2014年2月25日火曜日

キャリアを考える

経営学部の関口和代です。
今回は、採用活動(学生の皆さんにとっては就職活動ですが..)が本格化する3月が目前に迫って
いますので、「キャリア」に関することについて記してみたいと思います。
(ちょっと長くなってしまいましたので、時間のない方は「キャリア支援プログラム」の部分をまずご覧いただければと思います)


キャリアとは
キャリア(career)という単語は、馬車(carriage)の轍(わだち)から発生したものといわれています。
馬車の車輪が通る道から転じたキャリアは、いろいろと定義されていますが、
ここでは、単に「個人の生涯」としてお話していくことにします。
S.フロイトは、幼年期のパーソナリティ発達が成人期の発達に影響を与えると述べていますが、
その説を発展させて、E.H.エリクソンは人の一生を8段階に分け、それぞれの段階において
発達させるべき課題と、その課題を達成させる際に生じる心理的な「危機」を示しました。

エリクソンは、青年期以前に作り上げられた自己概念を、青年期に経験するさまざまな出来事を
通して再形成することを「同一性(identity)」 という概念を用いて説明しています。

同一性とは、自分が自分であることを認識している状態(自分の人生がどの方向に進みつつある
かという認識と、社会や集団の中で役割を担っているという確信をともなった状態)をいいますが、
この同一性を確立しているか否かが青年期の大きな課題となります。

周囲の情報や意見に振り回されたり、「自分」というものにきちんと向き合わなかったりすると、
同一性が混乱し(同一性の危機と呼びます)、次の成人期において、他者との適切な関係を
構築することができず「孤立」を招くとしています。

また、D.E.スーパーは、エリクソンのパーソナリティ発達段階の考え方を発展させ、職業生活の
観点から5つの発達段階に分け、各段階において成し遂げるべき課題を示しています。
彼は、自己概念を、自分はどういう人間であるかという認識、将来どういう人間でありたいか、
理想と現実をどう調和させるかなどの、自分自身の特徴について抱いている概念として説明し、
この自己概念を充実させることによって職業的な発達が成立するとしています。
したがって、職業を選択するということは、自己概念を実現させるための手段を選ぶこと、
その職業に適応するということは、職業の中における役割期待と自己概念の両立であると
述べています。

キャリア発達は、職業に就くことによって直接的にはスタートしますが、速やかなキャリア発達と
その成功のためには、成長段階や探索段階におけるそれぞれの課題(自己分析および自己認知)
を達成することが欠かせません。

 
自分を知る
前述したような、各発達段階における課題は、進路を決める、就職活動をする、仕事を始めると
いう段階にいる学生の皆さんが、達成すべきものであるといってよいでしょう。

周囲の状況や意見に流されたり、飛び交う情報に惑わされたりしないためにも、
自分自身をよく知ること、自分が何をやりたいのか、自分はどのような能力を持っているのかなど
を客観的に評価することが必要となります。

「自分が自分である」ためには、「やりたい事もそのうち見つかるだろう」というような受け身の姿勢
ではなく、仕事も人生も自ら探すそうとする姿勢が求められます。

就職活動でエントリーシートに書くことがない、何を書いてよいのかわからないと感じている人は、
この自己分析や自己認知が十分ではないと考えられます。
仕事や職業に対する知識が非常に乏しい傾向も見られます。日常生活で仕事や職業を身近に
感じる機会がほとんどないことがその背景にあるとも思いますが、仕事や職業に対する感受性や
想像力の不足、物事を表面だけで判断し単純に受け入れてしまう傾向、コミュニーション能力の
未発達なども拍車をかけているように思います。

就職活動の早期化・長期化が進む中、以前よりも、自己分析や自己認知をする時間、
同一性を確立するための時期であるモラトリアム(猶予)期間が持ちにくくなっています。

小此木啓吾著『モラトリアム人間の時代』(1978年)等で取り上げられたように、
大学生活は社会的責任を果たすことを社会から猶予された期間です。
自己概念の再形成、同一性の確立が発達課題となる重要な時期ですので、本人の自覚が
一層求められます。同一性を確立させるためには、同年代との交流では限界がありますので、
交友範囲や興味・関心の範囲を一歩外に広げ、見聞を深めることが重要です。

雇用環境が大きく変化する中、「キャリア」に対する人びとの考え方も、組織や社会の考え方も
また大きく変化しています。
就職した会社での組織内キャリアの発達が中心であり、かつ個人と組織の要求がある程度
合致していたため、自分のキャリアについてあまり考えなくとも済んでいた時代から、一生涯に
わたるキャリアを自己責任で形成していくことが前提となる時代へと変わりつつあります。

そのような個人の視点からキャリアを考える際には、仕事、家庭および個人生活の
3つのバランスをとることが重要となります。このバランスは、一人ひとり異なりますし、
また、同じ人でも、仕事、結婚や出産などのライフ・イベント、健康、趣味・特技、地域や社会との
関係および年齢などの諸要因の影響を受け、そのときどきでバランスのとり方は異なります。

皆さんがキャリアを考える際には、この3つのバランスを、発達段階やそのときの状況などとの
関連で検討し柔軟に対応することが求められます。


キャリア支援プログラム
経営学部には、上述したようなことを考える契機となることを目的とする科目があります。
2年生以上が履修可能な「キャリア支援プログラム」という科目です。

キャリアセンターや学生相談室の方によるお話やワーク、ガイダンスやまとめの回を除き、
毎年10名前後のさまざまな業種・職種の方にご登壇いただき、ご自身のお仕事のこと、
学生時代のこと、受講学生へのメッセージ等をお話しいただいています。

