2026年1月26日月曜日

幸せの黄色い教科書

こんにちは 経営学部の吉田靖です。

1月下旬、受験生は入試、大学生は期末試験。まさに『冬の陣』の真っ最中ですね。皆さんの奮闘が伝わって来ますが、今が踏ん張りどころです。寒いので体調にも気をつけましょうね。

勉強の時に使うのが教科書・参考書・問題集ですね。小学校以来、みなさんはどのくらいの本で勉強しましたか?今がこれらを集大成する時ですね。

大学に入学するとさらに教科書が増えますが、高校の数学の教科書はこれからも是非身近においてください。特に経営学部ではきっと役に立ちます。 

さて、私は昨年、大学の授業でも教科書として使う本を共著で講談社から出すことができました。  『ExcelとRで学ぶビジネスデータサイエンス入門』です。高校生でExcelを使っている人は多いと思いますが、前半はExcelを使った株式等の分析方法をできるだけやさしく書いています。是非読んでみてください。表紙が黄色なのでこのブログのタイトルにしました。

ExcelとRで学ぶビジネスデータサイエンス入門 表紙 

この本の特徴としては、できるだけ現実の経済データを使って説明し、通常入手が難しいデータもファイルで提供していますので、読者は同じ分析をして実感できることです。 

公的に提供されていないデータをファイルで提供しようとすると、著作権などいろいろな問題が起きます。しかし本書では、それをクリアできるデータを読者向けサポートウェブサイト(ここをクリック)に掲載しています。例えば、米国の株価指数のS&P500なども利用可能です。大学以前の金融経済教育の重要性が叫ばれているのに、日本の株価指数ではこのようなことができないことはとても残念です。

なお、東京経済大学はデータベースが充実していますので、学生になればものすごくたくさんのデータを教育目的で利用することができますので、安心してください。 

この本の後半はRという誰でも無料で使える統計分析用のソフトウェアを紹介しています。このプログラムもサポートウェブサイトからダウンロード可能です。以前はこのようなプログラミング言語は少々敷居が高かったかもしれません。しかし、今は生成AIを使ってプログラムを作成することも可能で(本書ではAIの説明はしていませんが)、ずいぶん使いやすくなっていると思います。

データサイエンスの教科書といえば 『データ分析のための統計学入門』 (原著第4版、翻訳初版第4刷、原題: “OpenIntro Statistics Fourth Edition”、著者:David.M.Diaz, Mine Çetinkaya-Rundel,  Christopher D. Barr、翻訳:国友直人、小暮厚之、吉田靖)という本も出しています(詳しくはこちら(日本統計協会のウェブサイト))。この本は、問題を解くことを中心とした解説になっていて、日本の統計学の教科書にはあまりないパターンです。ページ数の割には安価ですが、原著のPDF版はなんと無料を含む任意の非負の金額でOpen Introのウェブサイトでダウンロードできます。日本語版も出版されているものとは少し違いがありますが、翻訳者のうちの1人のウェブサイトからダウンロード可能ですので検索してみてください。私のゼミではこの本を使っています。

   

 最後になりますが、日本証券アナリスト協会の第2次レベルのテキスト『証券分析とポートフォリオマネジメント』詳細は日本証券アナリスト協会のウェブサイト)も多くの著者と共に執筆しており、毎年改訂しています。このテキストはファイナンスを勉強するためにとてもよい本なのですが証券アナリスト資格試験の第1次レベルに合格してから第2次レベルの受講を申し込んだ人だけに送られていますので、書店では販売していません。大学でファイナンスの勉強をして、金融機関などに就職したら是非ともチャレンジしてください。

それでは、授業でお会いしましょう。 

吉田靖 (担当科目:経営財務論、ファイナンス論、ビジネスのためのデータサイエンス入門、ファイナンス・経営のための数理入門など) 


