2018年6月26日火曜日

「面白いは正義!」の石黒ゼミ


ようやく夏らしい天気になってきましたね。
熱中症には十分に気をつけてください。
経営学部の石黒です。
今回は今年度初の投稿ということで、「ゼミ」について書いていきます。


今年度の石黒ゼミは総勢24名。
4年生が7名、3年生が11名、2年生が6名です。
当ゼミは完全に個人研究をしているので、24の研究テーマがあるわけです。


例えば。。。。

「ホンダは何故営業利益が伸びないのか?F1は失策。。。?」
「日本の動物園は何故赤字?レジャー施設からの脱却を求めて」
「勝てなくても儲かります!正しいサッカーチーム運営とは?」
「テーマパーク戦略の革命 USJの居抜き戦略」
「バイクは何故売れない!ヤンキー文化とバイク」
                              などなど


中には女性用アンダーウェアについて研究しようとするゼミ生もいたりします。
僕では明らかに知識不足ですので、先輩女子に期待しましょう。
他にもあまりに奇抜すぎて、ここでは説明できないものまで。。。
「面白ければいいじゃない」がモットーなので仕方ないかな?

今年の予定としては、4年生は卒論執筆、3年生はゼミ研究報告会、2年生は研究テーマ、問題意識の設定です。
例年は4年生に報告会を任せていたのですが、今年からは卒論に集中してもらうことにしました。
年末は卒論の締め切り直前で、4年生には修羅場が待っています。



 (テーマ :「おもてなし」って実は悪では?経営者の思考放棄?悪用?に迫る!)


写真は、4年生が書いてきた卒論の途中経過を説明しているところです。
自分が書いてきた内容を章、節ごとに箇条書きにして板書してもらっています。
こうすると、全体の構成、論理性などを客観的に把握し、おかしな部分に気づくことができます。
ちなみに写真の女子学生は、板書している最中にほぼ同じ内容を2回繰り返し書いていることに気づき、軽い絶望を感じているところです。

レポートや論文は、客観的・論理的に書かなければ意味がありません。
感想文とは全く違ったスキルが必要で、練習しなければ書けません。
何度も書いて、削除・修正を繰り返します。
大変です。。。。辛いです。。。


もちろん、辛いことばかりではありません!!!

ゼミの後は気の合う仲間と「お食事」にGO!!!
普段は話せない悩みやおバカな話題でいつも盛り上がっています。
基本的にお祭り気質な学生が揃っていますので、誕生日パーティーもやりますよ。
(サプライズ風に)





     私も祝ってもらいました。
     良いゼミ生ですね(泣)
     

  もちろん、今年も沖縄合宿!
  台風にリベンジです!!!!






執筆:経営学部 石黒督朗


2018年6月17日日曜日

会社入門の授業でビジネスゲームを行いました

 皆さんこんにちは、経営学部教員の柴田高です。
 今回は、1年生向けの授業「会社入門」の中で行ったビジネスゲームについてご紹介しましょう。
 「会社入門」という科目は、経営学部に入学したばかりの学生に向けて、株式会社というものが何を目的としていて、どのような組織で、どのようにして仕事を進めているのかを、できるだけ分かりやすく、具体的に紹介する科目です。アメリカで発展してきた経営学という学問分野は、大企業、とりわけ製造業(メーカー)の発展の歴史的分析の上に体系化されてきました。これから経営学というものを学んでいく上で、株式会社という存在をきちんと理解することがとても重要なのですが、会社員の経験もなく、今年の3月まで高校生だった新入生にとっては、実感を持って理解することがなかなか難しいかもしれません。私自身は、大学教員として奉職する前に、たまたま大手製造業の社員だったので、会社を内側から眺める機会に恵まれていたのですが、これを新入生の皆さんに伝えようとすると、それはそれで結構難しいものがあります。そのため、2017年度からまず「会社入門」という科目を用意して、会社の概要を理解してもらうようにした訳です。

