2025年1月27日月曜日

高校数学は何に使うのか?(3)

 経営学部で企業金融論や経営統計を担当している木下です。

今回は二次式の展開とリスク管理についてです。

世の中には様々な資産がありますから、それらを組み合わせることでリスクを抑えつつリターンを高める方法がないかを考えたくなります。

直観的には、同じような動きをする資産同士を組み合わせてもリスク分散にはなりませんね。

好景気が来た時に両方が儲かり、不景気が来たら両方が損失を出すのであれば組み合わせてもリスクは減らないわけです。逆に反対の方向に動く資産同士を組み合わせればリスクを減らせます。

こういった連動性を数値的に評価するために共分散や相関係数といった統計学での指標が必要になります。

では、組み合わせるとリスクはどうなるか、これは以下の式で書けます。


一見難しそうに見えますが、これは単なる二次式の展開


を応用して使っているだけです。中学高校の基本的な数学の基本を押さえておくだけで、リスク管理等の方法を効率的に学ぶことができます。

これらを応用してA株式とB株式を組み合わせたり、不動産と株式を組み合わせたりして最適な資産配分を考えることができます。例えば下図のように、株式インデックスと不動産投資信託インデックスを使って、「同じリターンならできるだけ小さいリスクの組み合わせ」を求めることができます。



ここまでの話は資産Xと資産Yを組み合わせる話ですが、当然N資産を組み合わせる方法にも拡張されていきます。

またファイナンス理論等では「みんなが最適行動を取ったらどうなるか?」といったことを考えます。現実では当然完全な最適行動を取っている主体はいないわけですが、誰もが自分や仲間のために自分なりに最適な行動を取っているわけですから、近似的には成り立つ気がするわけです。

理論とは異なる現象が現実で観測されたならば、誰かが最適行動を取っていないことになります。ということは何等かの超過収益のチャンスが存在するということになります。対戦相手の行動を考えながら自分の最適化行動を考えるには、数学のみではなく総合的な能力が必要になるのです。





2025年1月20日月曜日

 

こんにちは。経営学部教員の金です。

今日は金ゼミの活動について紹介したいと思います。

 

金ゼミでは企業が作成し開示する損益計算書や貸借対照表などの財務諸表を含む開示情報をベースに企業活動を分析しています。財務諸表は膨大で複雑な企業活動が会計情報として集約されている資料です。企業の収益性を表す指標の一つとして最も広く知られている株主資本利益率(Rate of Return: ROE)は、当期純利益を株主資本で割って計算します。当期純利益は株主に帰属する利益であることから、ROEは株主から受け取った資本を持って株主に返せる利益をどの程度稼いだかを示していると言えます。そして、ROEを計算するために必要な当期純利益と株主資本は全て財務諸表から入手できる情報です。

 

この指標には、事業環境の変化が企業活動に与えた影響が明らかに投影されます。次の図表12010年度から2022年度までの上場企業(非上場企業含む)のROEの平均を示したものです。ROEの平均が急激に下がった2020年度(2020420213月)はCOVID-19の影響が企業活動に直撃した年度です。2008年度に世界経済を打撃を与えた世界金融危機(The Global Financial Crisis)から回復し、順調に収益性を確保して行った時点での出来事です。

 

図表1 株主資本利益率(ROE)の変化


Astra managerデータベースより作成(上場廃止企業を含む)。

 

しかし、COVID-19は全ての企業の収益性を低下させたわけではありません。収益性の分析を業種別に深めていくと異なる姿が見えてきたりします。たとえば、図表2は今年のROEから去年のROEを差し引くことで計算した、ROEの変化を業種別に平均としてまとめたものです(一部の業種のみ表示)。赤いほど去年より今年の収益性が高く、青いほど今年の収益性が低くなったことを意味します。これをみると、2020年度に百貨店やホテルおよび娯楽施設の収益性が前年度に比べて大幅に下落した一方で、スーパーは収益性がむしろ高まったことがわかります。緊急事態宣言に伴う移動制限で多くの人が外出を避け、自宅に止まったことがこの収益性によく表れています。同じく、空運の収益性が大幅に下落した一方で、大手海運や内航の収益性は上昇したこともわかります。飛行機路線が大幅に削減された中、人々の生活に必要な物流の多くを海運が担当したことはよく言われていることです。

 