2026年1月12日月曜日

外部スピーカーから社会変革と国際支援の実態を学ぶ

 流通マーケティング学科の丸谷です。68回目の執筆です。私はグローバルマーケティング論を専門とする教員です。本学には教員が自身の講義に実務家や外部の有識者を外部スピーカーとして招くことができる制度があります。今回は2025年12月にお招きした2人の講師によるご講演について取り上げます。










お一人目は、世界的NPO法人のフェローとして茨城県の公立小学校教員として活躍した後、現在英国バーミンガムに大学院留学している下境大貴先生です。彼は本学OBであり、留学中の英国よりZoomで使って収録しました。

下境先生には、『グローバルマーケティング論』の授業の中で、『社会変革のグローバルマーケティング』というテーマで、ご自身の日本での教員としての経験と英国で行った教育NPOを取材した内容を踏まえてお話ししてもらいました。

グローバルマーケティングでは、標準化と現地化のバランスをとることが大事といわれています。アメリカに起源を持つNPO本部が構築した国際ネットワークを通じて、下境先生が日本で所属したNPOと今回英国で取材した英国のNPOは、教育格差という世界中にある共通課題に対処すべくノウハウを共有してきました。



下境先生によれば、教育の格差といっても、日本では教育機会は平等であるが、質を高める必要があり、英国では機会自体が不平等な状況にあるそうです。

異なる状況において対処策は当然異なっており、日本では質を高める工夫、英国では機会の不平等を減らす工夫がされているようです。例えば日本では質を高めるために、下境先生も日本の小学校で行ってきたアクティブラーニングに関する様々な取り組みを、英国では人材戦略として、最高ランクの大学で学位を得た学生を採用し、「恵まれない地域」に配属し、人材不足の学校にとって彼らの存在自体が変革の一歩となっているそうです。

お二人目JICA(国際協力機構)からパナマ共和国に派遣され、国際協力の実務を担当された武井優薫先生です。


武井先生には、今年初めて担当した『英語で学ぶ経営学』の授業において、『パナマでの2年間』というテーマで、外国語を用いて海外で国際支援活動をすることについて具体的にお話し頂きました。武井先生は大学院にて文化人類学を学ばれた後実際にパナマに赴任し2年間国際支援活動をされたとのことで、この科目の深い理解の前提となる文化という部分について、パナマの先住民コミュニティでの生活の実態を含めて講義頂きました。

特に印象深かったのは、「ムラ」を研究するのではなく、「ムラ」で研究するという文化の品質的な理解に関する手法である参与観察についての説明であり、効率性を重視する経営学とは真逆のアプローチでの活動は、現在主流のタイパといった考えとは真逆であり、刺激的でした。

なお、武井先生と知り合ったきっかけは、日本・パナマ友好協会(日本とパナマの間の友好関係を促進する団体)による交流イベントでした。同協会は長年にわたり、両国の国際交流で重要な役割を果たしており、長年発行されてきた機関誌は両国の交流の歴史やパナマの事情について日本語でわかりやすく示した貴重な資料であり、ラテンアメリカ協会事務局のホームページ(https://latin-america.jp/wp-content/uploads/2025/06/%E4%BC%9A%E5%A0%B1PANAMA38%E5%8F%B7.pdf)より、最新号などはみられるようです。パナマに関心のある方はぜひアクセスしてみてください。

(流通マーケティング学科 丸谷雄一郎)

2026年1月5日月曜日

先生も実は同じように悪戦苦闘しています:教員個人の研究活動とゼミ探求

 あけましておめでとうございます。経営学部講師の岩田です。

なかなか教員の研究活動や,普段そこで感じていることは学生さんからは見えづらいかもしれません。旧年中の振り返りも兼ねて,普段の研究生活をチラ見せしてみます。


「査読」

研究と一言で表現しても,スタイルは人それぞれです(例:論文執筆重視,社会実装重視)。とはいえ,学部を卒業して研究を突き詰める人たちが通う大学院では,まず研究の手法や考え方を学ぶために「論文を書く」というところからスタートすることが一般的です。


