2024年10月21日月曜日

高校数学は何に使うのか?(2)

 経営学部で企業金融論や経営統計を担当している木下です。

前回に引き続き、高校数学の大学あるいは社会での応用についてお話させていただきます。

高校での勉強のモチベーションの一つになれば幸いです。

前回の記事はこちらです。

https://tkubiz.blogspot.com/2024/08/blog-post.html

前回は「対数」というものを説明せずにデータ分析に使っていました。対数は高校2年生の内容ですが、少し説明します。

「2を3乗すると8です。」を数式で書くと

となります。逆に「2を何乗すると8になりますか?3です。」を数式で書くと

となります。

このように、対数は何乗したらxになるか?という数のことで、対数と指数は表裏一体です。詳しい説明は高校の数学の先生に聞いてみましょう。我々のような応用で数学を使っている人間よりも数学のプロに聞く方が間違いがありません。


さて、データ分析では「対数」そのものに興味があるわけではなく、「やりやすいから対数

スケールで分析を行って、後で元のスケールにも戻せばいい」という発想を取ることが頻繁にあります。どういうことか、応用例を見てみましょう。


左の図は、2024年度決算の小売業の上場企業の従業員数のヒストグラムです。

右の図が従業員数の対数値のヒストグラムです。対数を取った方が左右対称に近く、統計学で扱いやすそうですね。ここでの対数とは自然対数のことですが、すごく使いやすい数、ぐらいのイメージを持っておきましょう。

次に、一人当たり資産と一人当たり売上高の散布図を見てみましょう。

元のスケールでは左下にデータが集まっていて、かつ直線には見えません。

対数を取ることで直線に近くなります。直線での分析は高校の数学の教科書の「データ分析」でも紹介されています。そこで、対数スケールで分析を行ってから後で元に戻すような分析方法を使うわけです。そうすることで左の図でも当てはめ曲線を引くことができます。

これを拡張していけば、売上高、従業員数、総資産の3つの関係性も見ることができるようになります。


こういった分析を行うときに、「対数」を理解していれば、混乱することなく分析を行うことができます。


では、数学ができれば経済経営データ分析はできるのか?というと、答えは完全にNoです。データ分析の結果を活かして何をするか?ということを考えるのが経営学や経済学の役割です。また、人間行動の結果として集まってくるデータは、実験研究のような理想的な集まり方はせず、偏りのあるデータとなります。数学だけを武器に経済経営データ分析に挑むと多くの落とし穴にはまることになります。

経済経営の分析にはデータ分析だけでなく、損得計算を中心とした人間の行動原理を踏まえた分析が必要となります。これは簡単なものではなく、だからこそ高校生の間に汎用性のある知識を広く身に着け、大学で自分の領域の専門的な能力を身に着ける必要があると言えます。





2024年10月14日月曜日

SNS総フォロワー290万人以上ゼミOG「くぼたび」さんをお招きして

 流通マーケティング学科の丸谷です。67回目の執筆です。私はグローバル・マーケティング論を専門とする教員です。本学には教員が自身の講義に実務家や外部の有識者を外部スピーカーとして招くことができる制度があります。今回は丸谷ゼミOGで旅に生きるアラサー夫婦としてSNS総フォロワー数290万人の大人気ユーチューバーのクボタビさんを外部スピーカーとしてお招きしたので取り上げます。ゼミOGの講演を取り上げるのは2022年12月12日に取り上げた「日本一新大久保に詳しい」としてご活躍されているもーちぃさんに次いで2人目です。


クボタビさんは2020年12月からSNSで夫婦する旅しながら動画をアップし始め、コロナ禍で全国の観光地が疲弊する中でルールをしっかり遵守した上でリアルな情報を伝える動画が人気となり、47都度府県全てが主役になることを目指して、魅力があるのにしっかり情報が伝わっていない地域の情報を伝える仕事をされています。自身が出演するだけではなく、インフルエンサーチームを運営する、SNSコンサルティングを行うなど多彩な活動をされています。2024年6月にはこれまでの活動やお勧めの旅先を盛り込んだ書籍『くぼたび流暮らす旅のしおり(株式会社KADOKAWA刊)』も出版され、既に5刷となっています。

講義は簡単な自己紹介の後、ご自身のアップされた大洗ホテルのショート動画(https://www.tiktok.com/@kubo_tabi/video/7416633001179761937)をみてもらい、どのようなSNSのテイストなのか理解してもらった上で始まりました。


