2025年11月3日月曜日

葵祭にいってきました

経営学部の木下です。

葵祭にいってきました。

ゼミの学生のものを中心に、色々な企画と模擬店を回ってきました。学生のサークルだけではなく、ゼミでの出店もあり今年は特に経営学部からの出店が多いようでした。展示企画を回ってスタンプを集めたり、アンケートに回答するだけで記念のタオルが貰えました。最後のビンゴ大会ではまったく当たる気配もありませんでしたが、なんだかんだで結構面白かったです。学園祭とはそういう趣旨のものではないでしょうが、市場や経営学的な観点から少し考えてみようと思います。

まず気になるのは模擬店はちゃんと利益を回収できているのか、ということですね。個別の模擬店の来客数や売上の予測はかなり難しいでしょう。価格を固定していては売れ残りが生じて在庫の処分コストもありますから、赤字になる可能性はあると思います。しかし、学園祭の多くの模擬店では、終わりが近づくにつれて値引きして販売します。実際のビジネスでは、安売りをするとそれを待つ客が増えてしまうため安易に行うことはできません。動学モデルやゲーム理論のテーマです。学園祭ではそういった駆け引きを行う必要がないため、最後は純粋な損得計算だけで動くことができるのです。少なくとも原価ギリギリの価格でも売り切ることができればいいので、赤字になっている模擬店はほとんどないと思います。ということで、学園祭のようなケースでは諸々の短期の理論をそのまま適用できると予想します。現実では厳密な最適価格や戦略等は分かるはずもありませんが、多めに仕入れて最初は強気の価格で攻める、という方向の戦略になるでしょう。実際にそうしているのではないでしょうか。

普段現金をあまり使わないので財布にあるかどうか不安でしたが、この日はたまたま数千円入っていました。キャッシュレスを導入してはどうかと思いましたが、それはやはり無理な話でしょう。キャッシュレスを導入することのコストの変化と集客力の増加の比較でやるべきかどうかは決まりますが、後者の効果があるとはとても思えません。「キャッシュレス決済できるなら葵祭に行こう!」となるような層は、ほとんどいないような気がするのです。もっとも、キャッシュレスを導入してみた世界も観測できませんから「気がする」としか言えません。キャッシュレスを導入して会計担当の人員を削減して商品開発等に回して品質を高める、というのも学園祭では何か変な気がします。キャッシュレスの手数料を払ってまでやる価値があるか、ということです。ということを考えていたら他大学の学園祭に行ったゼミ生からPayPayで支払い可能な模擬店があったと教えてもらいました。主流にはならないと予想していますが、これは日本全体のキャッシュレスの動向次第ですね。

実際のビジネスでは、リスク管理の話が追加されてきます。例えば、個別の予測は難しくても全体の来客数は例年と大きく変わらないはずです。そこでファイナンス論や保険論では、全体で管理して分配した方がリスクを少なくできる、という発想を持ちます。分散投資というやつですね。一方で、そんなことをしたら各模擬店が頑張る意欲を失ってしまう、という経営組織論的な発想もあります。モラルハザードというやつです。

もちろん利益を追求するのが学園祭の目的ではないと思います。販売して終わり、だとまるでビジネスライクで学園祭の趣旨ではないはずで、知り合いの企画や模擬店に行ってみてつながりを増やしたり、自分達のやっていることを知ってもらったりするのが本来の目的だと思います。

と、色々考えつつもこれは実際に出店せずに理屈を語っているだけですね。やってみなければ分からないことはたくさんあります。それが経営や経営学の難しくかつ面白いところではないでしょうか。え?じゃあ木下ゼミも出店してみろって?うーんそれはどうでしょうか。検討します。


                             木下 亮

2025年10月20日月曜日

フランスパリ近郊で試行錯誤するコストコ

 流通マーケティング学科の丸谷です。67回目の執筆です。私は「グローバル・マーケティング論」を専門としており、海外でどのようにマーケティングを行うかについて研究しています。年2回ある授業休止期間を利用し、海外現地調査のために出張し、このブログでも多くの国々での出張について取り上げてきました。今回は20258月にフランスで行ったコストコ現地調査を取り上げます。

 日本でも人気のコストコはアメリカ出身の企業ですが、会員制の倉庫型店舗を日本以外の国にも展開しています。同社の国際展開はこれまで日本に進出してきた流通企業に比べてもゆっくりであり、市場機会をどん欲に求めるというよりは、石橋を叩いてわたるペースです。私はこの進出ペースを、漸進的(ぜんしんてき)という表現で示してきました。

コストコのヨーロッパでの展開は1993年に同社の前身企業が既に進出していたアメリカの旧宗主国であるイギリス以外では2014年のスペイン進出までなされてきませんでした。スペイン進出以降2017年アイスランドとフランス、2022年スウェーデンと少しずつ進みましたが、各国での出店ペースはスペインでの展開に比べてゆっくりで、今回現地調査したフランスのみがパリ周辺に2店舗目を出店した以外は1店舗のみでした。この出店ペースは2014年進出のオーストラリアが15店舗、2019年進出の中国が7店舗と比較してもゆっくりとしたペースといえるでしょう。