論文執筆の最終的な出口は学術的な雑誌への掲載というのが一般的ですが,これにはしばしば「査読」というプロセスがあります。

査読というのは,近い専門領域の研究者が他の研究者の書いた論文を審査して,「この論文はこの雑誌に掲載してもよいか?」というのを評価するシステムです。

その厳正な審査を突破することで,科学的な批判に一定程度耐えた成果物として学術誌に論文を掲載することができます。


この「査読」というのが審査する側もされる側も非常に大変nやりがいのあるプロセスで,ある研究を始めてから査読付学術誌への掲載に至るまでのほとんどの時間はこの「査読」への対応に投入されることになります。


ゼミでの探求は教員もしている「研究活動」そのもの

大学の先生というと,沢山のことを知っている専門家,あるいは授業で「正しい知識」を教える存在と認知されているかもしれません。

東経大では少人数のゼミで研究活動をし,教員は指導的な役割を果たしています。僕も,ゼミ生に毎週「こういう分析の仕方もありますよ」などとアドバイスすることはよくあります。


ですが,自分の研究活動となると,姿は少し変わります。査読では「ここの議論には問題がある」「分析方法に改善の余地がある」など,専門の同業者からの手厳しいツッコミを沢山受けます。

国際的に著名な学術誌ともなると採択は極めてハードルが高く,審査継続の通知よりもrejection(不採択)の通知を受け取ることのほうが圧倒的に多いです。

そうした学術誌は,「重要だけど皆が分かっていないことを,厳密に解明・分析する」ことを求めてきます。シンプルに難しいですよね。

2025年はこれまで進めてきた研究のいくつかが実った年でした。それと同時に,「We regret to inform you ...(訳:残念なお知らせですが…)」から始まるメールも10件近く受け取った記憶があります。


そういった意味では,ゼミで普段教えている教員も,「何でも知ってる先生」というよりは,「研究活動についてちょっと前を走っている先輩」と表現するほうがいいのかもしれません。

(注)今の僕の所感です。20年後くらいには違うこと言ってるかもしれません。色々な先生の話を聞いてみてください。

いざ探求を進めてみると,教科書で読んだことと実際の現場にズレを感じたり,そもそも「教科書に書けるほど厳密に実証された証拠が見当たらない」こともあったりします。ゼミ生からの成果報告を聞いて「こんな感じなんだな」と知識がアップデートされたことも沢山あります。


研究は,知識を覚えるというよりも,「まだ誰もはっきりと分かっていない問い」に向き合い続けることが求められます。ゆえに,査読というプロセスは(時に掲載を諦めたくなるほど)大変です。しかし同時に,他者からの批判を通じて自分の考えが少しずつ磨かれてまとまっていく,創造的な時間でもあります。

ゼミでの探求も,あるいは実務家として未知の経営状況に向き合うことも,本質的にはこうした研究活動と地続きに思えます。もし将来,アカデミックな道に進むことがなくても,分からないものに耐えながら考え続ける経験や,それと格闘するための科学的思考の訓練は,きっとどこかで役に立つと思います。


ぜひ,一緒にゼミで研究しましょう!(宣伝)


(文責:岩田聖徳)

2025年12月15日月曜日

経営学部ゼミ報告会(12月13日)レポート

経営学部ゼミ報告会レポート 12月13日開催

広告論を担当している鴇田です。

12月13日に、経営学部ゼミ報告会が開催されました。

東京経済大学経営学部には35のゼミがあります。

その活動内容は担当教員によってまちまちですが、それぞれのゼミが独自の視点で社会やビジネスの課題に向き合い、学びの成果を発表の場へとつなげています。

ゼミとは?

