2016年5月11日水曜日

【学問のミカタ】利益を増やすために考える2つの視点

経営学部の本藤です。
今月の全学共通テーマは「お金」です。
「お金」という今回のお題を頂いて、正直なところ広大な「お金」に関わる流通やマーケティングの考え方の何を紹介しようか悩みまくりました(実は、いまも悩みながら書き始めています)。


そもそもマーケティング戦略や流通戦略などの売上追求のための方法論は、「お金を稼ぐ」ということが最終的な目的です。
経営学部には、経営、会計、情報に関連した勉強をする経営学科と、流通やマーケティングを勉強する流通マーケティング学科がありますが、これらの研究や理論は、基本的に「お金を稼ぐ(利益を上げる)」ためには何をすべきかという問題意識を共有しています。


よくテレビ番組などで「年商10億円」などと紹介されていますが、これは年間売上総額を意味しています。そして、これだけでは、そのビジネスの儲け具合は判然としません。ここから、仕入原価などの原材料調達に関わるコストや、人件費、オフィス賃貸料などのコストを引かなければ、利益額の規模が分かりません。
昨年の国内平均年収は440万円でしたから、「年商10億円」でも桁違いに儲かっていると考えてしまうかもしれませんね。


でも、仮に、その会社が小売業だとしして、粗利(卸売価格と小売価格の差)が10%程度だとしたら、もはや会社に残るのは1億円。社員を5人雇用していたとして、平均年収の400万円×5人分の2000万円をその1億円から引くと8000万円。更に、店舗にかかる賃貸料、大型冷蔵庫を24時間365日稼働するなどの水道光熱費、チラシなどの販売促進費などが引かれていきます。その上に税金が引かれて・・・
意外と、数字の印象ほど余裕のある儲け方ではないのです。


そこで、売上とコストをどのように管理するかを考えるために会計学が役に立ちますし、情報を戦略的に効果的に活用するための方法論も役に立ちます。組織のあり方、経営管理や生産管理の手法、社員の管理方法などの経営学の勉強が、ビジネスにおいて忘れてはならない視点や知識を与えてくれます。そして流通論では、メーカー、卸売業、小売業など様々なビジネスを想定しますが、マーケティング論では、主としてメーカーの立場から体系化された売上追求のための様々な考え方を習得できます。


みなさんの日常生活において、より身近な小売業を考えてみます。
「売上を上げる」と一口に言っても、売上の上げ方は2通りあります。
「客数を増やす」か「客単価を上げる」かのどちらかです。
「客数を増やす」ために、価格を下げて、より多くのお客様に利用して頂こうとする小売ビジネスが、ディスカウントストアになります。
「客単価を上げる」ために、ステータスを前面に出して、お客様に(相応の)高い価格で買って頂こうとする小売ビジネスが、ブランド・ショップや百貨店と言えそうです。


とは言っても、それぞれのお店では、付加価値の高い商品からお買い得な商品まで幅広く店頭に並べられることもあり、それぞれのお店で集客のための安い商品から、利益を獲得しやすい高単価商品も混在させながら、効果的かつ効率的に売上追求を図るというような取り組みを行います。
いずれにしても、全てのビジネスは、「利益を増やす」ために「売上を上げる」ことと「コストを減らす」ことを考えて、「売上を上げる」ために「客数を増やす」ことと「客単価を上げる」ことを追求しています。



【学問のミカタ】
他学部やセンターからも、同じ「春」をテーマとしたブログがアップされています。
高校生の皆さんは、他の【学問のミカタ】に是非ともお立ち寄りください。

経済学部 「経済と言えばお金!!………なの?」
http://tkueconomics.blogspot.jp/2016/05/blog-post.html

経営学部 「利益を増やすために考える2つの視点」
http://tkubiz.blogspot.jp/2016/05/blog-post_11.html

コミュニケーション学部 「働くモチベーション」
http://comtku.blogspot.jp/2016/05/blog-post.html

現代法学部 
「お金について- マイナス金利など」
http://genho-tku.blogspot.jp/2016/05/blog-post_13.html
「お金について- その2 電子マネー、仮想通貨など」
http://genho-tku.blogspot.jp/2016/05/blog-post_26.html

全学共通教育センター 「金でも取れるかね?」
http://tkucenter.blogspot.jp/2016/05/blog-post_18.html


文責:本藤貴康(流通マーケティング入門、流通論、地域インターンシップ担当)
本藤ゼミナールBLOG http://hondo-seminar.blogspot.jp/