2013年11月26日火曜日

何が“ゼミらしさ”を決めるのか―ゼミ生へのインタビューより―

はじめまして。流通マーケティング学科教員の北村真琴と申します。授業では「マーケティング論」「サービス・マーケティング論」「ケース・メソッド」などを担当しています。

これまで本ブログでは、多くの先生方がゼミ活動について紹介しています。これは多分、ゼミが大学特有のものだからでしょう。「ゼミ」とは「ゼミナール」の略称で、「演習」とも呼ばれます。小学館『デジタル大辞泉』で「演習」と引くと、“練習”や“(特に非常時に備えるための)訓練”という意味に続き、3番目に「大学・大学院などで、教授の指導のもと学生が研究・発表・討議を行うことを主眼とした、少人数の授業の形式」とあります。この活動・時間・場所が、ゼミと呼ばれるものです。

大胆に言ってしまえば、高校までは、「問いは他人から与えられるものであり、その答えは教科書や資料集を読めば見つかるもの」でしょう。他方、大学では、「問いは自分が立てるものであり、その答えらしいものは文献を読んだり、データベースを触ったり、現場に行き観察や取材を行うことで、自分で見つけるもの」なのです。ここで私は、あえて“答え”ではなく、答え“らしい”ものと書きました。自分の見つけた答えが答え“らしい”こと、他の答えよりもそれが答えだと考える方が自然だということを、論理やデータを駆使して他人に論理的・説得的に伝えること。社会科学ではこれが肝心です。ゼミでは、以上の「問いを立て、答えらしきものに迫り、それが答えらしいことを他人に伝えるプロセスや方法」を、学生が主体的に学んでいきます。教員はあくまでも学生のサポーターにすぎません。

ぼんやりとでもゼミのイメージがわいてきたでしょうか?では、今日のテーマです。それはずばり、「何が“ゼミらしさ”を決めるのか?」です。上記の通り、現場で取材するのも、答えに迫る1つの方法でしたね。というわけで、このテーマに関して当ゼミ生に質問しましたので、彼らの生の声(叫び?)をお聞き下さい。

なお、当ゼミは一部の先生方や学生に“ガチゼミ”と呼ばれるような(汗)、“ゼミぐらいは本気で頑張りたい”という学生にうってつけのゼミです。その点を差し引いてお読み下さいね。


Q)授業とゼミを比べて、一番違うと思うところはどこですか?

「ゼミでは先生の意見ではなく、同世代の学生の意見が聞ける」(3女)
「授業では“あ、そうか。分かった”と感じるが、ゼミでは“あ、私ってダメだ”と感じる」(3女)
「授業は毎回のスタイルが固定的だが、ゼミはプレゼンテーションをしたり、就職活動対策をしたりと、やることが毎回変わり、多様性に富む」(3男)
「授業は知識を身につける場。だとすると本を読む方が早いことさえある。他方、ゼミは実践の場」(4男)
「ゼミでは、高校時代のクラス・部活のような仲間が持てる」(3女)

Q)いつ、どこで、何をしている時に、自分がゼミに入っているんだと実感しますか?

「サブゼミ(授業以外の自主ゼミ)で閉校時間まで大学にいる時」(2男)
「サブゼミで一人暮らしのゼミ生宅で徹夜する時」(2女)
「他の授業のレポートを書いていて、ゼミ生や先生から指摘されそうなことが脳内再生される時。誰がどういうことを言いそうかまで勝手に想像されてしまう」(3女)
街頭で6時間インタビュー調査をしたが、一人も標本が集まらず、最後に警備員に怒られた時」(4男)

Q)ゼミに入ってから、最も嬉しかったことと、逆に最も辛かったことは、何ですか?

「京都における他大学との合同ゼミで、ゼミおよびその後の懇談会で打ち解け、遠方に仲間ができたこと」(3男)
「普段はダメ出しされることが多いゼミの先輩から、褒められたこと」(2女)
「仮説を棄却するような調査結果となり、仮説の修正を迫られたこと」(2女)
月間で調査・集計・分析・パワーポイント資料作成・プレゼンをこなしたこと。時間的にも精神的にも余裕がなかった」(3男)

Q)ゼミに入る前と比べて、自分の中で何か変化はありましたか?あるいは、ゼミに入っていない友人と比べて、今の自分はどこが違うと思いますか?

「人前で発表しても緊張しなくなった。授業のレポートをスラスラ書く力がついた」(3男)
「授業で発言するようになった。周りも、ケース・メソッド(流通マーケティング学科の科目名)発言するのは、ゼミに入っている人ばかり」(3男)
「大学に来る目的がはっきり感じられるようになった。出席点のために大学に行くこともあった自分が、大学に入って良かったと思えた」(3女)
「もともと私は個人作業が好きだった。だがゼミのグループ研究を通じて、個人よりも難しいけれど楽しく、充実感があることを知った」(3女)
「自分をしっかり見てくれる人がいる。ゼミに入っていない人は就職活動の他己分析なんてやれるのか?!とさえ思う」(3女)


いかがでしょうか?どのような活動から“ゼミらしさ”が醸し出され、ゼミ生がどのような瞬間に“ゼミ生らしい”と自覚するのかに関するヒントが、回答の中に多数散りばめられていたのではないでしょうか?


とはいえ、もちろん「百聞は一見に如かず」です。自分自身で各ゼミに関する情報を集め、オープンゼミ(次年度ゼミ希望者のための公開ゼミ)や、経営学部ゼミ研究報告会(今年度は1221日(土)13時より)に参加してみること。これも各ゼミの“らしさ”に迫るための調査活動です。多数の皆さんのご参加をお待ちしています。

文責:北村真琴(流通マーケティング学科 准教授)