2013年度にご登壇いただいた方を下記にご紹介します(五十音順)。
受講学生の感想もあわせてご紹介します。たくさんの素敵な感想がもっともっとあり、
全てを共有したいのですが、残念ながらスペースの関係で一部のみとなります。
 

■大久保伸隆氏(株式会社エー・ピーカンパニー常務取締役)
http://www.apcompany.jp/
独自の販促手法は「カンブリア宮殿」(2011年テレビ東京/TXN系列局)等で紹介されています。

[感想]
・コミュニケーション能力とは伝達力と理解力が必要となるが、主に理解力が大事になる。
 理解していなければ相手に伝えることもできないし、相手の事を理解することができず、
 そこでコミュニケーションは成り立たなくなってしまう、というお話を聞いて、
 どれだけ人と会話が出来るかだと勘違いしていたと気づかされました。
 コミュニケーション能力とは、書く力、読む力など知識を身につけなければ、
 まず会話が成立しないのだなと思いました。
 私は、学生時代のうちに、興味を持ったことだけではなく、今、世間ではどんなことが話題に
 なっているのか、世界にはどんな情報があるのかなど幅広い情報力を身につけることが大事だと
 思いました。また、「心の壁」についてのお話で、心の壁を壊した時が第二の誕生、その壊す回数
 が多い程、何回もハッピーブレイクすることができ、一歩踏み出すことができると伺って、
 私自身もハッピーブレイクをたくさんして成長していきたいと感じました。
・「人間には生まれるときが2度ある」という言葉がとても印象的でした。今は、自分のハッピーブレ
 イクが楽しみで仕方ないです。
 大学時代の居酒屋のバイトで学んだ経験から塚田農場に転職し、No.2まで上り詰めたということ
 に憧れました。リピーターを作ることを考えたり、AP大学の講師としての活動、そして、いずれは
 塚田農場でバイトしていた人は就職面接は必ずパスできるという目標を持っている等、とても
 刺激的な講演でした。
 
 大久保さんがご紹介してくださった「飛べない鳥の物語」は下記でご覧いただけます。
 
http://www.youtube.com/watch?v=CEHgPlus2so


 

 
■高濱正伸氏(花まる学習会代表/NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長)
http://www.hanamarugroup.jp/
「情熱大陸」http://www.youtube.com/watch?v=kXgpKSYdj4Y
上記以外にも、「カンブリア宮殿」「ソロモン流」等にも出演されています。
http://doraku.asahi.com/hito/runner2/110802.html
著書多数。

[感想]
・「人生は振り幅が大切で面白い」という言葉はきっと一生忘れません。
 高濱さんもいろいろな事を経験しての“今”があるわけですし、私も好きな事ややってみたい事を
 思いっきりしてみようと思いました。とことんやる精神にとても好感を持ちました。アルバイトも、
 後を継いでくれと言われるようになるくらいまでやってから辞めたというのがかっこいいと思いまし
 た。私は、高濱さんに出会ってから、何でもチャレンジして自分を厳しい状況においてみようと
 思い、今、安定を全て捨てて果敢なチャレンジをしています。高濱さんの言葉は、今の私の心の
 支えです。
・今でも録音した先生のお話を何度も聞いています。
 本当に、先生は私の人生に大きく影響を与えてくださった方だと思います。
 とにかく行動し、自分の直感を信じ生きる先生は、かっこいいなと思いました。
 先生の言葉通り、人格と哲学を20代のうちに磨きたいです。考えて考え抜き、一流の物や人に
 触れ、たくさんの経験をしたいです。
 経験に勝る投資なし。まさにその通りだと思います。とにかく行動、考える前に行動。
 苦手は全て思い込み。死ぬ気でやれば、何でもできる。
 この小さい枠に正直書ききれないくらい、私は影響を受けました。
 このキャリア支援プログラムという授業を取れて本当に良かったです。
 ありがとうございました。

 
■高松奈末氏(フリーランス・エディター&プランナー)
本学経済学部OG。マーケティングやEC事業の立ち上げに携われた後、24歳で独立し、
女性ファッション誌エディターやブランドカタログのプロデュース等をされています。

[感想]
・女性がキャリアを伸ばし仕事をする上で、結婚や出産など仕事を続ける上での壁を
 乗り越えられるのか疑問を感じていました。
 しかし、東経大を卒業され、キャリア的に成功している高松さんのお話はリアリティがあり、
 また自分の持っていた女性のキャリアの壁への懸念を解消してくださり、「女性だから」ではなく
 「女性だからこそ」という気持ちでキャリア形成をしていこうと思いました。
 他の女子学生にも是非聞いてほしいご講演でした。
・自分は女性ではないですが、シングルマザーの方が子育てを行いながら仕事をすることの
 大変さがとても伝わってきました。また、育児休暇を取ることに対する厳しい目や
 女性の社会復帰の難しさがとてもリアルに伝わってきて印象的で考えさせられました。


■塚本浩司氏(Yahoo!JAPAN研究所上席研究員)
http://research-lab.yahoo.co.jp/
自然言語処理や機械学習システム、広告配信システムの研究開発をされています。

