2020年12月14日月曜日

クリスマスなんてなければ♪いつも通~りの~♪(小木ゼミ通信vol.42 経営学部ゼミ研究報告会、ゼミ活動報告など)

 マーケティング論、ソーシャルマーケティング論、消費者問題担当の小木です。 42回目のブログになります。 前回(10月)は「鬼滅の刃」ネタから入りましたが、煉獄を300億円の男にするとの掛け声よろしく、12月14日リリースでは302億円の興行収入を突破した模様です。よもやよもやだ。歴代1位の「千と千尋の神隠し」(308億円)を年内中に抜くのが、いよいよ現実味を帯びてきました。

 さて、ハッと気づけば、年の瀬が近づいてきました。私の家の前の百貨店では大きなツリーが建てられており、街はクリスマスモードに突入ですが、今年のこの環境下では少し盛り上がりに欠けそうです。
 
 いつもこの時期になると、クリスマスソングをかけながらの仕事になりますが、いつも定番の曲ばかりなので、なんか新しい良い曲はないのかなと、ここ数年ずっと思っておりました。しかし、きました、ついにきました。セカオワの『silent』を聞いて、ビビッときました。いまエンドレスで『silent』かけながらのBlog書きですが、本当にとっても良い曲。。。「聖なる旋律は雪にと~けて♪」これは定番のクリスマスソングになりそう。

  本日のラインナップは次の感じです。
 1.経営学部ゼミ研究報告会 
 2.小木ゼミの活動報告
  などなどです。

  1.経営学部 ゼミ研究報告会
 
 12月12日㈯午後に経営学部ゼミ研究報告会がZoomで開催されました。今年は経営学部の17ゼミから54もの研究報告が8会場で発表されました。
 私は第1会場を管理担当していましたが、研究報告会では初めてのZoomによる発表にもかかわらず、各ゼミの皆さんは本当に上手に発表していました(司会等もとても良かったと思います)。これから就職活動もリモートを使った面談があるはずなので、Zoomなどの遠隔ソフトを活用できることが強みになるかもしれません。特に、1年生の皆さんは今年は遠隔授業ばかりだったので、このあたりのスキルはぐーんと上がっているのでないでしょうか。
  全体として研究発表の内容もとても良かったですし(小木ゼミ生の発表も良かった)、なんといっても例年に比べて参加者が多かったことが良かったかもしれません。もちろん対面での研究発表はそれはそれでいいのですが、リモートによる発表もメリットは大きかったようです。
 同日には、経済学部や全学共通教育センターのゼミの研究報告会も開催されていたので、なんか大学が久々に賑わっていた感じで嬉しかったです。懇親会がなかったことだけが残念でした。


   2.小木ゼミの活動報告 
  
 ①.西武信金主催の知的財産を活用したアイディアコンテストの決勝戦
 12月12日㈯午後に、ゼミ研究報告会と並行して開催されたのが、西武信金主催の知的財産を活用したアイディアコンテストの決勝戦です。こちらにも、小木ゼミは出場しました。上記、ゼミ研究発表と被っているゼミ学生が2名おり、彼らは行ったり来たりで大変そうでしたが、無事に両方に参加することができました。残念ながら、最優秀賞、優秀賞を獲得することはできませんでしたが、良い経験になったと思います。ゼミからは初めての参加でしたが、後輩にバトンタッチしていってほしいと思っています。私も複数のPCを使って参加したのですが、とても勉強になりました。もう少ししっかりと指導してあげれば良かったなと反省しております。

 ②.多摩大学アクティブラーニング祭への招待ゼミとしての参加
 12月12日㈯午前に、3年連続で、多摩大学のアクティブラーニング祭への招待ゼミとして、ゼミの企業とのコラボ活動の発表を行いました。こちらも、我々小木ゼミはZoomでの参加でしたが、現地会場はたくさんの来場者がいたようです。
 今年はコロナの影響であまりコラボ活動がしっかりできなかったのですが、活動した部分をしっかり報告してきました。

 ③.「国分寺物語」活動報告及びニッポニアニッポン代表による講演(オープンゼミ)
 12月16日㈬10:40~は、Zoom開催による「国分寺物語」活動報告及びニッポニアニッポン代表による講演会が開催されます。当日は、オープンゼミにもなっていますので、特に1年生の皆さんは見に来てください。講演会後~お昼休みに、ゼミ生と1年生との懇談会もあります。


2020年11月23日月曜日

東経大生にもお馴染みイケア、立川に続き原宿での新たな取り組み

 流通マーケティング学科の丸谷です。第40回目の執筆です。私はグローバル・マーケティング論(簡単にいうと海外でどのようにマーケティングを行なっていくのか)を専門分野にしているので、現地調査で頻繁に海外を訪問します。このブログでもこれまでも海外調査で訪問した企業に関する新たな試みについて取り上げてきました。私はスウェーデンのエルムフルトに訪れて現地調査をして以来、機会を見て米国、中国、ドミニカ共和国の店舗を訪問し、日本でも立川、船橋、福岡の店舗を訪れてきました。今回は今年6月に開店し話題となっているスウェーデン初の家具店イケアの都市型店舗原宿店にようやく訪問できたので取り上げます。

イケア原宿店外観

イケア原宿店はJR原宿駅の目の前に開業した複合商業施設「ウィズ ハラジュク」内に立地しています。従来のイケアはスウェーデンの国旗をイメージさせる黄色と青のカラーの外観が象徴的でしたが、原宿店は都市型店ということもあり、従来のイメージを覆すガラス張りの外観であり、外観で遠くから見ても分かりやすくし、スウェーデン発雰囲気をある意味安易に打ち出す従来のCOO(原産国)効果を狙ったやり方を改善しようという取り組みがあらわれていました。ちなみに、原産国効果を狙った分かりやすい例としては、日本発を打ち出すためにカタカナを用いた赤白で構成されているユニクロのロゴがあげられます。

皆さんイケアという企業についてどのようなイメージでしょうか?北欧発のデザインがお洒落な郊外立地の家具の大型店舗という感じではないでしょうか?


 イケアはセルフ組み立て方式の北欧テイストの家具を販売するというコンセプトのお店を世界50か国以上に展開しています。日本にも北は仙台、南は福岡まで9店舗の大型店舗、1店舗のB2B対象店舗、札幌と岡山に2か所の商品受け取りセンターがあります。図表は私も分担執筆した書籍(佐々木保幸、鳥羽達郎編著『欧州小売企業の国際展開』、中央経済社、2019年)より抜粋したものです。



図表からもわかるように、イケアは大型店舗をロードサイドと呼ばれる都市郊外を中心に出店してきました。しかし、同社日本7号店に当たる東京経済大学に近い立川店ではこれまでとはかなり異なるチャレンジをしています。ここの店舗の特徴は従来の郊外型の店舗とは少し異なるターゲットを取り込もうとした点です。立川店は近隣に団地やマンションが多い駅チカ立地ということもあり、セルフ組み立て方式の前提となってきた自動車での持ち帰りを重視しないやり方を提案したことで開店時は注目を集めました。上記図表をよく見ると、その後に出店した大型店舗を含めても全て駐車場は無料であり、自動車利用を前提としているのに対して、台数は一定数確保しているものの、立川店の駐車場は有料です。

イケア立川店(組み立てサービスや配送サービスを重視)

ちなみに、イケア立川店の周辺は再開発がさらに進み、20204月にはグリーンスプリングス(GREEN SPRINGS)という公園、劇場、ホテル、オフィスなどを有する大型複合施設がコロナ禍で開業し、20206月には最上階インフィニティプールが話題のソラノホテルも開業しました。地方から東京に上京される学生も当然ターゲットになっており、学生さんの中もイケアで家具を購入される方もいらっしゃいます。イケアの店内では今や名物となっている安価なスウェーデン料理も提供されているので訪れてみるといいかもしれません。

イケア原宿店は日本では初めての都市型店です。イケアは201810月にロンドン、20194月にニューヨークに都市型店を出店済みであり、東京での取り組みもこの流れの中にあります。出店の背景にはこのブログでもたびたび取り上げている都市部でのネット小売普及があり、従来の郊外型大型店舗中心の出店からの転換があります。

オンラインをアピールする店内POP

 イケア原宿店もネットとの融合に向けた取り組みが工夫されていました。その1つが専用のアプリを使って商品タグのQRコードを読み取るとAR技術によって再現された家具が現れる仕組みです。実際にソフトをダウンロードしやってみました。機動性にやや難は感じましたが、1つの試みとしては面白いなと感じました。

 

イケア原宿専用アプリ


イケア原宿アプリを体感

 イケアの特徴である提案型の陳列も1階には「眠る」「整える」、2階には「くつろぐ」「料理する」というように区分され、今回のコンセプトである都市型店舗らしさに基づいていました。