フランスのコストコの出店場所

フランス2025年年末までにドイツとスイスとの国境近くのミュルーズに3店舗目を出店することが発表されており、英国、スペインに次ぐ出店ペースといえ、英国とスペインでは既に現地調査を行ったので(英国現地調査に関しては、https://tkubiz.blogspot.com/2023/09/blog-post.htmlを、スペイン現地調査に関してはhttps://tkubiz.blogspot.com/2025/03/を参照)、今回フランスで現地調査を行った。


リ到着翌日時差ボケが残る中でしたが、早速ホテルから相対的に近いコストコのフランス2号店(コストコポントー・コンボー倉庫店)に向かいました。宿泊したホテルの目の前のパリ市庁舎を意味するオテル・ド・ヴィル駅から地下鉄で2駅のリヨン駅でパリ近郊の大都市圏と郊外を結ぶ高速鉄道のネットワークであるエール・ウ・エールのA号線に乗り換え、9駅目のシャンピニー駅まで22分乗車しました。

パリ中心部からコストココポントー・コンボー倉庫店までの行程と周辺の店舗

 シャンピニー駅は中央線の各駅は停車するが、電車の乗り換えはない豊田駅や日野駅という感じの駅であり、駅前に数路線が走るバス停がありました。駅前のバス亭からレ 4 シェンヌ・ショッピング・センター(Ccial Les 4 Chênes)行きのバスの終点まで40分乗車すると、コストコポントー・コンボー倉庫店につきました。

 この店舗は2021815日に開店した店舗であり、物流が容易な郊外の幹線道路D4(県道4号線)沿いに立地し、巨大ショッピングモールの中核をなすテナントとなっていました。駅からコストコまでのバス沿線には郊外型の住宅が建設され、駅とコストコが入居する巨大モールの間には、フランス発祥で日本にもかつて進出したことがあるカルフールなどが出店する中規模モールも立地しており、バスの終点に立地するレ 4 シェンヌ・ショッピング・センターは近隣の住民向けというよりは、より広域からの集客を期待して建設されたモールのようでした。

閑散とした店内の様子

 広大なモールの外観を1周した後、世界共通の会員証を機械にかざして入店すると、会員はまばらで数えるほどしかおらず、英国、スペイン、オーストラリア、メキシコのどのコストコよりも売場に活気は正直全く感じられませんでした。当然会員が少ないので、配置された試食担当の店員さんも手持無沙汰であり、当然やる気も感じられず、非常に静かな店内でした。

駐車場が満杯のリドル

 平日昼間という時間帯のせいかなと考え、モールに入るその他のテナントもくまなく回ってみたところ人はまばらでしたが、隣接するハードディスカウントストアのリドルはコストコよりこじんまりした店内が多くの顧客で賑わい、駐車場もほぼ満杯であり、レジに人が多くならび、店内にも活気がありました。少なくともこうした郊外立地ではハードディスカウントストアの方があっていることが明らかでしたし、駐車場や併設されたガソリンスタンドの稼働状況をみても広域からの集客も少なくとも大成功しているとはいえなさそうでした。

フランス1号店ヴィルボン・シュル・イヴェットの一定の活気がある店内の様子

 数日現地競合店を現地調査した後、2017622日に開店したフランス1号店ヴィルボン・シュル・イヴェットも現地調査しました。1号店はホテルから10分ほど歩く地下鉄サン・ミッシェル・ノートルダム駅からエール・ウ・エールのC号線30分程乗車し、エピネイ・シュル・オルジュ駅で下車し、さらに駅前のバス停から30分程バスに乗り到着しました。1号店も2号店とパリ中心部からの方向は異なるが、エール・ウ・エール沿線からバスで30分程度という立地であり、幹線道路も近いことから広域集客を意識した立地であることはわかる。

 1号店も訪ねたのは平日午前中でしたが、2号店に比べると会員が店内に多くおり、英国やスペインの店舗ほどではないが、2号店ではみられなかった、カートに大量の同社のプライベートブランドであるカークランドのPB商品を積む顧客が散見され、店員も手持無沙汰ということもなく、自身の仕事をもくもくとこなしていた。

 コストコのフランスでの出店ペースは1号店から2号店出店まで約4年、さらに3号店出店予定まで約4年である。今回の現地調査で確認できたように、1号店と2号店を比較すれば明らかに1号店の方がにぎわっているし、オペレーションもしっかり構築されているようであった。1号店での一定の成果を踏まえて2号店も出店したがあまりうまくいってない状況を踏まえると、パリ近郊へのこれ以上の出店は厳しいと考えるのは合理的判断といえよう。3号店は大都市パリの近郊とは全く異なる初の地方出店であるだけに、フランスで一定程度蓄積した経営資源をいかに地方で活用するかにも注目し、機会を見つけて現地調査してみたい。

(文責 流通マーケティング学科教授 丸谷雄一郎)

2025年10月6日月曜日

教員の研究生活:学会ってどんなことするの?