[感想]
・私は、日頃からインターネットを使い、それが生活の一部になっています。そのサービスを行って
 いる企業の方から、企業の歴史やサービスの仕組みを教えていただくことができました。
 将来、自分がやりたいと考えているインターネットを使ったサービスとも関係するお話でとても
 勉強になりました。自分の将来やりたいこととつながり、とても楽しくためになるお話でした。
 本当にありがとうございました。また、お話を聞きたいと思いました。
・「データと経営」ということで専門的なお話も多く難しい内容でしたが、自分がやりたいことを
 社会人になってからも見つけられるのだということを学べました。
・ビックデータの分析やディスプレイ広告に関するお話は、マーケティングを勉強している私に
 とって大変興味深いものでした。授業後に、CTR(クリック確率)に関する質問をした際、丁寧に
 答えていただき感謝しています。理系出身の方の仕事を知ることができ印象に残りました。



■常見陽平氏(人材コンサルタント)
http://www.yo-hey.com/
http://blog.livedoor.jp/yoheitsunemi/
読売新聞に「仕事道」を連載される傍ら、大学・自治体などを中心に年間50本以上の講演を
されています。著書多数。

[感想]
・常見さんの講演は、本当に自分の人生に影響を与えてもらったことが多いと感じました。
 「常識をうまく手放そう」「楽しむことをさぼらない」「本当の一流は謙遜である」
 「中途半端はだめ」の四つについてお話しされていました。
 これらの事は本当に自分に反映させなければならないなと思いました。
 仕事は自分の分身と考えた時、自分の歩まなければいけない未来が本当に怖くなりました。
 しかし、常見さんのように自分が置かれた場でどれだけ楽しむことができるのか、
 自分もチャレンジしていきたいと思います。
・大学生が思っている就職活動・キャリア観と、実際のギャップを感じることができた。
 求められているのは「即戦力(実際はいない)」ではなく、「立ち上がりが早く、主体性がある人」だ
 ということが分かった。自分が今後何をなすべきなのかが分かった。
 常見さん、本当にありがとうございました。


■友廣真也氏(株式会社日本戦略会計 代表取締役社長/公認会計士)
http://www.jastac.co.jp/
中央大学商学部在学中に公認会計士第2次試験に合格、監査法人トーマツにて国内監査部門に所属。上場会社・会社法会社・組合等の会計監査業務及び米国企業改革法(US-SOX)対応支援業務に従事された後、会社を設立。企業のガバナンス強化の推進をされる一方、企業・総合研究所等にて講師をされています。

[感想]
・おっしゃられた言葉が今までの私の考え方をガラッと変えました。スピードは“付加価値”であると
 いうことを学びました。私は今までその言葉とは反対の事を考えて生きてきましたが、今までの
 考え方は自己満足で あるということに気づかされました。今は「スピードは“付加価値”である」と
 いうことを常に心がけています。
・公認会計士がどんなものであるのか、その資格がどう社会で活かされるのかなどをお話しくださ
 いました。学生時代をどんなふうに過ごしてきたか、そしてそこから得られたものについてのお話
 はとても参考になりました。
・資格は通行手形のようなものとおっしゃっていたのが印象的でした。


■豊田圭一氏(株式会社スパイスアップ・ジャパン代表取締役
         株式会社JIN-G執行役員海外研修スペシャリスト)
http://www.spiceup.jp/
http://www.jin-g.com/
海外教育コンサルティング事業の起業に参画され、個人を対象にした留学コンサルティングのほか、大手英会話スクールの留学事業立ち上げ、企業派遣留学のサポートなどに関わられました。
国際通信企業のマーケティング担当顧問やSNS開発会社の創業者兼取締役としても活動。
「ミッション・コンプリート」研修は、「ガイアの夜明け」(2013年テレビ東京/TXN系列局)でも
取り上げられています。著書多数。

[感想]
・「人を動かすのは“必然”と“欲望”」「人との違いに気づけ」「経験を積め」ということが
 心に響きました。「運命の女神は果敢な者に従う」、この言葉は私も本当にそうだと思います。
 私も常に何事にも果敢に取り組みます!
・外の世界に出て、さまざまな人の考えや価値観に触れることの重要性を話されていたことが
 印象に残りましたし、自分の行動の幅の狭さというものに気づかされました。
 経験が力になることを教えていただき、受け身ではなく主体的に大学生活を過ごしたいと考えて
 います。「運命の女神は果敢な者に従う」という言葉を大切にして、積極的な行動を心掛けていき
 たいと思います。
・どんなに自分がドン底に落ちても、先輩や知り合いの方々のおかげで希望の光を失わず、
 また、自ら行動することで、自分の将来を楽しく良くされているお話を伺いしました。
 私も大学2年間でいろいろな事で傷つきドン底に落ちた経験があります。私も、友達や親、
 他大の友人達のおかげで今の自分がいることに感謝し、そして豊田さんのように最後まで諦めな
 ければどんなことだってやれると思えるようになりました。











■成田直人氏(株式会社FamilySmile代表取締役/株式会社Cloverダイニング取締役)
http://familysmile.co.jp/
小売・飲食・サービス業専門コンサルティング会社FamilySmileを設立。現在は、国内外で
年間100本以上の講師をされながら、コンサルタントとしてご活躍です。著書多数。

[感想]
・成田さんはABCマートで日本一の売り上げを達成されました。その時に、成田さんは
 常に目標を持っていたとおっしゃっていたことが、私もこれからの大学生活を充実させようと
 思うきっかけとなりました。また、「言葉×動作=活躍」の方程式のお話にとても共感できました。
・一流店の売り方を参考にしたり、どうすれば売れるかを考えたりしていたというお話は、
 接客のアルバイトをしている私にとってとてもタメになるものでした。私も百貨店の接客を観察し
 バイトの接客に役立ててみました。以前よりも販売数が増え、手応えを感じています。