イケアの提案型陳列

 イケアのスウェーデン料理を出す店内レストランは立川店のところでも紹介しましたが、都市型店舗ならでは工夫がなされ、1階の入口付近では北欧イメージが強いシナモンロールなど軽食を出すカフェとスウェーデンをイメージできる食も購入できる「スウェーデンコンビニ」を、2階の店内奥では従来のスウェーデン料理を出すカフェテリアが小規模に展開されていました。

スウェーデン名物シナモンロールセットと乳脂肪分なしのアイス

今月末には2019年10月31日に日本から撤退した「Forever21」の旗艦店の跡地に、都心出店2号店として今度は7フロア1455坪の大型店舗を出店するそうである。合わせて訪ねてみるのも面白いかもしれない。

(文責:流通マーケティング学科 教授 丸谷雄一郎)



2020年10月26日月曜日

マンガ・アニメで地域活性化(小木ゼミ通信 vol.41 日経円ダービー表彰、企業コラボ進捗状況、その他)

 マーケティング論、ソーシャルマーケティング論を担当しています、小木です。41回目の投稿です。


 マンガ・アニメで地域活性化

 日本のマンガ・アニメが文化(サブカルチャー)として捉えられ、国内外で大いに盛り上がりを見せていることは周知の事実です。マーケティングの観点からみると、『鬼滅の刃』などはとてつもなく上手な売り方をしています。もちろん、原作のパワーがあってなせる業なのでしょうが、潔い完結の仕方(今から読んでも到達できるくらいの絶妙なボリューム)、最終話の際の原画コピー付き(有料)の販売、単行本初回限定販売の際にキャラクターグッズ付きの販売、テーマソング・挿入歌・声優による盛り上げ方、劇場版への切り替えによるここ数年の公開、子ども・大人問わずファンにさせる戦略など、まさにマーケティングの髄を施したものになっています。10月26日の速報によりますと、劇場版『鬼滅の刃』の興行収入は、公開から10日間で107億円突破で、観客動員数も790万という歴代の日本映画史上最速を記録したとか。まだまだ公開されたばかりなので、どこまで記録を延ばすか楽しみです。ちなみに、歴代興業収入1位は『千と千尋の神隠し』で308億円(100億円突破が25日間)、2位以下は『君の名は。』(興行収入250億円、100億突破28日間)、『ハリーポッター賢者の石』(興行収入203億円、100億突破28日間)となっています。鬼滅の刃劇場版「無限列車編」は単行本7巻あたりですので、ピークはまだまだ先であって、今後おそろしい興行収入になるかもしれません。

 拙著『マーケティングEYE【第5版】』(小木紀親、中部経済新聞社、2020年)でも「マンガ市場にみるマーケティング戦略」を書いてあるので、ご覧ください。

 さて、そんなマンガ・アニメですが地域活性化と非常に強い結びつきを持っています。現在、外国との往来は滞っていますが、アニメのゆかりの地(聖地)と呼ばれる場所は、どこもかしこも国内外のファンで盛況でした。たとえば、『君の名は。』(飛騨市、高山市)、『聲の形』(大垣市)、『スラムダンク』(鎌倉市)など枚挙に暇がありません。

 ちなみに、アニメやマンガのゆかりのある地を訪れることを「聖地巡礼」と呼び、それを核に地域活性化を狙った動きも出ています。最近訪問したところで言えば、春場ねぎ作『五等分の花嫁』(愛知県・東海市)の聖地がありましたが、娘に「五等分の花嫁、パパ知らないの」と言われたので、悔しくなって訪問してみました。まだ盛り上がりに欠けますが、太田川駅前から日本福祉大学にかけての地域がマンガに描かれており、もし東経大もマンガ・アニメなどの舞台になっていたら、聖地巡礼などで大いに盛り上がるだろうから、何か良い手はないものかとしばし考え込んでしまいました(ウチのゼミOBの妹さんがマンガ作家の卵なので連載になったら東経大を書いてもらおうと思っています)。


 また、新潟市はマンガ作家(『翔んで埼玉』の魔夜峰央、『うる星やつら』『犬夜叉』の高橋留美子、『DEATH NOTE』の小畑健など)を多く輩出しているとして、新潟市上げてのマンガによる地域活性化(聖地巡礼)を狙っています。


 このあたりは、前述の著書にまとめてありますので見てほしいです。


 小木ゼミの動向

国分寺物語

講演会を開催すべく検討中です。こくぶんじ写真コンクールの審査員・国分寺物語賞の表彰式参加が決まりました。その他、InstagramやFacebookでの配信を行っています。


TFT

12月TFTメニューが生協で販売される予定です(詳細はまた別途いたします)。おうちでTFTなど、コロナ禍でも活動しています。


日経円ダービーの表彰

日経円ダービーは総合で5位となり、表彰状をいただきました。ありがとうございます。




ゼミ紹介・オープンゼミ

アカデミックコンパス内で10月28日分(1月13日まで配信)として、小木ゼミが紹介されています。webオープンゼミのお知らせもしていますので、1年生のみなさんは合わせてごらんください。


多摩大学AL祭り参加・ゼミ研究発表に参加

12月12日㈯、両方ともWebオンラインで多摩大学AL祭りとゼミ研究発表会で、それぞれ企業コラボ、個人研究を発表します。


知財活用スチューデントアワード2020年度本選出場

学内選考を経て、小木ゼミの1チームが本選に出場することになりました。こちらも頑張ってほしいものです。


 といったように、何だかんだで、ゼミは忙しく動いております。ゼミ生の皆さん、お疲れ様です。このまま2020年度も駆け抜けましょう。「全集中 小木の呼吸 拾の型 希望!」って感じで。








2020年9月28日月曜日

西アフリカの資源輸出大国ガーナを訪れて

流通マーケティング学科の丸谷です。39回目の執筆です。私はグローバル・マーケティング論(簡単にいうと海外でどのようにマーケティングを行なっていくのか)を専門分野にしているので、海外調査に頻繁に訪問します。このブログでもこれまでも海外調査で訪問した国について取り上げました。今回は20202月から3月にかけて訪れたガーナについて取り上げます(622日プログでも若干ふれています)。

 皆さんガーナといえばどのようなイメージでしょうか?多くの方がイメージするのはチョコレートではないでしょうか?ロッテのガーナチョコレートは非常に有名であり、私も実際最初のイメージはそうでした。実際ガーナにとってチョコレートの原材料であるカカオの重要性は高く、詳細は、ロッテHPhttps://www.lotte.co.jp/products/brand/ghana/kodawari/material/)に譲りますが、ガーナではチョコレートの主な原材料である高品質のカカオが取れることは事実です。

 

   ロッテガーナチョコレート

 1960年代にはガーナのカカオ生産は世界最大でした。現在でもGDPの約2割、雇用の約半数を占める農業において主要作物ではありますが、1957年の独立当初、資金不足であった政府はカカオ産業を統括し、生産者からの買い上げ価格を低く抑えすぎていたために、カカオ豆密輸出が横行し、ガーナ産カカオ豆の生産量減少を招いてしまいました。近年になり構造調整によって民営化をすることによって回復しつつある状況ですが、かつての繁栄はありません。                                      

 現在ガーナの輸出を現在支えるのは鉱物と原油生産である。最大の輸出品目は南アフリカに次ぐ第2位の金です。ガーナの金鉱は南アの金鉱に比べて露天掘りであることもあり採掘掘コストが安価であり国際競争力が強力です。今回現地調査で訪れた内陸のクマシ近くの都市オブアシには世界第9の金山があります。金の交易を中心に内陸で栄えたアシャンティ王国は19世紀末から20世紀初頭の数次にわたり当時植民地化を進めていたイギリスと激戦を繰り広げました。そして、1901年にイギリスの植民地となった際にも 黄金海外を意味する 英領ゴールドコーストという名前となりました。


 


原油生産は2007年に発見されたギニア湾の油田が2010年から本格的に商業生産が開始され、Jubilee 油田、T.E.N.Tweneboa,Enyenra and Ntomm)油田に加えて、20185月にはSankofa Gye Nyame 油田の採掘が開始され、現在3つの油田で採掘がなされており、石油依存度が高まっています。

んな西アフリカの資源輸出大国ガーナですが、かつて金と並んで輸出していたのが奴隷でした。アシャンティ王国は、自分たちと他の部族の黒人を捕まえて、白人たちに売り利益をあげていたのです。今回白人を海外へ送り出す拠点となった場所を訪れることができました。

奴隷貿易の拠点となった場所は、ヴォルタ州、グレーター・アクラ州、セントラル州、ウェスタン州の城塞群として世界遺産となっています。今回訪れたのはケープコースト城とエルミナ城でした。