図表2 ROEの変化


Astra managerデータベースより作成(上場廃止企業を含む)。

 

このように財務諸表は企業の活動を読み解くにあたって必要な情報がたくさん含まれています。金ゼミでは会計情報をどのように活用して企業の安全性や収益性および将来性を考えるかについて丁寧に学習しています。このような分析を私はよく企業の健康診断と言います。もちろん、精密検査をするためには、企業の戦略なども踏まえた深い分析が必要ですが、過去の自分や他の企業と比較することで、簡単な健康状態を知ることができます。このような分析手法を身につけることで、企業と業界そして社会を観る目を養うことができます。多くの学生はゼミでの学習内容をもとに、財務諸表から企業活動を分析する、会社決算書アナリスト試験(https://www.qepo.or.jp/exam.html)に挑戦し資格を獲得しています。

 

多くの仕事では様々なバックグラウンドや価値観を持つ人たちとコミュニケーションすることが求められます。そこで、金ゼミではグループワークにも力を入れています。学生には自主テーマを設定し、それに関する研究を行なってもらっています。研究テーマは、戦前企業の会計行動の研究といった過去を意識したものから、コロナ禍の人的整理や人的資本および日本企業のDX化に関する研究など、現在の社会が抱える課題についても積極的に取り組んでいます。

 

このような研究成果は年末の学内研究報告会や学外の大会で発信しています。たとえば、ここ数年は会計を勉強する全国の大学生のプレゼンテーション大会であるアカウンティングコンペティションに参加しています(コロナ禍ではオンラインで開催)。1980年から2020年までの40年間にわたった上場企業の決算期変更の実態とその理由について分析した研究は、この大会で高い評価を得て最優秀賞を獲得しました(http://accocom.com/アカコンホームページ/最優秀賞・優秀賞受賞チーム一覧/)。

 

今年の金ゼミでは、日本企業の低PBRといった課題に向き合ったもの、ゾンビ企業の実態、従業員持株会に関する研究、リース会計基準に対するコメントレターをテキストマイニングする研究など、ユニークな研究を実施しました。残念ながらアカウンティングコンペティションでは受賞には至りませんでしたが、1年間の活動は各自の成長に繋がり、来年の活動の種になったと確信しています。

2025年1月6日月曜日

チリの現状を明解に描く巨匠によるドキュメンタリー『私の想う国』

 流通マーケティング学科の丸谷です。68回目の執筆です。私はグローバル・マーケティング論(簡単にいうと海外でどのようにマーケティングを行なっていくのか)を専門分野にしているので、グローバル・マーケティングにおいて重要である海外事情について学習できる映画について紹介してきました。今回は授業でも毎年デモとりあげている南米チリの現状を描いた映画『私の想う国』をとりあげます。

本作は201910月に起こった大規模デモと従来の既存政党の支援を受けずに誕生したボリッチ政権誕生までを描いたドキュメンタリー映画です。チリは南米初のOECD加盟国であり、OECD加盟は先進国の仲間入りと言われる中で、新自由主義を採用した南米の優等生としてみられてきたチリの負の側面について描いた作品です。

デモに参加する女性たち

© Atacama Productions-ARTE France Cinema-Market Chile

巨匠パトリシオ・グスマン監督は19731990年のチリピノチェト軍事独裁政権を批判する作品をこれまで発表してきました(詳細は、経営学部ブログTKU Business Weekly Blog・・・東京経済大学経営学部ブログ: 映画『夢のアンデス』:チリ軍事独裁政権の遺した新自由主義の負の側面について描くを参照)。

精力的に作品を発表し続ける巨匠パトリシオ・グスマン

© Atacama Productions-ARTE France Cinema-Market Chile


『私の想う国』では、ピノチェット軍事政権後の30年間でたまった民衆の不満が巻き起こしたチリの女性たちの姿を描くことで、当事者間が薄れることで従来の彼の作品に比べて、目線が客観的となり、彼女たちへのエールを感じる、わかりやすい作品となっています。

熱狂の中誕生したボリッチ政権は映画で描かれる大規模デモの成果として設置された憲法改正のための制憲議会による憲法改正案が国民投票で2022年9月に否決されるなど、なかなか成果を出せていません。