 この「会社入門」では、通常の週は担当教員が説明を行う、ごく普通の授業形式なのですが、途中で2回、グループワーク形式によるビジネスゲームを行っています。これには日本証券業協会の証券知識普及プロジェクトから無償で提供して頂いている「ケーザイへの3つのトビラ」という教材を利用しています。6月11日(月)の授業では、この中の「ワールドトレジャーランド再生計画」というビジネスゲームを行いました。ここでは学生一人一人がテーマパーク「ワールドトレジャーランド」を経営する取締役の一人になったつもりで、経営者の意思決定のプロセスを学びます。近年、売上減少が続くこのテーマパークでは4人の担当社員が「設備投資を増やす」「スタッフの質を向上させる」「広告・宣伝を増やす」「無駄な費用を削減する」などの対応案を持ってきます。経営者の1人としては、まず4人の意見に耳を傾け、その効果を自分なりに評価します。以下の写真は、その評価を行っているところです。


 次に、4人から6人のグループを作り、これが「ワールドトレジャーランドを経営する取締役会のメンバーである」と想定して、各取締役の意見をもとに議論を行って会社としての一つの意見に集約する「取締役会」を開きます。以下の写真は、取締役会としてグループごとに話しをしているところです。


 各グループでは、自分たちが選択した案をもとに、それを具体的にどのように進めていけば業績を向上させることができるかを考え、発表資料にまとめます。この発表資料に基づき、実行案をそれぞれのグループごとに代表取締役社長を務めるリーダーが発表します。これは株主総会での会社側の事業計画の提案に相当します。学生の皆さんは、今度は各自が株主の1人になったつもりで、自分たち以外のグループの中では、どのグループの発表内容がいちばん優れているか、評価シートに記入していきます。以下は、グループごとの発表の様子です。

 このようにして、会社における意思決定のプロセスを疑似体験してもらうわけです。終了後、学生の皆さんに感想を記入してもらうと、「会社経営の難しさを実感した。特に株式会社は株主の配当のことを考え経営しなくてはいけないことの重要性がわかった。」とか「解決策はいろいろあり、その事業計画が成功するかどうかで売上も変わってくるということがわかった。」「自分の意見が通るとは限らず上手くまとまらない可能性があるとわかった。また、自分の意見には責任が生じるのだと実感した。」などの意見が多く集まりました。この場を通じて、教材を提供して頂いている日本証券業協会の皆様にも感謝の気持ちを述べたいと思いますし、新入生の皆さんも、ビジネスゲームを通じて会社というものの理解が進んだのではないかと思っています。






2018年6月11日月曜日

カンブリア宮殿にウエルシア池野会長登場!

2018.06.11

東京経済大学の本藤です。
 先日5月31日放送のカンブリア宮殿(テレビ東京)に「ウエルシアホールディングス」の池野隆光会長が登場しました。2017年にガイアの夜明け(テレビ東京)にも出ていたのですが、今のドラッグストア業界の置かれている環境が伝わってきました。このウエルシアホールディングスは、現在ドラッグストア業界のツートップ(もう一社はツルハホールディングス)の一翼を担っています。


 小売業界では成長率が鈍化していたのですが、近年再び市場規模を拡大させてきています。JACDS(日本チェーンドラッグストア協会)によれば、その最大の牽引役は「食品」と「調剤」だと発表しています。
 この「食品」のドラッグストアにおける売上構成比は年々伸びていて、企業によっては、もはや売上の半分以上を食品カテゴリーで獲得している場合もあります。そういうドラッグストアの店舗は400坪から600坪(コンビニエンスストアの10倍から20倍)という巨大な売場面積に達しています。


 ドラッグストアの一般用医薬品(OTC)の売場は、どんなに品揃えを強化しても、それほど売場面積の拡大が必要になることはありません。売場が大きくなってしまうのは、やはり食品がスーパーマーケット並みになってきているということを意味しています。ドラッグストアで販売している食品は、主に冷凍食品や加工食品、乳製品や納豆などの日配品で構成されていたのですが、このところ生鮮食品を扱う店舗も増えてきています。