ケープコースト城は当初は金や木材の輸出拠点でしたが、18世紀頃には英国がアシャンティ王国から買い入れた奴隷を世界に送り出す拠点となりました。奴隷として待機させられていた黒人たちがいた牢屋は劣悪であるのに対して、城砦を管理する英国人側の居住場所は風通しもよくその眺めも素晴らしく、コントラスは衝撃でした。

奴隷として世界へ送り出す城砦からの出口
風通しのよい居住場所

              活気のある城砦前の現状

エルミナ城も奴隷拠点となりましたが、こちらは大航海時代に繁栄を誇ったポルトガルの拠点となった場所で、サハラ砂漠より南のアフリカ(サブサハラアフリカという呼ぶ)で最古の欧州建築で、欧州による最初のギニア湾の拠点として有名です。このブログでもブラジルに関して取り上げた際に、ポルトガルの三角貿易については取り上げていますが、三角貿易について改めて考えさせられました。

               エルミナ城の外観

コロナ禍での渡航制限が厳しくなる直前でいくつかアポイントがキャンセルになることもありましたが、アフリカとラテンアメリカとの関係を振り返る意味でも貴重な機会となりました。西アフリカは遠いですが、コロナ禍が終わり再び自由な往来ができる日には機会があればぜひ訪れて欲しい場所です。

               (文責 流通マーケティング学科教授 丸谷雄一郎)

2020年8月30日日曜日

日経円ダービー 総合順位は全国5位(小木ゼミ通信vol.40)

 マーケティング論、ソーシャルマーケティング論、消費者問題を担当しています小木です。今回で40回目の投稿となりました。

 2020年 私の夏休み


 2020年の夏休みは、東京オリンピックに興じて、旅行や出張にも行って、夏休みを有効に使おう、と数か月前までは考えていましたが、すべて中止。今年の夏はしんどい夏となりました。コロナと暑さのWパンチで、家に籠り、後期の授業準備、教務、学会の仕事などをしていたら、夏休みがほぼなくなりました。

 昨日は、同時刻に、学会の理事会や全国大会開催準備の会議と、娘の某大会が重なり、2台のPCで両方ともZoomで参加・視聴という、まあなんとも行儀の悪い所業をやってのけました。娘はなんと優勝グランプリを獲得!そこからは、(自分の中では)理事会どころではなくなりました。学会のZoomのカメラオフを頻繁に繰り返しながら表彰式をじっくりと視聴していたら、ふと「こんな風に、何かをしながらZoom授業を聴いている学生は結構多いかも」と思い、妙に納得してしまいました(そうではないと思いますが)。

 また、今年の本学のオープンキャンパスは、昨年までとは異なってWebオープンキャンパスとなり、動画配信による各学部長のあいさつや各学部の先生による模擬講義と、Zoomによる相談会となりました。毎年、暑い中、校内は盛り上がりを見せていましたが、今年は一味違ったオープンキャンパスとなったようです。

 しかしながら、多くの高校生の皆さんが参加していただいたようで、ありがたい限りです。受験生の皆さんは、体調管理を万全にして受験頑張って下さい。 

 と、まあ、ここ数カ月で、明らかに従前の仕事や生活の様式が変化してきたことを、ひしひしと感じている次第です。


 円ダービーは総合全国5位!


 さて、小木ゼミの活動ですが、夏休みで充電期間とはいえ、夏合宿もなくなったため、ゼミ生はZoomを使って後期のスタートダッシュをすべく、頑張っている模様です。

 8月29日㈯の日本経済新聞に日経円ダービーの総合結果が掲載されました。小木ゼミの1チームが全国5位となりました。表彰状もいただけるようで、ゼミ生には素直におめでとうと言いたいです。特に、7月末の急激な円高を、6月末に予想するのは至難の業でしたが、よく頑張りました。

 後期は対面式授業も混ぜていく予定です。ゼミ生の皆さん頑張っていきましょう!

 

円ダービーの記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63009850V20C20A8PPD000/

2020年8月24日月曜日

コロナ禍で日本でも普及するかBOPIS

流通マーケティング学科の丸谷です。38回目の執筆です。私はグローバル・マーケティング論(簡単にいうと海外でどのようにマーケティングを行なっていくのか)を専門分野にしているので、現地調査で頻繁に海外を訪問します。このブログでもこれまでも海外調査で訪問した国で普及する新たなサービスについて取り上げてきました。今回は数年前に米国で普及し始めたBOPISというサービスがコロナ禍で普及し始めたそうなのでとりあげてみます。


皆さんBOPISという言葉を知っていますか?


BOPISとはBuy Online Pick-up In Store(オンラインで注文し店舗で受け取る)ことです。お客さんは事前にスマホなどでイオンのオンラインサイトで食品などの商品を注文し、店員さんが店頭商品も含む在庫から注文された商品をピックアップし、店舗の駐車場の指定の場所まですべての商品をパッキングし、指定時間に持ってきてくれ車に積んでもらえます。

顧客側のメリットは配送なら一定料金以下ならかかる送料がかからないこと、いつ来るかわからない商品を自宅で待たなくていいこと、事前に決済まで終わりパッキングもしてくれるので車から降りず買い物ができることに加えて、コロナ禍という条件付きではありますが、入店しなくていいので感染リスクも低いことです。

私が長年研究対象とする日本では西友を展開する世界最大の小売業者ウォルマートでは、コロナ禍とは関係なく、2010年代半ばから都市部から郊外へ攻め込むアマゾンへの対抗策として普及し始め、既に米国店舗ではかなり浸透していました。海外の店舗への導入も進み、私が2018年に取材したアルゼンチンの首都ブエノスアイレスの店舗でも既に受け取り専用レーンが一部店舗に導入されているのを確認しました。

アルゼンチンのBOPIS対応店舗

私はネット小売の普及に関して国内取材も続け、このブログでも2019129日に「福岡でスマートレジカートを実用化した店舗」を取材した内容を取り上げています。BOPISに関しても、私はコロナ禍直前の20202月初めに既に先行導入が開始されていた三重県の津市にあるイオンモール津南に取材に行っていました(導入したのは2019年11月)。

イオンモール津南のイオンスタイルに導入されたBOPIS用設備はそれなりに立派でしたが、取材した際には開店休業状態で、設備はつくってみたものの、利用はなされていないようでした。店員さんにインタビューしてみても「利用は週末に少しされているが・・・」という寂しい感じの回答で、取材にはつきものなのですが、「時間かけていってのに・・・」という感じでした。

            イオンモール津南BOPIS専用受け取り窓口

           イオンモール津南のBOPIS専用受け取りレーン

コロナ禍となり、イオンが細々と実験的に導入していたBOPISに急激が集まり始めています。コロナ禍でイオンが運営するネットスーパーの売上は3-7月に2割増加したことがきっかけでした。これまで食品のネット販売はあまり普及していませんでしたが、イオンもネット販売の利便性を知った顧客への対応を積極的に行う方向に一気に舵を切りました。BOPISの普及もこうした動きの一つであり、730日からは関東のイオン柏店でもBOPISが開始されたと経済ニュースなどでも大々的にとりあげられました。

イオン柏店ではまだイオン津南店のような専用レーンは設置されていないようですが(コロナ禍でなければすぐに取材に行くのですが直接見れていませんが)、イオンリテールも施設整備を積極的に行っていくことを検討しているようです。

こうした動きが進めばネット注文した商品を店頭でも受け取ることもできるという従来のレベルの対応から、ネットと店舗の継ぎ目がないシームレスな対応という一歩進んだレベルへネット対応が進む可能性が高まり、対応レベルが上がれば当然利用も促進されていくでしょう。

コロナ禍で都心部ではウーバーイーツが一気に普及し、東京経済大学の周りにもあの特徴的なかばんを担いだ自転車が多く走り回るようになりましたが、郊外のショッピングモールの風景も大きく変わるかもしれません。

                    (文責:流通マーケティング学科 丸谷雄一郎)


2020年7月25日土曜日

前期の遠隔授業を振り返って(小木ゼミ通信 vol.39 日経円ダービーの中間結果発表など)