ゼミとは、少人数のクラスで指導教員や仲間とともに研究テーマを掘り下げていく、大学ならではの授業です。

活発な議論や発表を通して、自ら考え学び続ける力を養います。

(東京経済大学HPより)

ゼミによっては、このゼミ報告会での発表を目標に4月から研究に取り組むところもあります。

一方で、学外で発表した研究成果を報告するゼミもあります。そのため、発表内容は実にさまざまです。


今回の経営学部ゼミ報告会では、18ゼミから62の報告が行われました。



鴇田ゼミからは、以下の3報告を行いました。

  • 推し活における羞恥心が及ぼす影響とその要因解明
  • 生成AIと人間の協働構造が広告およびブランド本物らしさに与える影響
  • ポジティブ・ポライトネス型広告とネガティブ・ポライトネス型広告が与える広告効果:ブランドの性格特性に着目して
 

これらは、今年度の関東学生マーケティング大会に参加した際の研究テーマです。何度も発表練習を重ねてきた内容だったので、当日は落ち着いて臨めるかと思いきや……。

当日は当初の予定より発表時間が3分短くなったこともあり、早口になってしまった場面も。

発表直前まで、最終調整に時間をかけている様子も見られました。


当日は本学の学生だけでなく、高校生や保護者の方の参加も見られました。そのため、大会での発表時とはまた違った緊張感があり、学生にとっても貴重な経験になったと思います。

大学でのゼミ活動に興味がある高校生も発表を見学できるので、ぜひ来年度の報告会にも足を運んでみてください。


また、全スケジュール終了後には懇親会も開催されました。

同日に行われた経済学部の発表会と合同で実施され、

美味しい料理を囲みながら発表の感想を話し合ったり、他ゼミの学生と交流したりして、楽しい時間を過ごすことができました!

東京経済大学のゼミについては、以下のページで詳しく紹介されています。

開講されている全学部のゼミ一覧も確認できます。

https://www.tku.ac.jp/department/seminar/

ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。

発表に臨んだ学生の皆さん、本当にお疲れさまでした!

2025年12月1日月曜日

アパレルのネット通販物流

 「物流論」・「流通情報システム論」を担当する宮武です。


前回は「物流」ってこんなイメージ、ということで、

参考となる動画や映画を簡単に紹介しましたが、

今回はインターネット通信販売(ネット通販)の物流について簡単に紹介していきます。


ネット通販といっても、色々な商品が取り扱われていますが、

今回はその中で、「アパレル(衣類)」を例にしてお話していきます。



1.アパレルがネット通販で購入される割合

経済産業省は毎年夏ごろに「電子商取引に関する市場調査」という報告書を公表しています。

2025年8月に公表された結果によると、

日本における2024年の「全ての商取引金額に対する、電子商取引市場規模の割合」(これを「EC化率」と呼んでいます)は、9.78%と推計されています。


だいたい、すべての買い物金額の10分の1がネット通販での買い物金額ということです。


さらに「衣類・服飾雑貨等」に限れば、23.38%

と全体に比べると高くなっています。

(ちなみに最も高いのは、「書籍、映像・音楽ソフト」の56.45%です。

 経産省統計では、電子書籍や音楽・動画配信はここに含まれていないので、

 このカテゴリーは実店舗で本やソフトを買うという人の割合は下がっていると言えるでしょう)



2.服を買うならどんなところで?

サブタイトルは縞野やえ先生の『服を着るならこんなふうに』を少し意識しました。


さて、みなさんはネット通販で服を買いますか?

買うとしたら、どんなサイトで買っていますか?


180cm弱、100kg強の私はもっぱらUNIQLOの通販です。

UNIQLOの場合、店頭在庫のサイズはだいたいXLまでなので、

私のような体型の人間はそもそもネット通販がメインです。


ちなみに、GAPであれば海外サイズ基準なので、XLでOKなのですが、

買いに行くこと自体が面倒で定番のオックスフォードシャツをやはりネット通販でポチってます。


このように、もはやオシャレをしたい、なんて考えがない消費者だと、

同じような服を同じサイトで買う、という行動をとりがちです。


サイズ感、色合い、質感、店員さんとの情報交換などなど、

趣味としてファッションを楽しみたい人には、物足りない買い物スタイルかもしれません。


しかし、最近ではット通販の特徴である安さと商品の豊富さ(+探しやすさ)も活かしつつ、

ファッション性が高い、たくさんの新作が出る、掘り出し物がある、

などの若い世代に手が届く(いわゆる「プチプラ」)、

トレンドも押さえた商品を販売するネット通販サイトも一般的なようです。

(自分が上記のような消費者なので、情報として知っていても伝聞系になるのはお許しください。)