■科目全体の感想も少しだけ掲載します。
・多くの方のご講演をきき、さまざまな発見や気づきを得ることができた。
 まず、自らの大学生活は挑戦が足りないと感じた。また、一日一日無駄な時間を
 過ごしていることが多いと気づくことができ、もっといろいろなことに関心を持ち、
 行動しようと感じることができた。この科目を通して、自分の今の生活を見直すことが
 でき、やる気の出るタメになるお話がたくさん聞けた。何気なく毎日を過ごすのではなく、
 毎日目標を持ち生活することが大事だといとことを気づかせてくれた。
 毎回刺激とやる気をもらえる授業だった。
・ほとんどの方が共通して言われていたことがあり、それは、大学時代に「やりきった!!」と
 いうものをつくることでした。その経験が、就職活動の際にも求められるものだと知りました。
 経験が求められていますが、私は今、自信を持って「こんな経験をしました」と言えるものが
 あまりにも少な過ぎると痛感しました。これまで、好きなことを仕事にしたいとばかり
 考えていましたが、授業を通して、入社してからその仕事を好きになればいいことにも
 気づかされました。
・思い描いていたものと講演で伺ったことには大きな違いがありました。
 今は成功されている方々ですが、そこに至るまでに挫折や失敗を繰り返し、やっと手に入れた
 「今」があるのだと思いました。意外と、大学生時代は「怠けていた」「つまらなかった」
 「充実していなかった」という人が多く、わからないものだと感じました。
 キャリアというと、どうしても会社でコツコツ上がっていくイメージですが、自分で掴みにいくものだ
 と思いました。
・この科目を通して感じたことは、どのゲストの方も、海外へ行ったり、会社を潰したり、
 留年していたりと、若い頃にさまざまな経験をして、人生の「幅」みたいなものがあるなと
 感じた。そこから一番感じたのが、キャリアというものは、計画し、その筋書き通りに実現するもの
 ではないのだということ。自身が意図しない経験、失敗を全て含め、たどり着いた場所から後ろを
 見た時に、初めてその形がわかるのだと。

☆☆☆

皆さん、それぞれ気づきがあったようで、担当教員として大変嬉しく思います。

最後に、研修担当をしていた会社員時代のことを少しだけ...。
会社の研修施設が大阪にあったのですが、
研修終了後、缶ビールとつまみ替わりのお弁当を買い、
新大阪から新幹線に乗り、ビールを飲みはじめると、
研修で受けた刺激はどんどん薄れ、東京に着く頃には以前と何も変わらない、
と冗談交じりではありますが、揶揄されることがしばしばでした。
研修生を送りだした上司の方(時にはご本人)からみると、
どんなによい研修であったとしても費用対効果は低いのではないかというご批判です。

本科目も同様で、上記感想にあるようなさまざまな気づきがあったとしても、
実際の行動に移さない限り意味はないと思います。
今回ご登壇の講師の方もおっしゃられていたように、
「今日から」「今から」始めることが重要です。

大学生活をより充実させるためのきっかけとなるお話を多々いただきました。
人それぞれ、心に響くお話は違っていたかもしれませんが、
行動を起こすひきがねにしてほしいと切に願っています。

毎年、さまざまな方にご登壇いただくこの科目は、私にとっても楽しく勉強になる時間です。
来年度は、どんなお話が伺えるのかを考えると今からとてもワクワクしています。


(文責:関口和代(経営学科 教授)

2014年2月16日日曜日

大学の「顔」




こんにちは。経営学部でリスクマネジメント論および保険論を担当しております柳瀬です。2度目の担当です。今日は、大学の「顔」ともいえる図書館について、お話をしたいと思います。本日、皆さんと一緒に考えたいのは、「大学の“顔“を創るのは誰か?」ということです。

 実は、本学の図書館はこの4月に新図書館として生まれ変わります。現在、急ピッチで館内の整備が進められ、新学期からの本格稼働を目指しております。先日、図書館員の案内で、開館前の館内を見学させてもらいました。本学の図書館の蔵書は、経済・経営関係を中心に相当な規模です。かなりマニアックな本もたくさん所蔵されています。ワクワクします。私たち大学教員にとって、ここは、まさに「興奮する場」なのです。


<急ピッチで進む蔵書整理>

 前置きはさておき、図書館といえば膨大な種類と量の「書籍」をイメージされる方が多いのではないでしょうか。もちろん、その通りです。ただ、最近の図書館は「書籍」だけではなく、専門的な「データベース」も完備しているという点、これも見逃すことはできません。

 そもそも、「データベース」とは、特定のテーマに関連した様々なデータを集約・管理することで、ユーザーが容易にそれを検索し利用できるように整備されたものをいいます。たとえば、「全国のコンビニエンスストア等で先月1か月間に販売された乳製品の銘柄」という特定のテーマに関するデータを集約・管理している「データベース」があるとします。皆さんは、この「データベース」を活用することで、最近の売れ筋の乳製品を分析することができます。これにより、直感的な言い回しだけではなく、「数字」に裏づけられた丁寧な議論が可能となります。

 実は、本学図書館では、国内外の様々な「データベース」を整備しています。特に、東京“経済”大学だけあって、企業の売上高や利益、株価といった「会社の数字」に関する「データベース」は大変充実しています。たとえば、Quick という会社が提供する企業財務に関する日本有数の「データベース」があります。この ”Astra Manager” と呼ばれる「データベース」を使えば、全国の上場企業の「会社の数字」を過去数十年間にわたって入手することができます。 ”Astra Manager” は、運用会社のファンドマネージャーや証券会社の調査部門など、いわゆるプロ中のプロが仕事で使う「データベース」でもあり、かなり専門的で詳細なデータの分析が可能です。

