2025年7月14日月曜日

経験価値マーケティングを思い起こさせたパフェ体験

 流通マーケティング学科の丸谷です。70回目の執筆です。私はグローバル・マーケティング論(簡単にいうと海外でどのようにマーケティングを行なっていくのか)を専門分野にしていますが、流通マーケティング入門も担当しており、マーケティングに関する事例も収集しています。

 

美しいフォルムのパフェ

 私はケーキ屋さん巡りが趣味でしたが、コロナ禍以降はイートインのお店が減少したこともあり、出来立てのスイーツを食べられるパフェ屋さんを頻繁に訪ねるようになっています。コロナ前より通っている定期的に通ってパフェの奥深さをいつも感じさせてくれるアサコイワヤナギ、食べるときの演出も楽しい上野毛のラトリエアマファソン、関西発チョコですが東京でもチョコの奥深さを感じさせてくれる東京駅のショコラティエパレドオール、自宅から近く数回に一度なるほどとうなる組み合わせを堪能できる西荻窪のの台湾風パフェが有名な金木犀茶店、名店シンフラがある志木駅近くに最近開店したCOLOLIEまでかなり幅広い多様な個性のお店がパフェを提供しています。今回はこ数回訪ねている南砂町にあるKUNON Baking Factoryで最近再び注目を集めている経験価値マーケティングにまつわる体験をしたのでとりあげたいと思います。

 

経験価値マーケティングの代表的研究者であるシュミットは、体験を意識的にデザインし、顧客価値を向上させることを提唱し、「経験」 を軸に企業がマーケティング戦略の構築や目標を定めるためのツールとして「戦略的経験価値モジュール(SEM)」を提示しました。このモジュールでは、経験価値の構成要素を、「SENSE (感覚的経験価値) , FEEL (情緒的経験価値)THINK(知的経験価値) , ACT(行動的/肉体的経験価値) , RELATE (関係的経験価値)」の5つに分類し、これらの要素を長沢・大津(2022)はキーワードや例をあげてわかりやすく示しています。

今回のパフェ屋さんでの体験から得られた経験価値を、上記の5つの価値に当てはめて私なりに考えてみました。

SENSEにあたるのが、パフェの美しさです。私の写真は技術が高いとは言えないですが、それでもパフェの写真を見ると、今回のパフェの造形が素晴らしいことはわかるはずです。パフェにとってインスタ映えすることは今や最重要なことかもしれず、素敵な写真をみるだけでいつも癒されてしまいます。

パフェのメイン食材クラウンメロン

FEELにあたるのが、素材の豪華さです。今回のメイン食材であるクラウンメロンは非常に高価な食材であり、店主の久野さんがその食材のすばらしさや豪華さについて教えてくれました。私はかつて愛知県の大学で勤務していた際に、静岡のメロン農家の息子さんがゼミ生だったので、クラウンメロンのすばらしさや豪華さについては個人的にも伺っていましたので、テンションがあがりました。

 THINKにあたるのが、店主さんの地元静岡の食材へのこだわりです。クラウンメロンだけではなく、店主さんは静岡の食材にこだわっており、前に伺った際にも出身地の食材にこだわってるのが非常に素敵だなと感じ、ファンになりました。

 

パフェの味を変化させる名脇役のワサビ

ACTにあたるのが、味変のトッピングとして用いるワサビを自身ですって適量トッピングする過程です。実際にワサビをするのは大変ですが、自身てすったワサビからは愛着も感じられますし、ワサビのすりかたやわさびのすった部分ごとの細かい味の違いが実感できました。

 RELATEにあたるのが、季節ごとに新たな経験をできる各回定員3人の限定した取り組みを継続的に行うことでこだわりパフェのコミュニティを構築しているといえます。

パフェの提供には1時間以上かかり、定員も各時間帯3名となっているため(前は4名だったみたいですが、今回3名でした)、予約が必須ですが、非常に魅力的な経験をできるお店でパフェを通じた素敵なコミュニティで楽しい時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。次回(7月12日から8月9日までの予定のようです)提供の「みしまマンゴーとスパイスのパフェ」も早速予約させて頂きましたが、素材を栽培する様子やパフェ提供過程を紹介するインスタグラムを拝見しながら楽しみにしています。


レトロな雰囲気が素敵な砂町銀座商店街

 お店自体は住宅街にありますが、すぐ近くにあるレトロな商店街である砂町銀座商店街も非日常的な空間で、有名なおでん屋さんもあり、お勧めです。

                  (流通マーケティング学科教授 丸谷雄一郎)