【外の世界へ】
経営学を勉強・研究していると,多くの場合,理論の世界と実務の世界を行き来することが重要になります。
いわゆる講義や大学内でゼミ活動をする場合,経営学やその他専門分野の理論の世界に深く入っていくことになります。
私自身は理論の世界が大好きなので,ややもするとこの理論の世界に留まってしまうのですが,本来それはよくありません。
自戒をこめて言うと,経営学は企業などの組織や事業を対象とした学問であるので,組織や事業の実務とは不可分です。
しかし,講義や大学内でのゼミ活動でそのような実務を触れ合うのは容易ではありません。
その意味で,経営学の勉強や研究を進めていくうえで,大学を飛び出して実務の世界をみてみるというのも非常に重要となります。
そんなわけで,寺本ゼミでも,ただ単に教室内で議論をするだけではなく,教室内で勉強したり自分たちが調べたりしたことを実地に出てみるという試みをできる限り行うようにしています。
寺本ゼミでは基本的に自分たちの好きな・興味関心のあるテーマに基づいてグループで研究してもらいます。
ただ,私自身,北海道仁木町のワイン産業や地域活性化をテーマに研究しており,同じく北海道やワイン産業に興味関心がある学生は,そのテーマについて扱うことも歓迎しています。
本年度は3グループ10名が北海道のワイン産業や仁木町の地域活性化にむけた研究に参加してくれました。
ただ,座学や図書館・インターネットでの調査に留まらず,実際に北海道仁木町に行って,研究に協力してくださっているワイナリーで活動を行いましたので,このブログで活動報告を行います。
【概要】
・北海道仁木町のワイン産業や地域活性化の振興施策を考える
・寺本が所属している研究チームのメンバーが勤める他の大学との共同プロジェクトです。
・具体的には,本年度は拓殖大学・東京経済大学・東京理科大学・北海学園大学・明治大学・目白大学(大学はアイウエオ順)の学生が参加しました。
【活動期間】
10/5(土)から10/6(日)
【仁木町のワイン産業について】
北海道仁木町は北海道の西部,海鮮や運河で有名な小樽や,ニッカウヰスキーの蒸留所があることで有名な余市のすぐ近くに位置します。
仁木町はサクランボやリンゴ,そしてブドウなどの果樹栽培が古くから盛んな町です。
日本では,特にワイン用のブドウの栽培は長野県や山梨県で盛んでしたが,ここ数年,北海道でもワイン用のブドウの栽培が増加しています。
そして同様に,ワイン産業自体も,日本国内では長野県・山梨県で盛んでしたが,最近では北海道で新規ワイナリーの設立が相次いでいます。
1970年代,当時アメリカで主流であったそこそこの品質のワインを大規模生産するという動きから,ワイナリーが管理可能な分だけ葡萄の生産を抑え,その代わり高品質のワインを追求するという,カリフォルニアを中心に始まった「ブティックワイナリー」という考え方があります。
北海道仁木町でも最近増えつつあるワイナリーはこういった「ブティックワイナリー」を模した形となっています。
北海度の活動では,ワイナリーの葡萄の収穫を体験したり,実際にワイナリー(醸造所)を見学させてもらったりします。
10月は各ワイナリーで葡萄の収穫がピークを迎えます。
いくら「ブティックワイナリー」といっても,特にこの収穫期は人手がいくらあってもよいくらいに忙しい時期となります。
ワイン産業というと,あたかも優雅なイメージがあるかもしれませんが,その本質は農業であり,この忙しい収穫作業を学生たちに体験してもらうことによって,机上の空論を超えたワイナリー経営の現実を体験してもらいます。
本来,この忙しい時期に作業に不慣れな学生が参加することは賛否が分かれるところですが,学生を受け入れてくださっているワイナリーの皆様には本当に感謝申し上げます。
こうやって文字にすれば当たり前のことですが,圃場(農地)ですから,
・虫もいます
・天気にも左右されます(今年は非常に天気には恵まれましたが,雨などでも作業は行われます)
・体力的にもきついです
・もちろん汚れます(土・泥・そしてブドウの果汁)
さらに,ワイナリーによって作業方法やこだわりのポイントが違います。
そんなことをただ机上で議論するのではなく,実際に体験しながら,そして学生同士で情報共有しながら,ワイナリー経営について身をもって知識を蓄えていきます。
【仁木町の地域活性化】
ただ個別のワイナリーについて知るだけでなく,仁木町を盛り上げるためにはどのようなことができるのか。
この北海道での活動では,ワイナリーを手伝うということと同時に,仁木町やその周辺地域にある地域活性化に使えそうな資源の発掘を行うということを行います。
仁木町のフィールドスタディ―です。
これは全くもって偶然なのですが,今年は仁木町内にあるフルーツパークにき で「しりべしの食祭りat農村公園フルーツパークにき」が開催されており,そういった催し物に実際に訪れたり,
参考)https://www.shiribeshi.pref.hokkaido.lg.jp/ss/srk/kankou/200083.html
その他,仁木町のキャンプ場を訪れたり,さらには余市や小樽を散策する学生もいました。
このような実地での活動は,それ自体が楽しく,それだけで満足してしまうことが多いですが,それだけで終わってしまっては意味がありません。
この経験を次は教室に持って帰り,自分事として捉え,言語化することが重要です。
そして,そこからもともとの目的「北海道仁木町のワイン産業や地域活性化の振興施策を考える」を高いレベルで達成できると良いと考えています。