2019年3月18日月曜日

【学問のミカタ】ピークですね (T_T)

2019.03.18

 東京経済大学経営学部の本藤です。本学では、今週は来年度のゼミ選考があり、卒業式があり、年度末のイベントピーク時期とも言えそうです。
 高校3年生は、卒業を直前に控えて、大学生活にしても予備校生活にしても新社会人生活にしても新たな生活が始まる直前期ですね。高校2年生は、もはや入試まで1年をきっているので、3学期の期末試験も終えて、そろそろ受験モードに突入しているはずですね。

 春って節目の季節ですから、気分を新たにしたいのに・・・

 爽快な気分で新しい生活に飛び込んでいきたいのに・・・

 始まってしまいました。





 花粉の季節が・・・



日本国内では、5人に1人が花粉症と言われています。八王子在住の僕の感覚では、もっと多いんじゃないの?っていう印象です。八王子は山が多くてスギ花粉飛散量が都心部よりも多くて発症しやすいと言われています。僕の高校3年の娘は、学校が西荻窪なのですが、学校にいる時は花粉症の症状が治まって、帰ってくると症状が出るようです(^_^;)

それはそれとして、この花粉症対策商品というのは色々あります。
花粉症を自覚している人は、鼻炎薬とマスクが必須アイテムですよね。自覚している人は全員が使っていると思われます。


僕のゼミで、10年前くらいに花粉症に効果があるとされている「つくし」を原料とした飴の商品企画をして、全国のドラッグストアで販売してもらいましたが、そんな健康食品を挙げ始めたら、ものすごい種類の商品に及びそうです。

花粉症対策売場に行くと、鼻炎薬やマスクはもちろんですが、専用のメガネやお茶、サプリのほかにも、マスクに花粉が付着しないようにするためのスプレー、そもそも顔に花粉が付着しないようにするためのスプレー、洗眼器、最近では鼻うがい器などどんどん増えているような気がします。ドラッグストアの中には、花粉シーズンには家電量販店で売られている空気清浄機まで販売しているチェーンも見られます。


このように、特定のテーマにスポットライトをあてて、徹底的に深い品ぞろえを実現していくことを「ラインロビング」と言いますが、ドラッグストアはこのようなマーチャンダイジング(商品政策)を武器にしています。

花粉症というマーケットを更に活性化していくためには、鼻炎薬とマスク以外にも、様々なアイテムを併用させていかなければいけません。しかし、それはかなり難しいんですよね。日常的利用をする新たな商品を使わせていくためには、相応の問題認識が必要になります。そのためにメーカーも小売業も問題提起をしていかなければなりません。

花粉症対策は「鼻炎薬とマスクだけでは足りません!」というだけでは足りません。
「それでも目がかゆかったら洗眼液」も、「鼻うがいは朝晩続けて効果的」も、そもそも花粉症患者が増えないと、飛躍的に市場規模が拡大することは難しいでしょうね。そうそう新たなことを習慣化させるハードルは高いんですよね。



飛躍的に市場規模を拡大するとしたら、将来的に花粉症にならないためにマスク着用が必要です!というメッセージなのです。予防意識が広がれば、一気に巨大な市場になっていくのです。花粉症を自覚している人だけでなく、花粉症になったらイヤだなと思っている予備軍を取り込むことで潜在市場が拡大します。そうなると、鼻うがいやスプレーの利用者も増やせそうです。

2か月前にこのブログでも書きましたが、予防市場を全体市場として巨大化したカテゴリーはオーラルケア市場です。虫歯や歯周病になったら歯医者さんに行きますよね? そうならないために歯磨きしなくちゃという意識が定着した結果です。おそらく歯磨き習慣のない人はいないのではないでしょうか?
それでも歯磨き粉と歯ブラシは使用しても、洗口液併用者は21%程度、フロスや歯間ブラシなどのデンタル用品併用者は20%で、効果は認知されていても広がりません。
オーラルカテゴリーについて言えば、歯垢除去率がフロスを使うと86%にまで高まるという情報提供をしたりしていますが、なかなか難しいですね。


このように特定商品や特定カテゴリーの売上増加を図る場合に、既存顧客に対して新規商品で仕掛けるか、既存商品で新規顧客に仕掛けるかを検討するアプローチがあります。これはイゴール・アンゾフの成長マトリクスなどで説明されています。
マーケティングというのは、最終的には消費者の行動を変えさせる多面的取り組みなのです。そういう意味では、マーケティング・アプローチというのは消費者自身でもある皆さんの意識や行動にヒントが眠っているんですよね。
予防市場の活性化というのは、ヘルスケア市場において重要な戦略課題なので、自分の気持ちや行動を意識してみるとビッグビジネスにつながるかもしれません。

文責:本藤貴康(担当科目:流通論、流通マーケティング演習)
本藤ゼミナールBLOG http://hondo-seminar.blogspot.jp/



【学問のミカタ】
東京経済大学では、各学部で高校生向けに分かり易く専門分野の教員がブログを公開しています。是非、お立ちよりください。

経済学部ブログ「東京一極集中とは
コミュニケーション学部ブログ「コミュニケーション学の海へ漕ぎだすために
センター日記「https://tkucenter.blogspot.com/
キャリアデザインプログラム「https://tku-cdp.blogspot.com/