2017年3月20日月曜日

【学問のミカタ】スキップされるテレビCM(T_T)

2017.3.20

経営学部の本藤です。
おそらく受験シーズンは終わったので、大学生になった人も受験生になった人も、あるいは進級した人も進級できなかった人も、みんな4月からの新しい生活になると思います。
すべての人に・・・お疲れ様でした(^O^)/


今月の【学問のミカタ】で紹介する共通テーマは「SNS」です。
でも、他学部やセンターのブログで、SNSそのものに焦点をあてたコンテンツがあると思うので、ここではSNSが果たしているマーケティングのなかのプロモーション・ツールとしての役割を考えてみます。

突然ですが、みなさんはテレビCMを見て「これ欲しい!」と思ったことはありますか?
そう感じる時はどんな時ですか?

ちなみに、テレビCMで世界的な有名タレントを起用して、(日テレやTBSなどの)在京キー局でゴールデンタイム(19時~22時)に流すとなると、いくらかかると思いますか?
製作コストが(担当する制作会社、プロデューサー、ディレクターによって大きく変わりますが)ざっと数千万円、有名タレントとの契約料に数千万(ハリウッドスターになると億単位)、更にゴールデンタイムのCM枠を持っているD社やH社などの大手広告代理店の(とっても高額な)手数料が上乗せされて、(挿入する番組の視聴率によっても影響を受けますが)放映するスポット回数に応じて課金されていきます。

まぁ、かいつまんで言うと、テレビCMを流すには巨額の「広告料」が必要になるわけです(笑)


しかし、最近の社会的傾向として、ドラマであってもバラエティであってもリアルタイムで視聴されなくなってきているようです(スポーツ中継はリアルタイム視聴が多そうですが・・・)。
我が家でも、中学生と高校生の子供たちは、見たい番組を録画しておいて、夕食の時間に時間差で見るようになっています。
それが7時からの番組でも、夕食が7時15分からであれば、番組はリアルタイムでやっているにも関わらず、夕食の時間にあわせて最初から見始めます。コマーシャルは早送りでスキップして、45分程度で見終えることになります。


つまり、「巨額のコスト」を投じてテレビCMを制作して、CM枠を確保して、何度も繰り返して流しても、それを視聴する人がいなくなってきているのです。
そんな背景もあって、人気タレントを起用した話題のテレビCMを流したからヒット商品になったなんていう話を聞かなくなりました。


そもそもテレビCMのコストが高額にのぼるのはなぜでしょうか?
それは、他の媒体と比較してテレビを視聴する人数が圧倒的に多いので、商品認知率の向上に役立っていたという面もありますが、なによりも多大なる影響を及ぼしていた歴史的背景もあって、テレビや広告に関わって稼がなくてはならない企業や人が(必要以上に)肥大化している事実は否定できません。


でも、残念ながら、老若男女すべての人をターゲット(顧客)として想定した商品やブランドは急激に少なくなってきています。つまり、不特定多数の人々に対しての広告宣伝コストは、費用対効果として見合わなくなってしまっているのです。


そんな費用対効果の視点から、格別に高額なテレビCMなどのマス・メディアではなく、パワーブロガーと呼ばれるような「個人」的なメディアを広告メディアとして活用するケースが増えつつあります。
このパワーブロガーは、それぞれに独自の強みであるテーマを掲げています。ペット、掃除、料理、健康などなど・・・
様々なテーマを掲げるブログを読む人は、明らかに興味の方向によって選別されているので、メーカーがターゲットとする顧客群を探し当てやすいとも言えます。
何よりも、そのブログに関わっている人がテレビCMと比較して格段に少ないので、圧倒的に安く的確なターゲット顧客に情報伝達できる可能性があります。


とは言うものの、この「ブログ」はネット上の情報発信サイトと言えますが、実はそう簡単に読者が集まるものではありません。単にサイトを開設していても、多くの人が訪問するサイトになりません。そこに大きな推進役を果たしているのが「SNS」です。
具体的には、Line、Twitter、Facebook、Instagramなどですが、これは「人と人とのつながり」を連結させていくコミュニケーションツールです。
友達の友達が友達になって情報拡散するので、発信した情報の受信者の中に破格の数のフォロワーや友達を保有していると、短時間のうちに全国レベルで波及していく可能性があります。しかも、波及範囲は地域や国を問わない世界規模です(とは言うものの、言語の障壁があるので、基本的には同じ言語圏限定ということになりますね)。
つまり、発信力があって影響力のあるブログも、SNSのような“飛び道具”が、その影響力の大きな推進役を果たしているのです。


さらに、テレビは前述のような視聴スタイルなので、テレビCMは見ない人もネット上の広告は見たり、商品の口コミは読んだりするんですよね。つまり、自分たちの意思とは無関係に飛び込んでくる広告宣伝には興味を示さないのに対して、自発的にサーチをかけて広告動画を見ることは増えているんです。
最近では、SnSnapのように、Instagramで共有した写真をプリントアウトできるサービスの提供によって、ハッシュタグを付けたSNS投稿を促すプロモーションも急拡大しています。


いずれにしても、ネット上のサイトやYouTubeで情報提供したり、既に認知されている既存ブランドをリマインドさせるというゴールに向けて、SNSがこのようなプロモーション・チャネル(情報伝達経路)をつなげて、シナプスのように情報伝達を縦横無尽に支援しています。
そういう意味では、現在のプロモーション・チャネルは、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌のようなマス・メディアだけではなく、SNSの仲介によってマルチ・チャネル・プロモーションの時代と言えそうです。

文責:本藤貴康(流通マーケティング入門、流通論、地域インターンシップ担当)
本藤ゼミナールBLOG http://hondo-seminar.blogspot.jp/


【学問のミカタ】
他学部やセンターからも、同じ「SNS」をテーマとしたブログがアップされています。
高校生の皆さんは、他学部の【学問のミカタ】に是非ともお立ち寄りください。

・経済学部ブログ : 「つながることで増える価値
・コミュニケーション学部ブログ : 「#春から○○
・現代法学部ブログ : 「http://genho-tku.blogspot.jp/」
・センターブログ : 「いつでもそうだとはかぎりませんよ