こんにちは,経営学部講師の岩田聖徳です。
前回はゼミ教育のお話をいたしましたが,今回は教員の研究生活をチラ見するブログ記事にしてみようと思います。

学生から見て,大学の先生=授業をする人,という認識が強いと思いますし,まして学外の方や受験生からみるといっそう教員の普段の生活が想像しにくいかもしれません。
ちょうど,8月に自分の研究を報告するために米国に出張してまいりましたので,どんなことをしていたのかを紹介してみようと思います。


学会に行ってきました!

今回は,American Accounting Associationという,会計学関連の国際学会に出てきました。「学会って何?」と思われる方のために軽くご説明すると,学会というのは似た専門の研究者たちが集まって,研究を報告してコメントし合ったり,交流をしたりするための組織のことです。

今回は米国イリノイ州,シカゴで学会が開かれました。米国は大学院生の時以来で2回目だったのですが,シカゴに着いたときの第一の感想は「高層ビル多っ」でした。

全米でも有数の大都市ということで,その経済力を見せつけられた感じがしました。写真は学会会場に向かう道の風景です。生トランプタワー,初めて見ました。




















今回はハイアット・リージェンシーというホテルの会議場での開催でした。初日は,学会に多大な貢献をした著名な教授陣によるスピーチがあり,多くの参加者が真剣な眼差しで聞き入っていました。

普段の学会に参加するときは大学の大講義室で行われることも多いのですが,ホテルの会議場だと雰囲気がまるでライブ?のようでした。
















大ホールでの講演が終わったあとは,3日間にわたり参加者による怒涛の研究報告が行われます。毎日,朝から夕方まで30分ずつ違う発表を聞く,という感じだったので,夕方になるころには頭がクラクラする程度には知的体力を使います。
この研究報告の風景は,さすがに個人の顔や発表内容が映ってしまうので,ブログには載せないようにします。(一番雰囲気が伝わるのはその写真なんですがね…笑)

岩田も2日目に自分の研究を報告して,他の参加者に研究を改善するためのアドバイスを貰ったり,他の発表者の研究にコメントをしたりしていました。

個人的に,こうした学会に参加して一番よかったなあと思う瞬間は,他の参加者から「君の発表面白かったよ!」とか,「君のコメント参考になったよ!」と言ってもらえて,発表後に交流ができたりしたときです。

研究は最終的な成果物になるまで長い時間のかかる地道な作業なので,良い「仕事仲間」のような関係を世界の色々な国の研究者と築けると,大きなモチベーションになります。こうした刺激があるのも,研究活動の良いところだなと思います。

今回は,現地の大学からの参加者の方と学会中の議論を通じて仲良くなり,休み時間に一緒に会場近くのお店でランチをしました。ちょっと量が多いけど,名物のパンケーキが良いとのことでしたので,それにしました。

後で,米国での「ちょっと量が多いパンケーキ」の意味を一旦考えてから注文すればよかったな,と思いました(※味は美味しかったです。次の日の朝ごはんにしました)。

ちなみに,彼から聞いた豆知識なのですが,シカゴは建築で有名なのだそうです。確かに,街にそびえ立つ高層ビル群をよく見てみると,それぞれが独特な形をしていました。

学会期間は3日間でしたが,たくさんの知的刺激があり,非常に濃い時間でした。大学での研究が楽しそうだなと思った方は,関心のある分野の「学会」を調べてみても面白いかもしれません。興味深い研究や活動に出会えるかもしれません。

(文責:経営学部専任講師 岩田聖德)

2025年9月22日月曜日

大学の”ゼミ活動”〜4日間のゼミ合宿編〜

 経営学部で広告論を担当しています、鴇田です。

今回は、9月8日〜11日に行われたゼミ合宿について紹介したいと思います。


東京経済大学のゼミ

「ゼミする東経大」(参考:https://www.tku.ac.jp/department/seminar/)にもある通り、東京経済大学では多くのゼミが開講されています。


ゼミ内の活動もさまざまで、それぞれのゼミに特徴があります。

外部の大会に出たり、企業と商品開発を行ったり、専門書籍の輪読を行ったり…それ以外にも長期休み中に合宿を行なって、学外で勉強するゼミも多いです。

合宿の企画自体をゼミ生が行う場合も多く、私が担当するゼミでも、基本的には合宿の企画をゼミ生が担当します。


今回は、鴇田ゼミで行われた夏合宿のレポートをしたいと思います!



◎夏合宿1日目

今年のゼミ合宿は、静岡県伊東市で行われました。

15時に伊東駅に集合したゼミ生たちと、合宿を行う「ドリームプラザ伊豆」まで移動します。




宿の都合で1日目にBBQをすることになっていたのですが、なぜかBBQの予約ができていないことが判明!