 なぜ食品の重要性が高まってきたのでしょうか?
 10年くらい前までは、ドラッグストアの来店頻度は月3回が一般的な利用状況でした。でも、スーパーマーケットやコンビニエンスストアは週3回の利用が平均的な利用状況です。そうなると、お客様との接点は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアと比較すると4倍程度の開きが出てきてしまいます。
 しかも、これら3つの小売業態は、生活者の習慣として、「最も近い店舗」を利用する傾向が強いので、「ついで買い」され易いのは来店頻度の多い店舗になりがちなのです。そこで、いまこの3つの業態の品揃えは、どんどん似通ってきています。

 カンブリア宮殿でウエルシアホールディングスの池野会長が「ライバルはコンビニ」と言っていたのは、いまのそんな小売競争を端的に示したコメントなのです。


文責:本藤貴康(担当科目:流通論、流通マーケティング演習)
本藤ゼミナールBLOG http://hondo-seminar.blogspot.jp/



2018年6月4日月曜日

パナマを知るための70章(第2版)

流通マーケティング学科の丸谷です。24回目の執筆です。私はグローバル・マーケティング論(簡単にいうと海外でどのようにマーケティングを行っていくのか)を専門分野にしているので、海外の経済やビジネスについて取材して記事を書いてくれという依頼がたまにあります。

今回は一般の皆さんに、なかなかなじみの薄い地域に関して依頼された仕事がかなり充実した一般向けの書籍『パナマを知るための70章(第2版)』として明石書店より出版されたので、紹介していきます。

皆さんパナマと聞いて何を思い浮かべられるでしょうか?
グーグルで検索すると、関連ワードの順番はパナマ文書、パナマ運河となっています。

パナマ文書に関しては、私がたまたま担当することになり、第49章においてコンパクトに解説しております。簡単に言えば、パナマ文書とは、201643日にパナマ市内に事務所を置くモサック・フォンセカ法律事務所が国外のサーバーからのハッキングを受け漏洩した機密内部文書(2.6テラバイト(文書現物にするとトラック1000台分)であり、この機密文書漏洩を契機にして、タックスヘイブン(租税回避地)への関心が急激に高まることになりました。

           旧モサック・フォンセカ法律事務所(国本伊代撮影) 

パナマ運河に関しては、私の担当章ではないですが、第Ⅲ部、第Ⅳ部、第Ⅴ部で詳細に解説されており、2016626日に足掛け9年かけて、当初の予定より2年遅れて拡張工事が完成したことによって関心が高まっています。

パナマという国の成り立ちに関しては、この運河建設と切り離すことができないのです。パナマは現在中米の南端の国という認識が一般的になっていますが、1903年に独立するまでは南米コロンビアの北部地域にすぎなかったのです。この独立にはパナマ運河建設計画が大きくかかわっており、パナマ運河の利権が欲しかった米国が当時コロンビアの地方であった現在のパナマにあたる部分の分離・独立の動きを支援することによって独立したのです(詳細は、第19章と第20章参照)。

独立後米国はその見返りに、パナマ運河の利権を独占することになり、パナマ運河の権利がパナマに返還されたのは独立後約100年を経た1999年末でした。


今回の依頼は改訂であったので、最近のパナマのビジネスに関して5章分くらいでした(最終的には4章分となりました)。書籍を出版した明石書店は、世界の様々な地域に関する書籍を出版している出版社です。

特に『・・・を知るための』という名称で出版されているエリアスタディーというシリーズは、地域の図書館などにも所蔵されている定番シリーズとなっております。20181月末現在161冊出ています。私はこれまでにも2011年に『現代メキシコを知るための60章』、2013年に『ドミニカ共和国を知るための60章』、2017年に『カリブ海を知るための70章』(詳細は、経営学部ブログhttp://tkubiz.blogspot.jp/2017/07/70.html)』という3冊に参加させていただきました。

