流通マーケティング学科の丸谷です。45回目の執筆です。私はグローバル・マーケティング論(簡単にいうと海外でどのようにマーケティングを行なっていくのか)を専門分野にしているので、グローバル・マーケティングにおいて重要である海外事情について学習できる映画について紹介してきました。
今回は現在公開中のチリ映画『83歳のやさしいスパイ』について取り上げます。この映画は第93回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされました。今回取り上げる『83歳のやさしいスパイ』はドキュメンタリー作品でありながら、タイトル通り、やさしさの中に考えさせられる側面のある作品でした。
7月9日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開 © 2021 Dogwoof Ltd - All Rights Reserved |
器具の扱いに苦労するスパイである主人公 © 2021 Dogwoof Ltd - All Rights Reserved |
映画をご覧になれば多くの方が、入居者の中に自分の祖父母や親戚に似た境遇の方を見つけられるのではないでしょうか。日経BPヒット総合研究所上席研究員品田英雄氏が指摘されているように(日経MJ2021年7月2日付)、宮藤官九郎さん脚本で最近話題となった『俺の家の話』と世界観はかなり似ています。宮藤さんは演劇出身ということもあり、上記作品も描かれるテーマに社会性があり、主役だけでないキャストの個性に加えて、プロレスと能との対比を組み入れる一工夫のバランスが秀逸でした。このドキュメンタリーも老人ホームというテーマに社会性があり、出てくる入居者の方々は皆個性にあふれ、スパイでの侵入という一工夫が重くなりがちな雰囲気を和らげています。
緊急事態が延長され、コロナ禍映画館に行くのは難しいですが、鑑賞できる状況になったら感染対策を行った上で、タイトル通りとてもやさしいスパイが主人公の映画『83歳のやさしいスパイ』をご覧になられてはいかがでしょうか?
文責:流通マーケティング学科 丸谷雄一郎