急所ドンキホーテでBBQ用のお肉を購入してきました。

火おこしは山形出身Hくんの担当です。






◎夏合宿2日目

2日目は朝から研究発表を行います。

4年生の卒論発表の後に、2・3年生による関東学生マーケティング大会に向けたグループ研究発表が続きます。

間にお昼を挟むのですが、今回は4年生Hくんがビビンバ丼を作ってくれました!


発表後その後は間髪入れずに夏合宿の特別ディベートの解題を行い、夕方16時からディベートがスタート。




いつもの教室とは違う場所で行うディベートだったので、普段はあまり発言しない学生の声をたくさん聞くことができました。



◎夏合宿3日目

3日目は勉強から解放されて、伊東オレンジビーチで海を散策。




美味しい海鮮丼を食べたり、なぜか御殿場アウトレットで買い物をしたりして過ごします。

毎年アウトレットで高価な買い物をするゼミ生がいたりして、風物詩化しています。




夜は懇親会を行い、空が明るくなるまで起きているゼミ生もちらほら。。。



◎夏合宿4日目

毎年宿のチェックアウトに間に合うかどうかヒヤヒヤする最終日の朝。

朝まで起きていたゼミ生が、きちんと時間に起床していたのにホッとしました。

4日目は静岡で有名な炭火焼きハンバーグ「さわやか」にいく予定だったのですが、まさかの木曜が定休日、ということで断念。


かわりに沼津のハンバーグ屋さん「そよかぜ」で昼食をとりました。






4日間にわたるゼミ合宿、いつものゼミ活動とは違う雰囲気で勉強ができました。

新学期が始まるまでの課題も明確になったところで、4年生は卒業論文の完成、2・3年生は大会に向けての論文完成に向けて頑張って欲しいですね。


大学のゼミ活動は、高校生までのHRや部活動などとは違った体験がたくさんできます。

もちろん楽しい遊びばかりではなく、毎日遅くまで残ってグループ活動を行ったり、個人で研究を進めたりして、大変なこともたくさんあるかと思いますが、

せっかくの大学4年間の中で、何かに本気で取り組んでみるのも悪くないんじゃないでしょうか?


冒頭に紹介したように、東経大にはたくさんのゼミがあり、それぞれのゼミでさまざまな活動が行われています。

ぜひ、HPやSNSを覗いて、気になったゼミの活動をのぞいてみてください!



(文責:鴇田彩夏)

2025年9月8日月曜日

2026年4月~「アントレプレナーシップ養成プログラム」スタート!

 経営組織論やケース分析を担当している山口です。

 東経大経営学部では、2026年4月から「アントレプレナーシップ養成プログラム」がスタートします。これに伴い、8月16日に「アントレプレナーシップ養成プログラム創設記念カンファレンス」が行われました。


 今回は、カンファレンスに登壇して下さった、東経大OB・OGを含む3名のアントレプレナーの取り組みを具体例として取り上げながら、「アントレプレナーシップ養成プログラム」についてご紹介したいと思います。

 

1.アントレプレナーシップ養成プログラムとは?

 アントレプレナーシップ養成プログラムとは、新しいビジネスを創造できるアントレプレナー人材を育てるプログラムです。

 経営学部経営学科現代経営コースに所属する2年生~4年生のうち、選考を通った20名程度が受講できる少人数制のプログラムになっています。

 今回は、このプログラムについて、紹介したいと思います。

 まず、このプログラムの「アントレプレナーシップ」とは、「新たなビジネスの機会を見出し、リスクに挑みながら事業を創り上げるための能力・知識・マインドセットのことです。

 では、新しいビジネスを創造するのに、どのような①能力、②知識、③マインドセットが必要なのでしょうか?

 これについて、8月16日に行われた「アントレプレナーシップ養成プログラム創設記念カンファレンス」でパネル・ディスカッションをしていただいた、以下の3名のアントレプレナーの取り組みをみながら、考えていきましょう。


吉田一毅氏(合同会社CRIBE CEO):東経大卒業後、バリスタの仕事に惹かれ、バリスタの世界チャンピオンがプロデュースした「ポールバセット」で約2年間バリスタの修行をした後、学生時代を過ごしたゆかりの地国分寺にコーヒー文化を一から根付かせるべく、コーヒーショップ「Life Size Cribe」を開店。

久保田優氏(株式会社スリーパンズ代表取締役):東経大卒業後、ネパールにおけるフェアトレード事業だけでなく、全国200箇所以上の福祉事業所と連携した国内のフェアトレード「やさしさつながる福祉のマルシェ」を創設し、国内外のフェアトレードを推進。

菊地恵理子氏(タイガーモブ株式会社代表取締役):「次世代リーダーの創出」をミッションに、学生や社会人に海外インターンや世界の最先端を体験できるような短期海外研修を通して、あたり前を変える体験を提供。


(1)アントレプレナーシップとは?:①能力

 まず、アントレプレナーに必要な「能力」とは何か、考えてみましょう。

 アントレプレナーがビジネスを創り出すには、新しいアイデアを考え出す独創的な思考力や、アイデアを実現していく実行力が必要です。

 では、こうした独創的な思考力・実行力はどうやったら身につくのでしょうか?

