2024年9月24日火曜日

ゼミ合宿のお話

経営戦略論担当の寺本です。
この経営戦略論というのは,寺本が担当している講義科目の名前です。
講義ではその知見の専門的な基礎知識を講義しますが,ある専門分野をもっと深く研究したい人はゼミに所属することになります。
ということで,私は経営戦略論を専門的に研究するゼミの担当もしています。

大学生の夏休みは長い。しかしながら,始まってしまったものは,いつか終わってしまうのです。
そうです。大学生の長い長い夏休みもとうとう終わってしまいました。

大学生の夏休みにはいろんな可能性があることは,私の以前のポストや他の先生のポストにもある通りです。

一例
「「戦略的」な夏休みを。」
https://tkubiz.blogspot.com/2024/07/blog-post_08.html


なんにせよ大学生の夏休みにはいろいろな可能性があります。
そんな色んな可能性の一つに,「ゼミ合宿」があります。
寺本ゼミは2024年度に1期生が集まり,この夏休みに「第1回ゼミ合宿」が無事挙行されたので,その様子をお伝えしようと思います。

日時:9月9日から9月11日(2泊3日)
場所:湯沢ニューオータニホテル(越後湯沢駅から徒歩10分)
https://www.yuzawa-newotani.jp/

越後湯沢は東京駅から上越新幹線で約1時間半と,東京からのアクセスが非常によく,夏場は避暑地にもなっておりロケーションとしては非常に良かったです。



湯沢といえば,冬はウィンタースポーツでにぎわっていますが,夏はこんな感じで大学の合宿地としてにぎわっている(?)ようです。
温泉むすめの越後湯沢かすみさんがお出迎えしてくださいました。

ところで,ゼミ合宿って何をするんでしょうか?
この答えは非常に難しく,正直「ゼミによって全然違う」が正確かと思います。
寺本ゼミでは,夏の合宿は前期と夏休みの研究成果の中間発表をそれなりにみっちりしっかり行う場として利用しています。

2泊3日も何やるの?という風に思われるかもしれませんが,合宿の本番は2日目で,残りは基本的には移動日&準備日(1日目)と片付け&移動日(3日目)となっております。今年は。(来年以降はどうなるかわかりません)

というわけで,1日目は移動の疲れを温泉で癒しがてら(?),2日目の発表に向けて最終準備を学生たちはしていました。


【2日目】

朝から晩まで,昼休みを挟んで,中間発表です。
5グループが前期,そして夏休みにどこまで研究を進めたかを発表し,それについてゼミ生や教員から質問を投げかけたり,コメントをしたりして,議論を交わします。

「ファッションのサブスクリプションサービスの検討」や「若者の飲酒離れ」といった,自分たちの身近な問題や課題に挑むグループもあれば,寺本が研究フィールドとしている北海道のワイン産業を軸にした地域活性化について,「北海道の地域活性化案」や「北海道の新規ワイナリーのブランド価値の向上」といったテーマで研究を進めるグループもあります。




それぞれ,前期そして夏休みにグループでどのようなことを考え,そしてこれからどのように研究を進めていくのか発表してもらいました。


発表が終わったら,ノーサイド。いや,別に発表の時も,それほど敵味方に分かれてるわけではないけれど…。
足湯で温まったり,温泉で疲れをいやしたり…。



【3日目】
楽しい(?)合宿も終わりはやってきます。来た時よりも美しくをモットーに後片付けをして,帰路につきます。


折角の夏休み。教室を飛び出して,同じ釜の飯を食い,いつもとは違う環境で研究のことはもちろん,いろんなことについて語り合うのも一興。実りある(と,少なくとも私は思っている)ゼミ合宿の一風景でした。

(同じ釜の飯を食う図)


文責:寺本直城

2024年9月9日月曜日

小売業態の同質化

 2024.09.09

流通論を担当している本藤です。今日は小売ビジネスについて軽く紹介してみます。
興味のある人は、小売店舗でいろいろと考えながら売場を見てみてくださいね。

小売業というのは生活者にとって最も身近なビジネスです。家族で暮らす自宅を考えてみると、おそらくスーパーマーケットが最も利用される小売業態だと思います。一人暮らしだとコンビニエンスストアかもしれませんね。そのほかに馴染みのある小売業態としてはドラッグストアやホームセンターを思い起こす人が多いと思います。

