2018.04.09
経営学部の本藤です。
突然ですが、我が家の家訓として、自慢話は伝え方に十分に配慮しなさいと自分の子供たちに教えています。実は、本藤ゼミの学生にも伝えています。
基本的に、自慢話を心の底から喜んでくれるのは自分の家族くらいしかいないと思った方がいいというのが僕の持論です。
なぜそんな話を突然し始めたのかというと、企業がテレビを通して流すCMというのは、本質的にこの自慢話と大差ないと思ってしまうからなのです。最近は、広告の打ち出し方も、人知れず読ませるステルス・マーケティングのように、一見すると私企業の広告とは分からない形態をとるものも増えてきています。
SNSが人々の生活に浸透してきて、テレビなどのマス広告が効かなくなってきたと言われていますが、それに対応するために、企業の広告戦略として、有名なユーチューバーやインスタグラマーを通じて発信するようなものが急増してきています。
前述の通り、日常生活でも自分から発信する自慢話だとその内容が頭に入ってこないことが多いのですが、第三者がその人についてしてくる噂話になると、むしろ興味津々に聞く姿勢が変わってきて頭に入ってきたりするものです。だから、口コミや雑誌記事などのチャネルを通じて戦略的に情報発信することが増えてきていると言えます。製品の機能や品質は、ニュース・リリースを矢継ぎ早に放って、第三者に発信してもらう方が効果的なのです。これはマーケティングのプロモーション的に、広告活動ではなく広報活動になります。
じゃあ、CMは何を伝えるようになってきているのでしょうか?
企業イメージがその企業がつくる製品に対しての信頼性や愛着につながるので、イメージ訴求が重要な訴求コンテンツになってきています。
以前(2017.10.23)に、このブログで紹介したライオンのクリニカキッズのCMも、まさにそんなコンテンツでしたが、今日はパナソニックのCMを紹介してみます。
どうでしょうか?
自慢話の色合いは(最後の方で少し漂っていますが)基本的にストーリーのインパクトを引き上げて、鮮烈なイメージを与えています。つまり、自慢話の伝え方に配慮がなされているとも言えます。お年寄りにも簡単に使えるところから、CMであることを忘れさせるストーリーが素晴らしいです。じーんとしてくるCMは、誰かに伝えたくなりますね。SNS全盛時代の現代では、広告起点であっても、口コミで拡散させられなければ、そのコンテンツは誰にも伝わらずに雲散霧消するしかなくなるのです。
僕も、誰かに伝えてもらえるような授業をしていきたいと思っています。
今日から新年度の授業がスタートします。
文責:本藤貴康(担当科目:流通論、流通マーケティング演習)
本藤ゼミナールBLOG http://hondo-seminar.blogspot.jp/