ご夫妻は全国を旅する中でコロナ禍魅力があるのに疲弊する地方の実情を憂い、SNSを最大限活用して状況を改善し続けています。ご夫妻の活動開始当初コロナ禍だったため、外国人観光客はほとんどいなくなっていました。しかし、現在では非常に多くなっており、日本語の発信だけではなく、最近はインバウンド客も意識した内容の情報発信も始めているそうです。私は講義ではアウトバウンドを中心に取り扱っているので、非常に有用でした。

講義内では疲弊する地方の実情や一部の観光地に人が集まりすぎている現状についてデータを用いて示した上で、SNSを活用する際の留意点や競争が激しいSNSの中で活動を維持するために重視している独自性について具体例をあげながら講義されていました。


特に感心したのは紹介する対象選定へのしっかりとしたこだわり、綿密な取材と下準備を入念に行った上での取材交渉、視聴者の反応データに基づく動画の改善といった部分でした。紹介する対象の選定ではいくら条件がよくても自身が紹介するに値しない内容は選ばないということが徹底され、取材交渉では自身のこれまでの活動をしっかりまとめた資料を持参し紹介すべき内容について語りながら綿密に交渉がなされ、動画の改善は動画から離脱した理由を徹底して分析されているそうです。5年の経験が実り現在に至っていることがわかる内容でした。


講義終了後質問タイムでは、東京経済大学の卒業生ならではの質問「東京経済大学の魅力をSNSを通じてアピールするには」といった内容もあり、豊かな自然環境と充実した施設をあげられており、ご夫妻の柔らかい雰囲気と相まって和やかな雰囲気でご講演は終わりました。

(文責:流通マーケティング学科 丸谷雄一郎)

2024年10月7日月曜日

特別企画講義「鉄道で考える社会インフラ整備・管理の未来」の受講生アンケート結果から見える東京経済大学の学生

 

 経営学部の三和雅史です.

 今回のブログでは,5/20,7/22のブログで紹介した,本年第1期に開講した特別企画講義「鉄道で考える社会インフラ整備・管理の未来」の終了後に行った受講生アンケートの結果と,そこから見える東京経済大学の学生の姿や志向を次回のブログ(12月予定)との2回に分けて紹介します(講義の詳細については,シラバス

https://portal.tku.ac.jp/syllabus/public/pubShowSyllabus.php?sno=176914&rlcd=12425-001&mt=0&year=2024

をご覧下さい).

 この特別企画講義では,鉄道会社や国の機関から計13人の講師を招き,社会インフラとしての鉄道の現状や課題,そして未来への展望について,様々な観点から紹介して頂きました.講義終了後,受講生に講義に関するアンケートへの協力を依頼したところ,全受講生(178人)の77%にあたる137人から回答を得られました.受講生たちが何を思い,考え,また受講前後でどう変わっていったのか,回答から考察してみました.

受講状況
 この科目は,東京経済大学の経営学部だけでなく,全学部,全学年の学生が受講できる形で開講しました.学部,学年別の受講者数と受講率(=受講者数/所属学生数)を示します.


 (1)受講者数
 学部別では経営学部の受講者数が55人で,他学部の受講者数より約10人多い状況にありました.また学年別では2~4年生の受講者数が多く,特にコミュニケーション学部の2年生で多い傾向にありました.
 (2)受講率
 コミュニケーション学部,法学部で高く,特にコミュニケーション学部の2年生と法学部の2~4年生で高い傾向にありました.コミュニケーション学部には,メディア社会学科と国際コミュニケーション学科があり,後者の方が若干高い受講率となりました.この学科の説明として,大学案内や学部のwebページには「現代社会を,ヒト・モノ・コトが国境を越えて移動する『移動/モビリティ』の観点から考察」とありますので,「移動」というキーワードが「交通」とつながり,受講に至った学生が多かった可能性が考えられます.また,法学部については,公共性の高い社会インフラを通して実社会の仕組みを理解しようというモチベーションが学生にあったと考えられます.これらの点については,2章「①受講の動機」で考察したいと思います.

アンケート結果の概要と分析
 アンケートでは主に以下の項目に関する問いを設定しました.
  ①受講の動機
  ②受講して発見したこと
  ③関心をもったキーワード
  ④印象に残った講義
  ⑤社会インフラ業界の仕事への関心
  ⑥現場見学会,意見交換会への参加希望
  ⑦その他(自由意見等)
 今回のブログでは,①〜④の回答の概要と分析結果について示します.