しかし、家父長制という多くの中南米諸国において現前と維持されている状況を理解するのに有用な作品と言えます。グスマン映画の最高傑作はいうまでもなく、263分の超大作『チリの闘い』ですが、さすがに長尺かつかなりハードなシーンがあるため、少しハードルが高いかもしれません。

『私の想う国』は83分とコンパクトであり、内容も皆さんにとっても身近な地下鉄料金値上げといった出来事をきっかけとした学生や女性たちによるデモであったりして、グスマン作品の入門編として共感しやすく、良質な作品です。

(文責:流通マーケティング学科教授 丸谷雄一郎)


2024年12月16日月曜日

特別企画講義「鉄道で考える社会インフラ整備・管理の未来」の受講生アンケート結果から見える東京経済大学の学生(後編)

 経営学部の三和雅史です.

 今回は,10/7のブログに続いて,特別企画講義「鉄道で考える社会インフラ整備・管理の未来」の終了後に行った受講生アンケートの結果と,そこから見える東京経済大学の学生の姿を考察した結果の後編を紹介します.

 この特別企画講義では,鉄道会社や国の機関からお招きした講師の方々に社会インフラとしての鉄道の現状や課題,そして未来への展望について,様々な観点から紹介して頂きました.講義終了後,受講生に講義に関するアンケートへの協力を依頼したところ,全受講生(178人)の77%にあたる137人から回答を得られました. 10/7のブログでは,「受講状況(受講者数,受講率)」の他,「①受講の動機」,「②受講して発見したこと」,「③関心をもったキーワード」に関するアンケート結果を紹介しました.後編の今回は「④印象に残った講義」,「⑤社会インフラ業界の仕事への関心」,「⑥現場見学会,講師との直接的な意見交換会への参加希望」に関するアンケート結果を紹介します.


〇アンケート結果の概要と分析

④印象に残った講義

 幾つかの選択肢から選ぶ形(複数回答可)で回答してもらいました.回答者割合が高かった6つの講義を図に示します.どの講義も様々な話題に触れられており,講義内容をワンフレーズで表すことは難しいため,図中の各会社名の横に示した()内の説明は主な話題を表しています.なお,アンケートには印象に残った理由を記載する自由記述欄を設けたので,以下では,その内容を踏まえて考察しています.


 図から,「まちづくり」に関する講義への印象が深かった受講者が多いことが分かります.図中に示す広島電鉄,江ノ島電鉄,阪急電鉄の他,東急電鉄の講義にも「まちづくり」に関する内容が多く含まれていました.いずれの講義も,鉄道が「まちづくり」に果たしてきた役割や意義,「まちづくり」で重要な考え方等,「まちづくり」に関心のある受講生には大いに参考になる内容だったと思います.また,JR四国の講義も交通の利便性向上に関する話題が多く,「まちづくり」との関連性が強いものでした.特に,地方交通の今後の在り方を示唆するようなアイデアに富んだオリジナリティの高い内容は,受講生には大きな刺激になったようでした.
 JR東日本の割合が高いのは,身近で親近感がある鉄道会社であることに加え,特に保線(線路の維持管理)業務での課題に対し,様々な情報技術や新しいシステムの導入による解決事例,取り組みの紹介があり,将来の社会インフラの在り方を明確にイメージできたことが印象深かったようです.
 JR貨物については,走行する貨物列車しか見たことがない受講生には謎の会社だったようで,講義に大変多くの発見があったという感想が何件も見られました.何を,どこからどこへ運んでいるかという話から,各種輸送手段との連携による物流の効率化,高品質化,環境対策といった取り組みまで,どれも新鮮で印象深かったようです.

⑤社会インフラ業界の仕事への関心
 鉄道を例に社会インフラ業界の実情や未来を講義により知った上で,自らが将来仕事をする場としてどう捉えるか聞いてみました.
 まず,社会インフラ業界,鉄道業界の仕事を自分の将来の職業とすることへの考えを聞いた結果を表にまとめました.この表には,受講前後で関心に変化があったかを聞いており,「×」は将来の職業の検討対象として考えない,興味がないことを表しており,「〇」は将来の職業の検討対象になる,興味があることを表しています.「◎」については,受講前は「〇」であったのが,更に高まった場合を表しています.この表のデータを用いて受講前後の考えや興味,関心の変化を状態推移図としても示しました.