当初はメキシコなど有名な諸国を扱ったシリーズでしたが、ネットを通じた情報発信が充実していく中で、最近はマニアックな諸国に関する信頼性が高い情報を求めるニーズが高まったようで、それにこたえる形でかなりドミニカ共和国といったマニアックな国やカリブ海世界といったように、より細かい地域を扱った内容が増えてきています。そして、ある程度有名なパナマに関しても、2004年の初版発行から13年を経て第2版といった形でより詳細な新しい情報も付け加える形になっています。

原稿テーマを考える事前取材では、これまでの3冊同様まずは図書館等で日本文と英文を中心に書籍やデータベースを当たり、ある程度テーマを絞った段階で、JICA(国際協力機構)によって海外派遣されている支援を行う皆様や様々なNGO、個別に情報発信を行っている旅行社の皆様など、ネット情報を確認しました。 

私が今回担当した章は、以下の4章となりました。

43章 パナマ独自の小売産業の発展――地元資本による緩やかな近代化
44章 マグロの養殖という新たな産業――パナマにおける近畿大学の挑戦
47章 パナマ運輸産業の発展――立地を生かして発展を目指すコパ航空
49章 タックスヘイブン――「パナマ文書」が明らかにした租税回避地

どの章も執筆している自身にとっても非常に興味深く、特にインタビューさせて頂いた近大マグロで有名な近畿大学の水産研究所の澤田好史教授のパナマでのマグロ養殖の挑戦のお話は知らない事実ばかりで大変興味深かったです。

パナマは、名前は知っているけれど、なかなかなじみの薄い国だとは思いますが、今回出版した拙著が関心の高まりの1つのきっかけとなれば幸いです。

(文責:丸谷雄一郎(流通マーケティング学科 教授)

2018年5月27日日曜日

日経ビジネスに連載始めました!& 山本聡ゼミの産学連携プロジェクト始動

 経営学部の山本聡です。大学教員の最も重要な仕事の一つが研究。経営学研究では企業との共同研究が盛んです。普通にはアクセスできないデータを使えたり、新たな研究視点を得ることができます。本ブログでは山本聡ゼミでの産学連携の様子を伝えてきましたが、私も一人の中小企業研究者として、企業との共同研究には積極的です。

 最近、力を入れているのが東京商工リサーチ(TSR)との共同研究。TSRは日本最大手の信用調査会社で、企業情報に関する大規模なデータベースを有しています。当該データベースを活用することで、中小企業に関する様々な研究が可能になるのです。いろいろ研究を進めていますが、その一つとして、日経ビジネスとも組んで、日経ビジネス・オンラインで一般向け連載「ビッグデータで検証・あなたの知らない日本経済」を始めました。


出所:日経ビジネスFBページ

 一回目のトピックは「ラーメンの経営学」。企業との共同研究ではWin-Winの関係になることが重要であり、学術論文とは違った柔らかめのテーマも特徴です。反響も上々で、5月27日の夜の段階で、日経ビジネスのFacebookページでは232いいね、Newspicksでは559picksがついていました(私もいいねしておきました-笑)。TwitterでもたくさんTweetされているようです。こうした仕事で得た知見はなるべく学生にフィードバックしたいなとも考えています。

 山本聡ゼミでも企業との産学連携にすごく力を入れていて、18年度のプロジェクトが始動しています。4月4日に山本が企画・開催したイベント「地域の居場所づくりと地域活性化」でもゼミ生が活躍してくれました。また、現地調査も踏まえて、東大和市のお祭りにボランティア参加もしています。2018年度は① 国分寺のカフェ、②東大和市役所&中小企業大学校東京校の二つの産学連携プロジェクトを進めています。進捗をこのblogで報告していくつもりなので楽しみにしていてください。