それぞれの小売業態は、店舗経営に必要な商圏人口が異なります。研究調査の方法や対象地域によって研究結果は異なりますが、だいたい以下のようなイメージです。

スーパーマーケット・・・・・1万人
コンビニエンスストア・・・・3000人
ドラッグストア・・・・・・・7000人
ホームセンター・・・・・・・5万人

これらの小売業態は最寄性が強いので、自宅や勤務(通学)先、最寄りの駅前やバス停前などの日常の生活動線を前提にして、「より近い」店舗が選択利用される傾向があります。それぞれの業態の強さを考えてみたいと思います。

業態の強さをどのように考えるかですが、利用頻度が多いほど顧客接点が増えるので、最も利用頻度が多いスーパーマーケットには強みがあります。ただし、家庭消費(ファミリーユース)が大半を占めるスーパーマーケットは、なかなか利益率の高い高額商品を購入することは少ないのが実情です。

大学生や高校生だと最も頻繁に使うのはコンビニエンスストアかもしれません。ただし、客単価という意味では、お弁当だけとか飲み物だけで買い物を終わらせてしまう人が多く、より多くの利用者がいないと大きな売上を確保することは難しい点は否めません。

ドラッグストアはどうでしょうか?この業態は私の専門分野なので贔屓目に見てしまう点を差し引いても、将来性が最も大きな業態だと考えています。コンビニエンスストアやスーパーマーケットほどの来店頻度には及びませんが、個人消費(パーソナルユース)の商品を数多く扱っています。化粧品や医薬品以外にも、シャンプーや歯磨きのような日用品も最近では家族共用ではなく個人個人で選択利用するケースがほとんどです。これらの商品は品質や機能を評価して高くても買う人がいるので、高価格帯の商品が利益貢献しています。そのためドラッグストアは上場企業全社の営業利益が黒字になっています。

郊外大型店が主流のホームセンターは、高齢化と都市部回帰の社会構造変化が影響して厳しい経営環境にあります。特に、店舗利用が週末に偏りがちなので、頻繁に購入するペットのおやつなどはスーパーマーケットやドラッグストアにマーケットを奪われています。そうなると顧客接点がさらに減少していってしまう傾向が強まります。ただし、ホームセンターのDIY用品などは他業態で扱えるものではなく、競合が真似できない商品を持っている点は強みになります。

このなかでスーパーマーケットとコンビニエンスストアは食系チャネルと呼ばれていて、食料品を中心とした品揃えで集客しています。このため来店頻度が増える傾向があります。しかし、近年ではドラッグストアでも来店頻度を引き上げるために食品を増やしています。九州エリア中心のコスモス薬品、岐阜中心のゲンキー、浜松の杏林堂など超大型店舗で売場の大半を食品が占めるドラッグストアが強さを発揮しています。売上トップのウエルシアも食品を多く扱って来店頻度の向上を図っています。

そして、スーパーマーケットでも薬局併設タイプが一般的になっていて、日用品の売場も拡充しているチェーンも増えてきています。その結果スーパーマーケットとドラッグストアはどんどん同じような品揃えになってきています。

これは商圏設定が重複しており、それぞれ近隣生活者の家計シェアを奪い合っているから生じる傾向なのです。これまではスーパーマーケットは週2回、ドラッグストアは月に2回と使い分けされていたのですが、共働き世帯が増えており、タイパ(時間的効率性)を意識する世帯が増えると、どちらか一方で買い物を済ませることができるのであれば、ワンストップ・ショッピングで済ませたいと考えるからです。そうなると、ドラッグストアが食品を拡充して顧客接点を増やそうとするのは自然の流れになります。

この商圏設定は近年「狭小化」がどんどん進んでおり、各業態ともにより小さな商圏でも事業を成立させられるような取り組みが重ねられてきています。狭小商圏が進むということは、これまで以上に小売業態間の差はなくなってくる可能性が高くなります。そして、これらの最寄型業態は店舗からの宅配サービスも導入して、より生活者の「近く」にアプローチをかけています。おそらくここにネット販売業者との連携も加わると、近い将来「何屋さんか分からない」ほど小売業態の違いは不明瞭になっていくことが考えられるのです。