 ここでは、「アントレプレナーシップ養成プログラム創設記念カンファレンス」で、パネル・ディスカッションをしてくださった、東経大OBのアントレプレナー吉田一毅さんの例を見てみましょう。

 吉田さんは、就職活動をするときに、初めは別の業界に興味があったそうですが、友人の「(吉田さんは)コーヒー好きだし、コーヒー業界も挑戦してみれば?」という何気ない一言と、東経大でダンスをやっていたときにできた仲間たちが集まれるダイニングバーを作りたいという思いで、ドトールコーヒーに就職したそうです。

 当時の社内別業態で「バリスタ」という職人の仕事に出会った吉田さんは、一瞬でこの仕事に惹かれ、「バリスタ」のキーワードをインターネットで検索しては、気になるコーヒーショップに足を運び続けました。その中で、鳥肌が立つくらい美味しいエスプレッソに出会ったのが、当時のバリスタ世界チャンピオンの店「Paul Bassett」でした。

 その後「Paul Bassett」で2年間バリスタの修行をした吉田さんは、2015年にLife Size Cribeというコーヒーショップを国分寺に開業しました。Cribeは「crib to live」という言葉から来ているそうで、「秘密基地、集いの場、生きていくための場所」を指しているそうです。

 こうして吉田さんは、コーヒーやダンスといった自分の好きなものを深く追求していく中で、「等身大のまま、仲間や大事な人たちが安心して集まることのできる場所で、職人的なバリスタが淹れた、飲む人にも無理のないニュートラルな味のコーヒーを楽しむ」、という唯一無二のコーヒーショップ「Life Size Cribe」を創造しました。

(出典:https://typica.coffee/ja/narratives/roasters/life-size-cribe/https://postcoffee.co/magazine/roaster/roasters-coffee-life-life-size-cribe/


 この吉田さんの起業の例からは、自分の好きな物事を深く追求することで、他の人とは異なる独創性が生まれてくることがわかります。

 アントレプレナーシップ養成プログラムで、2年生が履修する「ビジネスプランⅠa/Ⅰb」という授業では、自分の好きなことや身近な関心を掘り下げることで、あなたしか考えられない独創的なビジネスの種を発見していきます。

 ですので、アントレプレナーシップ養成プログラムでは、「アントレプレナーになりたいから、大学ではこのプログラムだけに集中するぞ!」と狭く考えていただく必要はありません。

 「自分が大好きなバスケをもっと広めて、就職してからも仲間とバスケができる状況を作りたいから、それを実現するためのビジネスの知識を学びたい」など、大学で好きなことや興味のあることに打ち込みながら、それを通じてよりよい世界を作りたい!と考える人を歓迎します!


 (2)アントレプレナーシップとは?:②知識

 次に、アントレプレナーに必要な「知識」とは何か、考えてみましょう。

 いくら自分の好きなことを起点にビジネスのアイデアを考えるといっても、それがビジネスとして成立するためには、資金調達、原材料の仕入れ、店舗の立地の選択、スタッフの雇用、製品ラインナップの決定、販売方法の決定など、「アイデアを事業化し、利益を出せるようにするための知識」が必要です。

 これについて、「アントレプレナーシップ養成プログラム創設記念カンファレンス」で、パネル・ディスカッションをしてくださった、東経大OGのアントレプレナー久保田優さんの例を見てみましょう(出典:https://waccel-sumitanitomohiro.hatenablog.com/entry/2024/10/28/123000

  

 久保田さんは、東経大在学中にイギリスへ留学し、フェアトレードの考え方に感銘を受けたことをきっかけに、在学中から起業を念頭に、フェアトレード学生団体を設立するなどして活動していました。
 起業後は、ネパールにおけるフェアトレード事業と並行して、福祉事業所でアルバイトをしていました。その時、福祉事業所の仕事とフェアトレードには、「商品開発が難しい点や資金が少ないこと、販路がないところが似ている」ということに気づきました。
 そこで、全国200箇所以上の福祉事業所と連携し、商品制作を依頼して、商品の作成から梱包までを障害のある方に行ってもらい、商品をオンライン・駅・商業施設でのポップアップ出店にて販売する、という事業も始めたそうです。
 「市場に受け入れられる商品と販路を作る」ことで、「お客様には良いものを買っていただき、障がいのある方がイキイキと働ける社会」を実現することができると考えたわけです。

 障害者の方々の様々な個性に合わせた生産方法で商品開発を進める必要もあるなど、困難なことも少なくないそうですが、従来「支援」の観点からとらえられてきた福祉事業所の活動を、「ビジネス」として成立させる方法を作り出したのが、久保田さんのアントレプレナーシップの神髄といえるでしょう。