 と、ここまでの話を聞いて、皆さんの中には、次のような疑問を持つ方がいるかもしれません。「企業分析のプロが使うような専門的な“データベース”を、まさか、大学生が使いこなせるはずがないだろう」と。いえいえ、舐めてもらっては困ります。ゼミナールでの研究、懸賞論文や卒業論文の執筆など、本気で取り組んでいる学生の中には、時期によっては一日中、「データベース」にのめり込む者も少なからずいます。彼らは、熱中することで、次第にそれを使いこなせるようになっていきます。要するに、「手を動かしながら繰り返す」ことで、誰でもある程度の分析はできるようになるのです。

 もちろん、図書館では、随時、「データベース」の活用方法に関して、講習会を開きます。たとえば、「会社の数字」と格闘したい本気の学生には、またとないチャンスです。講習会では、「データベース」提供会社からその道のプロを講師として招へいし、講義を行ってもらいます。そこでは、本学教員も一緒に講習会に参加し、学生と一緒に学びます。さらに、2014年度からは、経営学部1年次の講義「基礎セミナーⅡ-企業財務分析入門」を開講します。ここでも、「データベース」を活用した企業分析の基礎を学ぶことができます。


<「データベース」講習会の様子>

 こうして、「会社の数字」などの実際のデータを、繰り返し「触る」ことを通じて、学生の中にはその楽しさを実感する者も出てきます。こうなったら、もう大丈夫。放っておいても、一日中、「データベース」にのめり込みようになります。

 あとは、熱中する学生の「たまり場」が必要です。嬉しいことに、新図書館には「データベース室」という部屋が、新たに設置されます。ほぼ間違いなく、ここは、彼らの最初の「基地」になることでしょう。



<新図書館に設置されるデータベース室>

 さて、ここまで読んでいただいた方には、冒頭の私からの質問、「大学の“顔“を創るのは誰か?」という問題の答えが見えてきたのではないでしょうか。そうです。学生、教員、職員...の興奮。つまり、利用者の「ワクワク」が大学の「顔」を創るのです。もちろん、利用者の大半を占めるのは学生ですから、彼らが、図書館で本気で熱中できる「何か」と出会うことができるかどうか、これこそが何よりも大切なことです。たまたま、今日は、「データベース」のお話をしました。言うまでもなく、他にもたくさんの出会いが、図書館にはあるはずです。

 「仏作って魂入れず」なんてことにならないよう、ぜひ、新図書館で「ワクワク」を見つけていきたいと思います。皆さんもぜひ、ご一緒に。



【参考URL: 図書館データベース一覧】

http://www.tku.ac.jp/library/db/dblist/


(文責)柳瀬 典由 (経営学部教授)
  


2014年2月9日日曜日

小木ゼミの1年(小木ゼミ通信 vol.2 ~小説は実に面白い&沖縄にて 他~)

 こんにちは、マーケティング論、ソーシャルマーケティング論など担当の小木紀親です。

 今回は、小木ゼミ通信vol.2として、
①小説は実に面白い
②沖縄にて~小木ゼミコラボ「琉球豆豚」及び沖縄出張の模様~
③小木ゼミの1年
④ゼミ面接(2014年3月20日)について
⑤ゼミ選びのポイントについて
をご紹介いたします。

 ちなみに、私は、ゼミ選びのポイントとして、「教員のパーソナリティ及びそのゼミの雰囲気と、自分自身が合うか合わないかで決めた方がよい」と思っています(もちろん、それだけでは決まりませんが)。つまり、教員のパーソナリティとそのゼミの雰囲気をしっかりとみることが、まずは大事なことになるのかなと思っています。

 ☆小説は実に面白い

最近の小木の動きはいろいろとありましたが、とにかく年始までの著書の執筆から解放され、いまは好きなことをやって楽しんでいます!講義以外でも各先生方は様々な活動をされますが、私もいろいろと行います。

 たとえば、年末からここまで、専門書以外で、小説を10冊読みました!専門書も読みますが、ゆっくりと小説を読むのも楽しみのひとつです。なかでも、ダン・ブラウン著『インフェルノ 上・下巻』(あのラングドン教授シリーズの第4弾)は、前作の『ロストシンボル』が「はあ?」という感じだっただけに、まずまずだったと思います。すでに、2016年に映画の公開も噂されています。個人的には、『天使と悪魔』や『ダビンチコード』には及ばないと思うのですが。。。
 また、『ビブリア古書堂の事件手帖5』や『秦の始皇帝』は、出張や旅行に連れて行きながら、ちびりちびり読みました。ビブリアは、あと2巻で終わるようです。最新刊の5巻を読み終えたばかりなのに、早くも次が待ち遠しいです!勝手な予想ですが、ビブリアだけに、最後は「聖書」にまつわる話だったりして。。。『秦の始皇帝』は、マンガ『キングダム』に触発されて、いま一度読んでみました。中国を統一した秦王政はどのような人物かなど、いろいろと勉強させてもらいました。


 基礎ゼミや流マ入門で1年生から紹介された本も片っ端から読んでいますが、大好きな小説ですので、これからも楽しんでゆっくりと読んでいきたいと思います。

 また、映画も試写会を含め2か月くらいで8本ほどみています。思った以上に良かったのは『永遠の0』です。原作が良過ぎたこともあり、なかなか映画には難しいのではないかと思ったのですが良い出来栄えでした。

 総じて小説を読んだり、映画を見たりしている時は、実は忙しい時の方が多いですね。たぶんストレス発散の捌け口に使っているような気がします。ちなみに、きっちり仕事はしていますのであしからず。

 

 ☆小木ゼミ×㈱レビオとのコラボ企画「琉球豆豚」発進!

