2018年6月17日日曜日

会社入門の授業でビジネスゲームを行いました

 皆さんこんにちは、経営学部教員の柴田高です。
 今回は、1年生向けの授業「会社入門」の中で行ったビジネスゲームについてご紹介しましょう。
 「会社入門」という科目は、経営学部に入学したばかりの学生に向けて、株式会社というものが何を目的としていて、どのような組織で、どのようにして仕事を進めているのかを、できるだけ分かりやすく、具体的に紹介する科目です。アメリカで発展してきた経営学という学問分野は、大企業、とりわけ製造業(メーカー)の発展の歴史的分析の上に体系化されてきました。これから経営学というものを学んでいく上で、株式会社という存在をきちんと理解することがとても重要なのですが、会社員の経験もなく、今年の3月まで高校生だった新入生にとっては、実感を持って理解することがなかなか難しいかもしれません。私自身は、大学教員として奉職する前に、たまたま大手製造業の社員だったので、会社を内側から眺める機会に恵まれていたのですが、これを新入生の皆さんに伝えようとすると、それはそれで結構難しいものがあります。そのため、2017年度からまず「会社入門」という科目を用意して、会社の概要を理解してもらうようにした訳です。

 この「会社入門」では、通常の週は担当教員が説明を行う、ごく普通の授業形式なのですが、途中で2回、グループワーク形式によるビジネスゲームを行っています。これには日本証券業協会の証券知識普及プロジェクトから無償で提供して頂いている「ケーザイへの3つのトビラ」という教材を利用しています。6月11日(月)の授業では、この中の「ワールドトレジャーランド再生計画」というビジネスゲームを行いました。ここでは学生一人一人がテーマパーク「ワールドトレジャーランド」を経営する取締役の一人になったつもりで、経営者の意思決定のプロセスを学びます。近年、売上減少が続くこのテーマパークでは4人の担当社員が「設備投資を増やす」「スタッフの質を向上させる」「広告・宣伝を増やす」「無駄な費用を削減する」などの対応案を持ってきます。経営者の1人としては、まず4人の意見に耳を傾け、その効果を自分なりに評価します。以下の写真は、その評価を行っているところです。


 次に、4人から6人のグループを作り、これが「ワールドトレジャーランドを経営する取締役会のメンバーである」と想定して、各取締役の意見をもとに議論を行って会社としての一つの意見に集約する「取締役会」を開きます。以下の写真は、取締役会としてグループごとに話しをしているところです。


 各グループでは、自分たちが選択した案をもとに、それを具体的にどのように進めていけば業績を向上させることができるかを考え、発表資料にまとめます。この発表資料に基づき、実行案をそれぞれのグループごとに代表取締役社長を務めるリーダーが発表します。これは株主総会での会社側の事業計画の提案に相当します。学生の皆さんは、今度は各自が株主の1人になったつもりで、自分たち以外のグループの中では、どのグループの発表内容がいちばん優れているか、評価シートに記入していきます。以下は、グループごとの発表の様子です。

 このようにして、会社における意思決定のプロセスを疑似体験してもらうわけです。終了後、学生の皆さんに感想を記入してもらうと、「会社経営の難しさを実感した。特に株式会社は株主の配当のことを考え経営しなくてはいけないことの重要性がわかった。」とか「解決策はいろいろあり、その事業計画が成功するかどうかで売上も変わってくるということがわかった。」「自分の意見が通るとは限らず上手くまとまらない可能性があるとわかった。また、自分の意見には責任が生じるのだと実感した。」などの意見が多く集まりました。この場を通じて、教材を提供して頂いている日本証券業協会の皆様にも感謝の気持ちを述べたいと思いますし、新入生の皆さんも、ビジネスゲームを通じて会社というものの理解が進んだのではないかと思っています。