2014年1月6日月曜日

ゼミで過ごす1年 -加藤ゼミの例-

 明けましておめでとうございます。経営学部の加藤です。
 皆さんはどんなお正月休みを過ごされましたか?
 
 大学生にとって、冬休みの終了=試験シーズンへの突入です。それを乗り切れば、就活生以外には、また楽しい春休みが待っています。
 しかし、高校と異なり大学は、自分で自己育成プランを立てねばなりません。実際には、卒業要件を満たしつつ、かつ自分の目標に少しでも近づく科目選択が必要になります。
 大学の講義は、高校より大人数が同時受講する事が多く、どうしても一方通行になりがちです(ただ、最近は「アクティブラーニング」を取り入れる講義も増えていますから、黙って座っていれば安心と考えるのは甘いです)。
 一方、ゼミは学生が主体です。教員から言わせると、ゼミで学ばないなんて大学生活がなんてもったいない!というところで、学生がぐんぐん成長する姿を見るのは大変な喜びでもあります。

 東経大では、2年生からゼミ(科目名は演習)に所属でき、最大3年間単位取得できます。他大学で多いのは、3年次から2年間所属するというパターンですが、東経大ではなんと!毎年ゼミを変えることも可能です。

 ゼミ選びは難しいとの声もよく聞きます。今年度は山本先生の発案で、複数の現役ゼミ生が1年生に説明する場をつくっていただたのですが、異なるゼミの学生が口々に「テーマより、先生との相性やゼミの雰囲気で選んだ方がよい」とアドバイスしていたのが印象的でした。
 誰かのフィルターがかかった「うわさ」ではなく、自分で教員や現役ゼミ生に話を聞くことを勧めます。直感は結構正しいと思いますよ。

 2014年度の初回のゼミの応募は、3月中旬の3日間です。例年、うっかりして期限までに応募できなかったとの話を耳にします。応募は3回まで可能ですが、その1/3を逃さないよう、スケジュール管理はしっかり行いましょう。

 では、皆さんのゼミ選びの一助となればということで、加藤ゼミの1年を紹介しましょう。

 まず、加藤ゼミのポリシーは、
 「よく遊び、よく学べ」
 「コミュニケーション!」
この2つです。
 株式ポートフォリオと、ゼミ研究を並行しながら進めて行きます。どちらもテーマ選択は学生が行います。


 4月、新歓BBQからスタート! 講義開始前に実施することもありますが、西立川の昭和記念公園が定番です。外でみんなでわいわい言いながら食べる食事はおいしいですよ〜。午後には併設のスポーツ施設でフットサルなども。



 ゼミの初回は他己紹介です。他己紹介とは、2人でペアをつくり、お互いに「どんな人?」をインタビューし、その人に成り代わって紹介します。ここで、ゼミ生全員が話します。笑い声がわき上がるというより、ものすごい歓声に教室が包まれます。
 また、この時点で、ゼミ研究で研究したいテーマを共有します。これは結構重要です。1年間のグループワークのメンバーが決まるのですから、きっと教員には見えないところで、学生同士の駆け引きがあるのでしょう。
 新歓コンパはGW明けになることもありますが、この頃には皆すっかり打ち解けて楽しそうです。

 GW前後に、2つのデータベース講習を受けます。2つとも、東経大図書館が持つ企業財務DBで、ゼミの課題で大活躍します。
 私は、学生にデータハンドリングを大いに推奨しています。社会では、論拠ない主張は受け入れられないからです。また、就活時の企業選びに活かして欲しいとの思いも強いです。就活を開始してからDBをいじり始めたのでは、遅いですから。
 
 4月の終わりには、株式ポートフォリオのチームが編成されます。5月の構想発表会に向け、グループワークがスタートします。
 ポートフォリオとは、金融資産の組み合わせを指します。
 なぜ組み合わせか?金融資産は、基本的にハイリスクハイリターン(儲かったら大きいが元手がなくなるリスクも高い)か、ローリスクローリターン(元手が失われる可能性は低いが、儲けも小さい)しかありません。しかし、理想はローリスクハイリターンですよね。1つの金融資産では無理でも、異なった性質の商品をうまく組み合わせれば実現可能という訳です。
 株式ポートフォリオですから、すべて株式会社の株で構成されます。実際には、今後成長しそうな分野やビジネスを探り、関連企業の株を購入していきます。いえ、買わなくてもいいのですが、加藤ゼミでは、バーチャルマネー1000万円を使えるバーチャル株取引ゲームと組み合わせて、実際の株価を元に楽しんでいます。1000万円を株に自由に使える実生活はなかなかできないですし、お金の恐さ、大切さも知って欲しいので。


 株式ポートフォリオ学習の目的は、

  • 世の中には学生の狭い情報源にはひっかかってこない優良企業が多数ある
  • ひとつのビジネスに多数の産業が複雑に関与している
  • 株価が予測通りに動かないのは、自分たちが入手できていない情報があることに気づく

などですが、すべては「いい企業を根拠を持って選ぶ目を養い、就活に活かして欲しい」との一点に集約されます。
 
 5月に株式ポートフォリオの発表会が終わる頃には、ゼミ研究のテーマ決定とチーム編成を行います。ポートフォリオのグループワークや飲み会を通じて、学生同士は互いにどんな人物かをわかりつつあります。また、資料調査を通じて今までにない新情報のシャワーを浴び、興味や関心がどんどん変わって行きます。