国分寺市のカフェを訪問

東大和市の中小企業大学校で打ち合わせ

東大和市のお祭りにボランティア参加

文責:山本聡(中小企業経営論担当)

2018年5月25日金曜日

スティーブ・ジョブズのiPhoneのアイデア創造プロセス:「常識を疑う」ための思考法

 経営組織論・ケース分析を担当している山口です。前回・前々回のブログでは、社会に出るときに必要になる「他者とは異なるものの見方」とは何か、について説明しました。(http://tkubiz.blogspot.jp/2018/03/blog-post_23.html http://tkubiz.blogspot.jp/2018/01/blog-post_23.html
 ここで問題になるのは、自分が他者とは異なるものの見方」をできるようになるには、どうすればよいのか?ということです。そこで今回は、他者とは異なるものの見方をするための「思考法」を紹介したいと思います。(以下では、山口ゼミで必ず最初に読むテキストである『知的複眼思考法』(苅谷, 2002)の第3章・第4章の内容に基づいて、解説していきます)

 まず最初に、ビジネスにおいて、「他者と異なるものの見方」をしたおかげで成功したiPhoneの事例を紹介しましょう。
 アップルがiPhoneを開発したきっかけは、当時CEOだったスティーブ・ジョブズの「今の携帯電話はなぜこんなに使い勝手が悪いのか?」という不満にあったそうです(高尾, 2004)。
 このことを知ったとき、私は結構ショックを受けました。私も、当時ガラケーは非常に使いにくいと思っていたのに、その不満をiPhoneのような新しい携帯電話の構想につなげることができなかったからです(笑)。私もそうですが、世の中のほとんどの人は、携帯電話が多少使いづらかったとしても「携帯とはそういうものだ」と考えて問題を見過ごしてしまい、それをきっかけに自分で新しい携帯電話を作るところまではいかないのではないでしょうか。
 しかし、スティーブ・ジョブズは、既存の携帯電話が抱える「問題」を見逃さず、そのおかげで、携帯電話のあり方をガラッと変えてしまうような「革新的な解決策」=iPhoneを出すことができました。実際、iPhone登場後にアップルの業績が急速に改善し、2012年に同社の時価総額が世界最大になったことを考えると、このときジョブズが発見した「問題」と「解決策」がいかに価値のあるものだったかがよくわかります。
 このような事例を見ると、新たなビジネスチャンスを開拓していくためには、他者が見過ごしている「問題」を発見し、それに対し「独自の解決策」を出すことが必要であることがわかります。そこで今回は、「どうすれば問題を発見できるのか?」「その問題に対して、自分なりの解答を出すためにはどうすればよいのか?」を考えてみたいと思います。


ステップ1 「なぜ」を問う

 ジョブズは、「なぜ携帯電話はこんなに使い勝手が悪いのか?」という不満をきっかけにiPhoneの開発に着手しました。このように、他者が見過ごしている問題に気づき、それについて深く考えていくための最初のステップは、「なぜ~なのか?」という形で問いを立ててみることです問いの内容は何でもよいのです。音楽が好きなら、「なぜ最近のアーティストはライブに力を入れているのか?」という問いを立ててもいいし、受験が気になるなら、「なぜみんなが第一志望の大学に入れるようにならないのか?」という問いを立ててもいいし、あるいは就職活動をしている大学生だったら、「なぜ日本企業では労働時間が長いのか?」という問いを立ててもいいのです。(最後の問いが気になる人は、経済学部ブログの安田先生の記事も参考にしてみてください)
 まずは、興味のあることについて、「なぜ~なのか?」という疑問文を、日ごろから作る練習をしてみましょう。

ステップ2 原因は二つ以上に分解する:関係論的なものの見方

「なぜ~なのか?」という問いだけ考えて、それが解決できない状態というのは、非常にモヤモヤするものです。そのため、多くの人は、つい「わかりやすい答え(大抵は「常識」的な答え)」に飛びついてしまい、ジョブズのように「深く」考えることができません。
 では、どうすれば、思いついた疑問に対して「深く」考えをめぐらし、自分なりの考えをまとめることができるのでしょうか?
 