選ぶ楽しみを提供できる店舗はリアル店舗として存立基盤を築けるのですが、生活必需品を補充するだけの買い物であればリアル店舗としての存続は厳しくなっていくかもしれません。

文責:本藤貴康


2024年9月2日月曜日

先生、レポート(論文)が締切に間に合いません!:レポート・論文を余裕をもって仕上げる方法(1)

 経営組織論を担当している山口です。東経大では、「セメスター制」といって1年を1期と2期に分けて授業が行われていますが、9月後半から2期の授業が始まります。

 1期と2期の最大の違いは、2期にはゼミ論文や卒業論文の締切があるということです。

 今回は、2期の開始にあたり締切までに、質の高い論文(レポート)を、余裕をもって仕上げる方法について考えていきたいと思います。

※以下では、レポートよりも長期的・計画的取り組みが必要となる「論文」(ゼミ論文・卒業論文など)に焦点を当てますが、レポートにも応用可能な話をしていきます。


1.質の高い論文・レポートの特徴

 ゼミ論文や卒業論文の取り組み方は人によって様々で、

(1)締切の数日前に余裕をもって提出する人

(2)締切の数日前にいったん提出してから、締切までに何度か提出し直す人

(3)締切当日の時間ギリギリに提出する人

など、色々な人がいます。

 さて、皆さんは、質の良い論文を出すのは、(1)、(2)、(3)のどのタイプの人だと思いますか?

 

 私の経験上、論文の質の良さは、(1)≧(2)>(3)となることが多いです。

 締切ギリギリまでたっぷり時間をかければよい論文ができそうな気がしますが、なぜか(3)の論文は、内容もいまいち(本人も納得できていない)で、誤字脱字や参考文献の抜けなど、形式面の不備も多い傾向にあります。

 こうなってしまう代表的な原因は、2つあります。1つは「先延ばし症候群」、もう1つは「一気書き症候群」です。今回は、これらの2つのうち、1つ目の「先延ばし症候群」を克服する方法を紹介していきます(2つ目の「一気書き症候群」の克服法については、次回11月18日のブログに書く予定です)。


2.先延ばし症候群への対処法

 先延ばし症候群とは、「論文をやらなければいけないと頭ではわかっているのに、できる限り避け続け、締切ギリギリになってから慌てて書き始めて、乱雑なまま提出してしまう、というやり方」です。

※「先延ばし症候群」という名称は、今回私が作った名称です。

 このやり方だと、提出者側の学生も達成感どころか徒労感しか残りませんし、こうした論文を読まされる教員側もどのように修正させればよいか頭を悩ませることになります。関係するあらゆる人を暗い気分にする、なかなか破壊的なやり方といえるでしょう。

 ただ、実は私も(そんなに乱雑なものを出したつもりはないですが)、最近まで締切ギリギリに取り掛かるタイプだったので、こうなってしまう気持ちはよくわかります。

 こうした経験から、先延ばし症候群を克服するための方法については、私も色々本を読んで調べてきました。その中で「なるほど」と思い、今でも先延ばししそうになった時に役立てているのが、ハーバード・ビジネススクールのポーゼン先生の3つの対処法です。

  • プロジェクトを細分化しよう!
  • 誘惑を断ち切って、プロジェクトに集中できる環境を作ろう!
  • 失敗の恐怖を克服しよう!

 

①プロジェクトを細分化しよう!

 プロジェクトの規模や複雑さに怖気づいて、なかなかスタートを切れないこともあるだろう。その怖さに打ち克つには、プロジェクトを小さな部分に分解し、最初の一歩を踏み出そう。はじめの一歩が踏み出せれば、あとは簡単になる。

②誘惑を断ち切って、プロジェクトに集中できる環境を作ろう!

 気が散りやすく、いつもほかのことに向かってしまうなら、とにかく集中できるように、容赦なく仕事環境を変えるべきだ。溜まっているものを片付け、重要なプロジェクトに割く時間を作り、SNSやゲームへの接続を断ち切ろう。

③失敗の恐怖を克服しよう!