みなさんの中にも、

Amazon楽天市場、前述のUNIQLOなどだけでなく、

ZOZOTOWNで複数のショップからお気に入りブランドの新作をチェックしたり、

GRL(グレイル)で手頃な価格帯の商品を探したり、

という人もいるかもしれません。


また、SHEINなどの中国系のネット通販サイトで海外から服を取り寄せたり、

着なくなった服をメルカリに出品したことがある人もいるでしょう。



3.商品はどこから送られる?

アパレル商品の製造から小売店までの物流は、

物流を勉強するうえでは教科書的な題材なのですが、

ここではまず小売店(ネット通販事業者)から消費者までの物流を見ていきます。


まずネット通販サイトには、

自社で仕入れた商品を販売しているサイト(自社型

いろいろなお店が出店しているオンライン上のショッピングモールを運営しているサイト(モール型

に分けることができます。


Amazonは元々自社型から展開していき、

最近では「Amazonマーケットプレイス」にみられるようなモール型の特徴が強くなっているサイトです。

アパレル商品などは、特にAmazonに出店している通販事業者が販売している割合が多い印象があります。


楽天市場はその逆で、モール型として展開している一方、

一部で「Rakuten Fashion」などでは自社型を採用しています。


また、ZOZOTOWNも基本は複数のショップがサイト内に展開するモール型です。


モール型の場合、実際に商品を発送するのは、

基本的にはモールを運営しているネット通販事業者ではなく、

モールに出店している販売事業者です。


ただし、Amazonも楽天も自分たちが管理する物流センターに出店者の商品を保管し、

注文が入れば段ボールなどに入れて発送するという物流業務を代行するサービスを実施しています。

これを「フルフィルメントサービス」と呼んだりしています。

(正確には、フルフィルメントサービスの範囲は物流に限らないのですが。)



一方、UNIQLO、GAP、GRL、SHEINなどは自社で製造した商品を自社で販売している、

SPA(Specialty store retailer of Private label Apparel)という製造小売業です。

(実際に製造しているのは委託工場なのですが、そこからの物流などはまた別でお話できれば)

当然、商品の保管や発送なども自社での責任で、物流事業者などに委託しながら行っています。


特に、UNIQLOの持つ有明の倉庫は、自動化が進み24時間体制で注文を受けての出荷体制を整えています。

なので条件が揃えば、夜に注文した商品が数時間後の翌朝には届くといった利便性があります。



4.商品は誰が運ぶ?

日本のネット通販の配送の多くは、ヤマト運輸佐川急便日本郵便などの宅配便事業者が支えています。


しかし、Amazonのように自社で配送も管理するネット通販事業者も出てきています。

(正確には、Amazonが個人の配送員に直接配送を委託したり、

 宅配便以外の物流事業者などを通してやはり個人の配送員に委託している形です。)


先ほど紹介したフルフィルメントサービスを利用して、

Amazonの物流センターから商品を送り出す場合、

このAmazon独自の配送サービスで商品を消費者に届けることができます。

一方、モールの出店者が自ら発送をおこなう場合は、

大手の宅配便事業者に配送を任せることが一般的です。


また大手のネット通販事業者でも、商品の保管や管理などは自ら主体で行っていても、

配送だけは宅配便事業者に任せることが多いです。

これは、それだけ配送がネット通販物流のコストとして大きいことの表れでもあります。


なお、SHEINは中国の物流センターから日本に航空便で輸送されていますが、

日本での配送は日本の宅配便事業者に任せている場合が多いようです。



今回はアパレル商品のネット通販での管理や配送について見ていきましたが、

なぜこれらの商品が、ましてやSHEINのように国外から運ばれているにも関わらず安いのか、

ということについて機会があればお話できれば、と思っています。



(文責:宮武宏輔)