  さて、この間、いろいろと各地を周ったのですが、今回は沖縄出張の模様をお知らせします。

 先の本を引き連れ、1月31日~2月3日にかけて沖縄に飛びました。「国分寺物語」や「TFTプログラム」のコラボ企画に遅れをとっていた小木ゼミコラボ企画「琉球豆豚」の打ち合わせ、沖縄の地域活性化の動向の調査、さらには中日ドラゴンズのキャンプ地訪問のためです。

 1月31日は、セントレアから那覇に向かいましたが、同機には、ドラゴンズOB、TV局スタッフ、チアドラのお姉さん方もいて、すでに私は勝手にヒートアップ状態!

 とはいえ、こちらはまずは仕事からです。

 沖縄に着き、地域の取り組みを幾つか見て回りましたが、私の好きな今帰仁城が最高でした!なんと桜が満開!まるで春の陽気です。ここ今帰仁は、桜が日本一早く咲くところで有名ですが、ここの桜はソメイヨシノではなく、緋寒桜です。桜祭りのイベントで大いににぎわっていましたが、春節ということもあり、アジア系の外国人が特に多かったです(沖縄全体でも多かったあ)。

 まだ教えられないのですが、今回の地域見学では、ビジネスの種を幾つか仕込んでおきましたので、今後が楽しみです。講義にもフィードバックできたらいいなと思います。


 小木ゼミ×レビオによる「琉球豆豚」の打ち合わせでは、小木ゼミ生が作成したプロモーション報告書を提出し、それを基にディスカッションを役員の方々としてきました(ゼミ生の皆さんお疲れ様、かなり褒められましたよ)。これもなかなか面白い展開になりそうです。本当は、ゼミ生を何人か連れて行って、プレゼンしてもらい、そこに沖縄のマスコミを入れるという予定でいたのですが、ゼミ生全員にフラれてしまいました。まあ、金銭面のこともそうですが、就活とテスト時期だったので仕方がないですね。次回のお楽しみにしたいと思います。

 仕事の間隙をぬって(とはいえこちらもビジネスを仕込もうとしていますが)、毎年行っている中日ドラゴンズのキャンプ地を訪れました。前任校で教えていた、日本代表の守護神候補の浅尾投手が中日ドラゴンズに入団して以来、沖縄キャンプ地を訪問するようになりました。ここ最近では、巨人や阪神まで沖縄キャンプとなったため、沖縄はこの時期、えらいことになります。

 私が中日ドラゴンズの大ファンであることは、先生方やゼミ生の中では有名ですが(たぶんハンパではありません)、今年の予想は、ずばり「優勝」です!絶対的なエースがいませんが(吉見が戻るまでガマンです)、投手陣は粒がそろっていますし、なんといっても今年は打線が良さそうです。特に、周平、ルナ、ゴメス(阪神のゴメスより良い)は良かったです。昨年、低調だった和田、荒木、大島も好調そうですし、森野、平田、小笠原も元気でした。あとは、谷繁監督の采配次第です。


 ちなみに、中日ドラゴンズの滞在ホテルにも泊りましたが、同じ階に落合GM、谷繁監督がいて、何度か遭遇しました。さすがに落合GMには話しかけられませんでした。位負けです。

 ☆小木ゼミの1年

そろそろ入ゼミ試験の時期になりましたので、簡単に小木ゼミの1年をご紹介いたします。

 小木ゼミは、目標とする就職に向けてあらゆる仕掛けづくりを行います。そのための1年となります。主な活動は、演習シラバスに詳しいので、ポータルに配信されている全ゼミの演習シラバスをご覧下さい。

≪小木ゼミスケジュール≫
・4月 個人研究発表3年生、企業とのコラボ企画、新歓行事
・5月 個人研究発表3年生、企業とのコラボ企画、教員との個人面談
・6月 個人研究発表2年生、企業とのコラボ企画、教員との個人面談
・7月 個人研究発表2年生、企業とのコラボ企画、前期打ち上げ
・9月 夏合宿3泊4日、企業とのコラボ企画
・10月 個人研究発表3年生、企業とのコラボ企画、教員との個人面談
・11月 個人研究発表2年生、企業とのコラボ企画、教員との個人面談、小木ゼミOBOG会、小木ゼミ就職ガイドブック発刊(4年生制作)
・12月 個人研究発表2年生、企業とのコラボ企画、クリスマスパーティー&幹部交代式、経営学部ゼミ発表会
・1月 ケース、その他諸々、後期打ち上げ(就職出陣式)
・3月 卒業イベント、ゼミ面接
*ゲストスピーカーは、たいてい前後期1回ずつ行います。
*小木ゼミのメイン活動は個人研究であって、3年生までに卒業論文をおよそ終わらせることです。
*その他、非公式の行事は多くあるようです(女子会や学年会など)。
 

 とりわけ、夏合宿(9月中旬・3泊4日)は、小木ゼミにあって重要な行事のひとつとなっています。イベントが多くあり、1日目は研究発表を6時間くらい行い、その後は行事の連続です。真夜中のSPI試験、ゼミ就職相談会、食わず嫌い学年対抗戦、花火大会、BBQ大会、スポーツ大会、出し物大会~愛の劇場~、サプライズイベント、愛のエプロン大会(グループ対抗で各自のランチを作り、それを小木に食べてもらう行事)、企業見学と、もうまさにてんこ盛りなのです。
 ここでは全員が全力投球して、燃え尽きます。そして、私はことあるごとにゼミがなんたるかをゼミ生に昏々と説き聞かせます。その結果、小木ゼミの結束がここに生まれることになります。ちなみに、私は合宿後3日間寝込みます(笑)。それだけ大変なのです。。。