 「最終的なアウトプット(論文)が、絶対に満足ゆくものにならない」と思いこむなど、心に深く根づいた失敗の恐怖におびえて取りかかれない場合は、セラピストの助けを借りるなどして恐怖心に立ち向かおう。

(Posen, 2013, 邦訳52-53をもとに筆者作成)


 これらを論文執筆にあてはめると、以下のような形になります。

 ①については、「論文を書く」という大きなプロジェクトを、今すぐ取りかかれるくらいの簡単な仕事に細分化していきます。例えば、「第1章の問題意識を書こう」などと章ごとに細分化してもいいですし、もっと細かく「今日は、論文の参考文献リストを作ろう」(あるいは「参考文献リストに3つ文献を付け加えよう」などでも可)、「今日は、論文の第2章の前半部分について、教科書の50~60ページまでを読んで要約しよう」などと細分化してもよいです。

 締切まで余裕があるほど、プロジェクトを細かく細分化できるので、早い段階で計画を立てて細分化していくとよいでしょう。


 ②については、私も考えに行き詰まったりすると、そのストレスで急に掃除をしたくなったり、ネットショッピングをしたりして、時間を浪費してしまうことがあります。そうならないように、私の場合はPCのLANケーブルを抜いてネットに接続できないようにしたり、掃除機を目の届かないところに片付けたりして、論文しかできない環境を作っています。

どうしても集中したいときは、必要なものだけ持って図書館に行くのもいいでしょう。ただし、スマホを目に付くところに置くのは厳禁です!


 ③の恐怖の克服は、一人ではなかなか大変かもしれません。要するに「どうせいいものは書けなさそうだから、やりたくない」と思って、なかなか取りかかれない状態になっているわけです。私も、大学院時代に指導教員の先生から何度もダメ出しされて、最後の方はこのような気持ちになったことがあるので、これで書けなくなる気持ちはよくわかります。

 こういう時に必要なのは、「アイデアに共感してもらって自信をつけること」です。厳しいことを言わなさそうな人や、同じように論文で苦労している友達などに、「こんなこと書こうと思っているんだけど」と話を聞いてもらい、一言「いいと思うよ」と共感してもらっただけで、結構筆が進んだりします。

 実はこういう時、ゼミの先生に相談するのも効果的です。私も、これまで何人も「こんなこと書いていいのかな?」と迷っているゼミ生を見てきました。このタイプの人は、書きたいネタがある分、「それで大丈夫だよ」と不安を取り除いてあげればグーンと論文が進むようになります(意外と、「論文のテーマはこうでなければならない」などと、自分でハードルを高くしすぎてしまっている場合も多いので・・・)。ですので、こういう不安がある人は早めに先生に相談するとよいでしょう。

 その他、東経大では、学生相談室でカウンセラーに個別に話を聞いてもらえたり、学習相談室で様々な分野の教員に個別に相談できたりする制度があるので、それを利用するのもよいと思います。

 東経大には、このように、学生の皆さんが学習に集中的に取り組めるようにするための様々な制度が用意されているので、それらを最大限活用して、自分が最高の成果を出せるような環境を作りましょう!


3.論文を書く経験は、就職や仕事に役立つ!?

 ここまで読んできた方の中には、「あれ?この話って、論文だけでなく、時間をかけて計画的に取り組まなければならないプロジェクト(仕事や資格試験など)全部に当てはまるのでは?」と気づいた方もいらっしゃるかもしれません。

 そうなのです。ポーゼン先生の①~③は、論文に限らず、どんなプロジェクトにも当てはまる話です。

 元々、経営学部でゼミ論文や卒業論文を書く本来の意義は、これまで講義で学んできた経営学の理論を、現実の企業が抱える問題の分析や、その解決策を論理的に考えることに「使える」ようにすることです。せっかく大学で経営学を学んでも、それを現実の企業の経営に使えなかったら、意味がないからです。

 しかし、ゼミ論文や卒業論文を書くことには、それ以上の意味があります。自分で一つのプロジェクトを立ち上げ、完遂するという経験を積めることです。

 (ゼミ論文か卒論かによって違いますが)半年~1年間という長期にわたるプロジェクトを、1人でテーマを考えて立ち上げ、計画的に遂行し、締切までに「論文」の形で完成させる、という経験は、社会に出てから仕事をする際に必要な「計画力」や「思考法」だけでなく、大きな「自信」を与えてくれるはずです。さらに、ゼミ論文や卒業論文で考えたビジネスプランを、就職活動で企業に売り込めば、卒業後に企業の中でバックアップを得ながら実現していくことも可能になるかもしれません。

