2019年10月25日金曜日

小売ビジネスの構造改革 第一幕!

2019.10.21

経営学部で流通論を担当している本藤です。
寒さが急にやってきましたね。受験生も大学生も体調には十分に配慮したい季節を迎えています。そんな季節の曲がり角の10月10日に、小売業界の曲がり角を示唆するニュースがセブン&アイから発表されました。

セブンイレブン1000店を閉鎖・移転、百貨店を3割閉鎖、GMSを2割閉鎖・譲渡、更に従業員数も2022年度末までにヨーカ堂で1700人、そごう・西武で1300人をリストラ!


利益主義を貫いているセブン&アイの本領発揮と言える構造改革方針です。同社は純利益では今期過去最高の利益を計上しての発表です。

この経営発表は、小売ビジネスの今後の方向性に大きな示唆を与えるものです。
実は、小売ビジネスで日本よりも5年は先を歩んでいるアメリカでは、世界最大の小売企業であるウォルマートが「店舗数減少×売上伸張」という実績を今年度計上しています。
ウォルマートは、昨年対比で357店舗閉鎖して、売上高を昨年対比145億ドルも増加させていて、既存店売上伸長率を昨年対比でほぼ倍増させる実績になっています。※既存店:開店してから1年以上が経過した店舗


これまでは、小売業は立地が勝敗を分けると考えられていて、狭域商圏業態と言われているコンビニ、ドラッグストア、スーパーマーケットは特定エリアに集中的に出店するドミナント戦略を展開してきました。それは、生活者が選択する店舗は「最も近い店舗」になる傾向が強く、また物流効率も上がることからエリア・ドミナントを志向してきました。多くの生活者にとって「近い」ということは、店舗数が「多い」ということと同じ意味なのです。そのため不採算店があってもトータルで利益を出していけるモデルでした。

しかし、今回のニュースは小売業界全体が志向してきたドミナント型ビジネスモデルに大きな波紋を及ぼす一石になると思います。

このセブンやウォルマートが志向し始めた利益率重視への転換には、Amazonをはじめとしたネット通販ビジネスの台頭が大きな影響を与えていることは間違いありません。翌日には自宅まで配達されて、在庫対応できる商品数はとてもリアル店舗が対応できるレベルではなく、欲しいものを品質、機能、価格で比較しながら購入できるのですから、リアル店舗の社会的機能を変えていく必要が出てきます。その機能転換が始まっていると考えられます。


ウォルマートでは、オムニチャネル戦略として、ネットで注文した商品をドライブスルーで受け取れるオンライン・グローサリー・ピックアップの対応店舗が2100店舗を超え、自宅まで配達するオンライン・グローサリー・デリバリーの提供店舗が800店舗を超えました。

このように、共働き世帯が増えている現代において、時短支援型のビジネスモデルは大きな社会的価値を提供する時代へと変遷しています。

ダーウィンが語った最も有名な明言がありますね。
「生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは変化に最もよく適応したものである」
これはセブンイレブンを育て上げた鈴木敏文名誉顧問の「コンビニは変化対応業」という言葉と合致します。


ダーウィンは、こんな言葉も残しています。
「一時間の浪費をなんとも思わない人は、人生の価値をまだ発見していない」

これはビジネス・ビジョンにも、私たちのライフ・ビジョンにも示唆を与えます。


文責:本藤貴康(流通論、流通マーケティング演習、アカデミックコンパス担当)
本藤ゼミブログ(http://hondo-seminar.blogspot.com/