①受講の動機
 幾つかの選択肢から選ぶ形(複数回答可)で回答してもらいました.結果を以下に示します.


 図から,「社会インフラ」,「鉄道」,「まちづくり」への興味が動機となった受講生が多いことが分かります.同じ図を学部別に作成してみたのが以下の図です.
 図から,受講動機は学部によって若干異なることが分かります.経済学部,経営学部の受講生では「社会インフラ」,「鉄道」の割合が高いのに対し,コミュニケーション学部と法学部の受講生では「まちづくり」の割合も高くなりました.更に,法学部の学生については,「実社会を知りたい」の割合も高いことが分かります.私は,この傾向は大変興味深く,好ましいと感じました.というのは,自分の所属学部の観点から,またその学部を選んだ自分の興味・関心を踏まえて,自分は何を学びたいか?何を学ぶべきか?を大変よく考えて履修科目を選択していると思えたからです.「とにかく楽をして必要単位数を取得し,卒業できればよい」という考え方とは対極をなす姿勢であり,東京経済大学の学生が自らの学びを真剣に考えて履修科目を選択していることが,この結果に現れていると思います.


②受講して発見したこと
 自由記述形式で回答してもらいました.回答内容をまとめたものを以下に示します.


 様々な回答があったため,この図は全ての回答内容を反映したものにはなっていませんが,「視野,視点の拡がり」,「社会構造の理解」,「職業としての意義」という3点に回答を集約できました.講義を通した体験として,哲学の祖であるソクラテスの言葉にある「無知の知」,即ち「自分がいかに社会インフラ(鉄道)のことを分かっていないかへの気づき」に始まり,そして新たな知識を毎週獲得しながら社会の仕組みについて考えるようになり,更に仕事内容と社会貢献性への理解が進んで将来の職業の候補になるまでに至った学生が何人もいたと理解できます.つまり,本講義により「職業選択」という自分の将来に向けた「行動」の一歩手前に到達したと考えられ,本講義は東京経済大学のコピー「考え抜く実学」の1つの実践事例になったと思います.

③関心をもったキーワード
 幾つかの選択肢から選ぶ形(複数回答可)で回答してもらいました.結果を以下に示します.


 「安全,安心」,「まちづくり」,「労働力不足」,「利便性向上」,「防災」の5つのキーワードは他に比べて関心が高い結果になりました.この結果には,社会インフラの存在意義と課題への関心の高さが現れていると考えられます.
 鉄道輸送は利用者や荷物を目的地に運ぶことを基本とするサービスですが,そこで何より優先されるのは「安全」です.講義では,殆どの講師が「安全」を強調していたことから,多くの受講生が関心をもったものと思われます.また,「防災」は「安全」に近いキーワードです.毎年のように発生する水害,そして地震への社会的な関心が高まる中,私たちの見えないところで進む様々な災害対策を知ることで,社会インフラをどう守るかを考える機会になったものと思います.
 「まちづくり」と「利便性向上」も比較的近いキーワードです.「利便性向上」は,「鉄道」という「まち」を構成するシステムをどのように生かすかという具体的な課題の1つです.講義では,鉄道をバス,トラック,船等と連携させた事例が幾つか紹介され,公共交通の在り方という観点で「まちづくり」を考える機会になったと思います.
 一方,「労働力不足」は,今後の社会インフラの維持,継続のために大変大きな課題となっており,多くの講師が話題にしました.その深刻さ,そして解決の重要性を理解することで,強く関心をもった結果,回答者割合が3番目に大きくなったと思います.

 今回のブログでは,ここまでの紹介とします.
 アンケート項目の④以降では,印象に残った講義,社会インフラ分野の仕事への関心等について質問しています.これらの回答の概要と考察については,12月に担当予定のブログで更に紹介したいと思います.