 このように、ゼミ論文や卒業論文には様々な効果があるので、東経大では、これらの論文執筆を促進するための色々な制度を用意しています。ここでは、それらのうち2つをご紹介します。

(1)研究ノート

 東経大の経営学部には、3年生の2期から卒業論文の準備をしていくことができる「研究ノート」という科目があります。

 この科目について、詳しくは、こちらのシラバスを読んでみて下さい(https://portal.tku.ac.jp/syllabus/public/pubShowSyllabus.php?sno=175628&rlcd=12148-001&mt=0&year=2024)。

 私のゼミでは、3年生にはこの研究ノートを履修してもらい、2期から個人でテーマを決めて研究を始めてもらって、個別に論文指導をしています。大変そうに見えるかもしれませんが、この科目を履修している3年生の満足度は意外と高く、「3年生の時から卒論の準備を始められるので、就職活動で『自分は今、卒論でこういう研究をしている』ということをアピールしやすかった」とか、「3年生の研究ノートではうまく分析できなかった部分を、4年生の時に1年間かけて納得のいくように分析し直せたので、卒論の満足度が上がった」という意見が寄せられています。

(2)卒論のハードカバー製本

 これはあまり知られていないかもしれないのですが、東経大では、卒業論文を書いた学生が希望すれば、大学が、卒業論文を下記の写真のような立派なハードカバーに製本して、卒業式の日に渡してくれます。



 このように、東経大ならではの論文を書くメリットもたくさんあるので、是非、「東経大で論文を書く」というプロジェクトを、多くの人に完遂してほしいと思っています。

(東京経済大学経営学部准教授 山口みどり)


参考文献

ロバート・C・ポーゼン著(2013)『ハーバード式「超」効率仕事術』早川書房.

2024年8月26日月曜日

ゼミ生と私の夏休みは充電期間か、成長期間か?(小木ゼミ通信 vol.44)

 マーケティング論、ソーシャル・マーケティング論、消費者問題担当の小木です。44回目のブログになります。

 8月19日に飛び込んできたニュースに驚きました。なんとセブン&アイHD(時価総額4兆6000億円)がカナダのコンビニエンス大手、アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けていると発表しました(日経新聞によれば2020年にも買収の打診を受けていたとのこと)。まだ、拒否する場合もありますし、独禁法の壁はあるやなしやなど、どうなるかは全く分からない状況ですが、完全買収には、少なくとも5兆円以上が必要とされ、実現すれば海外企業による日本企業買収としては最大級となります。

 アリマンタシォン・クシュタールは、クシュタールやサークルKといったブランドで北米や欧州を中心に世界30か国で約17,000店を展開する小売店です。2024年4月期の売上高は692億ドル(約10兆円)と、セブンイレブンの約11兆円(2024年2月期)とほぼ同じ規模です。一方、セブン&アイHDには、セブンイレブンをはじめ、イトーヨーカードー、デニーズ、ロフト、ぴあ、タワーレコード、赤ちゃん本舗などを含む、大大グループ会社です。今回の提案は、現段階では、拘束力のない友好的な初期的な買収提案でありますが、断れば同意を得ないままにTOB(株式公開買い付け、いわゆる敵対的買収)に乗り出す可能性もあります。

 個人的な単純な想いとしては、セブンはこのままでいてほしいと思うのですが、ついに、日本の大手企業が外国企業による買収の草刈り場としての対象になる時代がやってきたかと、しみじみ思う由です。こうならないように、ローソンは株式非公開とし、三菱商事とKDDIによる共同で経営する体制を整えたことはある意味先見の明があったのかもしれません。

 さて、今回は、24年のゼミ生と私の夏休みを紐解いてみたいと思います。


 ゼミ生と私の夏休みは充電期間か、成長期間か

 本学では、これまでも「ゼミする東経大」をスローガンに、ゼミに力を入れてきました。ここではじめて言いますが、9年ほど前、前学長と国分寺駅までの道のりをご一緒してゼミについて相談された際、私は「ゼミの○○大と言っているところがありますが、われわれも全く負けていません。ゼミをフォーカスしたキャッチーなフレーズを東経大も打ち出しましょう」と進言しました(もう少し過激に進言しましたが)。それで出てきたのが「ゼミする東経大」だと個人的には思っています(手前味噌ですが、経営学部の「アカデミックコンパス」という科目名も私が考案しました)。ちなみに、2025年カリキュラム改定により、2025年度入学生からゼミに入って活動をしっかりすれば、1年あたりゼミ履修4単位+演習アウトプット2単位の計6単位をもらえることになり、演習ゼミ(+演習アウトプット)はこれまで以上に魅力的な科目になります。

