2015年3月2日月曜日

卒業式は、どんなファッションやヘアスタイルがいいですか?


【学問のミカタ】ブログ全学コラボテーマ 『卒業』

 
経営学部の本藤貴康(流通論、流通マーケティング入門、地域インターンシップ担当)です。毎月、学内横断的に同じテーマでブログを書くことになりました。初回のテーマは「卒業」です。

寒さが和らぎ始めると「卒業」の季節です。この「卒業」に焦点をあてたマーケティングは、数多く仕掛けられています。マーケティングと一言で表現しても、ブランディング(ブランド価値の育成・確立)も見られますし、プロモーション(販売促進や営業促進)は枚挙にいとまがありません。

みなさんは「卒業」というと、記憶の中で飛び交う曲がありませんか?

丙午:ひのえうま世代(1966年度生まれ)の僕にとっては、『ほたるの光』でもなければ『仰げば尊し』でもありません。柏原芳恵の『春なのに』が断トツのポジションを獲得しています。これはちょうど僕の高校1年の冬にリリースされたヒットソングで、明らかに春の卒業シーズンを意識したタイミングでした。「卒業」という節目に絡めたヒットソングを挙げるとキリがありません。ほかにも、『卒業』(尾崎豊)は3月にリリース、『さくら』(森山直太朗)は3月にリリース、『卒業まで、あと少し』(GLAY)は2月発売のアルバムでリリースなどのように、リリースの時期をマーケティング戦略的に設定してロングヒットのポジションを獲得しています。これは、マーケティング的な視点から考えると、ブランディングを意識した戦略と言えます。(もちろん、卒業ソングもタイミングを敢えてズラすこともありますが・・)
 



プロモーションについて考えてみます。大学生が卒業前に消費するシーンとしては、卒業旅行、卒業式、卒業コンパなどがメインイベントかもしれませんが、卒業後(入社前)の消費活動としては、仕事用の洋服や小物の購入はありますし、一人暮らしを始める新社会人は新生活グッズの購入もありそうです。
最近は、卒業旅行も1回だけではなく、部活やサークルの友達との卒業旅行、ゼミの卒業旅行、個人的な少数グループでの卒業旅行など、何回もの卒業旅行が企画されています。卒業式では、女子学生は「袴」や「ドレス」を買ったりレンタルしたりします。大学近くの美容室では、卒業シーズンが近づくにつれて着付けやヘアセットなどの営業広告が加速しています。

このような節目における消費者の購買行動は、予算上限の歯止めがゆるくなる傾向が強まり、核となる商品やサービスに多様なオプションを用意して、「あなただけのプラン」を選択肢として見せることは売上アップにつながります。「卒業」のような節目の消費活動では、「みんなと同じように」という同質化の需要喚起と「あなただけの」という差別化の需要喚起の両面からの働きかけが可能になります。みなさんも、「友達と同じように着飾りたい」という気持ちもあれば、「同じ袴やドレスは着たくない」という気持ちも理解できるのではないでしょうか。



 
文責:本藤貴康(東京経済大学教授)
担当科目:流通マーケティング入門、流通論、地域インターンシップ、
フレッシャーズセミナー