 このような形でアントレプレナーシップを発揮するためには、アイデアをビジネスとして成立させるための「企業経営の専門知識」が不可欠です。

 アントレプレナーシップ養成プログラムが、経営学部現代経営学科の現代経営コースの学生を対象としたプログラムになっているのは、このように、企業経営全般にわたる専門知識を学ぶのが現代経営コースだからです。

 例えば、現代経営コースでは、重点履修科目の企業論、経営戦略論、経営管理論、経営組織論などで、企業とは何か、企業を経営するとはどういうことかについて学んだあと、人的資源管理論・生産管理論・経営財務論などで、ビジネスに必要なヒト・モノ・カネを管理するより具体的な方法を学んでいきます。

 こうした企業経営全般に関わる専門知識を現代経営コースで学ぶのと並行して、それらの知識を使って自分のアイデアを事業化する方法を考えることで、単なる「素人の思い付き」ではない高いレベルのビジネスアイデアの創造と事業化をできるようにしているのです。

 アントレプレナーシップ養成プログラムの受講を考えている皆さんは、より事業化可能性の高いビジネスのアイデアを生み出せるようにするためにも、ぜひ1年生の時から経営学の基礎科目をしっかり学習し、経営学の専門知識を身につけておきましょう!


(3)アントレプレナーシップとは?:③マインドセット

 最後に、アントレプレナーシップのマインドセットについて考えてみましょう。マインドセットとは、私たちの物事の捉え方を決定づける心のフレームワークのことです。

 例えば、「この製品は売れるだろう!」と思って、そのアイデアを事業化しようとした時に、原材料がうまく手に入らなかったり、製品が全く売れなかったり、思い通りにいかないことがでてくると、多くの人はがっかりしてしまうと思います。

 ところが、経営学の研究では、何社も起業している熟達したアントレプレナーは、思い通りにいかなかったときにそれを「失敗」ととらえるのではなく、むしろ「チャンス」ととらえるなど、独特のマインドセットを持っていることが明らかにされています。例えば、「おいしいレモンがほしかったのに、酸っぱすぎるおいしくないレモンしか手に入れられなかったら、それでレモネードを作って、ただのレモンよりも高く売ればいい!」という考え方です!

 実際、「アントレプレナーシップ養成プログラム創設記念カンファレンス」で、パネル・ディスカッションをしてくださった、タイガーモブ株式会社ファウンダーの菊地恵理子さんは、「仕事で成功するために、もっとも大切なものは?」という質問に対し、このように答えています。

「変化を楽しみ、変化を起こすこと」です。環境も事業も自ずと変化するので、その変化を楽しんでしまうこと。そして安定せぬよう、わざと自ら変化を起こしていくことかと思います。

(出典:https://www.odyssey-com.co.jp/topics/essay/essay178.html

 

 「変化を楽しんでしまう」。このような考え方は、なかなか、普通の人には難しいかもしれません。

 そこでアントレプレナーシップ養成プログラムでは、2年生~4年生までの3年間、ビジネスプランコンテストなどにも応募しながら、ビジネスプランを繰り返し考え、つまずいてもそこであきらめずにブラッシュアップしていくことで、熟達したアントレプレナーと同じようなマインドセットを身につけていきます。

 2年次・3年次には、ビジネスプランの作成プロセスで起きる、このような「予想外の出来事」を、起業に興味を持つ仲間たちと一緒に考えることで、乗り越えていきます一方、自分のやりたいビジネスが明確に定まっている場合は、起業支援の専門家である馬込正特命講師に個別指導でサポートしてもらいながら、そのビジネスの事業化に向けた様々な課題を乗り越えていくこともできます

 このように、大学で学んだ経営学の専門知識を使って、ハイレベルなビジネスプランを、仲間と一緒に、あるいは専門家の個別サポートを受けながら、事業化できるようにしていくのが、アントレプレナーシップ養成プログラムなのです。


2.アントレプレナーシップ養成プログラムの履修方法

 では、アントレプレナーシップ養成プログラムは、どうすれば受講できるのでしょうか?

 このプログラムは、経営学部経営学科現代経営コースに所属する学生の中から、20名程度を選抜して行う少人数選抜制となっています。

 これは、起業支援の専門家である馬込正特命講師から、各自のビジネスアイデアを実現するための個別指導を受けながら、アイデアの事業化を進められるようにするためです。

 具体的な応募・選考方法は以下のとおりです。

・対象者:経営学部経営学科「現代経営コース」に所属予定の1年生

・定員:20名程度

・スケジュール:12月に説明会を実施→2~3月に応募受付・選考→3月中旬に選考結果通知(予定

・選考方法:エントリーシート(志望動機・意欲)/GPA(成績)/面接選考等(予定)