 そんなゼミですが、夏休み期間は、ゼミ生と教員(私)は何をしているのでしょうか。少しばかり覗いてみたいと思います。

 まず、私からです。教員は各々で本当に様々な夏休みを過ごしているかと思いますが、今年の私は7月末に成績評価と講演1回、8月に講演・研修講義の2回と、調査出張1回、学会の常任理事会、論文審査2本、そしてこのブログ1回以外は、すべて単著出版のためにずっと書斎に籠っています(パリオリンピックは結構見ました)。外の仕事をできるだけ断り、家族旅行も私抜きで行ってもらい、ひたすら資料読みと執筆活動に勤しんでおります。9月に入ると、研修、調査、ゼミ合宿などが目白押しで、そうこうしているうちに後期授業に突入することになるでしょう。というわけで、私の今年の夏休みは、単著出版のために、それに対してのチャージ期間だったと言えます。

 ゼミ生はどうでしょうか。夏休みに入ってからも、幾人らとZoomで打ち合わせを断続的にしていてそれとなく夏休みの状況を聴いてみたところ、2年生はゼミ合宿での出し物、研究発表報告の準備、コンペへの準備をしているようですが、基本的にはアルバイトや旅行に時間を費やしている人が多いようです。3年生は夏合宿での出し物や葵祭出店の準備、インターンシップや某講座への参加、消費者教育学生セミナーへの参加、アルバイト、旅行など、人にもよりますが、それぞれが充実した期間を過ごしているようです。4年生は就活も終え、夏合宿での後輩への就活イベントや出し物の準備などはやっていますが、かなり伸び伸びと過ごしているようです(本当は卒論もやってほしいところですが)。ゼミ生には「夏休みはとにかく集まりを少なくして、自分の成長の期間に充てて下さい」と言っている手前、あまり強くは言えず、後期に向けた準備をお願いするのも控え気味ではあります。ただ、夏合宿は、ゼミ全体をぎゅっと団結させる絶好の機会ですので、後々、ゼミ合宿は大事だったということがゼミ生にも分かってくれると信じてやっております。とにもかくにも、各ゼミごとで違うかと思いますが、ゼミ生にとっての夏休みは、成長するための準備・充電時間だったのかもしれません。きっと、その充電期間は無駄ではないと思う由です。

 夏休みも終わりに近づいてきました。どこのゼミ生にとっても、チャージしたものを後期に存分に発揮できることを願ってやみません。


追記です。

消費者教育学生セミナーの最優秀賞、優秀賞チームで小木ゼミ生が大活躍!

8月30日に、国民生活センター、消費者教育支援センター、消費者教育学会の共同主催の「消費者教育学生セミナー」がオンラインで開催されました。小木ゼミからは3年生を中心に9名が参加。十数大学・大学院生の合計40名が集まり、7チームにランダムに分かれて、消費生活上におけるトラブルや世界規模の消費者問題を解決すべく、制限時間の3時間で、チーム内でディスカッションし、提案書とPPT資料を作成し、プレゼン発表するというものです。最優秀賞チーム(6名中2名東経大・小木ゼミ生)、優秀賞チーム(6名中2名東経大・小木ゼミ生)において、小木ゼミ生が提案書、資料作成、プレゼンで中心的な役割を果たしました!対外試合で自身の力をいかんなく発揮でき、副賞の第一生命からのディズニーグッズも獲得できて、参加者のゼミ生は喜びにあふれていました。

2024年8月20日火曜日

記録の歴史と大学生の休暇の過ごし方

経営学科 会計コースの板橋です。

今日は記録の歴史についてお話したいと思います。

現代の企業は自らの財産や、経営成績の記録に複式簿記を用いています。

複式簿記の起源は諸説がありますが、13世紀末期から14世紀初頭のイタリアが起源であると考える説が有力視されています。

ですが、もちろんそれよりも前の時代においても記帳の必要性はありました。

複式簿記ほど精緻な仕組みは採用されていませんでしたが、古代ローマ時代において既に会計帳簿に関する言及は記録されています。

例えば、BC234からBC149にかけて活躍した監察官Caton氏は『農業について』という本の中で「現金、倉庫内穀物、まぐさ、酒、油の会計を行うべし。売ったもの、支払ったもの、受け取るべきもの、さらに売却すべきものを記帳すべし」というように記しています。