 受講前に将来の職業の検討対象分野でなかった受講生のうち,社会インフラ分野については約48%が,鉄道分野については約34%が,今後は検討対象にすると答えています.逆に,受講前には検討対象分野だったのが,受講後に対象外となったのは,社会インフラ分野では2.9%,鉄道分野では2.2%に過ぎませんでした.これらのことから,本講義は社会インフラや鉄道の仕事に関心をもち,将来の職業の対象として意識する機会になったと考えられます.また,技術の仕事への興味についても聞いたところ,受講前には興味がなかった受講生のうち,約45%が興味をもったと回答しました.社会が必要としている文理総合人材の育成という観点では,とても好ましいことだと思います.7/22のブログに書いたように,社会インフラのような技術と社会にまたがるシステムでの課題の解決や未来の創造には,技術開発だけでなく,開発された技術をどこでどのように運用するのか?といったように,多くの立場やアイデアが総合される必要があります.経営学部で学ぶ知識も勿論,社会インフラの持続可能性を向上するのに大きく貢献します.
 それでは,将来の仕事として検討する対象になった受講生は,どんなことに関心をもったのでしょうか?10/7のブログで全受講生を対象にして示したのと同じ図を,授業後に検討対象となった46人を対象に作成してみました.


 全受講生を対象とした図と比べるとグラフの形が少し異なっています.そこで,図中には,全受講生を対象とした図に比べて回答者割合が増えた項目については「+」,減った項目については「-」を付けました.「安全,安心」,「まちづくり」,「労働力不足」の割合が他に比べて際立って大きくなり,「まちづくり」が最も高い割合になりました.労働力不足に大きな課題を抱えつつある鉄道業界に身を置き,安全,安心なまちづくりに携わることに,自分の将来の姿を見出せたのではないかと思います.また,「DX(デジタルトランスフォーメーション),ICT」の割合が増えたのは,先に考察したような技術に対する関心,興味の高まりが現れた可能性が考えられます.一方で,「組織,社員,働き方の変化」についても割合が増えたのは,実際に自分が働くとした場合を想定し,自らの職として向き合ったことが現れたのではないかと考えます.
 以上の結果を鉄道会社の方に見て頂いたところ,社員が「自己肯定感とやりがいを持ち,働きやすい職場」を実現することの重要性を再認識できる,極めて納得感のある結果だというコメントを頂きました.

⑥現場見学会,講師との直接的な意見交換会への参加希望
 今回は実施できませんでしたが,本科目で鉄道の現場の見学会を将来企画した際の参加希望の回答結果を表に示します.参加希望者は全回答者の半数を超えましたが,具体的な見学先を提示することで,希望者は更に増える可能性はあると思います.将来の活躍の場となる大学の外側の社会を見られる機会は貴重なので,こうした機会があれば,分野を問わず是非参加して欲しいところです.鉄道を将来の職業の検討対象にすると回答した70人については,その74%が参加希望という回答でした.実際の職場や働き方を見て体験することは,職業選択に大いに参考となると考えます.
 講師と直接話ができるような意見交換会を将来開催した際の参加希望の回答結果を表に示します.全回答者の約半数が希望し,魅力的な開催方法を具体的に示すことで,希望者は更に増える可能性はあると思います.ここでも,鉄道という分野で捉えるのではなく,社会の第一線で活躍する方々に様々な問いかけができ,自分の将来に役立つヒントを得られる機会だと考えて,積極的に参加してもらえるとよいと思います.鉄道を将来の職業の検討対象にすると回答した70人については,その60%弱が参加希望という回答でした.見学会と同様,職業選択に大いに参考になると思います.一方で,開催にあたっての課題として,各学生が多くの講師と話せるように運営方法を工夫する必要があると考えています.アンケートの自由意見の中に,もっと気軽に質問したいという意見があったことから,講師・学生間のコミュニケーションの方法については,よく検討したいと思います.
おわりに
 3回にわたり,第1期に開講した特別講義について,その内容,開講状況,そして受講生アンケート結果を紹介しました.多くの大学生にとって大学の次のステップは社会に出て仕事をする,貢献する,或いは自分のやりたいことを実現するということになります.今回の講義が,その社会を理解するきっかけとなり,受講生の皆さんに何か残せたものがあればと願っています.
 本講義では,鉄道関係各社,組織の皆様に多大なるご協力を頂きました.アンケートの自由意見にあった「今まで履修した科目の中で一番楽しかった」,「本当にためになった」,「また開講して欲しい」,「講師の方々の熱心な講義を聞いて,鉄道業界を就職先として考えるようになった」という言葉は,講師の方々に向けられた賛辞だと思います.ご多忙な中,ご協力頂いたことに,この場を借りて改めて心から感謝を申し上げます.
 最後に,2024年は間もなく暮れますが,今年は例年に増して鉄道の脱線事故が多かった印象があります.一般に,鉄道の事故は社会へ与える影響が大きいため,特に発生直後は色々な報道がなされます.その内容は様々であり,時として不正確な情報が発信されることもあるため,情報の受け手の姿勢が重要です.事故が起きたことをけしからんと言い続けるのではなく,発生の直接的,間接的原因を理解・想像して解決策を考える必要があり,今回の講義は,そのための知識にもなったのではないかと考えます.過去の経験に基づいて様々な安全対策や検査等の技術,方法が開発,導入され,鉄道の安全度は過去に比べて格段に高まりましたが,それでも事故は起きています.事故情報は鉄道会社どうしの横のつながりの中で共有され,業界全体での安全性の底上げが図られますが,5/20のブログに書いたように日本には200を超える鉄道会社があります.各社が抱える問題,課題には,個別の事情によるものもあれば,各社共通的なものもあります.本講義の中でも何度か話題になりましたが,競争から協調の時代になった今,監督する国も含め,関係者が一体となって安全で便利な鉄道を支えていく取り組みが,今後はますます重要になると思います.東京経済大学経営学部も,その一端を担えるよう,これからも活動していきたいと考えています.
