マーケティング論、ソーシャルマーケティング論、消費者問題担当の小木です。今回で39回目の投稿になります。

前期の遠隔授業(特にオンライン授業)を振り返って

遠隔授業になって、学生も教員もある意味で大変でした。ストレスもかなり溜まっていますね。でも、明けない夜はない!皆さん頑張っていきましょう。

他大学も含め、前期にZoomでのオンライン講義をやってみて顕著に感じたことがあります(オンライン授業 他大学2コマ、本学3コマ / A・Bタイプ授業 1コマ)。

それは、学生が非常に授業をしっかり聞いているということです(お隣の友達としゃべることができないからかもしれませんが)。コメントペーパーなどみていると、それが如実によくわかりますし(書いてくる質・量ともに良い)、私が恥ずかしくなるくらいに授業に対してベタ褒めなのも、これまでにない状況です。しかも、Zoom講義の方が、これまで(対面式授業)に比して授業評価が明らかに高い!裏を返せば、これまでの通常授業がそれほどよくないのかなあと思ってしまいました。

オンラインと通常授業においては、それぞれメリットとデメリットがありますが、私の場合、オンラインの際は、テキスト、講義資料、画像・動画を全て使います。対面式の場合、テキストベースに、トークや学生を巻き込みながらの授業になります。私は、後者が良いと思っていたのですが、もしかしたら前者の方が時代に合っているのかもしれないとまじめに考え始めています。あとは、授業に対してかけた時間量は10倍ほど違って(オンライン授業の準備時間と毎週のコメントペーパー評価・フィードバック時間は半端なく多かったです)、時間をかけた分、授業評価も高かったのかもしれません。

今後は、オンライン時は今回同様に進め、対面式授業に戻った際は少し授業形態を見直していった方が良いかなと思っています。

ただし、やはりゼミだけは、対面式の方が良いかもしれません。ゼミ生もかなりフラストレーションが溜まっていそうです。早く、授業や合宿で思いっきりディスカッションしたいと思う今日この頃です。


ゼミ活動報告

前期のゼミ活動は、Zoomで個人研究(30本弱)を粛々とやっておりました。資料などを集めるのも大変だったのでしょうが、ゼミ生はしっかりとやっていました。安心したとともに、ゼミ生を誇らしくさえ思いました。良いようにとらえれば、いまのゼミ生は就活でのオンライン面接も十分耐えられるレベルになったと思います。

企業コラボは止まっているのですが、それに代わって3年生中心に、幾つかのコンテストに積極的に参加することになりそうです。私自身、ゼミ生にこれ以上時間を取らせたくなかったのですが、3年生らはやる気満々で、それをダメだともいえず、許可した次第です。やるからには、しっかりとやって下さい。

また、日経学生対抗円ダービーの中間結果(第1回目)が出ました。小木ゼミは、全国12位、22位にランクインしました。その他にも、良い位置についているチームがありますので、最終結果(6月末・7月末の合計)が楽しみです。少々驚いたのは、1位の愛知学院大学のチームの指導教員が、私のゼミ生であったこと。彼も私のゼミ生の時に円ダービーに参加していたことを考えれば、円ダービーの歴史を感じます。双方の大学が1・2位をとることを願っております。

日経学生対抗円ダービーの中間結果(日経新聞 2020.7.25)






2020年6月22日月曜日

フランス発スポーツ製造小売の巨人デカトロン関東出店


 流通マーケティング学科の丸谷です。37回目の執筆です。私はグローバル・マーケティング論(簡単にいうと海外でどのようにマーケティングを行なっていくのか)を専門分野にしているので、海外に出張に行くことが多く、このブログでも米国、インド、中国、チリ、ペルー、ブラジル、ケニアの出張の模様を取り上げてきました。
 海外出張では小売業者の店舗調査を行うためにショッピングモールをよく訪れます。そんな時に日本ではあまり見かけないけれど海外では頻繁に見かける店舗があります。その代表例が今回取り上げる「デカトロン」です。
201910月のブログでも取り上げたケニアでも、20202月末から3月初めに初めて行ったガーナでも、デカトロンはショッピングモールの目玉店舗の1つとして出店しており、人気があるようでした。
ケニア首都ナイロビでは卓球を店内で楽しむ姿がありました。

ガーナ首都アクラのショッピングモールの主要テナントして出店
日本のスポーツ用品を扱う量販店の多くはスポーツオーソリティ、ゼビオのようにナショナルブランドメーカーの商品を取り扱う巨大店舗をチェーン展開することによって値ごろ感を出して販売し利益を出すタイプか、ナイキ、アディダスのように世界的有名な自社ブランドが自社のブランドをある程度の高価格で販売するタイプが主流です。 

 デカトロンはフランス発祥の製造小売業者であり、世界61か国に約1,700店舗(20202月現在)を展開し、スポーツごとにオリジナルブランドを立ち上げ、80種類以上のスポーツの製品を取り揃え、それらの多くは低価格から中価格の自社ブランドであり、ユニクロのスポーツ用品版ともいえます。
 デカトロンのスポーツ用品店ならではの特徴としては、商品に触れる場としての店舗という位置づけが徹底されていることです。ケニアの首都ナイロビの店舗の写真にもあるように、店舗内に実際に商品を試してみるスペースが大きくとられています。初心者向けの安価な商品を試してもらうことによって、スポーツ愛好者を増やし、相談に来たらさらに上級のものを進めることによって顧客を育成しているようでした。お店ではレジで会計させることを促すのではなく、商品に示される四次元バーコードを読み取られせることによってオンライン販売を促し、手ぶらでの帰宅を促していました。

ガーナではウエイトトレーニングが人気のようでした。
そんなデカトロンが2019329日に日本で上陸しました。1号店は関西の二子玉川ともいえる西宮の西宮ガーデンズ内です。私も201910月に現地調査しましたが、西宮というトレンドに敏感な家族連れが多く住む好立地ということもあり、平日であったにもかかわらず、多くの家族連れでにぎわっていました。デカトロン出店の際には黒船的存在としてワークマンプラスとともにマスコミでも連日取り上げられ、話題にもなりました。
サッカーボールを試す親子

プレイグランドでバドミントン

そんなデカトロン出店から一年満を持して、2020424日にイオン幕張店1階にオープンするという情報が入ってきました(新型コロナウィルス対応を経て5月22日に開店)。
ホームページの告知によれば、

「デカトロン幕張店は、約2,500㎡の店内で、キャンプ・ハイキング、サイクリング、ゴルフ、ランニングなど約40種類のスポーツ、13,000点以上のアイテムをご提供します。
また、店外(テラス)に設置される約400㎡の体験ゾーンはまさに「もっとスポーツに気軽に触れていただきたい」という気持ちがこめられた場所です。この広いスペースで自転車の試乗やテントの設置・撤収など実際に製品に触って試していただけるだけでなく、インラインスケート教室やヨガクラスなど定期的にスポーツイベントも開催していく予定です。
また、スポーツに触れ、スポーツの魅力をもっと知っていただけるように、Decathlon club(デカトロンクラブ)を設立し店舗周辺のスポーツパートナーと提携、スポーツコミュニティの構築と拡大を図っていく予定です。パートナーの方は、スポーツイベント会場として、デカトロン店舗のプレイグランドをご利用いただけます。
さらに、デカトロン幕張店内に、お客様と交流するコミュニティエリア、自転車の修理を請け負うワークショップ、各種キャンプテントのディスプレイコーナー、クロスフィット体験エリアなど、スポーツや製品について知り、実際に体験していただけるコーナーを豊富にご用意しています。」とのことです。
1年間の周到な準備をした上での関東上陸は流通業界にとっては大きなトピックといえます。ようやく自粛期間も終わりましたし、新型コロナウィルス対策をしっかり行った上で、フランス発の新たな形態のスポーツ量販店を訪れてみてはいかがでしょうか。
(文責 流通マーケティング学科教授 丸谷雄一郎)

2020年5月11日月曜日

 大学教育とオンライン化

 税務会計論、簿記会計、会計プロフェッショナル入門を担当している板橋です。
   今年は、緊急事態の中、多くの大学で対面型の講義が全面的に中止され、オンライン型の講義への移行が進んでいますね。皆さんの中には、大学の講義のオンライン化について不安や心配もあると思います。
 そこで今回は、大学の教育とオンライン化について話をしたいと思います。ただ、アンケート調査をしたわけではなくあくまで私の事例の紹介ですので、その点は承知しておいてください。

 もともと、オンライン化への移行というのは大学ではかなり前から進んでいまして、おそらく一番一般的なのは、学習支援システムの導入だと思います。

 学習支援システムは、講義資料の配布、小テスト、レポート、プロジェクト(複数の学生でチームを作り課題を提出する)などを通しての学生一人ひとりの予習・復習・講義への参加状況を分析することが出来るシステムです。また、いわゆる掲示板機能がついているシステムでは、それを通じて、教員への質問や、講義へのコメントが出来、教員側からもそれに対して返答をすることが出来ます。本学でもmanabaという学習支援システムが、数年前から導入されています。
 この支援システムを活用することで、教材の配布、各回の課題の提出、採点、学生の学習状況の把握が出来ます。
 
