前回3月にこのBlogに執筆した際に、本年度から「グローバルキャリア入門」という名前の科目を開講して、タイのバンコクにある泰日工業大学経営学部の学生との相互交流を進めるということを書きました。詳しくはこちらを参照してください。
この科目は、海外から日本に来る短期留学生と交流するインバウンド型のグローバル化と、日本から海外に出かけて現地で交流するアウトバウンド型のグローバル化の両方を体験するというユニークな試みとして企画いたしました。今回が初めての企画なのですが、5月11日(月)に、泰日工業大学から6名のタイ人学生が来日し、本学の国際交流会館に滞在しながら、6月2日(火)まで、約3週間にわたりさまざまな双方向の異文化コミュニケーションを実践するプログラムを進めてきました。今回は、その様子をご紹介したいと思います。下の写真は、歓迎会の様子です。
この交流プログラムの中心となるのは、「グローバルキャリア入門」を履修する学生8名と一緒に、「タイで日本の緑茶をもっとたくさん販売できるような事業の仕組みを考える」という共同研究にあります。タイでもお茶は広く飲まれているのですが、ペットボトルや紙パックに入った清涼飲料としてのお茶の多くは、甘味料や香料が加えられたものです。日本人が飲むと、ちょっと驚くような甘さやフレーバーのものが多いのですね。日本企業もタイで緑茶ビジネスを試みてはいるのですが、まだ大成功とまでは行っていません。そこで、日本企業は何を行うべきなのかを考えよう、というのが今回のテーマです。今回は、本学卒業生の馬場章夫さん(1985年経営学部卒)が社長を務める愛国製茶株式会社のご協力で、全茶クラブという業界団体の年一度の総会にお伺いし、会員企業の皆さんから、タイにおける日本茶市場、および日本のお茶企業の海外進出について、直接お話しを聞く機会も設けました。
研究にあたっては、タイ人学生は英語と日本語を勉強中ということですし、日本人学生も中学校以来何年かは英語を勉強中です。両方の学生が3つのグループに分かれ、一緒に調べたり、ディスカッションしながら、考えをまとめていきました。その結果を、5月30日(土)の発表会で発表をお願いしたのですが、今回、ハードルを高くして、日本人学生には英語で、タイ人学生には日本語での発表とさせていただきました。皆さん苦心した甲斐あって、なかなか興味深い発表になっていたと思います。下の写真はその発表会の一コマです。
3週間の短期留学期間内では、このほかにも日本語の授業や、英語で経営学、会計学、経営情報マーケティングを学ぶ時間も設けました。さらに、茶道・きもの・生け花などの日本文化体験なども行いました。下の写真はタイ人学生とグローバルキャリア入門履修生がきものを着て、新緑の大学構内で記念撮影をしたものです。
また、学外でも、多摩信用金庫のご協力で、先端技術を持つ多摩の優良企業である京西テクノスの企業見学を行いました。さらに秋葉原のハイテクビルやコンビニエンスストアのバックヤード見学、アジア文化協会への表敬訪問、秋葉原や中野ブロードウェイ、三鷹の森ジブリ美術館などサブカルチャーの聖地の見学、田島博和教授のご自宅の家庭訪問、東京スカイツリー・浅草・お台場などの都内見学などなど、実に盛りだくさんの内容となったのではないかと思います。下の写真はお台場のガンダムフロントでの記念撮影です。
なお、本学のWebサイトでも泰日工業大学生の来訪については公開しておりますのでこちらとこちらを参照してください。海外から本学に短期留学生を受け入れて感じたことは、「グローバルキャリア入門」を履修する学生に、非常に大きな刺激となったことですが、実はそればかりでなく、多くの波及効果があったと思っています。受け入れにあたり、多くの先生方にさまざまなご協力をお願いいたしました。その中で英語での授業で「英語で経営学を教える」という実績ができたばかりでなく、岸先生や関口先生、加藤先生、さらには私・柴田など関連するゼミの学生や院生の皆さんにさまざまな協力を頂きましたが、異文化コミュニケーションを理屈でなく、肌で感じられるまたとない機会となったことと思います。
このBlogの執筆ローテーションですと、次回の私の出番は8月後半かと思います。そのときには今度は本学学生がタイ・バンコクに行って、どのような活動を行ってきたかをご報告できると思います。今度はアウトバウンド型のグローバル化です。
どうか、お楽しみに。
(文責:柴田 高)