このように、人々の活動が組織化され大規模化してゆくと、そこには記録の必要が生まれ、その記録を集計化し、責任者に報告するという活動が生まれていきます。

この活動は文字が異なっても、記録形態が異なっても起こってきました。

例えば、インカ帝国ではキープと呼ばれる、紐に結び目を付けて数値を記述する方法が採用されました。

キープは、単色、もしくは複数に彩色された紐で作られ、さまざまな形の結び目がついています。そして、結び目の位置によって、一、十、百、千、万の位が表されていました。

このような記録方法は結縄と呼ばれ、実は世界的にも様々な場所で見られます。中でも有名なのが、このインカ帝国のキープと沖縄の藁算(わらざん)です。

藁算は文字通り、稲藁などを結んで数の記録や計算の道具として用いるものですが琉球王国時代から明治の中頃まで、王府の命令で読み書きを学べなかった農民や庶民を中心に沖縄県の各地で使われていました。

納税事務や取引計算、家族数,金額,出欠などの記帳に使われていたそうです。

さて、インカ帝国のキープ、実は、数値記録以外にも結び目を使って出来事などを記録していそうだという認識はされていたのですが、数字以外のメッセージや文化情報がキープの中に記録されているのだとしても、その意味は現代の学者には不明瞭でした。

これが部分的に解読されたのは2016年、その主役はなんと当時大学1年生で経済学を専攻していた一人の学生の研究によってでした。

大学の講義でキープについて興味を持った彼は、春休みにその研究に自主的に取り組み、一部とはいえこれまで誰も解読できなかったキープの謎を解く鍵を発見したのです。

これは、大学の先生が何年間にもわたって研究しているような難しい課題も、新しいアプローチで取り組むことで大きな発見がもたらされることがある、というお話でもありますし、

大学生の休暇期間の過ごし方についてのお話でもあります。

皆さんも、まとまった時間がとれる休み期間には、大学での講義を通して興味を持ったことに是非取り組んでみてください。

歴史に残る発見ができるかもしれませんよ。

(文責:経営学科 板橋雄大)

2024年8月5日月曜日

高校数学は何に使うのか?

経営学部で企業金融論や経営統計を担当している木下です。

夏休みに入りましたが、受験生の皆さんは勉強を続けられていると思います。

今回は高校数学がどのように拡張、応用されていくのかをお話します。

誰しも一度は「こんなことを勉強して何の役に立つのか?」と思ったことがあるはずです。

私自身もそうでしたが、専門家になった後で振り返ってみると、高校数学が知識の土台として極めて厳選されたコンテンツになっていることが分かります。

今回はその中でも「二次関数」に焦点を当てます。

二次関数に確率論を導入したり、多変量に拡張することでリスク管理やデータ分析の技術が開発されています。二次関数の考え方を理解していると、細かい理論的なことは分からなくても「どうせこんな感じのことをやってるんだろ?」という直観を持つことができるようになります。研究者も自分の専門分野ど真ん中以外の内容に関しては、そういった直観で大枠を理解しているだけです。


以下のような問題を考えてみましょう。

これは二次関数を使って

を最小化する問題だとみなすことができます。
高校生1年生で習う方法で求めることができますが、もっと簡単な方法があります。
ABCDの平均値を取ると1/2となり、これが解となります。
このように統計学での平均値と二次関数がつながっていることが分かります。

ここまで理解すると、更なる発展を考えたくなりますね。上記の問題は数直線上で最適な点を求めるものでしたが、平面上で最適な直線を求めることもできます。
これが統計学の主要なツールである回帰分析であり、二次関数と平均値の拡張概念です。
これを使えば、従業員数が売上高に与える効果、投資が将来の利益に与える効果、金利が為替レートに与える効果等を測定することができます。例えば、以下の図は上場情報通信業の2023年度の従業員数と売上高の関係を表したものです(専門家が見るとツッコミどころがあると思いますが、あくまでも例ということでご容赦ください)。