 この学習支援システムは、 動画ファイルなどもアップできるものだったのですが、残念ながら今回の事態では、急激なシステム利用者の増加にシステムの増強が追い付かず、容量制限がかかってしまい、現在は、動画は外部にアップして、リンクを貼る形式にすることが勧められています。
 その他にも、利用者の増加によって、学習支援システムの反応が遅くなる事例が他大学では発生していますし、これが著しい場合には、システムが落ちてしまう(動かなくなる)危険性も指摘されています。

 そのため、私の場合は個人的にサーバーを設置し、moodleという学習支援システムをバックアップ用に準備しています。こちらでは、ファイルのアップ容量は1ファイル2GBまで、全体としてのアップ容量が50GBまで対応可能にしています。750kbpsであれば、90分の講義をフルに動画にしても0.5GB強ですから、一人の教員の半期のファイル容量としては十分な準備をしています。
 さて、このような学習支援システムですが、大学の学びというのは、「一方向」だけのものではありません。教員からの講義によって、知識を蓄えることと同時に、学生からのフィードバックや、学生相互の議論を通じて、多面的な物の見方を学び、自分自身の意見というものを構築することが重要です。しかし、学習支援システムでは、細かいグループ分けがしにくく、発言が全参加メンバーに見えてしまうことで、発言を避ける傾向が出てしまう場合があります。(学習支援システムの種類によっては、細かくグループ分けをすることが出来るものもあります。)

 そこで、私の場合は、少人数のゼミなどでは、chatworkというビジネス向けのコミュニケーションツールを使っています。これは、グループ分けが各参加メンバーで設定できるので、研究テーマごとに班を設定する作業や、その班の中で更に、小さいテーマごとに参加メンバーを設定することが簡単にできる特徴があります。ファイルも送信できるので、現在はプレゼンテーションの動画をアップして、それに対して参加者がコメントをチャットで送るということをしています。
 
 このプレゼンを動画で行い、コメントをチャットでというのは、比較的珍しいかもしれません。うちのゼミの場合は以前から、せっかくいいコメントをしてもらっても、記録がとれていない結果、忘れ去られてしまうという残念なことが起こっていまして、せっかくオンライン化するなら、その対策もちょうどいい機会なのでやってみようということで試行しています。
 他大学も含めて、ゼミでのディスカッション部分では、Zoom(リアルタイムメッセージングとコンテンツ共有が可能なビデオ会議システム)などを使うケースが、多いのかもしれません。

 このビデオ会議システムも注目されていますね。このシステムを使うと諸外国の大学との協働講義なども可能で、本学では2016年度に「スカイプを使用してタイの大学と協働授業」というものを行いました。
 タイ・バンコクの泰日工業大学と相互交流を行いながら異文化コミュニケーション能力を高め、自らのグローバルキャリアへの意識を高めることを目的に開講された特別講義「グローバルキャリア入門」では、来日前の4月にスカイプを使い、泰日工業大学(タイ・バンコク)と繋ぎ、顔合わせを成功させました。その後、実際に来日した段階では、スカイプでの直接対話を通じて親密な関係になっていたこともあり、合同研究作業は非常にスムーズに進行していました。

 そのほか、フレッシャーズセミナーという新入生向けの演習講義(ゼミ形式の少人数講義)では、Wordpressというホームページ作成システムを利用してもらい、実践的にオンラインでの情報発信スキルの育成にも取り組んでもらっています。今年は動画で行う予定ですが、図書の利用方法、プレゼン技法を実践的に学ぶためのビブリオバトルという書籍紹介の演習などもしています。

 このように、大学での学びは、オンライン化への対応が比較的進んでいますし、むしろオンライン化することによって、「情報として残り、学習効果が上がる」という面や、「諸外国の大学とつながることでより多様性のある学習ができる」というポジティブな面があります。

 その他、ここですべては挙げられませんが、本学では、教員相談員によるWEB学習相談(Zoomを使用)や英語学習アドバイザーへのWEB英語なんでも相談(Zoom使用)も在校生向けに5月11日(月)からスタートするなど、オンラインでも出来る限り学習を進めることの出来る取り組みもどんどんはじめています。

 今回の緊急事態がどこまで続くのか中々先が見通せない中で、心配なことも多いかと思いますが、その中でも各教員それぞれ出来るだけ良い講義、良い学習環境を提供できるように心がけています。 
 この記事が、大学でのオンライン教育の学びがどのように行われているかの一例として、参考になれば幸いです。

(文責:経営学科 板橋雄大)
 

 
  

2020年5月4日月曜日

ケース・メソッドで取り上げる「ムーミン・バレーパーク」を現地調査


流通マーケティング学科の丸谷です。36回目の執筆です。私は流通マーケティング学科の必修科目であるケース・メソッドを担当しています。ケース・メソッドは、企業(非営利組織を含む)が行っているマーケティング活動の事例(ケース)に対して、既存の知識や理論を当てはめたり、新しい知識や戦略を生み出したりする教育方法(メソッド)です。

ムーミン・バレーパークの正門前にて
この科目では企業が実際に取り組むマーケティング活動の事例を取り上げる必要があり、私はマーケティングの中でも、専門がグローバル・マーケティング論(簡単にいうと海外でどのようにマーケティングを行なっていくのか)なので、海外から日本に参入してきた企業のうちなるべく大学生にとって身近な題材を取り上げてきました。具体的にはマクドナルド、スターバックス、ネスレなどです。

ケースはなるべく新鮮な内容がいいと考え、数年に一度変更しています。ケースは自身で執筆する場合もありますし、販売されているケースを使用することもあります。今回は20195月に慶応ビジネス・スクールから出版されたアールト大学ビジネススクールのArto Lindblom教授と慶応ビジネス・スクール浅川和宏教授作の「日本でのムーミン・テーマパークの設立」を使用することにしました。

販売ケースを利用する場合には、事業を円滑に進めるために資料を収集したり、実際に商品を購入して使ってみたり、サービスを体感してみたりしています。今回は2020年度に新規ケースの題材となっている埼玉県飯能市宮沢にある「ムーミン・バレー」に取材に行ってきたので取り上げます。

「ムーミン・バレーパーク」は埼玉県飯能市宮沢327-6にあるフィンランドの著名画家トーベ・ヤンソンさんが生み出した有名人気キャラクターのムーミン一家を題材にしたテーマパークです。このテーマパークとともに北欧生活をテーマにしたショッピングモール「メッツァビレッジ」と呼ばれる郊外型レジャー施設も併設されてます。

パークに併設されたメッツァビレッジ外観
今回授業で取り上げるケースでは主に立地選定、日本での現地適応、ターゲット市場設定、価格戦略、競合への対応、日本市場参入の是非といった幅広い内容が取り上げられています。ムーミン自体はケースの中でも「日本は第二の故郷ともいわれている(ケース5頁)」と示しているように、非常に有名であり人気もあるため、多くの情報が示され、多くの考察もなされています。

今回の取材前にも多くの事前資料を読み現地取材を行ったのですが、実際現地調査をして理解できたことは多くありました。調査結果をすべて書いてしまうと、受講生の皆さんの授業課題作成に影響を与えてしまうので、今回は最初の立地選定に関して簡単に触れておきます。

立地選定に関してはテーマパークがある場所の地名ともなっている宮沢湖の存在が大きく、宮沢湖の自然にうまくムーミンの世界観を当てはめているということでした。

ムーミンの世界観を表現するのに適した宮沢湖
ムーミンの魅力のうち彼らが暮らす北欧の大自然での彼らの生活があります。1つの考え方としては、この世界観を完全再現する方法もあります。例えば、ディズニーのキャラクターを題材にしたテーマパークのように莫大な金額をかけてかなりの精度で再現することは可能かもしれません。

しかし、ムーミンの生みの親であるトーベ・ヤンソンの自然を大事にする考えにも反するように感じました。私が「ムーミン・バレー」を訪れて最も感じたのは、愛・地球博の際に名古屋郊外長久手でジブリアニメ「となりのトトロ」の世界観が再現されたパブリオン「サツキとメイの家」の世界観と通じるものでした。

ジブリの打ち出す世界観と「ムーミン・バレー」の世界観は類似しており、「三鷹の森ジブリ美術館」よりもかなり郊外にあり敷地も広大であることから「サツキとメイの家」を思い起こさせたのではと思います。

もちろん、パピリオンとテーマパークではコンセプトが異なるので、アトラクション、食事、展示など多少の商業主義は感じます。しかし、それらの商業主義は素朴であり、世界観を壊すほどのものではありません。

