2020年1月20日月曜日

人口減少時代のビジネスモデル

2020.01.20

経営学部の本藤です。
日本人であれば誰もが認識している社会的構造変化である人口減少・・・
昨日終了したセンター試験の受験者数は、平成2年度が約43万542人、令和元年度が57万6830人ですから、減少減少と言われているけど、18歳人口って増えてるの?などと考える人もいそうです(笑)
これはむしろ18歳人口の減少対策のため、センター試験を利用した入試制度を導入する大学が増えてきたので、私立大学志望者でもセンター受験率が上昇した結果と言えそうです。センター試験受験者数も、平成時代のピークは平成16年度の60万2887人ですから、大学進学率も頭打ちになってきています。


そんな人口減少時代が加速して行く中で、先日スゴいニュースがありました。
「いきなり!ステーキ」が営業利益98.2%減!
拡大路線をひた走っていた同社の経営が行き詰ってしまった結果と言われています。

10月の僕のブログ(http://tkubiz.blogspot.com/2019/10/blog-post_25.html)でも紹介していますが、セブン&アイ傘下のセブンイレブンも1000店舗の閉鎖・移転、ヨーカ堂は33店舗、1700人のリストラ、そごうと西武の百貨店事業でも1300人のリストラを発表しています。このセブン&アイの決定は、営業利益で最高益を記録しながらの決定だったという点も興味深いですね。
大量閉店という経営選択は、アパレル業界の雄でもあるオンワードでも全店舗の25%近い約600店舗の大量閉店を発表しています。


このような潮流は、日本だけの話かと言うと、実は既にアメリカでも小売業界の大量閉店のトレンドは起きています。特に、郊外型の大型ショッピングセンターをはじめとして、ネット小売業との競合が激しいカテゴリーで大きな打撃を受けているようです。
ただし、アメリカでの特徴として、小型店はむしろ出店計画を強化しているところもあるようです(※MD NEXT https://md-next.jp/11167)。MD NEXTの日野眞克氏によれば、300坪程度の小型店、品目数が少ない、ショッピングセンターに入居しない単独店という小商圏業態というのが、アメリカで強みを発揮している小売モデルということになりそうです。これは、日本で言うならば、典型的なドラッグストア業態モデルになりそうですが、日本における小売業界の主導権をドラッグストアが握るのか、はたまた新たな業態が生まれてくるのか興味は尽きません。


僕は、毎週何かしらAmazonか楽天で買い物をしています。僕たちの世代(50代)でさえ、もはやリアル店舗にこだわることはありません。ネットで発注したら、翌日には自宅に配送してくれますし、概して売価設定はリアル店舗よりも低いのですから、むしろ積極的に利用します。その際のリアル店舗の役割が問われてきます。前述の日野眞克氏の指摘では、健康志向のスーパーマーケット「Sprouts Farmers Market」や化粧品専門店の「ULTA」などが出店強化企業のようなので、そうなるとリアル店舗に求められる機能はカウンセリング機能ということになってきそうです。
しかし日本では、ドラッグストアを除けばほとんどの小売業はセルフ販売方式を採用しています。ましてや人手不足が深刻化する日本では、カウンセリング技術のある接客担当者を育成するだけでも容易なことではありません。


RPAやAIによって、通常業務をどこまでシステム支援させて、人と人とのコミュニケーションに価値を訴求できるかにかかってきそうです。


文責:本藤貴康(流通論、流通マーケティング演習、アカデミックコンパス担当)
本藤ゼミブログ(http://hondo-seminar.blogspot.com/