2024年12月9日月曜日

ゼミ活動紹介:関東学生マーケティング大会に参加しました!


広告論を担当している鴇田です。
鴇田ゼミでは、関東学生マーケティング大会に参加するため、グループで研究論文を執筆することを活動の大きな目標としています。

関東学生マーケティング大会とは、関東圏にある大学の学生がチームを組み、約半年間にわたり研究・プレゼンテーションを重ね競い合う大会です。
2024年度大会には、慶應義塾大学、嘉悦大学、早稲田大学、専修大学、中央大学、東洋大学、日本大学、明治大学、立教大学、千葉商科大学、埼玉大学の計13大学から19ゼミナールが参加しました。
ちなみに、同じ東京経済大学の森岡ゼミも同大会に参加しており、私自身も学生時代に森岡ゼミの一員としてこの大会に参加した経験があります。

6月に開会式を行い、9月に中間発表、10月に論文提出、11月に2回のプレゼン審査が開催されます。
学生たちはそれぞれの締切に合わせて、論文を執筆したり、発表用のプレゼンテーション資料を作ります。
鴇田ゼミは今年新しくできたばかりのゼミなので、経験者の先輩もおらず、研究の進め方やプレゼンテーションの方法にゼミ生たちが苦労している様子が伺えました。

各グループの発表タイトルは以下の通りです。
バンドリングという販売手法が持つ魅力ーカスタムバンドリングと固定バンドリングの視点からー
ご褒美消費が満足感に与える影響とその要因の解明
動画配信サブスクリプションサービスを利用する阻害要因の解明―マイリスト登録に着目して―
服のサブスクリプションサービスの利用を阻害する要因の解明

残念ながら4グループとも11月30日に行われた最終審査に進むことはできませんでしたが、やはり最終審査に進むグループは研究内容もプレゼンテーションも非常に優れており、納得の結果です。


↓当日の発表の様子



半年間頑張ってきた研究に最終的な順位がついてしまうことに対して、「酷だ」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、どこに改善点があったのか、何が足りなかったのかに気づくことができるこのような大会に参加することは、学生たちにとって非常に良い成長の機会となります。
さらに、自分たちが将来「就職活動」という場でライバルとなる他大学の学生たちの能力や取り組みを知ることは、就職活動に向けた意識を変えるきっかけにもなるでしょう。

↓大会終了後の立教大学にて


文責:鴇田彩夏

2024年12月2日月曜日

寺本ゼミ 北海道での活動報告

 


