2018年9月24日月曜日

【学問のミカタ】甘酒ブームの加速を阻むもの・・・

2018.09.24

 東京経済大学の本藤です。
 世の中の大学は、そろそろ後期授業の開幕を控えて、帰省していた学生は帰京し始めたり、後期に備えてゼミ合宿があったり、はたまた夏休みのバイトの追い込みをしている人もいるかもしれません。
 高校3年生は受験直前期に突入しますね。高校2年生は、志望校によっては、そろそろギヤチェンジするシーズンです。

さて・・・
最近、スーパーマーケットやドラッグストアの店頭で「甘酒」を目にすることが多くなってきました。僕の甘酒のイメージは、赤い小さな缶。森永製菓の通称「赤缶」と呼ばれている甘酒を最初に思い浮かべるんですよね。


でも、この甘酒ですが、健康番組でしばしば取り上げられるようになっています。
『林修の今でしょ!講座』では、甘酒の"効能"として、睡眠不足解消、目の下のクマ対策、血圧上昇抑制、肌荒れ対策などが紹介されています(2016年3月15日放映内容から)。
『世界一受けたい授業』でも、花粉症対策としてレンコン甘酒が紹介されました(2017年1月28日放映内容から)。

それ以外にも、この夏は、熱中症対策として「冷やし甘酒」が様々なメディアで紹介されて、森永製菓からも歴史のある赤缶のほかに、青い缶の甘酒がスーパーマーケット、ドラッグストア、コンビニエンスストアの店頭で見かけるようになりました。


そんな健康食品としての甘酒ですが、これらの効能は店頭で謳ってはいけないんですよね。
店頭で「〇〇に効く」と表現していいのは、医薬品かトクホ商品か機能性表示食品に限られています。これらは十分な医学的根拠(Medical Evidence)を提出して認められる必要があるのです。
つまり、どんなに優れた効能があっても、政府から認められないと、単なる「食品」なのです。よく咳が出るときにハチミツ大根が家で作られるかもしれませんが、スーパーマーケットで「咳に効く」などと野菜売場で紹介してはいけないのです。
これは「薬機法」という法律で規制されています。
薬機法、正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」ですが、この第68条に「承認(又は認証)前の医薬品又は医療機器について、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告の禁止」という規定が定められています。(※引用:薬機法とは「薬事法ドットコム』http://www.yakujihou.com/content/yakkihou.html)


そうなると、甘酒などの「健康食品」は店頭での売り方が難しくなってきます。
知っている人は知っているし、知らない人は知らないとなると、研究成果の発表という形でテレビ番組や雑誌記事などを、どこまで拡散できるかも重要なプロモーションになってきます。


因みに、この「甘酒」ですが、この秋の本藤ゼミのマーケティング企画テーマになっています。コラボ先企業は森永製菓。森永製菓の甘酒は、1969年に誕生して、いま流通している"赤缶"は1974年に発売されました。驚くほど当時と外観が変わりません。そして、いまだにトップシェアを守っているのですが、健康ブームに乗って後発ブランドが急激に追い上げてきている状況にあります。

そんな制約がある健康食品「甘酒」ですが、みなさんであればどんな売り方を考えるでしょうか?
「売り方が難しいけど、どうしよう?」とか「売れてるけど、誰に売れてるの?」とか「もっと違う人に売れない?」というような問題意識や目的意識をもって過ごすことが、マーケティングのセンス育成につながります。

文責:本藤貴康(担当科目:流通論、流通マーケティング演習)
本藤ゼミナールBLOG http://hondo-seminar.blogspot.jp/


【学問のミカタ】
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