2024年9月30日月曜日

ゼミ合宿のお話②

広告論を担当している鴇田です。 先に言ってしまいますが、寺本先生の投稿からゼミ合宿のお話が続きます(笑) 東経大では、夏休みに「合宿」を行うゼミが多くあります。 私が担当するゼミでも、9月15日(日)〜17日(火)の3日間、ゼミ生14名が参加して合宿を行いました! 宿泊場所は千葉県館山市の「白浜レジデンス」です。
海も近く、朝散歩にでかけるゼミ生もちらほら。。。

1日目 集合〜研究発表

13:00に館山駅に集合しました。 ここでバスで駅に向かう学生たちが、渋滞に巻き込まれるというトラブルが発生。電車で先に到着してた数名で、館山駅のそばにある『館山食堂』で遅めの昼ごはんを食べました。 テレビで取り上げられたこともあるお店で、到着時には列ができていました。 オススメの大盛りの天丼を頼んだゼミ生が、食べきれないという事態に…
無事に参加ゼミ生が集まったところで宿に移動し、買い出し組はスーパーODOYAへ。 残りの学生はグループ研究発表の準備を行います。 (夕飯作りは時間節約のために教員の担当で、発表準備をしている学生の横でカレーを作ることに…)
(ゼミで運営するInstagramアカウントより)
発表の内容は、9月上旬に行われた関東学生マーケティング大会中間発表と同じ内容を説明してもらい、当日得られたフィードバックから、今後グループ研究をどのように進めていくのかを述べてもらうものでした。 審査員の方々からの辛辣なフィードバックに、身が引き締まった様子の学生たち。内容も発表方法のクオリティーも4月からは随分と上がっていて、ちょっと感動です。
(ゼミで運営するInstagramアカウントより)
グループ発表は夜まで続き、残りのグループは2日目に持ち越しとなりました。

2日目 研究発表後半〜アウトレットパーク

バラバラと起きてくるゼミ生たちに、なぜか焼きおにぎりを配りながら2日目が始まります。 外はあいにくの雨で、雨音を聞きながらのグループ発表となりました。 鴇田ゼミでのグループ研究は、マーケティングや消費者行動に関係するもので「ご褒美消費」「動画サブスクリプションサービス」「服のサブスクサブスクリプションサービス」「バンドリング販売」など、身近な購買行動に存在する「なぜ?」をテーマにして進めていきます。 この研究成果は上述した関東学生マーケティング大会と東経大で行われるゼミ発表会で発表予定です。 グループ発表を終え、午後からは待ちに待った観光にいきます!
少し遅めのお昼を「道の駅 ちくら・潮風王国」で食べ、夕方からは学生の希望で「アウトレットパーク木更津」へ。 学生の高い購買意欲に少し引き気味になりながら、買い物に同行しました。
夜はNetflixで話題の「地面師たち」を鑑賞したり、ボードゲームをしたり、好き勝手にすごします。 「地面師たち」、とても面白かったです。

3日目 観光〜解散

合宿最終日は片付けから始まります。 遅くまで語り明かしたのか、散らかりまくった部屋の中を率先して片付けてくれたのはゼミ長の3年生、とても頼りになります。 起きてきた学生も片付けに参加し、チェックアウトの10時に間に合いました。 3日目は、前日雨のせいで行けなかった海へ。 (とはいっても泳いだりはしませんでしたが)
最後に、お昼を「渚の駅 たてやま」でいただき、帰路につきました。
ゼミ合宿は、ゼミ生同士の交流を深められるとても重要なイベントです。 すでに後期の第1回のゼミが終わりましたが、前期とは少しだけゼミ内の空気が変わったなあと感じています。グループ研究でも積極的な発言ができるようになったり、グループで頻繁に集まるようになって作業も捗ったり… このブログを見ている高校生のみなさんには、ぜひ大学進学後には「ゼミ」に入って、積極的にイベントに参加してもらいたいです! 文責:鴇田彩夏

2024年9月24日火曜日

ゼミ合宿のお話

経営戦略論担当の寺本です。
この経営戦略論というのは,寺本が担当している講義科目の名前です。
講義ではその知見の専門的な基礎知識を講義しますが,ある専門分野をもっと深く研究したい人はゼミに所属することになります。
ということで,私は経営戦略論を専門的に研究するゼミの担当もしています。

大学生の夏休みは長い。しかしながら,始まってしまったものは,いつか終わってしまうのです。
そうです。大学生の長い長い夏休みもとうとう終わってしまいました。

大学生の夏休みにはいろんな可能性があることは,私の以前のポストや他の先生のポストにもある通りです。

一例
「「戦略的」な夏休みを。」
https://tkubiz.blogspot.com/2024/07/blog-post_08.html


なんにせよ大学生の夏休みにはいろいろな可能性があります。
そんな色んな可能性の一つに,「ゼミ合宿」があります。
寺本ゼミは2024年度に1期生が集まり,この夏休みに「第1回ゼミ合宿」が無事挙行されたので,その様子をお伝えしようと思います。

