経営学部で企業金融論を担当している木下です。
東京経済大学では2020年度以降の入学生を対象として、ファイナンスコースが設置されます。そこで、今回は金融・ファイナンスの仕組みと役割について簡単にお話しようと思います。
金融とは、資金の貸し借りをする仕組みのことです。以下の状況を考えましょう。
・Aさんは、ビジネスのアイデアと実行する能力を持っていますが、資金がありません。
・Bさんは、ビジネスのアイデア等はありませんが、資金が余っています。
このとき、AさんとBさんが出会うことができれば、AさんはBさんから資金を借りてビジネスを行うことができます。金融という仕組みが無ければ、社会にとって有益なビジネスが発生しないかもしれません。金融は能力のある人材や資産を有意義に活用するための根幹であるとも言えます。AさんとBさんが出会うための仲介を行っているのが、銀行や証券会社等の金融機関です。銀行は預金者の代わりに企業を探して融資を行い、証券会社は投資家に企業の株式等を紹介してくれます。
資金が余っているといっても、長期で運用したい人もいれば、短期で運用したい人もいます。同様にリスクの許容量に関しても個人差があります。また、リスクある投資を行うときには、その分高い収益を期待するでしょう投資家が適切な投資を実現したり、企業が適切に資金を調達するためには、時間やリスクの価値を正しく測定する必要があります。これらの仕組みを考えるのがファイナンス理論であり、実証ファイナンスでは理論に合わせた統計手法を考えます。もう少し話を進めると、企業と銀行等の間の駆け引きについての話題があります。例えば、企業は業績が上手くいっているように見せて、銀行から資金を借りようとするかもしれません。すると、銀行はそれを見越して金利を高く設定してしまいます。どのようにして優良な企業を見抜くか?優良な企業はどのようにして銀行を信用させるか?という議論に発展していきます。
今回の話は金融市場に関するものですが、市場の役割、物事の数値化、駆け引きについては、他の分野でも同様の考え方が使われることも少なくありません。ファインナンスを学ぶことで、広く応用可能な考え方を身に着けることができます。
東京経済大学のファイナンスコースでは、上記のテーマ等について効率的に学べる科目と環境が用意し、意欲のある学生の皆さんをお待ちしています。
文責:木下 亮