 アントレプレナーシップ養成プログラムの所定の修了要件を満たした人には、「アントレプレナーシップ養成プログラム修了」の認定証が出されます。


3.アントレプレナーシップは「起業」にしか役立たないのか?:幅広い仕事でアントレプレナーシップが必要とされる理由

 アントレプレナーシップというと、皆さんの中には「起業を目指す人がもつべきもの」というイメージを持つ人もいるかもしれません。

 しかし、現代企業が直面している、変化の激しい環境では、自分で起業したいという人だけでなく、企業に就職した人にも、既存事業を変化に合わせて変革したり、新規事業を創造したりする形で、アントレプレナーシップ(起業家精神)が求められます

 また、実家の家業を継ぐ場合でも、現代では、先代のやり方をそのまま引き継ぐのではなく、後継者が自分の考えに従って、受け継ぐべきものは受け継ぎつつ、環境の変化に合わせて家業をより発展させていく「ファミリー・アントレプレナーシップ」が重要になってきています。

 ですので、「起業するかはわからないが、新規事業に興味がある」「うちの事業を継ぐための知識・スキルを学びたい」という人にも、アントレプレナーシップは大いにかかわっています。アントレプレナーを「起業」という狭い意味でとらえずに、少しでも興味があればどんどん応募してみてください。

 アントレプレナーシップ養成プログラムは、究極のところ、東経大経営学部で学んだ経営学の専門知識を、ビジネスで「使える」実践的知識にしていきたい、という人のためのプログラムなのです!

(東京経済大学経営学部准教授 山口みどり)

謝辞 このブログ原稿の執筆にあたっては、吉田一毅様、久保田優様、菊地恵理子様、および馬込正先生にご協力いただきました。ここに記して感謝申し上げます。

2025年8月25日月曜日

「物流」を学ぶには映画やアニメから



経営学部で「物流論」や「流通情報システム論」を担当する宮武(みやたけ)です。

はじめまして。

専門は物流(特に宅配便など)や交通経済などです。


初めてブログを担当しますが、

私が担当する「物流」についてお話していこうと思います。




1.大学で学ぶ物流


ちなみに、大学で物流を勉強するの??

というのは、よく言われます。


物流に特化した学部や学科もいくつか存在しますが、

多くの場合、経営学・経済学・社会学・法学・工学などの領域で、

物流を研究の「対象」とした専門家が教えていたりします。



私の担当する授業は主に経営学部の学生が履修しているので、

主には企業の活動に注目してお話していますが、

交通との経済学的な関連、国の政策や法律、環境、情報やシステムに関連する内容も織り込んでいます。

(どうしても、理論より実際の動きなどに関係した話が多くなる分野かもしれません)




2.いろいろな作品で触れる「物流」


ただ、そもそも物流というのも実に多様な形があります。


荷物を運ぶ、保管する、積み下ろす、緩衝材や贈答用のラッピングで包む、さらに簡単な組み立てや詰合せなどの作業(機能)に注目したり、

取り扱う荷物の種類が何なのか(高価?、壊れやすい?、燃えやすい?、温度は?、においは?など)、

運ぶ手段はトラックなのか、鉄道なのか、船なのか、飛行機なのか、

さらに国内だけの話か、国外も含めた物流なのか、

これらの各要素や組み合わせで、物流と言ってもまったく違う仕事になります。



私が担当する「物流論」などでは、時間も限られるため、

これらを部分的に勉強するにとどまりますが、

ほぼすべての企業で何かしらの物流業務が存在しますし、

社会に出る前に勉強しておいて損はないと思います!(入学したら履修してね)


物流は身近な存在であることを広くPRするために、

政府も2分程度のこんなショート動画を作成しています。

(Youtubeの広告でさらに短いバージョンを見たことがある人もいるでしょうか)。

(物流魅力発信アニメ「あれも、これも、物流なんだ。」110秒ver
国土交通省 MLIT channel )


声優さんは、

「この素晴らしい世界に祝福を!」シリーズのめぐみん役などの高橋李依さん、

「SPY×FAMILY」のヨルさんや「鬼滅の刃」の胡蝶しのぶ役などの早見沙織さんですね。

(個人的には、高橋李依さんは「それが声優!」の一ノ瀬双葉、早見沙織さんは「甘々と稲妻」の飯田小鳥が好きでした)

(あと完全に余談ですが、堀江由衣さんが揃うと、何か魔法が使えそうですね)




また、昨年ヒットした映画の「ラストマイル」は、

ストーリーが見応えがあるだけでなく、

ネット通販の物流の現状を凄くよく表現していました。


周りの物流の専門家の方々の間でも評判になっていました。


「ラストマイル」予告映像  東宝MOVIEチャンネル)


ネタバレは書けませんが、ネット通販ビジネスの仕組みがトリック?