日時:9月9日から9月11日(2泊3日)
場所:湯沢ニューオータニホテル(越後湯沢駅から徒歩10分)
https://www.yuzawa-newotani.jp/

越後湯沢は東京駅から上越新幹線で約1時間半と,東京からのアクセスが非常によく,夏場は避暑地にもなっておりロケーションとしては非常に良かったです。



湯沢といえば,冬はウィンタースポーツでにぎわっていますが,夏はこんな感じで大学の合宿地としてにぎわっている(?)ようです。
温泉むすめの越後湯沢かすみさんがお出迎えしてくださいました。

ところで,ゼミ合宿って何をするんでしょうか?
この答えは非常に難しく,正直「ゼミによって全然違う」が正確かと思います。
寺本ゼミでは,夏の合宿は前期と夏休みの研究成果の中間発表をそれなりにみっちりしっかり行う場として利用しています。

2泊3日も何やるの?という風に思われるかもしれませんが,合宿の本番は2日目で,残りは基本的には移動日&準備日(1日目)と片付け&移動日(3日目)となっております。今年は。(来年以降はどうなるかわかりません)

というわけで,1日目は移動の疲れを温泉で癒しがてら(?),2日目の発表に向けて最終準備を学生たちはしていました。


【2日目】

朝から晩まで,昼休みを挟んで,中間発表です。
5グループが前期,そして夏休みにどこまで研究を進めたかを発表し,それについてゼミ生や教員から質問を投げかけたり,コメントをしたりして,議論を交わします。

「ファッションのサブスクリプションサービスの検討」や「若者の飲酒離れ」といった,自分たちの身近な問題や課題に挑むグループもあれば,寺本が研究フィールドとしている北海道のワイン産業を軸にした地域活性化について,「北海道の地域活性化案」や「北海道の新規ワイナリーのブランド価値の向上」といったテーマで研究を進めるグループもあります。




それぞれ,前期そして夏休みにグループでどのようなことを考え,そしてこれからどのように研究を進めていくのか発表してもらいました。


発表が終わったら,ノーサイド。いや,別に発表の時も,それほど敵味方に分かれてるわけではないけれど…。
足湯で温まったり,温泉で疲れをいやしたり…。



【3日目】
楽しい(?)合宿も終わりはやってきます。来た時よりも美しくをモットーに後片付けをして,帰路につきます。


折角の夏休み。教室を飛び出して,同じ釜の飯を食い,いつもとは違う環境で研究のことはもちろん,いろんなことについて語り合うのも一興。実りある(と,少なくとも私は思っている)ゼミ合宿の一風景でした。

(同じ釜の飯を食う図)


文責:寺本直城

2024年9月9日月曜日

小売業態の同質化

 2024.09.09

流通論を担当している本藤です。今日は小売ビジネスについて軽く紹介してみます。
興味のある人は、小売店舗でいろいろと考えながら売場を見てみてくださいね。

小売業というのは生活者にとって最も身近なビジネスです。家族で暮らす自宅を考えてみると、おそらくスーパーマーケットが最も利用される小売業態だと思います。一人暮らしだとコンビニエンスストアかもしれませんね。そのほかに馴染みのある小売業態としてはドラッグストアやホームセンターを思い起こす人が多いと思います。

それぞれの小売業態は、店舗経営に必要な商圏人口が異なります。研究調査の方法や対象地域によって研究結果は異なりますが、だいたい以下のようなイメージです。

スーパーマーケット・・・・・1万人
コンビニエンスストア・・・・3000人
ドラッグストア・・・・・・・7000人
ホームセンター・・・・・・・5万人

これらの小売業態は最寄性が強いので、自宅や勤務(通学)先、最寄りの駅前やバス停前などの日常の生活動線を前提にして、「より近い」店舗が選択利用される傾向があります。それぞれの業態の強さを考えてみたいと思います。

業態の強さをどのように考えるかですが、利用頻度が多いほど顧客接点が増えるので、最も利用頻度が多いスーパーマーケットには強みがあります。ただし、家庭消費(ファミリーユース)が大半を占めるスーパーマーケットは、なかなか利益率の高い高額商品を購入することは少ないのが実情です。

大学生や高校生だと最も頻繁に使うのはコンビニエンスストアかもしれません。ただし、客単価という意味では、お弁当だけとか飲み物だけで買い物を終わらせてしまう人が多く、より多くの利用者がいないと大きな売上を確保することは難しい点は否めません。