2025年11月21日金曜日

市場規模を考えながら生活需要を開拓する

 2025.11.21

経営学部の本藤です。
高校3年生はいよいよ追い込み時期ですね。今週末の日曜日は指定校推薦選抜当日です。年内入試選抜が終わると、徐々に入試選抜本番の冬に突入します。今シーズンはインフルエンザがだいぶ早く流行しているようです。ボクの授業でも、ここ数週間は何人もの履修生からインフルエンザによる欠席連絡が入ります。体調管理には十分に注意しましょうね。


みなさんは風邪の予防にしていることはどんなことでしょうか?
外出中のマスク、帰宅後の手洗い・うがいをしている人は多いかもしれません。
ビタミンCをとると抵抗力が強まるとも言われてます。
入浴剤を入れて温浴効果を高めたりする人もいそうです。
インフルエンザの予防接種もこの時期に受ける人が多いですね。
葛根湯は風邪の初期症状だけではなく予防効果があると聞いたことがあります。
最近は、免疫力強化の乳酸菌飲料が何種類も売場で見かけるようになりました。

風邪やインフルエンザの予防にかかわる一般的な商品として、ハンドソープ、うがい薬、マスク、ビタミンサプリ、入浴剤、漢方薬・・・、インフルエンザの予防接種以外はドラッグストアで販売されているものばかりです(ちなみに、アメリカでは薬剤師がインフルエンザの予防接種できます。日本では、医師会が既得権を手放さないので、なかなか難しいようです)。
これまでは「治療」のための薬の需要が中心だったのですが、最近は「予防」の需要が拡大してきています。

これからのドラッグストアが開拓していこうとしているマーケットが、この「予防」市場なのです。


メタボリックシンドロームにならないように防風通聖散などの漢方薬がありますし、ロコモティブシンドロームにならないようにプロテインなどのサプリメントがあります。

考えてみると、歯磨き粉や歯ブラシなどのオーラルケアも予防市場ですが、これは既に一般に定着しているマーケットです。これも、最近ではホワイトニング、知覚過敏、歯周病など、虫歯以外の予防にもお金が使われるようになってきています。歯磨き粉や歯ブラシ以外にも、洗口液、液体歯磨、歯間ブラシ、フロスとサブカテゴリーは拡大の一途をたどっています。


これらは、主にパーソナル・ソリューションで、実はプライシング(価格設定)の影響はそれほど大きな商品ではありません。むしろ自分の悩みを解決してくれそうな商品に対しては、価格訴求商品を避ける傾向すら見られます。少し考えてみてください。どこのブランドか分からない半年くらい使えそうな大容量の歯磨き粉と、白い歯にしてくれそうな高めの歯磨き粉があったら、簡単に価格だけで判断できませんよね?
仮に、一時的に安い商品を購入しても、気になり続けている人が多ければ、次には購入してくれる人も多くなります。そこがスーパーマーケットとドラッグストアの大きな違いになってきます。やっぱりキャベツは10円でも安い方がいいと考えますし、牛乳や飲み物も同じような傾向が見られます。



そこで、超高齢社会になってきた日本でのチャンスは、生活習慣病の予防市場は無限のチャンスがありますし、無限の需要が眠っているのです。筋肉減少などの問題であるロコモティブシンドローム、肥満などの問題につながるメタボリックシンドロームの他にも、糖尿病、高血圧など様々な生活習慣病などは治療市場でさえ急増していますが、予防市場はケタが違うのです。特に、この予防市場は、ファミリー・ユースではなく、パーソナル・ユースなので、家庭のニーズではなく個々人のニーズによって牽引されます。
だから、その市場を開拓することは、大きな需要創造への取り組みとも言えるのです。


