皆さん、こんにちは。経営学部教員の柴田です。
東京経済大学では、海外の協定校・友好校の学生を対象に、日本語や日本文化を学んでもらう短期留学プログラム「TKU Japan Study Program」を毎年7月と2月に開催しています。今回は2月13日(月)から27日(月)まで、韓国の2つの大学と中国の5つの大学から来日した短期留学生14名が参加しています。歓迎パーティーの様子は、本学の大学ニュースでも紹介されています。
この短期留学生の皆さんと、柴田ゼミの2年生が一緒にグループワークを進めて、23日(木)に発表会を行いました。
一緒に考えてもらうテーマは、「日本のコンビニエンスストアは、中国や韓国に進出して、すっかり馴染み深い存在になっている。しかし、同じチェーン店であっても、いろいろと日本と違う部分がある。どこが同じで、どこが違うかを実際に店舗を調べて、なぜそのような違いが生まれるのか、その理由を考えよう。」というものです。東京経済大学周辺の徒歩圏にも、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの3大チェーンのコンビニエンスストアが出店しています。まずはみんな一緒に店舗を見てまわり、その後、教室で「同じところ」「違うところ」をなるべくたくさん取り上げて、内容を整理します。下の写真は、みんなで話し合っているところです。
話し合いの結果をもとに違いが生まれる理由を考えて、最終的にパワーポイントで資料作成して、短期留学生の皆さんに日本語で発表してもらいました。こちらの写真は、発表の様子です。
経営学では、さまざまな国や地域で同じ製品、同じビジネスの仕組みを導入していくことを「グローバル化」、それぞれの国や地域の特性に合わせた別々の製品、別々のビジネスの仕組みを導入していくことを「マルチナショナル化」、あるいは「マルチドメスティック化」と呼びます。たとえばAppleが全世界に同じようなiPhone(厳密に言えば、ACアダプタのプラグ形状とか、電話会社ごとの電波方式に合わせて小変更を加えていますが)を導入していくことが「グローバル化」の典型ですし、日清食品が各国の味の好みに合わせたさまざまなカップめんを導入していくことが「マルチナショナル化」の典型です。実際のビジネスでは、その中間の状態で進められていくことが多いのですが、そのバランスは、環境の違いによる部分が大きいわけです。コンビニエンスストアを見ていると、日本ではどのチェーンでも店舗での商品販売だけでなく、公共料金、税金、年金の払い込みや、宅配便の発送、受け取りや、情報端末を使って大学入試の受験料の払い込みや、コンサートチケットの購入などを行うこともできます。また、来客が使えるトイレを用意しているところがほとんどです。しかし海外では、同じセブンイレブンであっても、商品販売以外の付加サービスは限定的ですし、来客用のトイレは見かけません。一方、中国や韓国では電子マネーの普及が進み、短期留学生に聞いても現金のたくさん入った財布を持ち歩くことはないと言います。(「マクドナルドで現金しか受け付けない、というので驚いた。」とも語っていました。)このあたりは日本より進んだ仕組みが導入されているようです。
コンビニエンスストアの本部の海外事業担当者は、当然各国で違いのあることは充分承知しているはずです。しかし「こちらの方が、もっと便利な良い仕組みだ」と思えることを、全ての国に同じように導入しているわけではありません。ではなぜ、各国で違いが生じるのか?については、さまざまな理由があり、とても一口で説明できるものではないと思います。それを自分たちの身近な体験を通じて、少しずつ解明していくことが、大事な学びになるはずです。経営学は、私たちの身近なところから始まる学問なのです。