2015年4月7日火曜日

【学問のミカタ】 「選挙」はマーケティング!

ブログ全学コラボテーマ 『選挙』

 
経営学部の本藤貴康(流通論、流通マーケティング入門、地域インターンシップ担当)です。毎月、学内横断的に同じテーマでブログを書くことになりました。今回のテーマは「選挙」です。「選挙」を経営やマーケティングの視点で捉えてみました。

統一地方選挙が迫ってきています。

18歳からの投票権も議論されていたり、ネット投票も議論されていたり、若者の政治離れ対策が取り沙汰されていますが、「選挙」というのは「マーケティング」として考えてみると、見えなかったものが見えてきそうです。

マーケティングは、ターゲットとなるお客様を設定することからスタートします。そして、そのお客様にとってのその商品の位置づけを決めて、その価値を伝えます。
例えば、数多くの競合がひしめき合うお菓子とか清涼飲料水は、瞬間風速で売れることがあったり、おまけ1つで売上が変わったりします。そんな競合の多いマーケットで競合の売上を奪うのもひとつのアプローチです。あるいは、最近で珍しい商品として全薬工業のココロ応援ドリンク『アロパノール内服液』は面白いですよね。緊張や不安からイライラしたりする神経症状を緩和する医薬品です。これまでは病院に行って処方されていたようなドリンク剤がドラッグストアで受験や仕事で疲れている人が手軽に買えるんですよね。このように競合が出てきていないマーケットを探し出すのもひとつのアプローチです。そして、最近ではリピート客を育成することがマーケティングの重要課題になっているので、一回ぽっきりの購入ではなく、ブランド・ロイヤルティの高いお客様を獲得することが意識されてきています。
これを「選挙」で考え直してみると、人口が多い都市部は浮動票が多いので、意外に空白マーケットが多く競合が少ないと言えるかもしれません。ただし、浮動票の多い都市部の場合、一回ぽっきりの指示を得られても次の選挙でも支持してくれるかどうか・・・
それに対して、地方では自民党指示が多かったり、現職が強かったり、「リピート率」の高い支持を得られる可能性が高いのかもしれません。特定の業界団体が特定の政党を支持したり、「ターゲットの設定」は多様です。

「選挙」も「マーケティング」と同様に、大規模な広告で動かすだけではなく、一人一人の有権者との接点を育む形も根付き始めていて、名前を連呼する選挙カーだけで支持を得ることが難しくなってきています。

そして、「選挙」も1票1票の積み上げで競争優位を築き上げますが、「マーケティング」も1個1個の商品の販売で売り上げを築く点でも同様のアプローチと言えます。
AKB48の総選挙からも分かりますよね。従来のタレントのプロモーション(営業活動)は、テレビの露出を増やしたりしていましたが、自分が支持する人を獲得するために握手会を全国各地で開催して、1人1人の支持者を積み上げています。効果的な営業活動は、もはや広告を打てば売れる時代から、コミュニケーションが求められています。
 
選挙は、「世の中の仕組みをこうして欲しい」という国民ひとりひとりが問題意識を持つための重要な機会です。最近の投票率の低さは、政治への不信が高じて無関心に陥っていることを反映していると言われています。でも、「選挙」の本質は、1票1票の積み重ねです。若者が「自分たちのための社会の仕組みと政治」を議論するきっかけとして「選挙」が変わっていくと、日本が変わっていきそうな気がします。

 
文責:本藤貴康(経営学部教授)
※本藤ゼミナールの活動案内(http://hondo-seminar.blogspot.jp/)を始めました。