2021年7月26日月曜日

ブログをきっかけにオンライン講演会で講演

流通マーケティング学科の丸谷です。44回目の執筆です。私はグローバル・マーケティング論(簡単にいうと海外でどのようにマーケティングを行なっていくのか)を専門分野にしているので、海外特にラテンアメリカに関する情報を得るために普段から映画をよく見に行っており、このブログ(2020127日月曜日「2つの映画祭でラテンアメリカ映画三昧」)でも映画祭を訪れた際の出来事を紹介しました。今回はこのブログがきっかけで頂いたオファーに対応した講演会について紹介します。

私はメキシコで生まれ、ラテンアメリカ地域を対象に研究を行っていることもあり、ラテンアメリカ関係の講演会のお仕事なども頂くのですが、今回は上記のブログをご覧になった京都外国語大学のラテンアメリカ研究所(IELAK)の方からの講演会の依頼でした。

京都外国語大学は学内に在京都メキシコ名誉領事館、在京都ニカラグア名誉総領事館、在京都グアテマラ名誉領事館、京都ラテンアメリカ文化協会といったラテンアメリカ関連の組織を置くなど、ラテンアメリカとの交流には積極的な大学として有名です。

ラテンアメリカ研究所は1980年に設立された京都外国語大学メキシコ研究センターを前身とし2001年には「京都ラテンアメリカ研究所」(2016年「京都外国語大学ラテンアメリカ研究所」に改称)として設立され、ラテンアメリカを対象に調査研究を行うと同時に、成果を研究者や市民に情報発信され続けています(第18回は上記のラテンアメリカの楽器に関するテーマでの講座でした)。


今回オファーを頂いた講演会も研究成果の情報発信の一環であり、今年度の第19回ラテンアメリカ教養講座「いま「ラ米映画」が面白い ~映画でひも解くラテンアメリカ世界~」で19回目の取り組みです。本来なら昨年度に行われる予定でしたが、新型コロナウィルス蔓延に伴い延期となり、オンラインでの開催となりました。

私は全5回のうち第2回担当「ネット配信普及でアクセスしやすくなったメキシコ・中米映画」というタイトルで以下のような概要の講演をしました。

1.はじめに                  

2.ネット配信でアクセス可能な代表的メキシコ・中米映画

3.ネットフリックスの代表的成功作となった『ローマ』

4.グアテマラ映画『ラ・ヨローナ伝説』

5.結びに変えて

「はじめに」では、ネットフリックス、アマゾンプライム、Huluといったネット配信が普及したことにより、従来よりも簡単にアクセスできるようになった現状をお話した上で、「ネット配信でアクセス可能な代表的メキシコ・中米映画」として人気がが高いネットフリックス作品である『1994 権力、反乱、犯罪、メキシコ激動の年』『ナルコスメキシコ編』『いつか君と』などを紹介しました。

さらに、ネットフリックスの代表的成功作となった『ローマ』では、上記潮流の契機となったネットフリックスの代表的成功作『ローマ』を取り上げ、その前提となった2010年代米国アカデミー賞監督賞を2013年~2018年の間に3人で5回受賞し世界の映画界を席巻したメキシカンニューシネマ(El Nuevo Cine Mexicano)についても解説した。

その後、「グアテマラ映画『ラ・ヨローナ伝説』」ではグアテマラ映画『ラ・ヨローナ伝説』が注目されるハイロ・ブスタマンテ監督についても取り上げ、「結びに変えて」では、コロナ禍で報告が1年延びたことを踏まえて、最近の注目作として、2020年メキシコアカデミー賞(アリエル賞)最優秀作品賞受賞『そして、俺はここにいない(Ya no estoy aquí)』、2019年アリエル賞4部門受賞作『グッド・ワイフ』などについて取り上げた。

オンラインでの開催ということもあり、全国からラテンアメリカ映画に関心がある方だけではなく、ラテンアメリカ地域の様々な領域の研究者の方々から、ラテンアメリカ文化に関心がある方々やマイナー映画に関心がある方まで多様な皆様が参加頂き、講演中に募集したチャットからの質問をみても、かなり多様な視点を提示して頂いた。


こういった機会を頂くと、自身の関連研究分野について改めて振り返る機会にもなり大変ありがたいのだが、今回も見ようと考えてなかなか見れていなかった多くの秀作を鑑賞できた。なかなか不自由な状況ではあるが、触れる機会が秀作も多く生み出されるメキシコ・中米映画について鑑賞してもらえればと思います。
(文責:流通マーケティング学科 丸谷雄一郎)