2016年6月13日月曜日

【学問のミカタ】車が減ると駐車場は要らなくなる???

経営学部の本藤です。
今月の【学問のミカタ】のお題は「乗り物」ですが、みなさんの実家に自家用車はありますか?
自家用車が必要かどうかは、住んでいる地域の公共交通機関の発達具合によって変わりそうです。
都心部に住んでいる場合には、JR、私鉄、地下鉄、バスの交通網が縦横無尽に張り巡らされていて、平日に自家用車を利用する以外に必要ないかもしれません。逆に、地方都市になると、バスが1時間に1本しかなく、そのバス停さえも自宅から徒歩10分かかるようなケースも珍しくありません。


そのような実情を反映しているのか、普通自家用車の所有台数トップは愛知県ですが、世帯あたりの所有台数トップは福井県で、一人あたりの所有台数では群馬県がトップとなっています。そして、自家用車の一人あたり台数で見ると、東京都は最下位です(東京都は人口が多いことも理由かもしれません)。
そして、この普通自動車の数は徐々に減少する傾向を示しています。


商品流通に関して「乗り物」の話題と言えば、物流に話題を転じることが多いのですが、残念ながらボクの研究領域として物流はあまり登場しません・・・(^_^;)
ボクの研究領域から「乗り物」を考えると、自家用車の利用状況は、お客様の買い物行動(もう少し具体的に言うと「お客様の来店方法)に影響を与える点で影響があると感じます。


自動車の利用が減っていると指摘されていますが、これは高齢化が背景にあると言われています。高齢者は日常生活圏が、中若年層と比較して狭くなりがちです。一説によると、70歳以上の高齢者は、日常生活の80%を自宅から400m圏内で完結しているとも言われています。
ただし、高齢者にとっては、重い荷物を持って帰ることも大変なので、それを想定してネットスーパーが広告宣伝を積極的に行って、需要開拓を図っています。
とは言うものの、高齢者がインターネットを気軽に使うような社会は、もう少し先になりそうですから、まずは店舗が宅配サービスを行ったりもしています。


消費者が最も近くの店舗で買い物をする食品スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストアの業績が相対的に好調なのは、このような生活者の変化が要因となっている面もあります。
これらは小商圏業態とも最寄型小売業態とも言われています。比較的遠くからお客様を呼び寄せなくてはならない郊外型の小売業としてホームセンターがありますが、ここが主な購入先だったペット用品や園芸用品などは少しずつドラッグストアで購入されるようになってきています。



これは高齢者に限らないトレンドと言えるかもしれません。
近年は、夫婦共働きや単身の世帯が増えてきていて、買い物をする時間も少なくなってきていると言われています。そうなると、生活必需品を近くのお店で購入するだけという人が増えているのも納得させられます。

それでは、多くの人が徒歩圏で買い物をするのであれば、小売業に駐車場は不要になるのでしょうか?

実は、徒歩圏にある小売店でも、お客様は自動車を使う人が増えてきています。自動車も普通自動車は減少傾向にあるのに対して、軽自動車の保有比率は着実に上昇傾向にあります。ですから、食品スーパーはもちろん、たとえコンビニエンスストアでもドラッグストアでも駐車場は小売店舗には不可欠な条件になってきています。


高齢者の構成比率が急速に増えつつある日本では、生活者の買い物の仕方も変わってきますし、求められるサービスも設備も変わってきています。ビジネス側としては、できるだけ多くのお客様の満足を獲得できるようにビジネスモデルを継続的に修正していかなければなりません。
つまり、生活者は日々変化しているので、ビジネスも日々変化する生活者に対応して変化する必要があるわけで、そのために生活者のニーズを把握し続けなくてはなりません。


【学問のミカタ】
他学部やセンターからも、同じ「乗り物」をテーマとしたブログがアップされています。
高校生の皆さんは、他の【学問のミカタ】に是非ともお立ち寄りください。
・経済学部ブログ「公共交通機関はぜいたく品?
・経営学部ブログ「車が減ると駐車場は要らなくなる???
・コミュニケーション学部ブログ「『乗り物』をデザインする力
・現代法学部ブログ「ベビーカー問題にみる、子育て環境のバリアフリー化について
・センターブログ「急ブレーキは危険です



文責:本藤貴康(流通マーケティング入門、流通論、地域インターンシップ担当)
本藤ゼミナールBLOG http://hondo-seminar.blogspot.jp/