【外の世界へ】

経営学を勉強・研究していると,多くの場合,理論の世界と実務の世界を行き来することが重要になります。

いわゆる講義や大学内でゼミ活動をする場合,経営学やその他専門分野の理論の世界に深く入っていくことになります。

私自身は理論の世界が大好きなので,ややもするとこの理論の世界に留まってしまうのですが,本来それはよくありません。

自戒をこめて言うと,経営学は企業などの組織や事業を対象とした学問であるので,組織や事業の実務とは不可分です。

しかし,講義や大学内でのゼミ活動でそのような実務を触れ合うのは容易ではありません。

その意味で,経営学の勉強や研究を進めていくうえで,大学を飛び出して実務の世界をみてみるというのも非常に重要となります。


そんなわけで,寺本ゼミでも,ただ単に教室内で議論をするだけではなく,教室内で勉強したり自分たちが調べたりしたことを実地に出てみるという試みをできる限り行うようにしています。



寺本ゼミでは基本的に自分たちの好きな・興味関心のあるテーマに基づいてグループで研究してもらいます。

ただ,私自身,北海道仁木町のワイン産業や地域活性化をテーマに研究しており,同じく北海道やワイン産業に興味関心がある学生は,そのテーマについて扱うことも歓迎しています。


本年度は3グループ10名が北海道のワイン産業や仁木町の地域活性化にむけた研究に参加してくれました。

ただ,座学や図書館・インターネットでの調査に留まらず,実際に北海道仁木町に行って,研究に協力してくださっているワイナリーで活動を行いましたので,このブログで活動報告を行います。



【概要】

・北海道仁木町のワイン産業や地域活性化の振興施策を考える

・寺本が所属している研究チームのメンバーが勤める他の大学との共同プロジェクトです。

・具体的には,本年度は拓殖大学・東京経済大学・東京理科大学・北海学園大学・明治大学・目白大学(大学はアイウエオ順)の学生が参加しました。



【活動期間】

10/5(土)から10/6(日)


【仁木町のワイン産業について】

北海道仁木町は北海道の西部,海鮮や運河で有名な小樽や,ニッカウヰスキーの蒸留所があることで有名な余市のすぐ近くに位置します。

仁木町はサクランボやリンゴ,そしてブドウなどの果樹栽培が古くから盛んな町です。

日本では,特にワイン用のブドウの栽培は長野県や山梨県で盛んでしたが,ここ数年,北海道でもワイン用のブドウの栽培が増加しています。

そして同様に,ワイン産業自体も,日本国内では長野県・山梨県で盛んでしたが,最近では北海道で新規ワイナリーの設立が相次いでいます。

1970年代,当時アメリカで主流であったそこそこの品質のワインを大規模生産するという動きから,ワイナリーが管理可能な分だけ葡萄の生産を抑え,その代わり高品質のワインを追求するという,カリフォルニアを中心に始まった「ブティックワイナリー」という考え方があります。

北海道仁木町でも最近増えつつあるワイナリーはこういった「ブティックワイナリー」を模した形となっています。


北海度の活動では,ワイナリーの葡萄の収穫を体験したり,実際にワイナリー(醸造所)を見学させてもらったりします。




10月は各ワイナリーで葡萄の収穫がピークを迎えます。

いくら「ブティックワイナリー」といっても,特にこの収穫期は人手がいくらあってもよいくらいに忙しい時期となります。


ワイン産業というと,あたかも優雅なイメージがあるかもしれませんが,その本質は農業であり,この忙しい収穫作業を学生たちに体験してもらうことによって,机上の空論を超えたワイナリー経営の現実を体験してもらいます。

本来,この忙しい時期に作業に不慣れな学生が参加することは賛否が分かれるところですが,学生を受け入れてくださっているワイナリーの皆様には本当に感謝申し上げます。



こうやって文字にすれば当たり前のことですが,圃場(農地)ですから,

・虫もいます

・天気にも左右されます(今年は非常に天気には恵まれましたが,雨などでも作業は行われます)

・体力的にもきついです

・もちろん汚れます(土・泥・そしてブドウの果汁)


さらに,ワイナリーによって作業方法やこだわりのポイントが違います。



そんなことをただ机上で議論するのではなく,実際に体験しながら,そして学生同士で情報共有しながら,ワイナリー経営について身をもって知識を蓄えていきます。


【仁木町の地域活性化】

ただ個別のワイナリーについて知るだけでなく,仁木町を盛り上げるためにはどのようなことができるのか。

この北海道での活動では,ワイナリーを手伝うということと同時に,仁木町やその周辺地域にある地域活性化に使えそうな資源の発掘を行うということを行います。

仁木町のフィールドスタディ―です。


これは全くもって偶然なのですが,今年は仁木町内にあるフルーツパークにき で「しりべしの食祭りat農村公園フルーツパークにき」が開催されており,そういった催し物に実際に訪れたり,

