2024年7月8日月曜日

「戦略的」な夏休みを。

 経営戦略論担当の寺本です。

ブログ登場は2か月ぶり2回目となります。

前回は,ちょっと自己紹介をさせてもらい,その中で経営学と日常生活の接合点的な話を少しいたしました(https://tkubiz.blogspot.com/2024/05/blog-post.html)が,今回も似たような感じで経営と学生生活の考え方の接合点の話を一席。


   さて夏休み   

7月に入りまして,気が付けば夏休み。大学生には,約1か月半にも及ぶ夏休みがあるわけですが,何をするか決まっていますか?何をしたいとか,ちゃんとありますか?

これほどまでに長く自由に使える時間は,大学生の特権だと思います。社会にでたら,大学生の1か月半の夏休みや,2か月にも及ぶ春休みのような,長くまとまった休みは取りにくくなります。その意味で,まさに長期休暇は大学生の「特権」なのです。

これから大学を目指そうという考えをお持ちの方にも,これは考えておいてほしいと思っています。大学に入ったら何をしたいか?は,もちろん講義・ゼミ・研究や部活・サークルはもちろんのこと,こういった長い長い休みをどのように過ごすのかということを考えることでもあるかもしれません。


逆に言うと,この長期休暇をなにも考えずにただ無計画に消費するのはあまりにもったいないとも言えます。

そこで,ここは経営戦略論の教員として,提言したい!「経営戦略的夏休み」を。


   戦略?  

さて,ここでごくごく簡単に(経営)戦略なるものについて解説しておこう。

企業や組織は活動するにあたり,ただ闇雲に活動するのではなく,第1に目標や目的を設定し,それらを達成するために活動しています。一度,目標や目的が決定されると,次は現状の分析です。目標や目的が企業や組織にとっての「ありたい未来の姿」であるならば,現状の分析は,まさに企業や組織の「現在の姿」です。通常,この「ありたい未来の姿」と「現在の姿」にはGap(ギャップ)が存在するはずです。もしGapがない(=ありたい未来の姿をすでに達成している)ならば,そもそも頑張って経営活動を行う意味はないからです。そして,そのGapが明らかになると,そこからはそのGapを埋めることを考えなければなりません。企業や組織が持っている経営資源は有限ですから,その経営資源をどのように配分してくのかを考えたり,時系列的にいついつまでに何を達成するという風に,考えます。


この一連の流れを(経営)戦略という言葉で言い表すことが一般的でしょう。つまり,

①目標を定め

②その目標を達成するために道筋を決定し

③資源を適切に割り当てる

この3つの一連の活動を経営学では経営戦略と呼んでいます。


 戦略的夏休み? 

さて,夏休みに話を戻そう・

私が学生の時の夏休みの思い出に,住んでいる東京から実家のある大阪まで自転車旅行をしたという出来事があります。

ことの発端は,広島に実家がある高校来の友人から,誘われたことでした。その友人は,「自分は東京⇒広島を自転車で帰るつもりだが,大阪まで一緒に行かないか?」と誘ってきたのでした。たしか,それが6月の末くらい。いいね。と二つ返事し,決行は8月(二人の前期(1学期)の試験が終わったタイミング)と決まりました。


ここまでで,

夏休みの目標 東京⇒大阪を自転車で踏破する が決定しました。


そこからは,

・東京―大阪間は約500㎞ある。⇒ 夏の炎天下の自転車移動であれば,1日行けて100㎞だろう。

 毎日毎日100km進むのも難しい可能性があるので,1週間(7日)を目標に大阪に到達しよう。

・基本的には,国道1号線沿いを西へと進もう

・宿泊は,できれば「道の駅」で野宿か,ユースホステル。なければ,カラオケボックスで寝泊まりしてみよう。

・ただの移動ではなく,道すがら寄りたいところには寄って,観光もしよう。

・水道があれば,洗濯しよう。


などということを決定していきます。


さらに,私は自転車を持っていなかったので,出発までには自転車を購入したり,1週間の旅行に耐えられるよう荷造りしたりというミッションも出てきました。

ただの自転車ではなく,1週間かけて500㎞走るわけだから,ある程度,丈夫で乗り心地がよく,最悪の場合,持ち運びもできるようにと,クロモリという材質でできたフレームのミニベロ(小径車=タイヤが小さい自転車)を選んだのを覚えています。

(そして,集合当日に現れた相方が,ママチャリであったので閉口したのも覚えています。)


さて,そんなこんなで準備をひとしきり楽しんだあと,出発当日,楽しくも苦しい一週間が始まるのでした。


ここまでの準備で忘れていたこと,それは「不測の事態」への対応です。

そして,それがなんと出発したその日に起こってしまいます。

50㎞ほど走ったところで,私の自転車がパンクしてしまったのです。しかし,私たちはパンク修理キットも持っていないし,そもそも修理の仕方も詳しくは知りませんでした。一日目にしていきなりストップがかかり,自転車屋を目指します。


相方も私も,パンクということは全く想定しておらず(今から考えたら想定が甘すぎる),修理キットやタイヤチューブを持っていなかったのです。


自転車に行っても,さらに問題が…。私の自転車,ちょっと特殊だったようで,修理はできてもチューブは在庫がない…とかなんとか。一日目にして,大阪目指すどころか,神奈川の藤沢周辺で自転車屋巡りをしているというグダグダっぷり。書いていて,情けなくなってきました。


戦略って完全なものはないんですよ。かならず,不測の事態が起こるし,環境も変化する。だから,常に見直すってことも大切なんだということを,今からなら考えられたでしゅう。


そんなこんなで,ある神社で野宿させてもらおうと思ったら断られたり,途中で道を間違えたり,膝が痛くなって自転車が漕げなくなったり,あれやこれやトラブルがありつつ,それをその場その場で何とかしのぎ,最終的には道を間違え1日早く大阪に到着するという,なんともいえないオチまでついて…。


 まとめ 

まあ,こんなことを真似する必要はないのですが,折角の長期休暇,折角の時間。

是非とも,なんの目的もなくバイトに明け暮れたり,なんの目標もなく無為に過ごすよりは,戦略的に,つまり

・目標/目的をつくり

・そのためになすべきことを考え

・そして自分ができることをやる(資源を配分する)

を意識しながらやってみてください。


そして,いろいろと冒険してみてください。

文責:寺本直城