ムーミンの世界観を示すために湖に建てられた小屋
ムーミンの世界を再現した展示室
ムーミンの世界を示した食事
ムーミンの家に夜映し出されたプロジェクション・マッピング
2022年秋には、愛知の愛・地球博記念公園内「ジブリパーク」がオープンする予定ですし、テーマパークの新潮流を関東で感じられる「ムーミン・バレー」を訪れてみてはいかがでしょうか。

なお、新型コロナウィルス対応のために、「ムーミン・バレー」及び「メッツァビレッジ」はお休みしております。早くの再開ができることを個人的にも祈念しております。
(文責:流通マーケティング学科 丸谷雄一郎)

2020年4月12日日曜日

春なのに、、、(vol.38 小木ゼミ通信 など)

 マーケティング論、ソーシャルマーケティング論、消費者問題担当の小木です。38回目の投稿となります。つらい時期に投稿順番が回ってきました、、、。でも、1カ月学部のブログが滞っているのは良くないので、少しでも書いておきたいと思います。

 ◆春なのに、、、


 とにかく明るい話題をと思うのですが、新型コロナウイルスの余波は想像以上に大きいですね。

 春なのに、、、、

 春は、卒業式、入学式、サクラ、誕生日など、気分が高揚する行事が目白押しだったんですけど、、、いまはどこもかしこも「大混乱」という言葉が最も現状を言い表しているかもしれません。3月末~4月中旬までを時系列に見ていきます。

 3月末の卒業式とゼミの卒業イベントはすべてキャンセル。ゼミの卒業生には、LINEなどのやり取りだけでバイバイは本当に悲しかったです。せめてもの救いは、後輩らがつくってくれた、私のメッセージ付きアルバムを贈ったことくらいですね。一緒に戦ってきた仲間ですから、本当に残念でした。でも敢えて言おう!卒業生の皆さん、卒業おめでとう!

 ゼミの選考は何とかできました。本当は全員とりたかったのですが、それが適わず残念でした。入ゼミできた方は、漏れた人たちの想いも背負って、ゼミを紡いでいってほしいと思っています。ゼミは、当面はオンライン授業でやっていきたいと思っています。
 
東日本大震災の時でさえ、サクラを静かに愛でたのですが、、、、今年は全く愛でることなく散ってしまいました。入学式やオリエンテーションもできませんでした。2020年の経営学部新入生558名のみなさん(他学部の新入生も)は、さぞかしがっかりとしたでしょうし、不安を感じておられるかと思います。でも、まずは入学おめでとうございます、と言わせてください。そして、4年間頑張って下さい。

 こうした未曾有の事態の余波は、本学に限らず、多くの大学にも多大なる影響を及ぼしています。そうした中で、高校生を含め、大学生など学生の皆さんがいますべきことは、各々が自覚し収束に向けた行動をすること、そして、この嵐の過ぎ去るのをじっと耐え、その間に、自身の力を十分に蓄えていくことだと思います。その蓄えた力を、正常に戻ったときに、一気に社会に還元して下さい。それが学生の皆さんができる一番良いことなのかなと思います。
 
 イタリア・ミラノの高校のドメニコ・スキラーチェ校長のメッセージに心震わされたり、業種の異なる大手メーカーが医療機器や医療資材の生産に取り組む姿に応援したくなったり、BCG接種に一筋の光明を見出したりと、少し安堵する話題は出てきています。
 たまには散歩したり、体を動かしたりすることもよいでしょうし、自分自身を見つめ直す時間に充てるのもよいでしょう。本をじっくり読んだり、これまでの自身の生活や勉強を振り返るのもよいでしょう。やることは、実は山ほどあります。この難局を、できるだけポジティブにとらえて、皆さんと一緒に乗り越えていきたいと思います。
 
 本当に明るい話題がないのですが、少しずつ本学も動き出しています。本学だけでなく、全ての大学は、それぞれが持ちうる資源で、学生にきっちりとした教育サービスの提供すべく知恵を絞り、頑張っています。皆さんもしっかりとついてきてほしいと思います。

 ◆小木ゼミ通信

*3月上旬 ゼミ優秀賞をいただきました。たぶん10年連続です!

*3月中旬 「こんなお菓子あったらいいなプロジェクト」の社長に向けてのプレゼンを行いました。社長も随分喜んでいました。

*3月中旬 入ゼミ選考会を行い、新2年生14名を迎え入れることになりました。頑張って下さい。

*3月末 ゼミ卒業生各々に、後輩ゼミ生から思い出アルバムを寄贈いたしました。

*4月中旬 小木ゼミから成績優秀者が多数出ることが分かりました(これまでの最高人数になると思われます)。詳細は、次回のゼミ通信でお知らせいたします。

 【最後に、ゼミ生に】
 *ゼミ生全員から誕生日おめでとうメッセージ動画で来たー!
 こんな時期なのに、明るい話題あった!もう本当に嬉しいです!いつも教室でお祝いしてもらっていたけど、今年は今年で忘れられない思い出に残る誕生日となりました!涙が出てきた。。。私は、幸せ者です。ありがとうございました!
 みんなでゼミ盛り上げてまいりましょう!


2020年3月16日月曜日

ゼミ活動支えた吉祥寺老舗カフェが続々閉店

流通マーケティング学科の丸谷です。35回目の執筆です。私は吉祥寺が高校時代の最寄り駅であったので30年以上通い、東京経済大学赴任後10年間在住しています。


ゼミナールを担当していると、緊急の学生さんからの相談や大学が休みの時期の面談を学外ですることがあります。学外面談の場所としても利用させていただいてきた吉祥寺の老舗喫茶店ナローケーズ、moi、近江屋の三店舗が昨年から次々と閉店してしまいました。
ナローケーズは吉祥寺北口出てすぐのサーティーワンアイスクリームのあるビル2階にありました。駅から濡れずに行ける立地、紅茶販売も行うこだわりの紅茶とそれに合わせたランチとデザート、適度な混み具合でした。

私はカフェを一つの研究対象としてこともあり、喫茶店の居心地の良さにはこだわりがありますが、上記三店は利便性、面談のしやすさ、雰囲気の3つを兼ね備えていました。

ナローケーズのランチセット
moiは駅から遠いのですが、周辺は全国屈指のパン屋ダンディゾンや知育玩具の老舗がある文化的な立地、こだわりのコーヒーに合わせた北欧テイストのランチはおいしく、適度な混み具合でした。
moiのタルタルサンドも絶品でした
近江屋は駅前のパルコの一階にあり、前にユニクロの旗艦店があり、待ち合わせの定番であり、こだわりのコーヒープラス昔ながらのピザトーストなどのメニューが人気で、こちらも適度な混み具合でした。
近江屋の店内
近江屋のピザトースト
吉祥寺には新たなカフェも続々オープンしていますが、老舗と新店の両方が共存しているところが大きな魅力だと思います。3店は決して人気がなくなったわけではないだけに閉店がとても残念です。

                   (文責:流通マーケティング学科 丸谷雄一郎)


2020年3月9日月曜日

店頭に出ている分で全部です!

2010.03.09

 経営学部の本藤です。
 新型コロナの影響が、国民生活の様々なシーンに及んでいます。
 安倍内閣は新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案を国会に提出する見込み。
 安倍首相が「緊急事態宣言」をした場合、都道府県知事によって、外出の自粛から学校やイベント会場等の使用制限を要請することが可能となります。
 現時点では、まだイベント等の自粛要請を行ってはいませんが、テレワークや時差出勤の推進を「強力に」呼び掛けています。


 有名タレントのコンサート中止のニュースも多いのですが、大学でも様々なイベントが中止されています。また、海外渡航だけではなく国内旅行も自粛ムードが一段と強まり、不要不急の外出を控える人が急増してきています。多くの企業でもテレワーク利用の在宅勤務が進められつつあり、ビジネス関連のイベントも軒並み開催中止の連絡が飛び交っています。
 このように人の移動がなくなると、経済活動は一気に冷え込みます。特に、人の移動がなくなるので、航空業界や宿泊施設などの旅行に関わる業界は大きなインパクトを受けています。宿泊施設として、都内有名ホテルの価格が通常の半額レベルにまで落ち込んでいるところもあり、地方観光都市の高級旅館も事業継続を断念するところも出始めているほどです。
 同様に、外食チェーンや居酒屋チェーンなども軒並み前年同月比で20%以上の落ち込みを記録しているところも多く、例年送別会などの利用が集中していた3月から4月の前年同月比は厳しい状況になると思われます。


