流通マーケティング学科の丸谷です。4回目の執筆です。前回に引き続き、敢えてゼミ課外活動同様に重要だけれど退屈と思われがちな講義について取り上げてみたいと思います。私が担当している講義は、前回取り上げた「流通マーケティング入門」と「グローバル・マーケティング論」です。
今回は残りの「グローバル・マーケティング論」のテキストの改訂を現在行っているところなので、教科書の改訂についてとりあげてみようと思います。
私がこの内容を取り上げようと考えた理由は、高校までの授業と大学での講義の大きな違いの1つがこの部分にあるからです。
突然ですが、皆さん、「教科書検定」って聞いたことありますか?
よく歴史問題とかでニュースになったりしますが、あまりなじみのない言葉ではないでしょうか?
高校までの教科書は基本的に文部科学省の検定を通過したものだけが使われているのです(文部科学省のホームページに検定を通った教科書が掲載されていますが、その種類は多いとはいえません)。
大学教員は一部の基本科目を除いて多くの場合教える内容を自分で決めることができるので、教科書を自由に選ぶことができますし、多くの教員は自分で書いた教科書を使っています。私も今回取り上げる「グローバル・マーケティング論」に関しては、2006年に教科書を出版して以降自分で書いた教科書を使って講義をしています。
この科目に関しては、科目名称も「国際マーケティング論」からここ数年で「グローバル・マーケティング論」に変化しているのにも表れているように、内容も変化し続けている科目です。マーケティングは市場で行うことですから、企業が活動する市場範囲が拡大し、拡大した市場で行うことが変化すれば、内容自体が大幅に変わってしまうので、教えるべき内容も変化してしまうのです。実際、海外の大学で出版されているこの分野の教科書は非常に頻繁に改訂を行っており、その内容もかなり変化しています。
私が教員になった1999年と今を比較しても、日本企業の主な海外市場は北米から中国や東南アジアなどの新興国に変化していますし、その変化のスピードは年々加速しています。そのため、グローバル・マーケティングで教える内容も毎年変化しており、理想を言えば教科書も本来なら1年ごとに変える必要があるくらいです。
とはいえ、私も毎年改訂するほどの余裕はなく、出版事情の兼ね合いもあり、2006年に初版出版以降、2008年に第2版、2010年に第3版、2012年に第4版と改訂を進め、ちょうど今2015年4月に向けて第5版改訂を進めています。
改訂作業にあたっては欧米を含む基本内容にかかわる研究動向が載っている主要研究ジャーナルや主要教科書の変化を常にチェックすると同時に、履修者の皆さんから頂いている改善提案の募集が非常に役立っています。今回の改訂でも半分以上は皆さんの日頃の質問や改善提案をきっかけにしたものです(以下のフォーマットは改善提案を募集する際に利用しているフォーマットです)。
私はマーケティングとは「個を互いに尊重し価値を高めあうこと」と考えていますが、皆さんの先輩である履修者の皆さんのご協力は私だけでなく、これから私の講義をこれから受講する後輩、私の書いた教科書を使って講義をなさっている諸先生やその講義を受講する皆さんのことも尊重し、価値を高め合う行為であると考えています。
丸谷雄一郎(グローバル・マーケティング論担当)
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