こんにちは。流通マーケテイング学科の北村です。
今回は、私のゼミで先週実施した、「模擬面接」について書きたいと思います。
ゼミとは、学生が主体となり、調査・研究を行う時間や場所のことです。
しかし時には、このメインの活動以外に、企業や工場を訪問したり、学外からゲストを招いて講演してもらったりするなど、どのゼミも特別企画をおこなっていることと思います。
私のゼミではこの特別企画として、主に3年生のゼミ生のために、就職活動における面接の訓練をおこないました(模擬面接)。
今回は面接官役として、学外から2名のゲストをお招きしました。ともに、企業の人事担当ご出身で、現在は評論家およびキャリアカウンセラーとしてご活躍の方です。
新卒採用のご経験も豊富なお二人より、就職活動の面接でありうる質問として、直球から変化球まで、たくさんの質問を投げかけて頂きました。以下、その一部です。
まずは、定番(直球)の質問群です。
1.うちの業界・企業をなぜ志望するのですか?
2.あなたの強みと弱みは、それぞれ何ですか?
3.大学時代に最も力を入れたことは何ですか?
いずれも、学生が自分のことをよく理解していなければ、答えられません。自分のことを理解する作業は「自己分析」と呼ばれ、就職活動の最初から最後まで、もっと言えば就職後もずっと、ついてきます。例えば、1をとってみても、自分がその業界・企業で働きたいと思う理由は、自分の性格や考え方の特徴、人生で大事にしたいポイントが分かっていなければ、うまく答えられませんよね。よって自己分析が必要なのです。
なお、上記1~3への回答には、当然ながら、一貫性があることが期待されます。
「私が御社を志望するのは、御社は現在~という問題に直面しており、私は自分の~という強みを活かして、その問題を解決したいと考えたからです。なお、私にこの強みがあるという根拠は、私は大学時代に~活動に取り組み、~を達成したことにあります。」
といった具合です。
はっきり言って、この3つはどの企業でも聞かれることなので、自己分析をしっかりやっていれば対応できます。
次に、変化球の質問群です。ゼミ生はたじたじになるばかりか、全く答えられなかった者もいたほどです。
4.ここに10円あるとします。これを2倍にする方法を教えて下さい。
5.1000万円あったら、何に使いますか?
6.うそをついたことはありますか?あるとしたら、どのようなうそでしたか?
ゲストのお二人は、面接後に、質問の意図を解説してくれました。
4は、自由な発想力を問う質問でした。もちろん、マジメに答えてもよいのですが、ユーモアにあふれる答えでも、よいのです。
5は、本人の性格(リスクを取るかどうか)を問うと同時に、志望業界との適性を見極める質問でした。ゼミ生の1人は、「全額貯金する」と答えたのですが、その前に金融業界志望だと話していたので、「金融志望なのに融資や投資を全く考えないとは、ダメ!」と叱られました。
最後に6は、倫理観を問いたかったのだそうです。皆さんも、会社員が企業のお金を私的に流用したり、社外秘の情報を漏らしたりした事件を見聞きしたことがあると思います。就職後、ビジネスパーソンとしても、高い倫理観は必要なのです。
以上の質問は、当日ぶつけられた多数の質問のうち、ほんの一例です。しかし、このたった6問だけでも、企業は学生からできるだけたくさんの情報を引き出し、できるだけ多面的に評価しようとしていることが分かるでしょう。論理力、何かに熱中した経験の有無、持続力や根性、発想力や着眼点の良さ、志望業界との適性、倫理観・・・評価のポイントは、多岐にわたるのです。
ちなみに、就職活動では多くの場合、いきなり面接してくれるのではありません。面接に先立つ選考を勝ち抜いた学生だけが、面接に進めます。
面接以外の代表的な選考方法としては、「エントリーシート」と呼ばれる志望書兼履歴書、筆記試験(算数や国語の基礎学習能力を問う選択式と、小論文のような論述式があります)、心理・性格テスト、「グループ・ディスカッション」と呼ばれる他の学生との議論、が挙げられます。これらでは、熱意、知力、性格、コミュニケーション力や社交性などが見極められているのです。
つまり、就職活動では、それまでどのような人生を歩んできたか、その結果としてどのような能力や考え方や個性を身につけたかという、総合力が問われているのです!
高校生の皆さんにはぜひ、「大学に入ること」ではなく、「大学で、もしくは大学時代に、何をするか」を考えてほしいと思います。大学生になったら、自由に使える時間が増えるだけでなく、自分で時間を管理できる余地も増えます。勉強、部活動やサークル活動、アルバイト、ボランティア、旅行、買い物、街歩き、人脈づくり・・・たくさんの経験を積めば積むほど、就職活動時に、どの企業からもぜひ採用したいと言われるような魅力的な学生になれます。その経験を積む時間と権利を得るために、最低限の受験勉強は頑張ってほしいものです。
文責:北村真琴(流通マーケティング学科 准教授)