なお、今年2019年は、日本・ハンガリー外交関係開設150周年の記念の年です。
今週、佳子内親王殿下が公式訪問されるご予定ですので、ニュース等でハンガリーの様子をご覧いただく機会が増えるかと思います。
現地では、ブダペスト商科大学での交流の他、三井物産ブダペスト事務所、マジャル・スズキ、イビデンの各社様に受け入れていただきました。
ブダペスト商科大学さんでは、学部長によるご挨拶の他、学科長を含む3名の先生によるレクチャーの後、日本語学習をしている学生の皆さんとランチを挟んでの交流をしました。日本留学経験のある学生から、まだ日本語学習を始めたばかりの学生まで、新入生オリエンテーションの期間にもかかわらず約10名が参加してくださいました。ランチ後の市内散策まで同行していただくなど、積極的に関与していただき感謝です。そのうちのお一人は、今週から日本留学の予定です。日本滞在中に、また是非交流をしたいと考えています。
三井物産さんでは、ナショナルスタッフ2名の方によるレクチャーの他、テクノロジー関連のスタートアップに投資する独立系ベンチャーキャピタルの方と、村上春樹さんをはじめとした日本作品をハンガリー語に翻訳されている翻訳家の方にもお話をしていただきました(スタートアップでハンガリーは注目の国でもあります)。4名とも日本留学経験があり、日本語はもちろん堪能ですが、ブダペスト商科大学の学生をはじめとして数か国語を話せる方が多いです。
ハンガリー市場でトップシェアのマジャル・スズキさんでも、会社説明及び工場見学の後、ナショナルスタッフの方と若手駐在員の方を囲んでの交流会をセットしていただきました。マジャルとはハンガリーのことを指しますが、社名に冠しているように、スズキさんの車は「我々ハンガリー」の車として認識されています。
イビデンさんでも同様に、会社説明及び工場見学の他に、各部門の責任者であるナショナルスタッフが同席してくださり、質問に答えていただきました。
各社様とも、当方のリクエストに快く応じていただき、濃密で素敵な時間を過ごすことができました。
ハンガリーの歴史、社会、経済、日本とのかかわり等に関する事前学習はしていますが、やはり「百聞は一見に如かず」。今回の訪問を通して、参加学生それぞれ大きな気づきがあったものと思います。そのままにせず、是非行動へと結びつけてほしいと切に願っています。
オスマントルコやハプスブルク家による支配、第一次及び第二次世界大戦の戦禍、共産圏国家であったことなど、歴史の中でさまざまな経験をしてきたハンガリー。破壊されたり、その時々の支配勢力のシンボルが掲げられたり、用途を変えさせられたりしてきたものも数多く残っています(国会議事堂のドーム突端にあった「赤い星」も展示されていました)。
今回同行していただいた現地ガイドの方は、日本史にも造詣が深く、「日本であれば江戸初期の建物」などと、私たちが理解しやすいように説明をしてくださいました。目前の建物や場所を世界史で学んだ出来事と関連して見ることができる貴重な機会となったと思います。
ハンガリーの街並みは、他のヨーロッパ諸国同様、統一感のあるものでした。ブダペストで最も高い建物は国会議事堂と聖イシュトヴァーン大聖堂で、高さ96メートルです。896年の建国を記念しての高さです(国会議事堂と大聖堂は建国1000年の1896年を目指して建てられています)。それ以外の建物は一定の高さに抑えられていることも、素敵な景観に大きく影響しているのではないかと思います。
世界一、東洋一などとやみくもに高さを競わないところに歴史と矜持を感じました。
今回はブダペストのみでしたが、他にも素敵な町がたくさんあるハンガリー。それらを確かめに、また是非訪問したいと思います。
最後になりましたが、本研修の実施にあたりご支援ご協力をいただいた駐ハンガリー日本大使館の皆様に心より感謝しております。
[追記]
・自由行動日を中心に、学生達もおおいにブダペストを楽しんだようです。各地にある温泉。パプリカベースのスープ・グヤーシュ、国宝のマンガリッツァ豚、鴨、フォアグラ、トカイワインをはじめとしたワインなどなど..。それらも含めた研修報告は10月24日に行いますので、是非、学生達の報告を聞きにいらしてください。
・建物の高さに関する記述を訂正いたしました。国立国語研究所の大島一先生、ありがとうございました。大島先生にはハンガリー事情等を事前レクチャーしていただきました。
(文責:関口和代)