2017年5月8日月曜日

上海ディズニーランド現地取材報告

流通マーケティング学科の丸谷です。17回目の執筆です。
 私はグローバル・マーケティング論(簡単にいうと海外でどのようにマーケティングを行っていくのか)を専門分野にしているので、海外に出張に行くことが多く、このブログでもインド、チリ、香港の出張の模様をこれまで取り上げてきました。

 今回は4月に有斐閣より出版された「グローバル・マーケティング戦略」の中でも取り上げているディズニーランドの戦略について追加取材のため、上海ディズニーランドへ取材に行ったので報告いたします。なお、ディズニーランドの海外取材報告は香港ディズニーランド現地取材に続き2回目です(詳細は11回報告をご覧ください)。
                                        
上海ディズニーランドは、2016616日に開業した中国本土初となるディズニーランドです。場所は上海の浦東国際空港の近くに建設されました。なお、上海にはもう一か所虹橋にも国際空港があり、中心部からのアクセスや建設経緯を考えると、浦東が成田、虹橋が羽田と近い関係にあるといえるかもしれません。

東京ディズニーランドが東京ディズニーランド、ディズニーシー、イクスピアリ、ホテルなどで構成する東京ディズニーリゾートの中に立地するのと同様に、上海ディズニーランドも上海ディズニーリゾートの中に立地しており、中国語版ライオンキングを上演中のウォルト・ディズニー・グランド・シアターという劇場も含むショッピングエリアのディズニータウンが201657日に開業しています。


ウォルト・ディズニー・グランド・シアター


当日は私が以前勤務していた愛知大学時代のゼミのOGが上海に在住していたので連絡を取り、取材に同行してもらいました。彼女は現在現地の大学で中国語の勉強をされており、既に一度上海ディズニーランドに訪問されているとのことで、ネットを通じたチケットの予約から、地元での評判や取材準備など非常に助かりました。

私も教員生活が長くなりにつれ、彼女以外にも最近はゼミのOBOGに現場取材などでお世話になることが増えそういった際にOBOGの成長を見るのは、大学の教員としては楽しみの1つではあります

現地在住のOGとの再会

当日はOGの大学終わりの1時に私が宿泊したホテルのロビーで待ち合わせをし、こちらも事前予約しておいたタクシーで向かいました。なお、中国ではタクシーのネット予約システムが大変普及しています。上海の前に取材した地方都市の貴陽でもこのシステムを使い、非常に安価できれいなタクシーを利用することができました。このシステムはネット予約管理会社を通じてに電子決済するので、直接のお金のやり取りがないので、非常にで安全なようでした。

エントランスに到着すると、ゼミのOGがネット予約してくれたので、スマホの画面を開いて機械にかざすと入場できました。待ち時間も全くありませんでした。事前の取材によれば、中国の方はキャラクターと写真を撮ったり、あまりしないとのことだったので、確認に行きました。私も初めて写真を撮りましたが、待ち時間は数分でした。事前取材ではあまりサービスは良くないとのことでした、そんなことはなくカメラマンと案内の方が二人で丁寧な対応をなさっていました。

  頑張っているカメラマンと案内の方

もちろん、日本のディズニーのような一貫したきめ細かなサービスは期待できないのですが、個々の従業員の中には頑張っている人も多く、香港ディズニーランド取材で感じた少し残念な従業員の対応との違いを感じました。

ディズニーの象徴はお城なので、まずはお城を見に行きました。メインキャッスルの魔法にかかったおとぎの城は、高さ約60mとディズニー史上最大であり、すべてのディズニープリンセスを象徴する世界初のキャッスルだそうです。実際規模は大きく夜にこのお城に向って投影されたプロジェクションマッピングを用いたショーは素晴らしかったです。

お昼を過ぎていたので、現地の中華料理のレストランを訪ねました。隠れミッキーを探しつつ入店し、メニューを見ると、香港でも対応していたのですが、ベジタリアン向けのグルテンフリーの食事があったので、食べてみました。味は普通でしたが、ミッキーの耳を形どった芋の揚げ物が入っており、多様な食文化への対応やちょっとした工夫も感じられる食事でした。

グルテンフリーの食事

今回は上海ディズニーに新規導入されたアトラクションを中心に調査しました。午後のキャラクターたちのパレードを見た後、目玉アトラクションである「パイレーツ・オブ・カリビアン:バトル・フォー・ザ・サンケン・トレジャー」(Pirates of the Caribbean Battle for the Sunken Treasure)を体験しました。香港ディズニー同様待ち時間はほとんどなくスムーズでした。海に沈んだ財宝を争う海賊同士が戦うカリブ海を旅するスタイルなのですが、戦いの中に最新技術を用いて入り込める感覚は独特でした。

   パイレーツ・オブ・カリビアン:バトル・フォー・ザ・サンケン・トレジャー 

次に映画『トロン:レガシー』の世界をバイク型のローラーコースターで駆け抜けるトロン・ライトサイクル・パワーラン(TRON Lightcycle Power Run)を体験しました。ディズニーというよりは普通のユニバーサルスタジオという感じではありましたが、世界観にあわせた作り込みは素晴らしく、近未来に没入することができました。


            
トロン・ライトサイクル・パワーラン

今回の取材全体を通じて、ハードが超一流であることを体感しました。現時点でも上海に行く機会があるなら、半日程度時間を割くことをお勧めします。今後成功できるかどうかは、充実させていく予定のハードとともに、従業員教育を含むソフト面をいかに高めていけるかだと改めて実感しました。

ハードは数回乗ればなれてしまいますし、最初に来てもらうきっかけでしかない。東京ディズニーランドがあれだけの成功を収めているのはリピーターを呼べているからだと考えられるからです。もちろん、中国は日本に比べ人口も多く、全土から集客できれば一定の期間の賑わいは確保できるでしょうが、それでも限界はあるので。

               文責:丸谷雄一郎(流通マーケティング学科 教授)