 一つの方法は、目の前にある問題を、複数の要因の複合体とみなし、その問題を複数の視点から「多面的に」とらえられる状態を作るということです。
 例えば、ジョブズは「携帯電話の使い勝手の悪さ」を、「複雑であること」、「使い方がわからない機能が多いこと」、「無駄な機能が多いこと」の三つに分解し、それぞれを解決することで、「使いやすい」携帯電話(iPhone)を作りました。
 このように、問題をいくつかに分解し、自分でも解決できるような形にすることで、既成概念(常識)に飛びつかなくても、問題を自分なりに解決し、モヤモヤを解消することができます。
 
 この方法の威力を実感してもらうために、一緒に練習問題を解いてみましょう。まず、下の三つのグラフのうち、真ん中のグラフを見てください。これは、学習塾などを含む教育産業の、5~24歳の人口1人当たりの市場規模の推移です。日本の市場規模は他国に比べれば小さいとはいえ、1980年以降、ほぼ一貫して拡大してきたことがわかります。
 これをもとに、まずはステップ1「なぜ~なのか?」という疑問文を考えてみましょう。

出所:酒井(2013)

 
 どのような疑問文ができましたか?いろいろな疑問文があり得ると思いますが、ここでは「なぜ、少子化にもかかわらず、教育産業の(5~24歳の人口一人当たりの)市場規模は拡大しているのか?」を考えてみましょう。
 皆さんは、この原因はどこにあると思いますか?
 常識的に考えれば、「(一時より激しくなくなったとはいえ)まだまだ受験での競争があるからだ」という解答が出てきそうです。しかし、そこで「解決した」と思考停止してしまっては、面白くありません。ここでは、もう一歩踏み込んで考えてみましょう。
 この問題の原因を、二つ以上に分解するとしたら、あなたは何と何に分けますか?
 
 経営学を学んだことのある人なら、市場規模の拡大の原因は、「顧客のニーズの変化」と「企業の顧客への働きかけ(戦略策定や広告・宣伝などのマーケティング)」の二つに分解できる、と考えるかもしれません。(この二つに分けるのが「正解」というわけではなく、他の分け方ももちろんあり得ますが)とりあえずここではこの二つに分けて考えてみましょう。

 まず、顧客側の要因を考えてみると、教育産業の市場規模が拡大している原因としては、
社会全体が豊かになり、学習塾などに子供を通わせるくらいの教育費を支出できる家庭が増えたからだ
少子化で子供の数が減ってきたので、子供1人当たりにかけられる教育費が増加し、塾に子供を通わせられる家庭が増えたからだ
というような説明が考えられます。

 次に、企業側の要因について考えてみると、教育産業の市場規模拡大の原因は、
塾が、顧客を増やすために、より多くの顧客にアピールできる製品・サービス(新しい指導方法や教材など)を開発したからだ
より多くの顧客を獲得するため、それぞれの塾のマーケティングスキル(広告宣伝など)が向上し、大きな市場が開拓されたからだ
というような説明もできるかもしれません。

 以上をまとめると、「社会が豊かになったことや少子化が進んだことにより、子供1人当たりにかけられる教育費が増加した」という顧客側の要因と、「新しい製品・サービスの開発やマーケティング技術の向上により、より多くの顧客の獲得に成功した」という教育産業の企業側の要因がうまく噛み合った結果、教育産業の市場規模が拡大した、という説明ができそうです。

 どうでしょうか。原因を二つに分解して考えることにより、「受験戦争」という常識とはずいぶん違う解答にたどりつけたと思いませんか?
 もちろん、これらの解答が正しいかどうかは、各家庭の教育費支出の推移や、塾の製品・サービスの変化やマーケティング技術の分析などをしないとわかりません。しかし今回は、原因を二つに分解して考えるという方法によって、常識的な説明とは異なる視点から物事をとらえられる、ということをまず理解してほしかったのです。

