示を見比べつつシャンプーを購入するかもしれません。


つまり、使う人(ユーザー)と買う人(ショッパー)が異なることがあるのです。
そんな状況をメーカーは想定して、ショッパーに焦点をあてたマーケティングを検討しなくてはならないと考えるようになってきています。
ここで考えなくてはならないのは、その商品に添えるメッセージです。
例えば、「思春期男子の臭いを抑える!」というように代理購買をする人が気にしている問題意識に訴えかけるようなメッセージです。「朝のセットが楽になる」とか「死ぬほど傷んだ髪を1週間で修復する」というメッセージは、どちらかというとユーザーに対してのメッセージですから、ショッパーに伝えるべきメッセージとして工夫することも大切な視点になってきます。


最終的な購入者であるお母さんの意思決定を促せるように考えて、店頭で商品の紹介をすること。これが「ショッパー・マーケティング」と呼ばれるアプローチです。

このようなユーザーとショッパーが異なるケースは、意外と多かったりします。
乳児用紙オムツのエンドユーザーは赤ちゃんですが、ショッパーは赤ちゃんのママです。
シニア用紙オムツのエンドユーザーは要介護の高齢者ですが、ショッパーは介護する人です。
風邪で寝込んでいる母親のために、父親が風邪薬を買いに行くこともあるのですが、この場合は、ショッパーは看病をする人で、ユーザーは病気で寝込んでいる人になります。

その結果として、エンド・ユーザーが、「これは私のための商品だ!」と思ってくれれば、その後は商品指定しての代理購買になっていくかもしれません。
プロモーション(販売促進)を考えるにしても、ブランディング(ブランド育成)を考えるにしても、まずは、最初の購入をしてもらわなければ話が始まりません。そのために、どんなことを思案すべきか企業は常に考え続けています。

文責:本藤貴康