今回のブログでは、夏休み中の海外ゼミ研修の様子をご紹介したいと思います。
東京経済大学では、ゼミ活動の一環として、夏休み、あるいは春休みに海外に現地調査などに
渡航する学生を支援する制度があります。柴田ゼミは、一昨年、昨年と、この制度を利用して
中国やアメリカ西海岸の企業などを見学してきましたが、今年はフランスで現地調査を行い
ました。柴田ゼミの研究テーマの一つに「観光事業の経営を調べる」ことを取り上げており、
フランスは年間8,500万人もの海外からの旅行者を集める世界一の「観光大国」であるため、
かねてよりぜひ一度学生と一緒に調査してみたいと思っていました。今回の海外ゼミ研修は
9月4日(木)から12日(金)までの9日間です。
海外ゼミ研修の様子は?
9月4日(木)の午後、羽田空港に集合したゼミ生は、シンガポールに向けて出発します。本当はパリまで直行便で行きたいところですが、実はシンガポール乗り継ぎの航空券の方が
だいぶ割安であったため、往復シンガポール乗り継ぎとなりました。ただ、シンガポールでの
乗り継ぎ便が機材の故障で、出発が4時間以上遅れ、深夜から未明まで空港で待たされ、
さすがに疲れました。
9月5日(金)の昼ごろにパリに到着し、この日の午後にはパリ南部の国際大学都市で、
日本語を勉強中の学生4人と意見交換する交流企画を進めました。フランスでは、学生と
言っても年代はさまざまで、ゼミ生と同年代の人もいれば、働きながら学んでいる人、
結婚して子供のいる人などもいます。写真は、国際大学都市の本館の前での集合写真です。
9月6日(土)には、ゼミ生も4つのグループに分かれ、前日に会った学生がそれぞれの
グループに1人ずつついて、パリ市内の希望するところを街歩きすることにしました。
パリのセーヌ川沿岸は、かなり広い地域が世界遺産に指定されているため、ここを
自分たちの足で歩いてみたわけです。やはり現地に住んでいる人と一緒に、いろいろな
話しをしながら散歩するというのは、街の素顔や人びとの生活などがよく分かり、
異文化コミュニケーションの貴重な経験になったと思います。どのグループからも
「たいへん興味深かった」という感想が寄せられています。
9月7日(日)には、パリの西方約300キロほど離れた大西洋岸のモンサンミッシェルまで
日帰りで見学に向かいました。モンサンミッシェルは、満潮時には陸から離れ、干潮時には
砂浜でつながる小さな島で、周辺を含めて世界遺産に指定されています。島の上部には、
石造りの修道院があり、ロマネスク様式とゴシック様式の入り交ざった、たいへん興味深い
作りになっています。昼食には、この島の名物のオムレツも食べてみました。パリ市内では
東アジア系の顔立ちの人でも、日本語、中国語、韓国語とさまざまな言葉が飛び交いますが、
モンサンミッシェルまで来る東アジア系の人は、ほとんど日本人のようです。
9月8日(月)の午前中には、本来4日の午前中に廻るはずだった、パリ市内の名所である
ノートルダム寺院、凱旋門、エッフェル塔などを見て回りました。
また午後には、在仏日本人会会長でパリ日本語補習校校長の浦田良一さんの講話を聞きました。
浦田さんは日立製作所に入社し、フランスに販売会社を設立するために渡仏して、その後
30年以上にわたりフランスで生活されてきた方です。ご自身の経験を通して、日本企業の
海外進出や、海外での暮らし方について、非常に興味深いお話しをうかがうことができました。
夕方からは、世界遺産であるセーヌ河岸を遊覧船で船の側から眺めてみて、陸側とは
また違った魅力が発見できました。
9月9日(火)にはパリ郊外のディズニーランドパリを見学し、東京ディズニーリゾートと
どのような違いがあるかを、自分の目で調べることにしました。ディズニーランドはもちろん
アメリカ生まれのテーマパークであり、東京ディズニーリゾートも非常に人気があり、
好業績を続けています。しかし、同じようなディズニーランドでありながら、香港のディズニー
ランドや、このディズニーランドパリの業績は当初の予定を下回っており、人気も今一つと
言われています。柴田ゼミでは一昨年に香港のディズニーランドを調べており、今回は
ディズニーランドパリを題材に取り上げ、不人気の理由を調べるのが目的です。実際に行って
みると、ちょっと目についただけでも日本とはさまざまな違いがあります。
まず駐車場が非常に閑散としていて、人気の少なさを如実に示しています。園内の中心に
ある眠れる森の美女の城も、何か安っぽい作りで、周辺にいくらでも本物のシャトーの
あるフランスでは、いかにも「まがい物」に見えるでしょう。園内の飲食店も平日のためか
半分以上が閉まったままです。パレードも日本よりかなり短く、あっという間に終わって
しまうような印象でした。
9月10日(水)には、ゼミ生を4つのグループに分けて、あらかじめ自分たちでまとめた
行動計画に沿って調査を行う「グループ行動日」にあてています。3つのグループは
パリ市内やルーブル美術館などをさらに詳しく見て回り、1つのグループは特急電車で
隣国ベルギーのブリュッセルまで日帰り往復を行いました。自分たちでテーマを決めて
計画を立て、さまざまな手配も行い、行動をしてみることは、自主性を養ううえでとても
大事なことであると考えて、毎年このような試みを続けています。
9月11日(木)は帰国日で、朝から空港に向かい、またシンガポール経由で帰国しましたが
羽田空港に戻ってくるのは、翌日の9月12日(金)になるというわけです。
<ちょっとお知らせ>
なお、今回の海外ゼミ研修については、11月10日(月)の昼休みに行う海外ゼミ研修
成果報告会で参加した学生自身が発表を行います。このブログをお読みになっている
学内の方で、ご興味が湧かれたら、ぜひ成果報告会にもお越しください。
引率教員として思うこと
柴田ゼミの海外ゼミ研修も、一昨年、昨年と続けてきて、今回が3回目となりました。毎年のことなのですが、帰国後すぐに、海外ゼミ研修参加者にレポートを書いてもらうと、
「もっと英語の勉強をしておけばよかった。もっといろいろ意思疎通できたのに・・・」
というような声が非常に多く聞かれます。しかし、どうもそのような向学心?も一時的な
もののようで、クリスマス頃には忘れ去られてしまうようです。これは引率教員としては
非常に残念なことだと思っています。そのため、来年度は英語圏の土地、具体的には
イギリスかアメリカ東海岸を訪問するような海外ゼミ研修を行いたいと考えています。
4月のうちから、学生の英語力を向上させるような仕掛けを設けて、とにかく現地で
自分の英語力を試してみるような企画を立てて、異文化コミュニケーションを実践
したもらいたいわけです。(もっとも、私は英語の教員ではなく、あくまで経営学の教員なので
英語中心のゼミにはならないわけですが・・・)
なお、海外ゼミ研修の制度は、春に参加希望のゼミが申請を行い、審査を経て選ばれた
ゼミの学生だけが支援を受けるわけで、来年度必ず選ばれるという保証はありません。
ただし、堺学長の方針としては、グローバル時代に向けて海外ゼミ研修に派遣するゼミ数を
増やす方向にあります。そのため、しっかりとした企画、しっかりとした準備のできる
ゼミにとっては選ばれる確率が高まっているとも考えられます。教員の側にもますます
創意工夫が必要だ、ということなのです。
(文責:経営学部教員 柴田高)