 1期のゼミ研究は、研究対象企業の業績や、所属する産業の特徴など、いわゆる「業界研究」です。大まかな研究対象は決まりましたが、研究テーマの絞り込みはまだ先です。業界研究は研究の基礎の基礎で、どんなテーマになってもほぼ間違いなく使うデータです。また、これらをハンドリングして行くうちに、徐々に知識が増え、関心がシャープになって行きます。

 合間には、東京証券取引所にも見学に行きます。よくTVの経済ニュースに写ってますよね、銘柄と株価が書かれた円筒形の電光掲示板が回っている光景が。チッカーを目の当たりにした学生の反応は....「TVで見たやつだっ!」....ちょっと残念。

団体見学すると、東証のシンボル的ディスプレイに団体名を表示してくれます


 加藤ゼミでは毎年夏休みに、山梨大学西久保先生ゼミとインターゼミを行っています。1期のゼミの合間に、インターゼミのスケジュールや場所なども、複数の学生プレゼン案によりコンペ形式で決めて行きます。

 インターゼミは、例年9月の初旬に開催されます。2013年度は河口湖、2012年度は何と!新木場でした(西久保ゼミが希望したため)。東経大のゼミ合宿には、年間2泊までなら大学から補助が出ます。学生にはありがたいですね。

 インターゼミの初日は、西久保ゼミと合同の株式ポートフォリオ発表会です。他流試合はいいですよ。学生がとても燃えます!前日徹夜して乗り込むチームも、そこそこいます(もっと計画的にやればいいのにと毎年思うのは内緒です)。
 山梨大には経営学部があるわけではなく、またゼミに配属されるのは3年生の6月下旬だそうです。しかし、彼らは夏休みを丸々使って、ゼロから猛勉強し、高いクオリティで発表会に臨みます。すご〜く面倒見がよく、私のゼミ生にも大人気の西久保先生は、これに関しては「崖から突き落とす(ゼミ生談)」タイプの指導をされるそう。確かに、自力で這い上がってこそ実力がつきます。ここは見習うべきですね。西久保ゼミの学生は、本当に手強くも頼もしいパートナーです。切磋琢磨のスパイラルにつきあってくれて、ありがとう!
 発表会は、本当に真剣勝負。普段のゼミと顔つきが違います。

超真剣に発表中
しかし、その緊張も発表会終了まで。終われば楽しい夕食が待っています。
 2日目は、午前ゼミ、午後スポーツ大会というパターンが多いです。
終了後の開放感をパフォーマンス!


 2日目のゼミでは、株式ポートフォリオの反省+今後の対応(発表会でいいコメントをたくさんもらえるので)と、ゼミ研究の研究計画書づくりを主に行います。
 そう、2期からは各チームで決めたテーマと計画に沿って、本格的に深堀りしていきます。その元となるのが、研究計画書です。研究の出来の9割は、テーマ設定で決まると言われています。筋のいいテーマを選ぶ作業は予備知識なしにはできず、各チームとも1期の蓄積がものを言います。

 加藤ゼミのポリシーは、「コミュニケーション!」ということで、企業のミドルマネジャーから毎秋ご講演をいただいています。ミドルと言えば、日本企業のまさに屋台骨です。仕事とは、会社とは、会社員とはなどについて、それぞれのお立場から非常に熱心に語っていただきます。学生にとっては、日常で会う機会が少ない方ですので、質疑も大変活発です。ITベンチャー、エレクトロニクス、食品、素材など業界もさまざまですが、講義で聴いた内容が、実際の企業でこう使われているという発見もあるようです。

 12月には、経営学部恒例のゼミ研究報告会があります。これは、どのゼミにとっても1年間の集大成ですよね。学生は普段はLINEやDropboxやSkypeなどを駆使して、あわない予定を何とか調整してグループワークを進めていますが、直前には毎日遅くまでPL教室に残ったり、大学近くに住まいがある学生の部屋に常駐しているチームもあるようです。

ゼミ研究の合間に、東経大生御用達の竹茂食堂でパワーアップ!
ゼミOBも懐かしくてたまに訪れるようです


 ということで、今年も無事終わりました。

富士重工業の成長要因

小売の脱コモディティ化

NB企業のPB対抗戦略

優良庫から信用金庫の生き残り戦略を探る

海外進出外食企業の現地化戦略    


 






 結果はともあれ.....見てください、この晴れ晴れとした表情を。



 ゼミOBによる就活体験講座も毎年開催します。今年は学生からの希望があって、例年より早く行いました。質疑は、本当に真剣そのものです。教員としては、しばらく会っていなかった元ゼミ生の元気な顔を見れるのも、楽しみのひとつです。

 有終の美は、再び山梨大西久保ゼミとの合同株式ポートフォリオ発表会! 夏に惨敗した年は、特にリベンジに熱が入ります。恐らく2校とも、夏合宿から株式ポートフォリオに取り組む時間はかなり少ないのですが、それでも確かに向上が見られます。
 どの学生も、ゼミに入った4月と比較すると別人のように(ほめ過ぎ)頼もしく成長しています。
 下記の写真のように(2014.1.15追記)。

2013年度は、スケジュールの関係で株式ポートフォリオではなくゼミ研究、卒業研究の発表でした。
西久保ゼミも、加藤ゼミも、よく頑張った!












 今回は加藤ゼミの紹介でしたが、東経大経営学部にはユニークなゼミが多数あります。他の教員のブログも、ゼミの雰囲気を知るのに、非常に参考になるでしょう。
 皆さんも、自分にあったゼミを見つけて、充実した大学生活を送ってください。経営学部の教員が、全力で応援します。