 
 



                      
 小木ゼミの印象をゼミ生以外の学生に聞いてみたところ、個人研究がメイン、企業コラボしている、女子学生が多い、就職に強い、ガチゼミである、などといった意見が多かったです。この中では、ガチゼミというのだけは間違っていますね。拘束時間は他のゼミと比べてみてもそれほど多いとも言えませんし、自身の時間を限りなく尊重します(本当のガチゼミに失礼です)。ただし、決められたことはきっちりとやるという責任だけは重くのしかかります。そのため入念な下準備が必要とされ、ここが厳しいと呼ばれる所以になるのかもしれません。
 ちなみに、私は研究・勉強面で1度も怒ったことはありません。怒るときは、取り組む際の

             「姿勢(しせい)」

に対してがほとんどです。この姿勢さえしっかりしていれば、就職はばっちりだと思っています。でもこれが難しいんですね。学生の皆さんは、そのあたりのところしっかりと考えてみて下さい。

 それと、大きな特徴のひとつに、4年生は演習(ゼミ)ではなく卒業論文(卒論ゼミ)を全員履修することがあげられます。これを履修して(今年度は11名が卒論を書き上げました。学部内最多です。)、卒論を書かないと小木ゼミOBOGにはなれません。したがって、就職が強いというひとつの要因として、他のゼミと違って全4年生とのつながりが最後まで続くことにあるのではないかと思っています。夏合宿あたりから、4年生によって断続的に3年生への就職相談会が小木ゼミ内で行われます。毎年の4年生制作誌の「小木ゼミ就職ガイド」は門外不出ですが、これがスゴイ!の一言です。お見せできないのが残念です!欲しい方は、小木ゼミに入って来て下さい。
 そういえば、一昨年、夏合宿の際、くやし涙を流していたH君は大手金融機関の内定を勝ち取り、いまや堂々たる指導を3年生にしてくれています。その他の4年生も同様で、実に頼もしいかぎりです。

 会社が求める人材とは、必ずしも成績が優秀な学生だけではなくて、礼儀さと明るさを持ち、決して裏切らない、理不尽さにも耐えうる学生であると感じています。その意味で、そうした重要性を肌で感じられる小木ゼミの1年は、ゼミ生にとってかけがえのないものになると思っています。

 毎年のことですが、就活に臨んだほとんどの学生が「ゼミ活動での厳しさに比べたら就活は楽でした」、「本当に、小木ゼミに入ってよかったです」などと言ってくれます。今年の年賀状でも、ほぼ全員が熱いメッセージを書いてくれて、実は不覚にも涙してしまいました。こうした一言のために、ゼミをやっているようなもので、「学生って成長するものだなあ、良いゼミになってきた。」と、毎年しみじみそう思うのです。

 教員とは不思議な生きもので、こうしたことだけで頑張れるのです。そういう意味では、とても単純で純粋です。

 ☆小木ゼミ新入ゼミ面接について


 さて、卒業するゼミ生がいれば、新しく入ってくるゼミ生もいます。

 そこで、2014年度の新入ゼミ生を迎えるにあたって、小木ゼミは入ゼミ面接を3月20日(木)12時~行います。教室は現在のところ未定で、3月中旬に発表されるはずです。以下、簡単な注意事項を示しておきます。

・TKUポータルで応募方法が示されるのできっちりとみておいて下さい。
・小木ゼミ希望者は、応募期間中に、TKUポータルにて小木ゼミへのエントリーを必ずして下さい。
・当日に、エントリーシート(A4・裏表1枚・手書き)と成績表のコピーを持参して、面接に臨んでもらいます。エントリーシートをお題に合わせてしっかり書いてきてください(TKUポータルで発表されます)。
・集合時間に遅れそうになっても、あきらめずに来て下さい。
・服装は自由です。
・面接は、私と主に新3年生で行います。順番で行うので、時間に余裕をもってきてください。
・小木ゼミの夏合宿では、全員が出し物にたずさわります(最終日の夜に4時間近くの出し物大会があり、小木も参加します)。出し物に参加できることを頭の隅においておいて下さい。

 ☆ゼミ選びのポイント

私論ではありますが、私は、ゼミ選びにおいて、「教員のパーソナリティ及びそのゼミの雰囲気と、自分自身が合うか合わないかで決めた方が良い」と思っています。つまり、やりたいことが〇〇であったとしても、そのやりたいことができそうなゼミの教員のパーソナリティとそのゼミの雰囲気をしっかりと見極めて、ゼミを選択することが大事だと思っています(もちろん、それだけでは決まりませんが)。ゼミの雰囲気などについては、できれば自分自身で見聞きして判断するのが良いかと思いますが、もし先輩などから聞くのであれば話半分にとどめておくのが良いでしょう。また、グループ一緒でしかゼミに入りたくないという人たちがいますが、これはあきらめた方が良いでしょう。ゼミはお友達とやる場所ではありませんし、ゼミへの熱い気持ちがあれば全員通ります。大事なのは、そのゼミにどうして入りたいのかをしっかりと言えることです。言い換えれば、そのゼミに入って自分がどうなりたいかが大事なのです。

 もうそろそろゼミを決める時期がやってきましたが、上記のワンポイントアドバイスを参考にして、悔いの残らないゼミ選択をして下さい。

・質問があれば、小木までメール連絡下さい(ogi@tku.ac.jp)。

 以上、Good Luck!






