2020年6月22日月曜日

フランス発スポーツ製造小売の巨人デカトロン関東出店


 流通マーケティング学科の丸谷です。37回目の執筆です。私はグローバル・マーケティング論(簡単にいうと海外でどのようにマーケティングを行なっていくのか)を専門分野にしているので、海外に出張に行くことが多く、このブログでも米国、インド、中国、チリ、ペルー、ブラジル、ケニアの出張の模様を取り上げてきました。
 海外出張では小売業者の店舗調査を行うためにショッピングモールをよく訪れます。そんな時に日本ではあまり見かけないけれど海外では頻繁に見かける店舗があります。その代表例が今回取り上げる「デカトロン」です。
201910月のブログでも取り上げたケニアでも、20202月末から3月初めに初めて行ったガーナでも、デカトロンはショッピングモールの目玉店舗の1つとして出店しており、人気があるようでした。
ケニア首都ナイロビでは卓球を店内で楽しむ姿がありました。

ガーナ首都アクラのショッピングモールの主要テナントして出店
日本のスポーツ用品を扱う量販店の多くはスポーツオーソリティ、ゼビオのようにナショナルブランドメーカーの商品を取り扱う巨大店舗をチェーン展開することによって値ごろ感を出して販売し利益を出すタイプか、ナイキ、アディダスのように世界的有名な自社ブランドが自社のブランドをある程度の高価格で販売するタイプが主流です。 

 デカトロンはフランス発祥の製造小売業者であり、世界61か国に約1,700店舗(20202月現在)を展開し、スポーツごとにオリジナルブランドを立ち上げ、80種類以上のスポーツの製品を取り揃え、それらの多くは低価格から中価格の自社ブランドであり、ユニクロのスポーツ用品版ともいえます。
 デカトロンのスポーツ用品店ならではの特徴としては、商品に触れる場としての店舗という位置づけが徹底されていることです。ケニアの首都ナイロビの店舗の写真にもあるように、店舗内に実際に商品を試してみるスペースが大きくとられています。初心者向けの安価な商品を試してもらうことによって、スポーツ愛好者を増やし、相談に来たらさらに上級のものを進めることによって顧客を育成しているようでした。お店ではレジで会計させることを促すのではなく、商品に示される四次元バーコードを読み取られせることによってオンライン販売を促し、手ぶらでの帰宅を促していました。

ガーナではウエイトトレーニングが人気のようでした。
そんなデカトロンが2019329日に日本で上陸しました。1号店は関西の二子玉川ともいえる西宮の西宮ガーデンズ内です。私も201910月に現地調査しましたが、西宮というトレンドに敏感な家族連れが多く住む好立地ということもあり、平日であったにもかかわらず、多くの家族連れでにぎわっていました。デカトロン出店の際には黒船的存在としてワークマンプラスとともにマスコミでも連日取り上げられ、話題にもなりました。
サッカーボールを試す親子

プレイグランドでバドミントン

そんなデカトロン出店から一年満を持して、2020424日にイオン幕張店1階にオープンするという情報が入ってきました(新型コロナウィルス対応を経て5月22日に開店)。
ホームページの告知によれば、

「デカトロン幕張店は、約2,500㎡の店内で、キャンプ・ハイキング、サイクリング、ゴルフ、ランニングなど約40種類のスポーツ、13,000点以上のアイテムをご提供します。
また、店外(テラス)に設置される約400㎡の体験ゾーンはまさに「もっとスポーツに気軽に触れていただきたい」という気持ちがこめられた場所です。この広いスペースで自転車の試乗やテントの設置・撤収など実際に製品に触って試していただけるだけでなく、インラインスケート教室やヨガクラスなど定期的にスポーツイベントも開催していく予定です。
また、スポーツに触れ、スポーツの魅力をもっと知っていただけるように、Decathlon club(デカトロンクラブ)を設立し店舗周辺のスポーツパートナーと提携、スポーツコミュニティの構築と拡大を図っていく予定です。パートナーの方は、スポーツイベント会場として、デカトロン店舗のプレイグランドをご利用いただけます。
さらに、デカトロン幕張店内に、お客様と交流するコミュニティエリア、自転車の修理を請け負うワークショップ、各種キャンプテントのディスプレイコーナー、クロスフィット体験エリアなど、スポーツや製品について知り、実際に体験していただけるコーナーを豊富にご用意しています。」とのことです。
1年間の周到な準備をした上での関東上陸は流通業界にとっては大きなトピックといえます。ようやく自粛期間も終わりましたし、新型コロナウィルス対策をしっかり行った上で、フランス発の新たな形態のスポーツ量販店を訪れてみてはいかがでしょうか。
(文責 流通マーケティング学科教授 丸谷雄一郎)