2019年10月21日月曜日

初めてのケニアで見つけた日本発の取り組み


流通マーケティング学科の丸谷です。32回目の執筆です。私はグローバル・マーケティング論(簡単にいうと海外でどのようにマーケティングを行なっていくのか)を専門分野にしているので、海外に出張に行くことが多く、このブログでも米国、インド、中国、チリ、ペルー、ブラジルの出張の模様を取り上げてきました。

新興国のネット小売というテーマで文部科学省から2017年度から頂いている科学研究費による研究の関連取材で、ケニアへ現地調査に行ったので、そこで見つけた小さな日本発の取り組みについてとりあげます。

ケニアの詳細については、私がケニアを訪れていた95日よりネットフリックスで配信が始まった「あいのり アフリカン・ジャーニー」(詳細はあいのりホームページ(https://www.ai-nori.net/)を見ると分かりやすく説明されています。

ケニアは貧富の格差が大きい発展途上国ですが、M-PESA(エムペサ)と呼ばれる携帯電話やスマホを使った画期的な電子送金システムなどの新たな事業によって注目される国です。
ケニアの街中にあるM-PESAの窓口
ナイロビは首都ですので、道路事情などは地方よりは整備されているようですが、舗装されていない場所も多い中で、ネットに関してはかなりしっかり整備されており快適に動画も見られました。

ケニアの実業界では地理的歴史的に関係が深く石油危機以降財力を高めたアラブ系資本、植民地支配時代から定着したインド系資本(印僑)、スマホなどにおいて強大な国力を背景に市場を席巻する中国系のビジネスが街中を席巻しています。

私の主要研究分野でもフランスのカルフールが店舗流通を近代化したり、ネット小売との連携を進めたり、店舗からのデリバリー・サービスを実施するなど、トヨタ、ホンダ、コマツ、マキタなど機械系製品を除くと日本の存在感は強いとはいえない。そんな中で2つの小さな日本発の取り組みに触れる機会を得たので紹介します。
カルフールが現地提供デリバリー・サービスの説明
1つ目の日本発は「やきうどん」です。やきうどんはある丸亀製麺などを展開する外食のトリドールが20153月にケニアナイロビの中心街に、照り焼きチキンをメインメニューとした飲食店「Teriyaki Japan」(テリヤキ・ジャパン)を開店した際に導入しました。 

手際良く焼きうどんを作る様子
丸亀製麺自体は2016年にはケニアに設立したトリドール・ケニアの店舗営業権を現地企業に委譲し、事実上撤退しましたが、店舗自体は2店舗体制での営業を続けています。現地の物価に対して安いとは言えない金額のため、すぐに多店舗展開することは難しいと考えられますが、取材に伺った際にも一定数の現地のお客さんが来ていました。焼うどんを作る店員さんの手つきはよく、味も普通においしかったです。

経営を引き継いだ企業のマネージング・ディレクターと現地調査コーディネーターTOMOさんと3人で
もう1つはJICA協力隊員だった五味哲也氏、NPO法人視覚障害者国際協力協会の金治憲氏、視覚障碍者援護協会の皆様の尽力により技術が伝達され、その後定着しつつある視覚障碍者の方による指圧です。ケニアでは彼らにより指圧の普及が図られ、マチャコスの視覚障害者学校での鍼灸マッサージのコースを立ち上げ以降、着実に人材が育成され、日本からの指圧が定着しつつあるようです。

今回ケニアの現地調査のコーディネーターを依頼したTOMOさんが盲目であん摩・指圧の技術を習得したケニアの人たちのグループ(ASAAVIC)を支援しているというお話を伺い、早速指圧を依頼しました。

TOMOさんらによる現地での指圧普及の取り組み
最初は社会貢献という気持ちもありましたが、実際施術して頂くと非常に技術レベルは高く、現地道路事情が厳しく疲れたがたまることもあり、一日おきに頼むことになりました。ぜひケニアで疲れた方にはおすすめです(関心がある方は指圧普及に取り組むTOMOさんまで(tomo.tsukahara7@gmail.com)。
                  (文責:流通マーケティング学科 丸谷雄一郎)