ドラッグストアはどうでしょうか?この業態は私の専門分野なので贔屓目に見てしまう点を差し引いても、将来性が最も大きな業態だと考えています。コンビニエンスストアやスーパーマーケットほどの来店頻度には及びませんが、個人消費(パーソナルユース)の商品を数多く扱っています。化粧品や医薬品以外にも、シャンプーや歯磨きのような日用品も最近では家族共用ではなく個人個人で選択利用するケースがほとんどです。これらの商品は品質や機能を評価して高くても買う人がいるので、高価格帯の商品が利益貢献しています。そのためドラッグストアは上場企業全社の営業利益が黒字になっています。

郊外大型店が主流のホームセンターは、高齢化と都市部回帰の社会構造変化が影響して厳しい経営環境にあります。特に、店舗利用が週末に偏りがちなので、頻繁に購入するペットのおやつなどはスーパーマーケットやドラッグストアにマーケットを奪われています。そうなると顧客接点がさらに減少していってしまう傾向が強まります。ただし、ホームセンターのDIY用品などは他業態で扱えるものではなく、競合が真似できない商品を持っている点は強みになります。

このなかでスーパーマーケットとコンビニエンスストアは食系チャネルと呼ばれていて、食料品を中心とした品揃えで集客しています。このため来店頻度が増える傾向があります。しかし、近年ではドラッグストアでも来店頻度を引き上げるために食品を増やしています。九州エリア中心のコスモス薬品、岐阜中心のゲンキー、浜松の杏林堂など超大型店舗で売場の大半を食品が占めるドラッグストアが強さを発揮しています。売上トップのウエルシアも食品を多く扱って来店頻度の向上を図っています。

そして、スーパーマーケットでも薬局併設タイプが一般的になっていて、日用品の売場も拡充しているチェーンも増えてきています。その結果スーパーマーケットとドラッグストアはどんどん同じような品揃えになってきています。

これは商圏設定が重複しており、それぞれ近隣生活者の家計シェアを奪い合っているから生じる傾向なのです。これまではスーパーマーケットは週2回、ドラッグストアは月に2回と使い分けされていたのですが、共働き世帯が増えており、タイパ(時間的効率性)を意識する世帯が増えると、どちらか一方で買い物を済ませることができるのであれば、ワンストップ・ショッピングで済ませたいと考えるからです。そうなると、ドラッグストアが食品を拡充して顧客接点を増やそうとするのは自然の流れになります。

この商圏設定は近年「狭小化」がどんどん進んでおり、各業態ともにより小さな商圏でも事業を成立させられるような取り組みが重ねられてきています。狭小商圏が進むということは、これまで以上に小売業態間の差はなくなってくる可能性が高くなります。そして、これらの最寄型業態は店舗からの宅配サービスも導入して、より生活者の「近く」にアプローチをかけています。おそらくここにネット販売業者との連携も加わると、近い将来「何屋さんか分からない」ほど小売業態の違いは不明瞭になっていくことが考えられるのです。

選ぶ楽しみを提供できる店舗はリアル店舗として存立基盤を築けるのですが、生活必需品を補充するだけの買い物であればリアル店舗としての存続は厳しくなっていくかもしれません。

文責:本藤貴康


2024年9月2日月曜日

先生、レポート(論文)が締切に間に合いません!:レポート・論文を余裕をもって仕上げる方法(1)

 経営組織論を担当している山口です。東経大では、「セメスター制」といって1年を1期と2期に分けて授業が行われていますが、9月後半から2期の授業が始まります。

 1期と2期の最大の違いは、2期にはゼミ論文や卒業論文の締切があるということです。

 今回は、2期の開始にあたり「締切までに、質の高い論文(レポート)を、余裕をもって仕上げる方法」について考えていきたいと思います。

※以下では、レポートよりも長期的・計画的取り組みが必要となる「論文」(ゼミ論文・卒業論文など)に焦点を当てますが、レポートにも応用可能な話をしていきます。


1.質の高い論文・レポートの特徴

 ゼミ論文や卒業論文の取り組み方は人によって様々で、

(1)締切の数日前に余裕をもって提出する人

(2)締切の数日前にいったん提出してから、締切までに何度か提出し直す人

(3)締切当日の時間ギリギリに提出する人

など、色々な人がいます。

 さて、皆さんは、質の良い論文を出すのは、(1)、(2)、(3)のどのタイプの人だと思いますか?