このように二次関数だけを取り上げても、現実への応用につながっています。


大学と高校の両方に言えることですが、授業で与えられているコンテンツは「先に走っている専門家が最適だと考えたもの」です。当然これをしっかり身に着けておくことで発展的な内容を効率的に学習できます。先にも述べましたが、高度な手法でも雰囲気が分かるようになります。

逆に「その時点の専門家が考える最適プラン」でしかないことにも注意が必要です。
時代の移り変わりによって重要性の薄れるものもありますから、そういったものに対する取捨選択はむしろ若者のセンスが大事になることもあるでしょう。

最も伝えたいことは、高校での勉強は皆さんが考えている以上に未来につながっているということです。私が高校生に戻れるのならば、間違いなく勉強に時間を使います。

高校数学と統計学やファイナンスの関連性は語っても語りつくせないほどの内容がありますが、ご縁があれば東京経済大学でお話したいと思います。







2024年7月29日月曜日

メキシコなどで活躍する実務家による講演報告と大人気ユーチューバーOGの講演予告

  流通マーケティング学科の丸谷です。66回目の執筆です。私はグローバル・マーケティング論を専門とする教員です。本学には教員が自身の講義に実務家や外部の有識者を外部スピーカーとして招くことができる制度があります。今回はメキシコやコロンビアで活躍する株式会社Encounter Japan執行役員の生田 祐介をお招きしお話しいただいたので取り上げます。 

講演者 生田祐介氏

 同社は「ラテンアメリカと日本の間で新たな歴史を創造し、人々の生活を豊かにする」というミッションを掲げ、日本食レストラン経営(メキシコ3店舗とコロンビア1店舗)、 日本産のお米の精米、日本酒の輸入・販売、ホテル・レストラン向けコンサルティングサービス、マーケティング戦略の立案、動画制作、デザイン制作、ウェブ制作、 代理店業務、市場調査、 販売促進などを行っている企業です。

 生田氏は20代後半と年齢も履修者の皆様とも近く、その経歴と現在の活動は、総務省が掲げるグローバル人材の定義、すなわち「日本人としてのアイデンティティーや日本の文化に対する深い理解を前提として、豊かな語学力・コミュニケーション能力、主体性・ 積極性、異文化理解の精神等を身に付けて様々な分野で活躍できる人材」といえるため、甲子園を目指してずっと野球をしていた高校生から大学時代の海外経験についてまずお話しいただきました。 

講演資料より

 メキシコでの日本食レストラン事業と日本食材の輸入など現在の活動についてもお話し頂きました。レストラン事業については、メキシコでは格差が固定されているため、同社のレストラン事業は安定したメキシコ富裕層のニーズに的確に対応するために、既に評価が定着している日本料理をそのまま影響することにこだわりすぎるのではなく、欧米の高級レストランに彼らが求めるような洗練された見せ方や、カトラリーの提供などに注力しているというお話をしていただき、メキシコの富裕層の豊かな食経験を踏まえたマーケティング戦略という視点は非常に興味深く、日本人が自国で求められる水準にこだわりすぎるという話は日本企業の過剰品質の追求やガラパゴス商品の提供による失敗につながる話であり、グローバル・マーケティングの観点からも示唆に富むエピソードです。

講義資料より

 日本食材の輸入に関しては、EPA(経済連携協定)など貿易を促進する制度の利用は授業でもかなり触れている部分なので、実際の事例の提示は実態理解につながったようです。事例としてとりあげていた三陸のホタテ事業に関しては、写真などを用いて具体的に何が重要なのかを指摘しており、概念の説明が多くなりがちな講義に具体的イメージを提供してくれました。

講義資料より


 
前期に招聘させて頂く外部スピーカーは日本から海外への展開を実行されている実務家の方でしたが、後期9月27日に招聘されて頂く予定の外部スピーカーは、インバウンド需要の拡大にも貢献する、本学OGで年300日旅するアラサー夫婦ユーチューバーとしてSNSフォロワー数250万人越えを誇るくぼたびさんを予定しています。『くぼたび流暮らす旅のしおり(株式会社KADOKAWA)』はベストセラーになっています。非常に貴重な機会と考えますので、もしご関心がある方は私の方までご一報ください。

(文責:流通マーケティング学科 丸谷雄一郎)