学問のすゝめ
新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
経営学部の吉田靖(経営財務論担当)です。
本学でも4月1日に入学式が挙行されました。
経営学部だけでも約560名の新入生の皆さんをお迎え致しました。
本学では経営学部が最も多くの入学生をお迎えしております。
全学での入学式の後は、各学部別に別会場で学部長挨拶とガイダンスを行いました。
私は教務主任もしておりますので、1時間弱ほど経営学部のカリキュラムの説明を致しました。新入生の皆さん!話の内容は忘れないで下さいね!
さて、このときは、カリキュラムの内容についてのみお話ししましたが、大学や高校で学ぶ皆さんに是非お話ししたいことがあります。
それは、福澤諭吉の『学問のすゝめ』の冒頭の話です。
というと、そんなの知っている、
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり。」
でしょ、と思う人が多いと思います。
ひょっとしたらどこかの大学や高校などの入学式でもこの一文が紹介されているかもしれません。しかし、実はこの一文だけでは福澤諭吉の言いたいことは全く伝わらないのです。これを理解するためには、このあとに続いている文章とセットで考える必要があります。それではどうなっているかというと、
次のように続きます。
「されども今広くこの人間世界を見渡すに、かしこき人あり、おろかなる人あり、貧しきもあり、富めるもあり、貴人もあり、下人もありて、その有様雲と泥との相違あるに似たるは何ぞや。
(中略)
人は生れながらにして貴賎貧富の別なし。ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるなり。」
冒頭の一文だけではなく、少なくともここまでの意味を考えましょう!
間違えて覚えている人、あるいは間違えて教えられた人は、何事にも疑問を持ち、自分で物事をきちんと調べるということの大切さも併せて理解していただけると幸いです。
それでは、他人に言うだけでなく、自分では学問をやっているのかというと、これが大学の教員の仕事なのですが、先月にはいくつか報告できることがありました。
大学の教員は、学問をした結果として、研究成果を論文として世に問うことになりますが、私の分野では、通常はまずは同じ分野の研究者の集まりである学会で発表することになります。
これに相当するものとして、3月18日から20日まで、日本ディスクロージャー研究学会の第2回ワークショップが開催されましたが、プログラム委員長としてその準備にあたりました。参加者の協力のおかげで、今回も成功裏に終わりました。以下の画像はその時の予稿集です。全部で200頁弱あります。
このような場で発表して、いろいろな意見をもらって、次に論文として発表します。次の例は同じ学会ですが、副編集委員長・担当常任理事をしている学術雑誌『現代ディスクロージャー研究』No.16が刊行されました。次の画像です。
このような雑誌は査読誌と言って、投稿した人の論文を全てそのまま掲載するのではなくて、内容によって採択するかどうかを決めます。この雑誌は特にレベルが高いことで知られています。
もう一つは、編集委員長をしている日本FP学会の学会誌『ファイナンシャル・プランニング研究』No.16も3月に刊行されました。ファイナンシャル・プランニングのことを詳しく知りたい人は是非学会のウェブサイトを見て下さい。大学生を対象とした賞もあります。
最後にご紹介したいのは、編集委員をしている日本保険・年金リスク学会誌です。こちらも第8巻第1号が3月に刊行されました。
この雑誌は、今月着任した米山高生教授も編集委員で、さらに日本保険・年金リスク学会の会長でもあります。
さあ、皆さんはどんな学問をしたいと思っていますか?
東京経済大学には、そのための教員・職員と設備がそろっています。
吉田 靖(よしだ やすし)