文責:本藤貴康(担当科目:流通論、ケースメソッド)
本藤ゼミナールブログはこちら⇒東京経済大学 本藤貴康ゼミナール







2025年11月3日月曜日

葵祭にいってきました

経営学部の木下です。

葵祭にいってきました。

ゼミの学生のものを中心に、色々な企画と模擬店を回ってきました。学生のサークルだけではなく、ゼミでの出店もあり今年は特に経営学部からの出店が多いようでした。展示企画を回ってスタンプを集めたり、アンケートに回答するだけで記念のタオルが貰えました。最後のビンゴ大会ではまったく当たる気配もありませんでしたが、なんだかんだで結構面白かったです。学園祭とはそういう趣旨のものではないでしょうが、市場や経営学的な観点から少し考えてみようと思います。

まず気になるのは模擬店はちゃんと利益を回収できているのか、ということですね。個別の模擬店の来客数や売上の予測はかなり難しいでしょう。価格を固定していては売れ残りが生じて在庫の処分コストもありますから、赤字になる可能性はあると思います。しかし、学園祭の多くの模擬店では、終わりが近づくにつれて値引きして販売します。実際のビジネスでは、安売りをするとそれを待つ客が増えてしまうため安易に行うことはできません。動学モデルやゲーム理論のテーマです。学園祭ではそういった駆け引きを行う必要がないため、最後は純粋な損得計算だけで動くことができるのです。少なくとも原価ギリギリの価格でも売り切ることができればいいので、赤字になっている模擬店はほとんどないと思います。ということで、学園祭のようなケースでは諸々の短期の理論をそのまま適用できると予想します。現実では厳密な最適価格や戦略等は分かるはずもありませんが、多めに仕入れて最初は強気の価格で攻める、という方向の戦略になるでしょう。実際にそうしているのではないでしょうか。

普段現金をあまり使わないので財布にあるかどうか不安でしたが、この日はたまたま数千円入っていました。キャッシュレスを導入してはどうかと思いましたが、それはやはり無理な話でしょう。キャッシュレスを導入することのコストの変化と集客力の増加の比較でやるべきかどうかは決まりますが、後者の効果があるとはとても思えません。「キャッシュレス決済できるなら葵祭に行こう!」となるような層は、ほとんどいないような気がするのです。もっとも、キャッシュレスを導入してみた世界も観測できませんから「気がする」としか言えません。キャッシュレスを導入して会計担当の人員を削減して商品開発等に回して品質を高める、というのも学園祭では何か変な気がします。キャッシュレスの手数料を払ってまでやる価値があるか、ということです。ということを考えていたら他大学の学園祭に行ったゼミ生からPayPayで支払い可能な模擬店があったと教えてもらいました。主流にはならないと予想していますが、これは日本全体のキャッシュレスの動向次第ですね。

実際のビジネスでは、リスク管理の話が追加されてきます。例えば、個別の予測は難しくても全体の来客数は例年と大きく変わらないはずです。そこでファイナンス論や保険論では、全体で管理して分配した方がリスクを少なくできる、という発想を持ちます。分散投資というやつですね。一方で、そんなことをしたら各模擬店が頑張る意欲を失ってしまう、という経営組織論的な発想もあります。モラルハザードというやつです。

もちろん利益を追求するのが学園祭の目的ではないと思います。販売して終わり、だとまるでビジネスライクで学園祭の趣旨ではないはずで、知り合いの企画や模擬店に行ってみてつながりを増やしたり、自分達のやっていることを知ってもらったりするのが本来の目的だと思います。

と、色々考えつつもこれは実際に出店せずに理屈を語っているだけですね。やってみなければ分からないことはたくさんあります。それが経営や経営学の難しくかつ面白いところではないでしょうか。え?じゃあ木下ゼミも出店してみろって?うーんそれはどうでしょうか。検討します。


                             木下 亮