 参考)https://www.shiribeshi.pref.hokkaido.lg.jp/ss/srk/kankou/200083.html


その他,仁木町のキャンプ場を訪れたり,さらには余市や小樽を散策する学生もいました。



このような実地での活動は,それ自体が楽しく,それだけで満足してしまうことが多いですが,それだけで終わってしまっては意味がありません。

この経験を次は教室に持って帰り,自分事として捉え,言語化することが重要です。

そして,そこからもともとの目的「北海道仁木町のワイン産業や地域活性化の振興施策を考える」を高いレベルで達成できると良いと考えています。


2024年11月25日月曜日

自分の買い物行動を考えたら見えてくるもの

流通論を担当している本藤貴康です。

大学で学ぶ学問領域としてマーケティングというのは非常に人気のあるテーマです。東京経済大学にはマーケティングを深く学ぶために流通マーケティング学科が設置されていますが、本学ほどマーケティングを専門とする専任教員が多い大学も珍しいと思っています。グローバル・マーケティング、サービス・マーケティング、インダストリアル・マーケティング、流通、マーケティング・リサーチ、小売経営、流通史、消費者行動、広告と、マーケティングに関わる授業は多岐にわたります。

高校生や大学生がマーケティングに興味を持つときに、興味のあるコトバとして「広告」とか「ブランディング」あたりが挙がってくることが多いと感じています。

流通論の授業で「商品の売上を増やすために、メーカーはどのようなことを考えると思いますか?」という質問をすると、必ず「広告宣伝を積極的に行う」という意見が出てきます。アメリカでも著名なマーケターたちが広告宣伝をどれだけ投入するかに注目しており、広告宣伝は重要な販売促進手法として位置づけられています。

では、本当に広告宣伝量が増えればヒット商品を生み出せるでしょうか?

自分の買い物行動を考えてみてください。

あなたがテレビCMSNSの広告を見たとします。自分が目にした広告を見て欲しいと思うことはどれだけありますか?

仮に「欲しい」と思ったとします。そこですぐにお店に行って買うことはありますか?

しかも、広告はテレビCMSNS広告だけではありません。新聞や雑誌の広告もあります。様々なアプリを使っている最中にも多くの広告を目にすると思います。これだけ多くの広告宣伝が溢れ返っている日常生活のなかで、あなたが抱いた「欲しい」という気持ちはどれだけの時間あなたの頭の中にとどまっているでしょうか?

まず生活空間のなかで発信されてくる無数の広告のなかでその広告を目にするハードル。次にその広告で情報提供されている商品名や商品特徴などの内容を認知するハードル。それから、あなたがその商品を「欲しい」と評価するハードル。そこからその商品をお店に「買いに行く」ハードル。このハードルは即時対応するのはなかなか難しいですね。そのあとに売場でその商品を買い物かごに入れるといハードルがあります。隣に同じような商品があったり、さらに低価格の商品があったりするなかでの意思決定になります。最後にその商品を買い物かごに入れたままレジ精算するまでのハードルです。なかなか多くのハードルが存在するのです。

その商品のブランディングを考えると、初回購入から二回目、三回目とリピート利用してもらう必要があります。これは更に高くそびえ立つハードルとなってくるのです。

つまり、広告宣伝をしてもそう簡単に売上に結びつくものではありません。

 一般に広告宣伝は助成想起の役割を果たしていると言われます。

自分の反応を思い返してみても分かると思いますが、何かしらの広告宣伝を目にしても、それを買いにお店に直行する消費者は稀なのです。それでも、買い物行動は日常的に発生するので、売場に訪れることは数多くあるはずです。

そして売場を歩いている最中に、「あれ?これってこの前広告で見た商品かな」と売場で何かしらのきっかけがあって商品を思い出すことがあります。それを助成想起と言います。

広告宣伝は直接的というよりも間接的に売上を支援する役割を果たしていますが、企業側はそのために広告宣伝費に巨大な予算を充てているといえます。それほど消費者の頭の中にブランドを食い込ませていくことは難しいのです。

文責:本藤貴康