 

 私の経験上、論文の質の良さは、(1)≧(2)>(3)となることが多いです。

 締切ギリギリまでたっぷり時間をかければよい論文ができそうな気がしますが、なぜか(3)の論文は、内容もいまいち(本人も納得できていない)で、誤字脱字や参考文献の抜けなど、形式面の不備も多い傾向にあります。

 こうなってしまう代表的な原因は、2つあります。1つは「先延ばし症候群」、もう1つは「一気書き症候群」です。今回は、これらの2つのうち、1つ目の「先延ばし症候群」を克服する方法を紹介していきます(2つ目の「一気書き症候群」の克服法については、次回11月18日のブログに書く予定です)。


2.先延ばし症候群への対処法

 先延ばし症候群とは、「論文をやらなければいけないと頭ではわかっているのに、できる限り避け続け、締切ギリギリになってから慌てて書き始めて、乱雑なまま提出してしまう、というやり方」です。

※「先延ばし症候群」という名称は、今回私が作った名称です。

 このやり方だと、提出者側の学生も達成感どころか徒労感しか残りませんし、こうした論文を読まされる教員側もどのように修正させればよいか頭を悩ませることになります。関係するあらゆる人を暗い気分にする、なかなか破壊的なやり方といえるでしょう。

 ただ、実は私も(そんなに乱雑なものを出したつもりはないですが)、最近まで締切ギリギリに取り掛かるタイプだったので、こうなってしまう気持ちはよくわかります。

 こうした経験から、先延ばし症候群を克服するための方法については、私も色々本を読んで調べてきました。その中で「なるほど」と思い、今でも先延ばししそうになった時に役立てているのが、ハーバード・ビジネススクールのポーゼン先生の3つの対処法です。

  • プロジェクトを細分化しよう!
  • 誘惑を断ち切って、プロジェクトに集中できる環境を作ろう!
  • 失敗の恐怖を克服しよう!

 

①プロジェクトを細分化しよう!

 プロジェクトの規模や複雑さに怖気づいて、なかなかスタートを切れないこともあるだろう。その怖さに打ち克つには、プロジェクトを小さな部分に分解し、最初の一歩を踏み出そう。はじめの一歩が踏み出せれば、あとは簡単になる。

②誘惑を断ち切って、プロジェクトに集中できる環境を作ろう!

 気が散りやすく、いつもほかのことに向かってしまうなら、とにかく集中できるように、容赦なく仕事環境を変えるべきだ。溜まっているものを片付け、重要なプロジェクトに割く時間を作り、SNSやゲームへの接続を断ち切ろう。

③失敗の恐怖を克服しよう!

 「最終的なアウトプット(論文)が、絶対に満足ゆくものにならない」と思いこむなど、心に深く根づいた失敗の恐怖におびえて取りかかれない場合は、セラピストの助けを借りるなどして恐怖心に立ち向かおう。

(Posen, 2013, 邦訳52-53をもとに筆者作成)


 これらを論文執筆にあてはめると、以下のような形になります。

 ①については、「論文を書く」という大きなプロジェクトを、今すぐ取りかかれるくらいの簡単な仕事に細分化していきます。例えば、「第1章の問題意識を書こう」などと章ごとに細分化してもいいですし、もっと細かく「今日は、論文の参考文献リストを作ろう」(あるいは「参考文献リストに3つ文献を付け加えよう」などでも可)、「今日は、論文の第2章の前半部分について、教科書の50~60ページまでを読んで要約しよう」などと細分化してもよいです。

 締切まで余裕があるほど、プロジェクトを細かく細分化できるので、早い段階で計画を立てて細分化していくとよいでしょう。


 ②については、私も考えに行き詰まったりすると、そのストレスで急に掃除をしたくなったり、ネットショッピングをしたりして、時間を浪費してしまうことがあります。そうならないように、私の場合はPCのLANケーブルを抜いてネットに接続できないようにしたり、掃除機を目の届かないところに片付けたりして、論文しかできない環境を作っています。

(どうしても集中したいときは、必要なものだけ持って図書館に行くのもいいでしょう。ただし、スマホを目に付くところに置くのは厳禁です!)