 今回は、「他者とは異なるものの見方」をするための「思考法」を紹介しました。「従来とは違う視点から物事をとらえるのは面白そうだな」と思った人は、是非、以下の参考文献を読んでみてください。ここに紹介した以外にも、物事を深く考えるための思考法がたくさん解説されています。(ちなみに、山口ゼミは経営学のゼミなのですが、OBの皆さんには、「山口ゼミで学んだことで、社会に出てから一番役立ったのは、この『(論理的)思考法』を学んだことです!」とよく言われます。「経営学の知識」とこの「思考法」を合わせて学ぶことで、経営学の専門知識と、今目の前にある仕事上の問題を、結びつけて考えられるようになるのだと思います)。
 これらの思考法を身につけることにより、買い物に行けば「なぜこういう商品が売られているのか?」が気になり、部活に行けば「このスポーツはなぜ部活では人気があるのに、プロになるとマイナーなのか?」が気になり・・・というように、日常生活がこれまでとは全く違ったものに見えるようになるでしょう。

参考文献
苅谷剛彦(2002)『知的複眼思考法:誰でも持っている創造力のスイッチ』講談社.
酒井三千代(2013)「世界の教育産業の全体像」三井物産戦略研究所.
高尾俊明(2004)「アップル:ひとつの製品の中に三つの革命的製品」伊丹敬之・西野
  和美(編)『ケースブック 経営戦略の論理 全面改定版』日本経済新聞社.

(文責:山口みどり)


2018年5月16日水曜日

【学問のミカタ】ミャンマーの大学生との交流会@横浜

経営学部の関口和代です。
これまでも当ブログで何度か取り上げてきましたが、
ゼミ活動の一環として、毎年夏に海外ゼミ研修を実施しています。

日本で生活していると気づかないことに気づいてほしい、
新たな体験を重ねることで経験値をあげ、柔軟性や対応力、
コミュニケーション力、ある種の楽観的な態度を身につけて
もらえればと思っています。

昨年(2017)は、ミャンマーで10日間の研修を実施しました。
企業・工場の訪問、ヤンゴン外国語大学での交流の他、
現地の小学校での運動会運営や植林活動等を行いました。
その時の様子は下記で紹介しています。

ミャンマーでの研修経験があること等からご縁をいただき、
「科学技術振興機構(JST)・さくらサイエンスプラン」で来日した
ミャンマーの大学生16名との交流会@横浜を企画・実施しました。

225日は東京マラソン開催日だったため、混雑等を勘案して横浜で行うことにしました。
宿舎である代々木オリンピックセンターで顔合わせをした後、
ゼミ生・院生14名とミャンマー人学生とを組み合わせたグループで
昼食と夕食以外は自由に交流することにしました。



顔合わせの際は若干緊張気味でしたが、同世代ということもあり、
打ち解けるのも早かったように思います。
「さくらサイエンスプラン」の7日間にわたる研修の最初と最後に実施された
Welcome PartyFarewell Partyに参加した学生もいました。
今後も交流が続くことを願っています。




このような機会を与えてくださった
日本ユースリーダー協会並びに本学国際交流課の
皆様に心より御礼申し上げます。

カップヌードルミュージアム

 













以下、参加学生の感想です。

〇言葉が通じないながらも何とかコミュニケーションが取れ、
とても楽しい時間を過ごすことができました。
横浜中華街や赤レンガ倉庫などを観光したのですが、
ミャンマーの学生の方たちは見るものすべてが新鮮だったのか景色や建物などを
写真や動画に収めていました。そのような姿を見るのも普段行き慣れている
自分達からしたら楽しかったです。