 その一方で、マスク不足や消毒用アルコール不足は深刻で、連日のように開店前のドラッグストアの店頭では、マスク購入のための行列ができています。ネット通販も、不当に高い売価で販売されており、中には売価は通常通りでも配送料金が通常の20倍もの設定で販売している悪徳業者も出てきています。このような転売業者などによる買い占めを防ぐために、政府による委託生産が多くの業界を巻き込んで進められており、政府が一括買取をして配付するというような対応を余儀なくされている状況です。
 ドラッグストア等の多くの小売業態では、通常でも非計画購買が75%程度発生するという調査結果がありますが、マスクを買いに来て、念のためティッシュやトイレットペーパーのような生活必需品をついで買いするという人も多かったのだと思われます。それが不足していないはずのペーパー類まで欠品状態に陥ってしまって、もはや小売店舗ではパニック状態です。


 そんななかドラッグストアの店員から顧客のクレームについて異口同音に聞かされる困ったケースは以下のようなクレームのようです。
「うちのおばあちゃんは体が弱くて、本当に必要だから何とかしてくれ!」
「開店1時間前から並んでいるのに1個しか売らないってどういうことだ!」
 この他にも、店舗のバックヤードに勝手に立ち入ってガサ入れする顧客がいるとか・・・
 更には、開店前から並んで、制限販売量を購入して、余計に1個売場の陰に隠して、あとで何食わぬ顔して買っていくとか・・・


 困りますよね。
 ドラッグストアをはじめとした小商圏型の生活業態は、安定的に生活必需品を供給する社会的商品流通を担っています。そこでは最近は発注業務はAIが行うところが増えてきており、これまでの実績値から適正量を発注しています。もはや2万アイテムもある商品を人間の手で発注する時代ではないのです。
 しかも、近年では店舗のバックヤードに在庫している商品は、特売商品などの一部の商品だけで、基本的には店頭在庫が店舗の全ての在庫であるケースがほとんでです。
でも、大量購入されるケースに備えて、小売業は各チェーンの流通センターに一定の在庫を保管しています。更に、中間流通を担う卸売業の流通センターにも在庫があり、必要に応じて小売業の流通センターに供給します。それでも不足している場合には、メーカーの流通センターから調達します。それまで欠品する状態をメーカー欠品と言われています。これだけ多段階に欠品を防止する社会的流通システムで対応しているにも関わらず、生活必需品が店頭から消滅するという事態が現在の状態で、ドラッグストアの売場で対応している店員では如何ともし難い状況なのを、生活者は十分に理解しなければなりませんね。



 マスクの生産については、シャープをはじめとして異業種メーカーも生産ラインを整えたというニュースがありました(精密機器を扱うメーカーは無塵状態のクリーンルームがあるため、その環境要件を備えているようです)。通常であれば、今月中にはかなりの供給状態になっていくはずですが、問題なのは海外でもネットを通じて買い漁られてしまうというマーケットになっているので予断を許しません。
 以前のマスク不足が深刻化した新型インフルエンザの際もそうでしたが、メーカー各社がフル稼働させてマスクを生産したのですが、その設備投資をマスクで回収する前にパニック状態が沈静化してしまったため、供給過剰になったマスクを店頭で処理しきれなくなってしまったことがあります。その結果、マスクの価格が下がりまくるという事態を招いてしまいました。通常、マスクは長期保管してからの利用も可能なので、今のパニック状態が終息したら、マスクの店頭需要が一気に冷え込んでしまうことが考えられます。


 WHO(世界保健機関)では、感染者にとって二次感染や三次感染を防ぐために必要ですが、感染予防のための科学的根拠はないと発表しています。


文責:本藤貴康(流通論、流通マーケティング演習、アカデミックコンパス担当)
本藤ゼミブログ(http://hondo-seminar.blogspot.com/






2020年3月2日月曜日

「先生、ゼミで伸びる人ってどういう人ですか?」:ゼミでの学習を効果的にする方法

 経営組織論、ケース分析等の講義を担当している山口です。東経大では、もうすぐ来年度のゼミメンバーの選考が行われます。ゼミは、通常の講義とは異なり、エントリーシート・レポート・面接など、各ゼミが設定した選考を通った人でないと受講することができません。人気ゼミになると、18人の募集に50人以上が殺到するということもあり、どのゼミに応募するか、新2年生、新3年生の中には悩んでいる人もいることでしょう。

 さて、今回書きたいのは、ゼミで成長するためには、「どのゼミに入るか」だけでなく、「ゼミに入った後何をするか」も重要だということです。
 なぜこういうことを書くかといえば、「よいゼミ」に入れば自動的に誰でも高い能力を身につけられる、というわけではないからです。同じゼミで同じ内容を学習していても、どれだけその内容を身につけて成長できるかは、人によって違います。
 したがって、優秀な学生が殺到するようなゼミで落ちこぼれてしまった人よりも、第二希望のゼミに入ってもそこで中心的メンバーとして非常に努力した人のほうが、1年後により成長している、ということだってあり得るわけです。
 そうだとすれば、「どのゼミに応募するか」だけでなく、「そこでどうやって自分の実力を伸ばすか」を考えておくことも、ゼミでの1年間を有意義なものにするための非常に重要なポイントになるでしょう。
 そこで今回は、ゼミに入ったときに、そこで自分の能力を伸ばすためにはどうしたらよいか、について書いていきたいと思います。

1.ゼミを通じて能力をのばした人の特徴


 まず、「ゼミを通じて成長できた」と語る、2人の東経大卒業生の事例を紹介しましょう。彼女たちは、いずれもゼミを通じて、有名大学の学生も多く応募する人気企業に就職できるほどの力をつけた人たちです。(事例は個人が特定されないよう若干デフォルメしています)

(1)Aさんの事例
 Aさんは、1年の時から広告業界に就職したいと考え、2年の時に広告関係のゼミ(今は退職された先生のゼミ)に入りました。しかし、広告関係のゼミに入っただけでは、就職活動で有名大学の学生との競争に勝てないと考えた彼女は、広告に関連する授業は全て、コミュニケーション学部の専門科目も含めて履修し、広告についての知識を深めました。
 知識が蓄積されるにつれ、ゼミでも活躍できるようになったため、思い切ってゼミの先生に「広告業界に就職したい」と相談したところ、広告会社でアルバイトすることを勧められました。そこで、ゼミや授業での勉強と並行して、ある広告会社でのアルバイトを始めたところ、その知識の深さを評価され、「是非うちに来てほしい」と言われるようになりました。
 こうして、彼女は、通常の就職活動なしで、大学入学時から希望していた広告業界への就職を決めることができました。

(2)Bさんの事例
 Bさんは、ケース・メソッドによってマーケティングを学ぶゼミ(今は退職された先生のゼミ)に入りました。ゼミでケースを面白いと感じたBさんは、色々な企業のマーケティングを分析する能力を高めたいと考え、3つのことを行いました。
 第1に、企業の分析に必要なマーケティングに関する授業の履修です。いずれも優秀な成績を修めてマーケティングの知識を深めました。第2に、企業の分析スキルの向上です。流通マーケティング学科の「ケース・メソッド」の授業に加えて、経営学科の学生向けの「ケース分析」(当時は流通マーケティング学科の学生も履修できました)の授業も履修するなど、東経大で履修できるケース・メソッド関連の授業をいくつも受講し、企業の分析スキルを高めました。第3に、このようにゼミと授業を通じて高めた知識・スキルを使って、アルバイト先のカフェのマーケティングを考え、店内のポップなどについて、売上向上のための提言を行い、実行しました
 こうしてゼミだけでなく、授業もゼミに関連するものにしたことで、実際の企業経営に応用できるくらいまでマーケティングの知識・スキルを高めた彼女は、就職人気ランキングで常にトップ20に入るような、世界的に有名な企業に就職し、自分の知識を活かせる仕事をしています。

 さて、この2人の事例からは、ゼミを通じて、社会でも通用する力をつけるくらいまで成長するには、あるポイントがあることがわかります。
 「ゼミで本当に成長するには、ゼミ以外の時間(授業やアルバイト)も、ゼミとベクトルを合わせた活動をしたほうがよい」ということです。

2月1日の慶応大学などとの合同ゼミで、100名の前で堂々とプレゼンするゼミ生(2年生)。
9月には直立不動で原稿を読むだけでしたが、最後は研究内容を完璧に理解し、原稿なしで身振り手振りも加えて聞き手に話しかけるプレゼンができるようになりました!
(彼は、ゼミを頑張りつつ、ゼミの関連科目も履修し、プレゼン前には家族の前でも練習したそうです)