 ③の恐怖の克服は、一人ではなかなか大変かもしれません。要するに「どうせいいものは書けなさそうだから、やりたくない」と思って、なかなか取りかかれない状態になっているわけです。私も、大学院時代に指導教員の先生から何度もダメ出しされて、最後の方はこのような気持ちになったことがあるので、これで書けなくなる気持ちはよくわかります。

 こういう時に必要なのは、「アイデアに共感してもらって自信をつけること」です。厳しいことを言わなさそうな人や、同じように論文で苦労している友達などに、「こんなこと書こうと思っているんだけど」と話を聞いてもらい、一言「いいと思うよ」と共感してもらっただけで、結構筆が進んだりします。

 実はこういう時、ゼミの先生に相談するのも効果的です。私も、これまで何人も「こんなこと書いていいのかな?」と迷っているゼミ生を見てきました。このタイプの人は、書きたいネタがある分、「それで大丈夫だよ」と不安を取り除いてあげればグーンと論文が進むようになります(意外と、「論文のテーマはこうでなければならない」などと、自分でハードルを高くしすぎてしまっている場合も多いので・・・)。ですので、こういう不安がある人は早めに先生に相談するとよいでしょう。

 その他、東経大では、学生相談室でカウンセラーに個別に話を聞いてもらえたり、学習相談室で様々な分野の教員に個別に相談できたりする制度があるので、それを利用するのもよいと思います。

 東経大には、このように、学生の皆さんが学習に集中的に取り組めるようにするための様々な制度が用意されているので、それらを最大限活用して、自分が最高の成果を出せるような環境を作りましょう!


3.論文を書く経験は、就職や仕事に役立つ!?

 ここまで読んできた方の中には、「あれ?この話って、論文だけでなく、時間をかけて計画的に取り組まなければならないプロジェクト(仕事や資格試験など)全部に当てはまるのでは?」と気づいた方もいらっしゃるかもしれません。

 そうなのです。ポーゼン先生の①~③は、論文に限らず、どんなプロジェクトにも当てはまる話です。

 元々、経営学部でゼミ論文や卒業論文を書く本来の意義は、これまで講義で学んできた経営学の理論を、現実の企業が抱える問題の分析や、その解決策を論理的に考えることに「使える」ようにすることです。せっかく大学で経営学を学んでも、それを現実の企業の経営に使えなかったら、意味がないからです。

 しかし、ゼミ論文や卒業論文を書くことには、それ以上の意味があります。自分で一つのプロジェクトを立ち上げ、完遂するという経験を積めることです。

 (ゼミ論文か卒論かによって違いますが)半年~1年間という長期にわたるプロジェクトを、1人でテーマを考えて立ち上げ、計画的に遂行し、締切までに「論文」の形で完成させる、という経験は、社会に出てから仕事をする際に必要な「計画力」や「思考法」だけでなく、大きな「自信」を与えてくれるはずです。さらに、ゼミ論文や卒業論文で考えたビジネスプランを、就職活動で企業に売り込めば、卒業後に企業の中でバックアップを得ながら実現していくことも可能になるかもしれません。

 このように、ゼミ論文や卒業論文には様々な効果があるので、東経大では、これらの論文執筆を促進するための色々な制度を用意しています。ここでは、それらのうち2つをご紹介します。

(1)研究ノート

 東経大の経営学部には、3年生の2期から卒業論文の準備をしていくことができる「研究ノート」という科目があります。

 この科目について、詳しくは、こちらのシラバスを読んでみて下さい(https://portal.tku.ac.jp/syllabus/public/pubShowSyllabus.php?sno=175628&rlcd=12148-001&mt=0&year=2024)。

 私のゼミでは、3年生にはこの研究ノートを履修してもらい、2期から個人でテーマを決めて研究を始めてもらって、個別に論文指導をしています。大変そうに見えるかもしれませんが、この科目を履修している3年生の満足度は意外と高く、「3年生の時から卒論の準備を始められるので、就職活動で『自分は今、卒論でこういう研究をしている』ということをアピールしやすかった」とか、「3年生の研究ノートではうまく分析できなかった部分を、4年生の時に1年間かけて納得のいくように分析し直せたので、卒論の満足度が上がった」という意見が寄せられています。

(2)卒論のハードカバー製本

 これはあまり知られていないかもしれないのですが、東経大では、卒業論文を書いた学生が希望すれば、大学が、卒業論文を下記の写真のような立派なハードカバーに製本して、卒業式の日に渡してくれます。



 このように、東経大ならではの論文を書くメリットもたくさんあるので、是非、「東経大で論文を書く」というプロジェクトを、多くの人に完遂してほしいと思っています。

(東京経済大学経営学部准教授 山口みどり)


参考文献

ロバート・C・ポーゼン著(2013)『ハーバード式「超」効率仕事術』早川書房.