の要になっているところがいいですね。


満島ひかりさん、岡田将生さんの掛け合いも好きでしたが、

火野正平さんが演じられた請負の運送業者が好きでした。

(火野正平さんが昨年ご逝去されたので、本作品は結果的に映画としての遺作となってしまいました)


ドラマの「アンナチュラル」「MIU404」と制作陣が同じで、

世界観も共通のため、石原さとみさん、綾野剛さん、星野源さんらもゲスト的に出演しています。

こちらの作品が好きな方も是非ご覧になってください!



また、ドキュメンタリー番組などで扱われていれば、

より今の物流の問題などもわかるので、おすすめです。

(いわゆる経済バラエティでも良いと思います)


他にも、トラックドライバーの方々に焦点を当てたルポや映画などもありますが、

そちらはまた機会があれば紹介していきます。

橋本愛喜さん、トラックめいめいさんのルポやそれらを原案にしたドラマやマンガなど)



(文責:宮武宏輔)


2025年8月19日火曜日

訴求する相手は誰?

2025.08.19

経営学部の本藤です。

夏休み真っただ中ですが、最近の大学生はインターンシップが2年生の夏休み頃から始まる会社も増えてきて忙しそうです。


今回はマーケティングの考え方を少し紹介してみたいと思います。
みなさんは「この商品を売ろう」と考えた時に、最初に何を考えるでしょうか?

メーカーがマーケティングを考えるとき、最初に「この商品は誰に評価されるのだろうか?」ということを考えます。これがマーケティング戦略の大前提となる「ターゲティング」です。
違う言い方をすれば、「この商品の価値を最も分かってくれるのは誰だろう?」ということです。つまり、売りたい商品の価値が伝わる人を明確にすることから始まります。
なかには、ありとあらゆる人類全員をターゲットととしているケースもあるにはありますが、それではお客様の気持ちに刺さるブランド・メッセージが考えられず、消費者を動かすことは難しいケースがほとんどと言っていいでしょう。
(みなさんも「みんな好きです」のうちの一人として愛を語られてもピンときませんよね。「あなたが好きです」と愛を語られるからグッとくるのではないでしょうか)


メーカーが発売する商品のターゲットを検討する際に、従来は単純に「使う人」を想定して検討されているケースが多かったのですが、近年ではもう少し厳密に考えるようになってきています。

みなさんの自宅にシャンプーは何種類ありますか?お風呂には、自分専用のシャンプーがありますか?
それとも家族みんなで1つのシャンプーを共用していますか?
家族でひとつのシャンプーであれば、きっとそのシャンプーを購入する人はお母さんであるご家庭が多いかもしれませんね。
つまり、「使う人」のひとりである母親が、家族を代表してドラッグストアで価格を見ながら商品選択を行って購入することになります。


でも最近は、それぞれの髪質やヘアスタイルに応じて、お風呂には家族一人ひとりのシャンプーが置かれるようになりつつあります。そうなるとシャンプーを購入する人は誰でしょうか?
母親が代理購買するケースもあれば、自分で選ぶという人もいるでしょう。
高校生であれば、部活や塾で忙しくて、「お母さん、私のシャンプーが終わりそうだから買っておいて」とお願いすることもありそうです。
となると、その依頼を受けたお母さんは、ドラッグストアに行って、「自分の子供に適したシャンプーはどれだろうか?」と考えつつ、価格表示を見比べつつシャンプーを購入するかもしれません。


つまり、使う人(ユーザー)と買う人(ショッパー)が異なることがあるのです。
そんな状況をメーカーは想定して、ショッパーに焦点をあてたマーケティングを検討しなくてはならないと考えるようになってきています。
ここで考えなくてはならないのは、その商品に添えるメッセージです。
例えば、「思春期男子の臭いを抑える!」というように代理購買をする人が気にしている問題意識に訴えかけるようなメッセージです。「朝のセットが楽になる」とか「死ぬほど傷んだ髪を1週間で修復する」というメッセージは、どちらかというとユーザーに対してのメッセージですから、ショッパーに伝えるべきメッセージとして工夫することも大切な視点になってきます。


最終的な購入者であるお母さんの意思決定を促せるように考えて、店頭で商品の紹介をすること。これが「ショッパー・マーケティング」と呼ばれるアプローチです。

このようなユーザーとショッパーが異なるケースは、意外と多かったりします。
乳児用紙オムツのエンドユーザーは赤ちゃんですが、ショッパーは赤ちゃんのママです。
シニア用紙オムツのエンドユーザーは要介護の高齢者ですが、ショッパーは介護する人です。
風邪で寝込んでいる母親のために、父親が風邪薬を買いに行くこともあるのですが、この場合は、ショッパーは看病をする人で、ユーザーは病気で寝込んでいる人になります。

その結果として、エンド・ユーザーが、「これは私のための商品だ!」と思ってくれれば、その後は商品指定しての代理購買になっていくかもしれません。
プロモーション(販売促進)を考えるにしても、ブランディング(ブランド育成)を考えるにしても、まずは、最初の購入をしてもらわなければ話が始まりません。そのために、どんなことを思案すべきか企業は常に考え続けています。

文責:本藤貴康