〇ミャンマーの学生たちはとてもフレンドリーで、
私の拙い英語を懸命に聞き取り、コミュニケーションを取ろうとしてくれました。
横浜を楽しんでくれて嬉しかったです。
また、farewellパーティではご飯を食べながら写真を撮ったり、
楽しい時間を過ごしました。最後には手紙を貰い、
日本語で「ありがとう、また会いましょう」と笑顔でお別れしました。
貰った手紙は私の宝物です。交流会に参加して良かったと心から思います。

〇ミャンマー学生と交流して、伝えたい事を伝える努力をする大切さを感じました。
交流したミャンマー学生とは英語でのコミュニケーションとなりました。
英語は勉強していますが、発音などによってはうまく伝わらないこともありました。
身振り手振りを使って伝える努力をしましたが、ミャンマー学生も読み取ろうと
努力してくれました。そのおかげで楽しく会話することが出来ました。
英語を使えることによって、異文化の知識はさらに深めることが出来ると感じました。

〇ミャンマー大学生との交流を通して、多くのことを感じることができました。
特に、自分たちにとって良いものでもミャンマーの人にとっては必ずしも良いものでは
無いということです。たとえば、昼食の中華料理を僕たち日本人はおいしく食べたの
ですが、ミャンマーの大学生のほとんどは残していたことなどです。
今後このような機会があれば、今回の経験を活かしていきたいです。

〇私にとってミャンマーの学生たちとの交流はとても貴重な体験となった。
歓迎会に参加した際、ミャンマーの学生たちの流暢な英会話に圧倒されたことを
今でも鮮明に覚えています。横浜での観光や歓迎会、送別会と計3日を共に過ごし、
少しずつ仲を深め、英語での会話にも慣れていくことができました。
彼らの勤勉に勉学に励む姿に刺激を受けました。
また、彼らのように自発的に学ぶ学習は受け身の学習より多くのものを吸収することが
できると感じました。この3日間で得たものを今年度のゼミにも活かしていきたいです。

〇私は今回の経験で外国人との交流の楽しさを感じました。
班別行動では、4年生の提案で、代々木公園、神宮外苑、原宿を巡ってから横浜へ
行きました。今回交流をしたミャンマーの学生は英語しか話せなかったため
コミュニケーションをとることはとても難しく感じましたが、送別会に参加した時は、
学生の方から声を掛けてくれて、簡単な英語やジェスチャーで楽しくコミュニケーション
をとることができました。今回の経験で外国人と交流しコミュニケーションを取ることは
難しいことではあるが、とても楽しい事であるということを感じることができました。
今後も外国人の学生などと交流する機会があると思うので、今回の経験を生かし積極的に
ミュニケーションを取って行きたいと思います。

〇今回の交流会では、言葉がわからなくても気持ちは伝わるということを学びました。
自分は英語もミャンマー語も話せないのですが、身振り手振りでなんとか会話を試みま
した。ミャンマーの学生は心が広く、必死に自分の気持ちを読み取ろうとしてくれまし
た。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。様々な国の人と話すことで、今までは見えて
いなかったことや、知らなかったことを学ぶことができました。またこういう機会が
あれば参加したいと思います。

〇先生のお陰でミャンマーの学生たちと出会いました。言葉の壁もあり、あまり話せ
ませんでした。英語が大事だと強く認識しました。
今回の交流会を通じて、学部ゼミ生たちとの交流も多くなりました。普段はあまり
話すチャンスがなかったのですが、今回の交流会をきっかけに話せるようになりました。
ちょっと嬉しく思いました。先生をはじめ参加された方々に感謝いたします。


(文責:関口和代)

【学問のミカタ】
他学部やセンターからも、東京経済大学の教員が自分の研究に関わる内容を高校生向けに分かり易く紹介したブログをアップしています。他学部の【学問のミカタ】に是非ともお立ち寄りください。

・経済学部ブログ:「日本人の長時間労働の背景
・コミュニケーション学部ブログ:「「好き」を仕事にするなら回り道しよう