気付いたら12月、師走、もう冬ですね。最近、本当に1年が経つのが早く感じられます。
こんにちは。
経営学部でリスクマネジメント論および保険論を担当しております柳瀬です。
経営学部でリスクマネジメント論および保険論を担当しております柳瀬です。
突然ですが、大学生の本分は何でしょうか?バイト?恋愛?就活?資格?…
答えは「勉強と研究」です。
はいはい。もちろん、聞こえてきますよ。「また、くそまじめなことを言いやがって。」という声が。でも、あえて繰り返します。大学生の本分は「勉強と研究」です。
答えは「勉強と研究」です。
はいはい。もちろん、聞こえてきますよ。「また、くそまじめなことを言いやがって。」という声が。でも、あえて繰り返します。大学生の本分は「勉強と研究」です。
今日は、この「くそまじめ」なことを、学生生活のなかで最大限楽しんでいる”最近の若者たち”のお話をしたいと思います。キーワードは、「偶然は必然」です。
さて、「最近の学生はやる気が感じられなくて。」という声を度々耳にします。ただ、これは違うと思います。むしろその逆です。ちょっとしたきっかけさえあれば、びっくりするくらい、彼らは頑張ります。成長します。やる気に満ちており、こちらも負けてはいられません。
学問の秋といいますが、例年、秋から冬にかけて、私たち大学の先生にとっては、「学会」の季節に入ります。もちろん、年間を通して「学会」というのは開催されているのですが、やはり、秋から冬にかけて、たくさんの「学会」が開催されます。では、「学会」とは何でしょうか?
ざっくり言えば、同じようなテーマで研究をする人たちが集まって、自分の研究テーマについて発表し、その問題点や改善点などを指摘し合うための「場」、ということになります。
前置きが長くなりましたが、昨日と一昨日の2日間、全国21の大学から約300名、33の研究報告からなる、ある「学会」が開催されました。RIS (Risk and Insurance Seminar) といいます。もちろん、私たち、大学の先生たちの「学会」の話ではありません。大学生が主役の「学会」のお話です。
学生のための「学会」は、実は、年間を通じて活動をしています。春と秋に2回、関東、関西、そして中国・九州という3つの地域で、地域ごとの研究発表会を開催します。最初の会合では、各大学(ゼミ)による1年間の所信表明、研究計画が披露されます。
夏休み明けの2回目の会合では、数か月後に迫った全国大会にむけて、徹底した討論合戦が行われます。ここでは、学生同士の討論だけでなく、複数の大学の先生が、他の大学の学生に対しても厳しいコメント、指導を行います。このとき、「手を抜かずに」真剣に準備をしてきた学生は一度は、かならず落ち込みます。「あれだけ頑張ったのに...」という不満、落胆の声です。彼らにとっては、想像をはるかに超える手厳しい批判にさらされるのです。
ある女子学生は、別の大学の先生から次のような言葉をもらいました。「期待していたけど、今日の発表にはがっかりした。全く面白くない。」彼女は、自分が半年間一生懸命やってきたことをすべて否定された気持ちになったようで、「もうダメ。ゼミもやめる。何がなんだかわからない。」と泣きじゃくっていたことを思い出します。
学生たちは、この「学会」での最終報告のために、特に、秋以降はほとんど毎日、朝から夜遅くまで、数多くの作業(データ入力や分析、プレゼン資料作成など)を行い、そして、研究グループの仲間と徹底的に議論をしていました。本気になっていると感じました。時には、本気で「手を抜かない」仕事をしたいという気持ちがぶつかり合って、喧嘩もしていました。よく泣いていました。
いわば、「大学を超えた本当の友人」ができた瞬間です。
大会初日の夜は、大きな懇親会です。今年は、全国から約300名の学生が一堂に集まって、研究の話、学生生活の話、就活の話、恋愛の話など、大変に盛り上がりました。さっきまで、手がぶるぶる震えていた学生も、解放感でいっぱいのようでした。また、学生の研究報告を毎年楽しみにしている実務家の皆さんとも、非常に充実した時間を過ごしているようで、私も本当にわくわくしたのを覚えています。
しかし、断言します。その考えは間違いです。少なくともこのブログに登場した学生たちは、心の底から大学生活を楽しんでいると思います。だから、本気になれるし、泣くこともできるのだと思います。
かつて、ある著名な経営者が次のようなことを述べました。「人生にはおもしろくないことがたくさん起こる。それは全て自分に責任がある。何かを気づかせるために起こるということを知っておいたほうがいい。この世に起こることは全て必然で必要、そしてベストのタイミングで起こる。」また、ある有名な哲学者も次のようなことを述べています。「人生においては何事も偶然である。しかしまた人生においては何事も必然である。このような人生を我々は運命と称している。」
考えてみれば、今回のお話に出てきた学生たちは、RISという「場」にたまたま出会うきっかけを得ました。そこで、「勉強と研究」に対して手を抜かずに真剣に取り組みました。途中、悔しくて何度も泣くことがありました。でも、その結果、もしかするとまったく触れ合うことなく4年間を過ごしてしまったかもしれないような学問や仲間と出会うことができました。
おそらく、この「偶然」は「必然」なのかもしれません。では何が、偶然を必然に変える原動力なのでしょうか?この話は別の機会に一緒に考えたいと思います。
文責: 柳瀬 典由 (東京経済大学 経営学部 教授)