2014年2月3日月曜日

産学コラボプロジェクト報告―香りは学習時の集中力を変えるのか?―

2回目の執筆となりました北村です。今回は、私のゼミの2年生が2学期に取り組んできた産学コラボプロジェクトの報告をします。

今回コラボ先となったのは、ハーブ(薬草)やアロマテラピー(芳香療法)関連の国内トップ企業である「株式会社生活の木」さんです。三代目である重永忠社長が、初代・二代目の事業内容を変更し、まだ日本で「ハーブ」や「アロマ」という言葉が知られていなかった1970年代後半より、一代で築いた会社です。

今回のコラボは、重永社長に本学経営学部の講義「産業特論I」にて講演して頂いた後、「教育現場に香りは導入できませんか?」という私の一言がきっかけでした。その後、調べていくと、医療現場(例えば出産時の痛み緩和)や小売店・レジャー施設(例えばカジノでの賭け金増加)では香りの導入やその効果に関する研究がなされている一方、教育現場は導入・研究実績が相対的に少ないことが判明しました。これはぜひチャレンジしたい課題だ!ということで、2年生によるチームを結成し、プロジェクトがスタートしたわけです。

さて、先週1月29日に、このプロジェクトのひとまずの成果報告のため、同社の本社オフィスにてプレゼンテーションを行ってきました!

中央は重永社長。本学のOBでもあります。

今回検証した仮説は、
仮説1:「香りを導入すると、香りを導入しない場合よりも、学習時の集中力が高い」
仮説2:「香りのうち、集中力を高める効果が高い順は、覚醒系と鎮静系をブレンドした香り、覚醒系の香り、鎮静系の香り、となる」
の2つでした。

・・・こう書いてしまうと簡単そうに見えますが、ここに至るにはもちろん沢山の準備が必要でした。

まずは、「先行研究のレビュー」。上述したように、香りの導入による効果を検証した文献を探し、どのような現場・領域での研究なのか、検証方法はどのようなものか、結果と課題は何だったのか、などを確認します。

次は、「研究課題の設定」。先に「学習時の集中力」と書きましたが、学習と言っても色々あります。国語、算数、英語といった科目はもちろん、国語の中でも、例えば漢字を書くには記憶力が、論説の読解では理解力や論理力が、小説への共感では想像力が問われるように、学習する内容やその時に必要となる能力は様々なのです。今回は、数値化しやすいという事情もあり、算数のうち一桁の足し算を繰り返す「クレペリン」というテストを用いて、集中力を測ることにしました。

さらに、「仮説の設定」も必要です。今回は、先行研究のレビューや、生活の木さんとの打ち合わせにより、覚醒系の香りと鎮静系の香りの両方の効果と、それらをブレンドした香りの効果を調べることにしました。上述した仮説2における香りの効果の順は、先行研究をふまえて予想しました。また、具体的な香りは、覚醒系はローズマリー、鎮静系はラベンダーとし、この精油1に対して無水エタノール10で希釈した液を、アロマディヒューザーという器材で芳香させることにしました。香りの選定や精油および器材の使用法については、生活の木さんからアドバイスやレクチャーを頂きました。

今回用いた器材。実際の調査では器材を隠し、調査目的や芳香させていることは被験者には内緒。

これで終わりではありません。いきなり本調査だと、期待していた結果が出なかった時にやり直しがききません。また、2年生のメンバーが調査手順に慣れる必要もあります。そこで、仮説内容や検証方法に問題がないかどうかを事前に確認する「プレ調査」を行いました。

こうした準備をふまえて、12月6日にいよいよ「本調査」を実施しました。といっても被験者が必要です。サークルやアルバイトで忙しい学生は多く、協力者を集めるのも一苦労でした。(なお、被験者募集時には、経営学部を中心に、多くのゼミ生およびその先生方にお世話になりました。有り難うございました!)
終了後、調査に使用した道具とともに。当日は3・4年生のゼミ生もスタッフとして協力。

本調査実施後は、「仮説の検証」です。このために、統計解析ソフトを用いて、分散分析という手法を用いて、香り(3種類)を漂わせた各部屋および香りのなかった部屋でテストを受けた学生の結果に、差があるかどうかを検証しました。もちろんこのためには、統計学および統計解析ソフト使い方の勉強が必要でした。

こうして先日の本社プレゼンとなったのです。なお、仮説検証結果は、仮説1・2ともに、「一部支持」となりました。1については、香り3種類のうち鎮静系の香りと、香りなしの部屋において、複数の指標で有意差が出ました(一つの指標については、鎮静系の香りと覚醒系の香りでも有意差あり)。2については、鎮静系の香り、ブレンドした香り、覚醒系の香り、香りなしという順になりました。本社プレゼンでは、こうした結果になった理由について考察を加えるとともに、この結果をふまえた商品や芳香サービスの提案をしてきました。

いかがでしょうか。調査・研究とは以上のように、勉強や話し合いを含めた準備に準備を重ねて進めるものであり、決して一発芸ではないのです。時間もかかりますし頭も使いますので大変ですが、それをやり遂げたメンバーは写真の通り、とてもいい顔をしていますよね! といっても今回はまだ始まり。この検証結果をふまえて、このプロジェクトが更に発展した際には、改めて報告したいと思います。


文責:北村真琴(流通マーケティング学科 准教授)