流通マーケティング学科の丸谷です。12回目の執筆です。
今回はコミュニケーション学部の遠藤先生が企画された特別企画講義「オリンピックから現代をみる」の中の1回分の依頼を受けて行ったので、その模様を報告させていただきます。
なお、特別企画講義に関しては、一般にも今年度は6科目が公開されているようで、本講義も公開されている講義であるため、学生さん以外の方もこられていました。詳細は以下のサイトを参照下さい(実施教室は変更されている場合があり、今回の講義も教室が当初からは変更されていました)。
特別企画講義というのはあるテーマに沿って教員が企画し、大学で承認したものを開催する講義です。今回の講義は間近に迫ったリオデジャネイロ・オリンピックをきっかけに多様な講師を迎えて連続講義を15回行うといった内容でした。学内だけではなく、外部からも多彩な講師を迎える予定になっております。
私は経営学部ではグローバル・マーケティング論(簡単にいうと海外でどのようにマーケティングを行っていくのか)を主に担当しており、私がメキシコシティで生まれたこともあり、特に中南米に関しては現地調査で何度も訪れ、創成社新書「ラテンアメリカ経済成長と広がる貧困格差」も書かせていただいているので、お引き受けいたしました。
注目集めるオリンピック関連の講義ということもあり、講義は大教室にかなりの人数が入って行われました。資料は300人以上分が毎回用意されるようです。
私が与えられたテーマは、「ブラジルにおける経済及びビジネスオリンピック開催を契機に」でした。
具体的には、第1にブラジル経済発展の経緯を三角貿易(図参照)によって発展した植民地時代から1985年の民主化後新興国の雄BRICSの一員として注目された近年まで振り返りました。
三角貿易とは海洋国家であったポルトガルが本国であるポルトガルと、主要植民地であったアフリカとブラジルの3つの地域を貿易でつなぐことで行っていた貿易です。ポルトガル本国からはアフリカに武器を、アフリカからブラジルへは労働力として奴隷黒人を、ブラジルからは奴隷黒人を使って栽培したり採掘したサトウキビ、コーヒー等の農産物や金などの鉱物をポルトガルに送っていました。
第2に厳しい局面を迎えている現在のブラジル経済の状況について示しました。ブラジルはエネルギー価格が高騰した2004年くらいからリーマンショックまでは順調に成長し、その当時にオリンピック開催を決めたのですが、その後経済は低迷し、2015年はマイナス成長になってしまい、正直オリンピック開催どころではない状況にあるともいわれます。
第3にブラジルにおけるビジネスとオリンピック開催の関係性について説明しました。大統領が弾劾されるかもしれないなど、厳しい状況にはありますが、2014年に行われたワールドカップのことを考えると、オリンピックの開催自体はなされそうであるという前提を踏まえて、ブラジルのビジネスの状況について解説し、オリンピックをしっかりと開催しないことによって生じるデメリットについても若干触れました。
経済が厳しく、政治が混乱している中で行われる予定の南米大陸初のオリンピックが順調に行われることを期待しつつ授業は終わりました。本学では今回のオリンピックだけではなく、逐次多様な内容の特別企画講義が行われております。入学後にはぜひ視野を広げるためにも、特別企画講義にも注目してみてはいかがでしょうか。
(文責:丸谷雄一郎 流通マーケティング学科教授)