 「えーっ!?そこまでしなければいけないの?」と思った人もいるかもしれません。
 しかし、よく考えてみれば、これは別に特別なことではないのです。例えば、公認会計士や税理士を目指している人にとって、資格試験予備校だけでなく、大学の授業やゼミでも資格試験に関連のある科目を履修するのは当たり前のことでしょう。彼らは、家でも試験勉強をするなど、1日のほとんどの時間を資格試験用に使っているはずで、こうして1日の時間のほとんどを資格試験にベクトルを合わせて使っているからこそ、他の大学生には得られないほどの高度な専門知識を4年間で獲得できるわけです
 同じように考えれば、経営組織論のゼミであれ、マーケティング論のゼミであれ、ゼミに入っている間は、そのゼミで学ぶ内容に関連した分野を集中的に学び、その分野についての知識を総合的に深めていくことが、他者に負けない専門能力の獲得に重要であることがわかるでしょう。

2.ゼミで誰よりも能力を伸ばす方法:ゼミの関連科目を集中的に履修すること

 
 ゼミで成長するには、ゼミだけを頑張るのではなく、ゼミ以外の時間をどう使うかが重要だという話をしてきました。
 特に、ゼミの関連科目を集中的に履修することの重要性は、強調しておきたいと思います。というのは、過去に、非常に残念な経験をしたことがあるからです。
 山口ゼミでは、後期に数チームに分かれて、自分たちの好きな企業の事例を分析します。その際、あるチームに「この本を読んで、この企業の戦略について書かれた部分を要約してきたら?」とアドバイスしたところ、チームメンバーが「戦略」という用語の意味をきちんと理解できず、全く関係ない部分を抜き書きしてきたことがあったのです。
 「戦略」など、1年生の基礎経営学などで学ぶ非常に基本的な用語の一つひとつについて、ゼミで逐一解説していたら、ゼミが「基礎経営学」の授業になってしまい、ゼミ独自の活動ができなくなってしまいます。しかし、そうした基本的な用語がわからなければ、いくらゼミでテキストを読んでもその内容をしっかり理解できないでしょうし、ましてやそれを使って企業の事例分析をするのは不可能です。
 そのため、こうなると結局、「ゼミで頑張ったのに、あまり力がつかなかった」という不幸なことになってしまうわけです。
 ですので、「経営学の知識について、自信がないなあ」と思う人は、ゼミと並行してゼミ活動に関連した科目を中心に履修できるよう、是非、今から履修計画をしっかり考えておきましょう!
 なお、もし「どれがゼミに関連する科目かわからない」という場合は、山口ゼミではTwitterなどで「履修推奨科目」を公表していますし、ゼミの先生に相談すれば教えてくれると思います
 是非、ゼミに入った1年間を充実したものにできるよう、最適な学習環境を自分で作っていってください!

3.「まだ自分の興味のある分野が何かわからない」という人へ

 
 「まだ自分が何に興味があるかわからないから、そんなにゼミの活動に関連した部分だけに特化して勉強したくない。もっと広く興味のある分野を探したい」という人もいるかもしれません。
 そういう人にも、ゼミに入ったら、あえて、その分野に集中して深く勉強することを勧めます。これまで色々な学生を見てきましたが、広い分野をちょっとずつかじった結果、好きな分野を見つけた人は意外と少ないように感じるからです。おそらく、広い分野のどれも取り組みが中途半端になった結果、「どれも自分に合っていない」と感じることが多くなりやすいからだと思います。
 山口ゼミの過去のゼミ生で、マーケティング系のゼミに落ちて二次募集で山口ゼミに来た学生がいました。自分の一番望む分野ではなかったかもしれませんが、ゼミでは私の解説を毎回逐一メモをとるくらい熱心にゼミに取り組み、ケース分析レポートも毎回1番よいものを書いてくるくらい頑張った結果、ゼミで議論した資生堂と小林製薬の事例が自分は大好きだということに気づきました。そこで、「両社のような流通の工夫についてより詳しく勉強したい」と、3年時に別のゼミに移り、最終的に自分の好きなその業界の有名企業からいくつも内定を獲得し、就職しました。
 彼は、2年の時から別のゼミで活動してきた学生よりも1年遅れて入った分、苦労したかというとそうでもなかったようで、むしろそのゼミの学生が知らない経営組織論・経営戦略論の知識に基づいて、他の学生とは違う観点からの意見を言えることがアドバンテージになったようです(実際、そのゼミの後輩が、私のところに「何を勉強したら、あんな優れた意見を言えるようになるか教えてください」と翌年聞きに来ていました)。ある分野についてしっかり学んでおけば、それを他の分野に応用することも可能なわけです。
 以上から、「何に興味があるかわからない」という人は、とりあえずある分野を(中途半端にではなく)がっつり勉強してみると、「自分はこれが得意だ」とか、「いや、これではなく、こういうものが好き」というのが見えてきやすくなると思います。
 大学生を見ていると、まだ自分の得意分野が何か、自分が好きなことは何かについて、気づいていない人も多いようです。それをみつける近道は、「探す」のではなく、「まず何か気になることをやってみること」です。「これは違う」「苦手」と気づくことから、自分のことがよく見えてくることもあるのです。
 今回紹介した3人の東経大卒業生のように、ゼミを通じて、自分の得意分野・好きなことを「発見」し、その分野の知識・スキルを深めていけたら理想的だと思っています。
(文責:経営学部准教授 山口みどり)

2020年2月23日日曜日

ゼミ選びのポイント(vol.37 小木ゼミ通信 ゼミ活動報告)


マーケティング論、ソーシャルマーケティング論、消費者問題担当の小木です。37回目の投稿となります。

最近、嫌なニュースばかりで気が滅入りますね。
これから入試や、卒業式や、入学式もあるのにとても心配です。
東京オリンピックも大丈夫かなあ。。
ウチのゼミでも、追い出し会を中止にしてしまいました(4年生の皆すまぬ)。
こんなときは、音楽でも聴いて気分転換です!髭男の「宿命」や「Pretender」をかけ続けています。髭男、マジいいね!


さて、私が姉貴のように慕っている方の姪っ子さんが宝塚デビューを最近果たしまして(月組「大楠てら」さんをよろしく!)、私もはじめて公演に行くことになりました。というのも、私が大学院生の頃、このタカラジェンヌが赤さんだったころのストローラーを引いていたことがあるからです(姉貴からストローラーを預けられていた)。あの赤さんが、いまや宝塚で一番大きい180㎝のタカラジェンヌになっているとは、、、月日の流れをしみじみ感じている次第ですしかも、本当にブレイクしそうな感じ!トップスター目指して頑張れ!最近、若い子たちが頑張っているのをみると、本当に応援したくなってきます。

公演の模様は、また今度レポートします。
宝塚のケースを書いてみたいなあ。ケースの授業で使ってみたい。

◆ゼミ選びのポイント


ところで、そろそろゼミ選びの時期になってきましたね。なんだかんだ言って、ゼミ選びはとても大切だと思います。そこで、私が思う、ゼミ選びのポイントのベスト3を紹介したいと思います。

第3位は、「やりたい(勉強したい)領域か、やりたい研究か」です。学生のゼミ選びをみていると、とにかくこれしか見ていないという感じです。この点は、とても大事ではあるのですが、私にとっては1・2番ではないですね。

第2位は、「先生やゼミの雰囲気が自分にあっているか。耐えていけるか。」です。長くゼミを続けていくためには、先生との相性、ゼミとの相性はとても大事です。どちらかというとやりたい領域よりも大事かもしれません。だからオープンゼミに行って自分の目で確かめることが重要なのです。

第1位は、「自分が成長できるゼミか、自分を成長させてくれるゼミか」です。これは、2位とも連動する話ですが、自己成長が適うゼミをぜひ選んでほしいと思います。

考える時間は残りあとわずかです。2月26日は各ゼミの入ゼミ試験方法がTKUポータルにアップされます。入ゼミ選考(面接など)は、各ゼミ3月16日~18日のどれかになりますが、小木ゼミは、3月17日9:30~行います。応募者は、エントリーシート及び成績表のコピーを持参して来て下さい。
2月26日 ゼミ選考方法 TKUポータルでアップ
3月11日㈬~12日㈭ TKUポータルで希望登録(これを忘れないように!)
3月17日㈫9:30~(教室未定:チェックのこと) 小木ゼミ 入ゼミ選考


◆小木ゼミ活動報告

この時期は、ゼミは基本オフですが幾つか活動成果があがっています。

国分寺物語

こくぶんじ写真コンクールの審査及び表彰式に参加します。また、2月中旬のシンポジウムでもパネリストを務めました。

こんなお菓子あったらいいなプロジェクト

3月16日に、いよいよ社長プレゼンです。すでにゼミ内でプレゼンした内容をブラッシュアップして、2年生4組が社長の前でプレゼンを行います。頑張って下さい。

ゼミ優秀賞の獲得

2019年度も、ゼミ優秀賞を獲得いたしました。10年連続です!これはちょっとすごいことではないかなと思います。これからも淡々と、自己成長に向かって、各ゼミ員は頑張ってほしいと思います。


小木